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射手の統領094 北斗号の空調設備
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射手の統領
Zu-Y
№94 北斗号の空調設備
心地よい揺れにふと目覚めると、すでに昼をまわっていて、廻船はガルツを出航していた。
廻船は追い風を帆に受けつつ潮帆も展開しているが、和の国の南側の外海と比べて、北側の和国海は揺れが比較的少ない。
とは言っても、冬は和国海は荒れる季節だ。今日は穏やかでも、荒れたらこうは言っていられない。
徹夜のためか、本格的に寝入ってしまったキョウちゃんズに、両腕を枕に取られているから、身動きができん。
「アタルぅ。起きたのねぇ。」
「うん。でも動けない。」
気付いてくれたタヅナと、タヅナの横にいたアキナが寄って来て、キョウちゃんズをそーっと退けてくれたので、俺はようやく起きることができた。ふたりに腕枕をしていたせいで、両腕が鈍くしびれているのが心地よい。
「ふたりは寝かしといた方がいいですね。」
「ああ、夜通し式神を飛ばしてたからな。ところで皆はまだ昼餉を摂ってないのか?」
「そうよ。アタルが起きるのを待ってたわ。」
「そりゃすまんかった。昼餉にしよう。」
満場一致。
「船では…寝るだけ…だから…。」
サジ姉のこのひと言で、ガルツで買い込んだ鯖寿司と焼鯖寿司を肴に、お天道様の高いうちから酒盛りになった。笑
ガルツの鯖寿司はいわゆる押し寿司である。もともとは生鯖を酢に漬けて押し寿司にしていたが、最近では焼いた鯖でも押し寿司を作るようになり、焼鯖寿司として売り出している。
こうなると消費者としては、ついつい両方買って食べ比べしたくなるのである。なかなか上手い戦法だ。もっともうちは大人数だし、大食いのキョウちゃんズもいるので、ごっそり買ったけどな。
大人嫁5人は行ける口であるが、俺みたいに後先考えずに呑むことは決してない。俺ひとりで暴走することもなく~もし潰れたら嫁たちに何されるか分かんないし~、楽しい呑みが続いていた。
「そう言えばさぁ。商都ギルドのギルマスのトルシンに言われたんだけど、函府に着いたら北斗号を改造しなきゃならないんだよ。函府にはキノベ陸運の営業所はあるよな?」
「ありますけどぉ、どこを改造するんですかぁ?」
「二の島は寒さがこっちと比べ物にならないくらいきついそうなんだ。それで防寒仕様への改造が必要なんだってさ。」
「アタルぅ。北斗号は防寒仕様も耐暑仕様もぉ、最上級のものを装備してますよぉ。」
「え?そうなの?」
「もぅ。納品のときにぃ、ミーブで姉上がぁ、説明したじゃないですかぁ。」
「そうだっけ?」
「そうですよぉ。函府ではぁ、温熱石をいくつか買えばぁ、いいだけですぅ。」
「アタルのことだ、納品された北斗号を前にして乗りたくてうずうずしてたに違いない。それでろくに説明を聞いてなかったのではないか?」
ホサキの至極的確なツッコミに、
「きっとそうですね。いかにもありそうですわ。」アキナが同意する。
「面目ない。」その通りなので無駄な抵抗はしない。
その後もみんなで楽しく呑んでいると、昼寝をしていたキョウちゃんズが起きて来た。
「いつの間にか眠ってしもた。」
「ああ、ずるーい。皆で宴会やっとるやん。」
「宴会やるなら、うちらも起こしたってぇな。」
「ほんまやでー。」
「おお、起きたか。サキョウ、ウキョウ、こっち来い。」俺はご機嫌でふたりを両横に誘う。
