172 / 183
射手の統領169 秘湯ビーチク温泉郷
しおりを挟む
射手の統領
Zu-Y
№169 秘湯ビーチク温泉郷
タジャー湖の東湖畔で野営した。
野営なので、夜は交代で見張りをしたが、何も出なかった。
朝餉をちゃっちゃと済まして、タジャーの町の中心部の冒険者ギルドへ行き、昨日アタキで受けた、街道復旧クエストの達成報告をした。当然、受付嬢が、固まった。
「これ、共同クエストですよ。」
「そうだな。昨日、アタキで受注したときはまだ参加パーティを募集中だったからな。」
「昨日アタキで受注したって…、森林を切り開きながらで、アタキからタジャーまで1日では来られる訳ないでしょう?」
「そうは言っても来ちゃったからな。」
「アタル、受付の女の子を揶揄ってないで、とっとと報告済ませなさいよ。ビーチク温泉に行くんでしょう?」
「あ、そうだった。
実はこの辺りで道が森に飲まれて道が塞がってたのな。そこで流邏石でアタキに飛んでさ、街道復旧クエストを受けたんだよ。で、戻ってさ、この辺からこの辺までの森に飲まれてたところを、風撃矢と風属性の陽の術で竜巻を起こして、竜巻の針路をコントロールしてさ、道を埋めてた樹々をなぎ倒して来たんだよ。」
俺は地図を使って説明した。
「竜巻をコントロールしたんですか?」
「せやでー。」
「うちらの得意技やねん。」
「事実確認に時間が掛かるだろうから、評価と報酬は、本隊と連絡が取れてからでいいぜ。取り敢えず、報告だけ受けといてよ。」
半信半疑の受付嬢を置いて、タジャーギルドを出発。北東に進んで目指すはビーチク温泉郷。タジャーの町から北東に山峡の道を進んて行く。1本道なので迷わない。
道は緩やかな上りだが、うちの曳馬4頭は登りを得意としているから、グイグイと進んで行った。
大して進まないうちにもう温泉街となった。まじで?ビーチク温泉に到着?と思ったら、ビーチク温泉はさらにこの先で、ここはタジャー湖高原温泉だった。ここで俺の眼を惹いたのが、『名物檜おがくず酵素風呂』の看板。何、これ?
北斗号の見張台にいた俺は、伝声管で御者席に声を掛けた。
「あの看板にある『檜おがくず酵素風呂』って寄ってみようぜ。」
「やはりな。ちょうどな、アタルが寄ろうと言い出しそうだと、話しておったのだ。」伝声管の向こうでケラケラと笑い声が聞こえる。くっそ、まじかよ。苦笑
酵素液を含ませた檜のおがくずに埋まって15分我慢する。これが、檜おがくず酵素風呂の正体だった。三の島のビュドヤの砂風呂のおがくずバージョンって言えばピンと来るだろうか?
おがくずだから砂よりは軽いだろうと思っていたが、酵素液を浸みこませているので、思ったほど軽くはなかった。
酵素液のせいでおがくずが発酵して熱が出る仕組みのようだ。
こんなものか…と思っていられたのは10分まで。10分を過ぎると凄い汗が出て来て、結構、いや、かなりきつかった。
15分経ってようやく出してもらうと、もう汗だくでへとへとである。いやあ、まじでいい汗掻いたわ。
ついでに日帰り温泉にも入った。
たっぷり水分を補給し、再び北斗号でビーチク温泉を目指しているが、嫁たちもたっぷり汗を掻いたようで、あれは美容にいいとか、デトックスが排出されたとか、もう、檜おがくず酵素風呂の話題で持ち切りだった。
最初に寄ろうと言った俺を褒めておくれ。笑
それからしばらく行くとビーチク温泉である。数件の湯宿が点在しているが、俺たちはそのうちのひとつに逗留することにした。囲炉裏付きの風情のある大部屋を取って、大露天風呂へ。
この湯宿の源泉は4種類もあるそうだが、どれも白濁硫黄泉で、微妙に泉質が違う。
大露天風呂は混浴で、広々としたぬる湯だった。他の客もいたので、嫁たちは湯浴着を着ての入浴であった。他の客がいなければ、何も着けずに入っていたので、ちょっと残念である。笑
「いい湯やなぁ。」「ほんまや。」
温泉には眼がないキョウちゃんズがご満悦である。
すると居合わせた爺さんが、キョウちゃんズに話し掛けて来た。
「おや、嬢ぢゃんたぢ、西の人でねだか?」
「せやでー。」
「おっちゃんは地元の人なん?」
「いんや、おらはリモーカだ。
んだどもよぐ来だな。ごごんとご、翠樹龍が荒れで、木が道さ塞いで、道さ通れねもんで、旅の人が少ねんだ。」
「それやったら、もう大丈夫やで。」
「うちらが吹き飛ばして来たさかいな。」
「わっはっは。そいづあ、どうもなあ。皆、助がるべよお。」
爺さん、信じてないっぽい。笑
「うちら、この後、リモーカに行くんやで。」
「そんでな、わんこそばの大食いチャレンジするんや。」おい、それ、いつの間に誰が決めた?