「ふたりは…、昨日…徹夜…。だから…寝かせ…といた…。」サジ姉が説明したら、
「「おおきに。」」と、キョウちゃんズはすんなり納得した。
「ほれ、鯖寿司食え。焼鯖寿司もな。旨いぞ。」俺は食い物を勧める。
もぐもぐ×2&ぱくぱく×2。ふたりはすごい勢いで鯖寿司と焼鯖寿司を食いだした。
キョウちゃんズは、人並外れた気力量を補うため、食事で摂った栄養の大部分が気力量の補充に使われてしまう。その分、成長が遅れていたのだが、それをライに指摘されてから、成長にも栄養が回るように、一生懸命食うようになった。
そして大食いと並行して行っていた俺の頂マッサージの効果も加わり、つい最近ようやく成長モードに入ったのだ。初潮を迎えてから、ここんとこ背も伸びて来てるし、ぺったんこの幼児体形だったのが、むにょんとして来て少女体形に移行して来ている。
「うー、仰山食ったでー。」
「うちもや。お腹、はち切れそうやー。」
「おお、いい食いっぷりだったぞ。これでまた成長するな。」
「いや、まだやで。肝心なのが残うとるよ。」
「せや。アタル兄、お勤めがまだやんか。」
「お勤めって…、俺は修行僧かよ!」
「サキョウ、アタル兄がその気になっておらんようや。しゃーない。奥の手や。あれ、着よや。」
「せやな。アタル兄に買うてもろた奴、着たるわ。」
と、言ってふたりはスケスケネグリジェに着替えた。堂々と俺の眼の前で。しかもブラ外してとか言って来るし。
「お前らなー、前も言ったが少しは恥じらいとか、ないのか?」
「今更やなー。」「せやなー。マッサージで散々弄られてるしな。」
「マッサージは治療みたいなもんだろが。」
結局その後、成長を促す頂マッサージをしてやった。大人嫁公認なのだが、何とも妙な気分だ。
宴会はだらだらと日没後まで続いた。和室6人部屋はトイレも付いているので部屋からから出る必要はない。俺がトイレに立った隙に、大人嫁たち5人もスケスケネグリジェになってた。おお、眼福眼福。
ご機嫌の俺は、そのまま潰れたんだか寝入ったんだか分からないまま眠ってしまったが、無事、何もされずに翌朝を迎えた。
朝餉に昨日の残りの鯖寿司と焼鯖寿司を皆できれいに平らげ、まったりしていると廻船は昼前にワジに入港した。ここでもまた昼過ぎの出航だそうだ。
せっかくだからワジの名物料理でも食いに行くかと言うことになって、ワジに上陸した。
港近くの昼前から営業している料理屋に入り、郷土料理のおすすめを聞いたら、香箱カニ丼、ブリ丼、いしるの貝焼、ゴリの佃煮を勧められた。取り敢えず全部頼む。
香箱カニ丼は、ズワイガニの外子、内子、ほぐし身、カニみそがでんと乗っかった丼で、トリトで食べた親ガニ丼に似ている。ブリも冬が旬だから旨い。いしるの貝焼は、ホタテの貝殻を器に、いしると言うこの地方独特の魚醤で、甘エビ、イカ、キノコ、野菜を煮て食べる。ゴリはこの地方で摂れる淡水魚でハゼに似た魚を甘辛く姿煮にしたものだ。
どれもこれも旨かった。行った先で地の物を食うのは遠征の醍醐味である。まず外れることはない。地方地方の多彩な郷土料理と出会うにつれ、和の国の広さを思い知る。それなのに、この和の国が、外つ国の大陸から見たら小さな島国だと言うのだから、世界は広い。
港の売店で夕餉用に炙りノドグロの棒寿司を買い込んで乗船した。間もなく出港だ。
出航した廻船はトノ半島をまわって東に進み、ドーサの島と和の島の間を抜けて、明日の昼前にはガタニへ入港する。
船旅はのんびりしていていい。陸路の馬車の旅もいいが、馬車の旅は獣や野盗の襲撃に備え、常に警戒していなくてはならない。大きな廻船での船旅では、海賊に襲われる心配はまずないし、近海での海の獣との遭遇はめったにない。ごろりと横になって嫁たちと談笑していると、体も休まるし心も和む。
もちろん海が荒れたらそんなことは言ってられなくなるがな。笑
徹夜明けの昨日は爆睡したキョウちゃんズも、今日は元気で廻船内部の探検に付き合えとせがまれたのだが、大人嫁5人は「「「「「いってらっしゃーい。」」」」」と仲良く手を振った。
結局、俺とキョウちゃんズの3人で廻船内部を巡っている。両手はそれぞれサキョウとウキョウに掴まれているが。苦笑
人懐こいキョウちゃんズは、船員に声を掛けてすぐ仲良くなる。気の荒い船乗りも、かわいいキョウちゃんズに親しげに声を掛けられると、ごっつい顔を緩ませていろいろ船の作業について教えてくれる。アタル兄、アタル兄とまとわりつくキョウちゃんズを見て、
「兄ちゃん、付き添いかいな?」と、たまに船員が俺にも声を掛けて来ると、すかさずキョウちゃんズが、
「「付き添いちゃうでー。うちらの旦那様やねん。」」と爆弾を投下する。
あっと言う間に船員の眼はきつくなり、心の声が聞こえて来るのだ。
『子供に手ぇ出しとんのか?』とか、
『けっ、両手に花かいな!』とか、
『リア充、爆発せいや!』とか…。
キョウちゃんズは無邪気に、
「船乗りの兄さん、おおきに。」「ほな、またなー。」
と言って、両方から俺の手を引いて次の場所へと向かう。
これを廻船中でやらかしたものだから、部屋に戻る頃には、俺は廻船中の船員を敵に回すことになってしまった。泣
部屋に戻ると、大人嫁5人はすでに宴会モードに入っていた。しかもスケスケネグリジェに着替えてるし。嫁たち曰く、ゆったりしててとても軽く、部屋着としては非常に楽ちんなのだそうだ。陸路では急な襲撃に備えて、装備を緩められないが、船旅ではその分、リラックスすると言う。
まあ、分からんでもない。しかしスケスケなのだぞ。船員とかが用があって来たらどうするのだ?と問うと、そのときはセプトの外套を羽織るからいいと言う返事だった。
俺とキョウちゃんズも宴会に加わり、港の売店で買い込んだ炙りノドグロの棒寿司をつまみに、俺と大人嫁は杯を重ねた。キョウちゃんズはいつも通りガッツリ食っている。
嫁7人のスケスケネグリジェを愛でつつ、昨日に続いて楽しい宴会は深更まで続いたのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/24
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№94 北斗号の空調設備
心地よい揺れにふと目覚めると、すでに昼をまわっていて、廻船はガルツを出航していた。
廻船は追い風を帆に受けつつ潮帆も展開しているが、和の国の南側の外海と比べて、北側の和国海は揺れが比較的少ない。
とは言っても、冬は和国海は荒れる季節だ。今日は穏やかでも、荒れたらこうは言っていられない。
徹夜のためか、本格的に寝入ってしまったキョウちゃんズに、両腕を枕に取られているから、身動きができん。
「アタルぅ。起きたのねぇ。」
「うん。でも動けない。」
気付いてくれたタヅナと、タヅナの横にいたアキナが寄って来て、キョウちゃんズをそーっと退けてくれたので、俺はようやく起きることができた。ふたりに腕枕をしていたせいで、両腕が鈍くしびれているのが心地よい。
「ふたりは寝かしといた方がいいですね。」
「ああ、夜通し式神を飛ばしてたからな。ところで皆はまだ昼餉を摂ってないのか?」
「そうよ。アタルが起きるのを待ってたわ。」