「んだか。んだかー。いやー、ここで会ったのも何かの縁だべな。おらはな、リモーカでわんこそばの店をやっでたんだ。」
「今はやってへんの?」
「もう隠居しだでな。店は息子が継いでら。そんだ、リモーカ来だらよ、うちの店に寄ってくなんしぇ。」
この爺さん、リモーカのわんこそば屋の隠居だったのか。リモーカではきっと寄ると約束して、店の場所と名前を聞いた。『わんこそばリモーカ』って、そのまんまの店名だった。
爺さん、ここでキョウちゃんズに声掛けたこと、きっと後悔するんだろうなぁ。笑
夕餉は、芋煮鍋をメインに、山菜、イワナ、鹿肉、鳥肉など、郷土料理が何品も出て来て豪勢だった。特に、囲炉裏の火で串焼きにするイワナは格別だ。
それとどぶろく。
嫁たちの白い非難の眼を浴びつつも、男には引けないときがある。こんなに風情のある宿で、地酒のどぶろくがあると言うのに、これを呑まいでか。
熱々のイワナを竹串に刺したままガブリのほふほふと来て、もっきりの冷のどぶろくをひと口含んで、ゴクリと行く。
あー滲みる。イワナの塩味と、どぶろくの甘みのハーモニーと言ったら、また格別ではないの。
「旨いよ。皆もどう?」
「じゃあ…、ひと口…だけ…。」サジ姉が反応すると、他の嫁たちも反応して、
「あら、美味しいわ。」「美味でござる。」「これはぁ、ほんとにぃ、美味ぃ。」と、もっきりが嫁たちのところをひと回りして、すっかり空になって帰って来たのだった。泣
最初は白い眼で見たくせに、結局、嫁たちは皆、どぶろくのもっきりを頼んでたし。笑
夕餉の後も夜の露天のぬる湯にゆったり浸かり、秘湯ビーチク温泉を満喫したのだった。
俺たちが借りた大部屋は、離れの民家風の建物で、囲炉裏のある大広間の他、小部屋があった。
小部屋は当然むふふ部屋となる。この日の晩は、サヤ姉とサジ姉と3人でしっぽり楽しんだのだった。
翌日、昨日、混浴大露天風呂で知り合ったリモーカのわんこそば屋のご隠居が、供を連れて帰って行った。湯宿の仲居さんによると、爺さんはここの常連さんらしい。爺さんのわんこそば屋は、リモーカでも1・2を争う名店だとか。
リモーカ行きの楽しみがひとつ増えた。
俺たちはそのまま4連泊で湯治を楽んだ。数件あるビーチク温泉郷の湯宿は、湯巡りもやっていたので、当然この湯宿を起点に、日替わりで湯巡りもやった。°の湯宿も個性的で味わいがあった。
夜、2泊目がホサキとシノブ、3泊目がキョウちゃんズ、4泊目がアキナとタヅナ、でそれぞれ楽しんだのだった。
昼は湯巡り、夜は嫁巡りである。笑
そうそう、3日目のキョウちゃんズのときだけどな、ニアからタジャーの街道の切り開きのときに「先っぽだけや。」とか「奥まで入れてへん。」とか、下ネタをかまして来やがったので、たっぷり奥までぶち込んでやった。笑
5日目に湯宿を発つとき、しっかり流邏石を登録したのは言うまでもなかろう。この湯宿には必ずまた来る。
結局チェックアウト時刻ギリギリまで湯宿にいて、混浴大露天風呂を楽しみ、南西に道を進んで、タジャーを目指す。途中、檜おがくず酵素風呂に寄り道するかと、嫁たちに尋ねたら、満場一致で、寄る!との返事だった。笑
思い出して欲しい。最初にここに寄ろうと言ったのは誰だったかを。そして、『俺が寄ろうと言うだろうと思ったが、やっぱり言って来た。』と言ってけらけら笑っていたのは誰たちだったかを!