「そりゃすまんかった。昼餉にしよう。」
満場一致。
「船では…寝るだけ…だから…。」
サジ姉のこのひと言で、ガルツで買い込んだ鯖寿司と焼鯖寿司を肴に、お天道様の高いうちから酒盛りになった。笑
ガルツの鯖寿司はいわゆる押し寿司である。もともとは生鯖を酢に漬けて押し寿司にしていたが、最近では焼いた鯖でも押し寿司を作るようになり、焼鯖寿司として売り出している。
こうなると消費者としては、ついつい両方買って食べ比べしたくなるのである。なかなか上手い戦法だ。もっともうちは大人数だし、大食いのキョウちゃんズもいるので、ごっそり買ったけどな。
大人嫁5人は行ける口であるが、俺みたいに後先考えずに呑むことは決してない。俺ひとりで暴走することもなく~もし潰れたら嫁たちに何されるか分かんないし~、楽しい呑みが続いていた。
「そう言えばさぁ。商都ギルドのギルマスのトルシンに言われたんだけど、函府に着いたら北斗号を改造しなきゃならないんだよ。函府にはキノベ陸運の営業所はあるよな?」
「ありますけどぉ、どこを改造するんですかぁ?」
「二の島は寒さがこっちと比べ物にならないくらいきついそうなんだ。それで防寒仕様への改造が必要なんだってさ。」
「アタルぅ。北斗号は防寒仕様も耐暑仕様もぉ、最上級のものを装備してますよぉ。」
「え?そうなの?」
「もぅ。納品のときにぃ、ミーブで姉上がぁ、説明したじゃないですかぁ。」
「そうだっけ?」
「そうですよぉ。函府ではぁ、温熱石をいくつか買えばぁ、いいだけですぅ。」
「アタルのことだ、納品された北斗号を前にして乗りたくてうずうずしてたに違いない。それでろくに説明を聞いてなかったのではないか?」
ホサキの至極的確なツッコミに、
「きっとそうですね。いかにもありそうですわ。」アキナが同意する。
「面目ない。」その通りなので無駄な抵抗はしない。
その後もみんなで楽しく呑んでいると、昼寝をしていたキョウちゃんズが起きて来た。
「いつの間にか眠ってしもた。」
「ああ、ずるーい。皆で宴会やっとるやん。」
「宴会やるなら、うちらも起こしたってぇな。」
「ほんまやでー。」
「おお、起きたか。サキョウ、ウキョウ、こっち来い。」俺はご機嫌でふたりを両横に誘う。
「ふたりは…、昨日…徹夜…。だから…寝かせ…といた…。」サジ姉が説明したら、
「「おおきに。」」と、キョウちゃんズはすんなり納得した。
「ほれ、鯖寿司食え。焼鯖寿司もな。旨いぞ。」俺は食い物を勧める。
もぐもぐ×2&ぱくぱく×2。ふたりはすごい勢いで鯖寿司と焼鯖寿司を食いだした。
キョウちゃんズは、人並外れた気力量を補うため、食事で摂った栄養の大部分が気力量の補充に使われてしまう。その分、成長が遅れていたのだが、それをライに指摘されてから、成長にも栄養が回るように、一生懸命食うようになった。
そして大食いと並行して行っていた俺の頂マッサージの効果も加わり、つい最近ようやく成長モードに入ったのだ。初潮を迎えてから、ここんとこ背も伸びて来てるし、ぺったんこの幼児体形だったのが、むにょんとして来て少女体形に移行して来ている。
「うー、仰山食ったでー。」
「うちもや。お腹、はち切れそうやー。」
「おお、いい食いっぷりだったぞ。これでまた成長するな。」
「いや、まだやで。肝心なのが残うとるよ。」
「せや。アタル兄、お勤めがまだやんか。」
「お勤めって…、俺は修行僧かよ!」
「サキョウ、アタル兄がその気になっておらんようや。しゃーない。奥の手や。あれ、着よや。」
「せやな。アタル兄に買うてもろた奴、着たるわ。」
と、言