まあでも心の広い俺はそんな些細なことは気にせず、檜おがくず酵素風呂でいい汗を流したのだった。
タジャーの町に到着し、ギルドに入ると、アタキ・タジャー間の街道復旧共同クエストが終わっていた。他の冒険者たちが、俺たちセプトが切り開いた街道を固めて街道が復旧したのだ。
受付嬢が、恐る恐る、
「参加パーティで均等割の報酬です。」と言うので、
「もちろんそれで十分だ。」と言ったら、あからさまにホッとしていた。
俺が分け前を多く寄越せとか、無体なことを言うとでも思っていたのであろうか?実に心外である。
この日はダジャーの町で宿を取って、明日のリモーカに向けての山越えに、英気を養うことにした。
山髙屋タジャー支店に北斗号を預け、その近くの宿屋に宿泊にチェックインした。今日は嫁会議の日なので俺はシングル。嫁たちは大部屋を取った。どうせ嫁会議で、ピーチクパーチクとガールズトークに花を咲かせるのだろう。明日の行程もあるし、夜更かしだけはしないで欲しい。
夕餉も宿屋の食堂でありきたりなもので済まし、嫁会議の日だったことと、町の宿屋だったこともあり、俺はシングル部屋で、早めに眠ったのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
毎週月曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№169 秘湯ビーチク温泉郷
タジャー湖の東湖畔で野営した。
野営なので、夜は交代で見張りをしたが、何も出なかった。
朝餉をちゃっちゃと済まして、タジャーの町の中心部の冒険者ギルドへ行き、昨日アタキで受けた、街道復旧クエストの達成報告をした。当然、受付嬢が、固まった。
「これ、共同クエストですよ。」
「そうだな。昨日、アタキで受注したときはまだ参加パーティを募集中だったからな。」
「昨日アタキで受注したって…、森林を切り開きながらで、アタキからタジャーまで1日では来られる訳ないでしょう?」
「そうは言っても来ちゃったからな。」
「アタル、受付の女の子を揶揄ってないで、とっとと報告済ませなさいよ。ビーチク温泉に行くんでしょう?」
「あ、そうだった。
実はこの辺りで道が森に飲まれて道が塞がってたのな。そこで流邏石でアタキに飛んでさ、街道復旧クエストを受けたんだよ。で、戻ってさ、この辺からこの辺までの森に飲まれてたところを、風撃矢と風属性の陽の術で竜巻を起こして、竜巻の針路をコントロールしてさ、道を埋めてた樹々をなぎ倒して来たんだよ。」
俺は地図を使って説明した。
「竜巻をコントロールしたんですか?」
「せやでー。」
「うちらの得意技やねん。」
「事実確認に時間が掛かるだろうから、評価と報酬は、本隊と連絡が取れてからでいいぜ。取り敢えず、報告だけ受けといてよ。」
半信半疑の受付嬢を置いて、タジャーギルドを出発。北東に進んで目指すはビーチク温泉郷。タジャーの町から北東に山峡の道を進んて行く。1本道なので迷わない。
道は緩やかな上りだが、うちの曳馬4頭は登りを得意としているから、グイグイと進んで行った。
大して進まないうちにもう温泉街となった。まじで?ビーチク温泉に到着?と思ったら、ビーチク温泉はさらにこの先で、ここはタジャー湖高原温泉だった。ここで俺の眼を惹いたのが、『名物檜おがくず酵素風呂』の看板。何、これ?
北斗号の見張台にいた俺は、伝声管で御者席に声を掛けた。
「あの看板にある『檜おがくず酵素風呂』って寄ってみようぜ。」
「やはりな。ちょうどな、アタルが寄ろうと言い出しそうだと、話しておったのだ。」伝声管の向こうでケラケラと笑い声が聞こえる。くっそ、まじかよ。苦笑
酵素液を含ませた檜のおがくずに埋まって15分我慢する。これが、檜おがくず酵素風呂の正体だった。三の島のビュドヤの砂風呂のおがくずバージョンって言えばピンと来るだろうか?
おがくずだから砂よりは軽いだろうと思っていたが、酵素液を浸みこませているので、思ったほど軽くはなかった。
酵素液のせいでおがくずが発酵して熱が出る仕組みのようだ。
こんなものか…と思っていられたのは10分まで。10分を過ぎると凄い汗が出て来て、結構、いや、かなりきつかった。
15分経ってようやく出してもらうと、もう汗だくでへとへとである。いやあ、まじでいい汗掻いたわ。
ついでに日帰り温泉にも入った。
たっぷり水分を補給し、再び北斗号でビーチク温泉を目指しているが、嫁たちもたっぷり汗を掻いたようで、あれは美容にいいとか、デトックスが排出されたとか、もう、檜おがくず酵素風呂の話題で持ち切りだった。
最初に寄ろうと言った俺を褒めておくれ。笑
それからしばらく行くとビーチク温泉である。数件の湯宿が点在しているが、俺たちはそのうちのひとつに逗留することにした。囲炉裏付きの風情のある大部屋を取って、大露天風呂へ。
この湯宿の源泉は4種類もあるそうだが、どれも白濁硫黄泉で、微妙に泉質が違う。
大露天風呂は混浴で、広々としたぬる湯だった。他の客もいたので、嫁たちは湯浴着を着ての入浴であった。他の客がいなければ、何も着けずに入っていたので、ちょっと残念である。笑
「いい湯やなぁ。」「ほんまや。」
温泉には眼がないキョウちゃんズがご満悦である。
すると居合わせた爺さんが、キョウちゃんズに話し掛けて来た。
「おや、嬢ぢゃんたぢ、西の人でねだか?」
「せやでー。」
「おっちゃんは地元の人なん?」
「いんや、おらはリモーカだ。
んだどもよぐ来だな。ごごんとご、翠樹龍が荒れで、木が道さ塞いで、道さ通れねもんで、旅の人が少ねんだ。」
「それやったら、もう大丈夫やで。」
「うちらが吹き飛ばして来たさかいな。」
「わっはっは。そいづあ、どうもなあ。皆、助がるべよお。」
爺さん、信じてないっぽい。笑
「うちら、この後、リモーカに行くんやで。」
「そんでな、わんこそばの大食いチャレンジするんや。」おい、それ、いつの間に誰が決めた?
「んだか。んだかー。いやー、ここで会ったのも何かの縁だべな。おらはな、リモーカでわんこそばの店をやっでたんだ。」
「今はやってへんの?」
「もう隠居しだでな。店は息子が継いでら。そんだ、リモーカ来だらよ、うちの店に寄ってくなんしぇ。」
この爺さん、リモーカのわんこそば屋の隠居だったのか。リモーカではきっと寄ると約束して、店の場所と名前を聞いた。『わんこそばリモーカ』って、そのまんまの店名だった。
爺さん、ここでキョウちゃんズに声掛けたこと、きっと後悔するんだろうなぁ。笑
夕餉は、芋煮鍋をメインに、山菜、イワナ、鹿肉、鳥肉など、郷土料理が何品も出て来て豪勢だった。特に、囲炉裏の火で串焼きにするイワナは格別だ。
それとどぶろく。
嫁たちの白い非難の眼を浴びつつも、男には引けないときがある。こんなに風情のある宿で、地酒のどぶろくがあると言うのに、これを呑まいでか。
熱々のイワナを竹串に刺したままガブリのほふほふと来て、もっきりの冷のどぶろくをひと口含んで、ゴクリと行く。
あー滲みる。イワナの塩味と、どぶろくの甘みのハーモニーと言ったら、また格別ではないの。
「旨いよ。皆もどう?」
「じゃあ…、ひと口…だけ…。」サジ姉が反応すると、他の嫁たちも反応して、
「あら、美味しいわ。」「美味でござる。」「これはぁ、ほんとにぃ、美味ぃ。」と、もっきりが嫁たちのところをひと回りして、すっかり空になって帰って来たのだった。泣
最初は白い眼で見たくせに、結局、嫁たちは皆、どぶろくのもっきりを頼んでたし。笑
夕餉の後も夜の露天のぬる湯にゆったり浸かり、秘湯ビーチク温泉を満喫したのだった。
俺たちが借りた大部屋は、離れの民家風の建物で、囲炉裏のある大広間の他、小部屋があった。
小部屋は当然むふふ部屋となる。この日の晩は、サヤ姉とサジ姉と3人でしっぽり楽しんだのだった。
翌日、昨日、混浴大露天風呂で知り合ったリモーカのわんこそば屋のご隠居が、供を連れて帰って行った。湯宿の仲居さんによると、爺さんはここの常連さんらしい。爺さんのわんこそば屋は、リモーカでも1・2を争う名店だとか。
リモーカ行きの楽しみがひとつ増えた。
俺たちはそのまま4連泊で湯治を楽んだ。数件あるビーチク温泉郷の湯宿は、湯巡りもやっていたので、当然この湯宿を起点に、日替わりで湯巡りもやった。°の湯宿も個性的で味わいがあった。
夜、2泊目がホサキとシノブ、3泊目がキョウちゃんズ、4泊目がアキナとタヅナ、でそれぞれ楽しんだのだった。
昼は湯巡り、夜は嫁巡りである。笑
そうそう、3日目のキョウちゃんズのときだけどな、ニアからタジャーの街道の切り開きのときに「先っぽだけや。」とか「奥まで入れてへん。」とか、下ネタをかまして来やがったので、たっぷり奥までぶち込んでやった。笑
5日目に湯宿を発つとき、しっかり流邏石を登録したのは言うまでもなかろう。この湯宿には必ずまた来る。
結局チェックアウト時刻ギリギリまで湯宿にいて、混浴大露天風呂を楽しみ、南西に道を進んで、タジャーを目指す。途中、檜おがくず酵素風呂に寄り道するかと、嫁たちに尋ねたら、満場一致で、寄る!との返事だった。笑
思い出して欲しい。最初にここに寄ろうと言ったのは誰だったかを。そして、『俺が寄ろうと言うだろうと思ったが、やっぱり言って来た。』と言ってけらけら笑っていたのは誰たちだったかを!
まあでも心の広い俺はそんな些細なことは気にせず、檜おがくず酵素風呂でいい汗を流したのだった。
タジャーの町に到着し、ギルドに入ると、アタキ・タジャー間の街道復旧共同クエストが終わっていた。他の冒険者たちが、俺たちセプトが切り開いた街道を固めて街道が復旧したのだ。
受付嬢が、恐る恐る、
「参加パーティで均等割の報酬です。」と言うので、
「もちろんそれで十分だ。」と言ったら、あからさまにホッとしていた。
俺が分け前を多く寄越せとか、無体なことを言うとでも思っていたのであろうか?実に心外である。
この日はダジャーの町で宿を取って、明日のリモーカに向けての山越えに、英気を養うことにした。
山髙屋タジャー支店に北斗号を預け、その近くの宿屋に宿泊にチェックインした。今日は嫁会議の日なので俺はシングル。嫁たちは大部屋を取った。どうせ嫁会議で、ピーチクパーチクとガールズトークに花を咲かせるのだろう。明日の行程もあるし、夜更かしだけはしないで欲しい。
夕餉も宿屋の食堂でありきたりなもので済まし、嫁会議の日だったことと、町の宿屋だったこともあり、俺はシングル部屋で、早めに眠ったのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
毎週月曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる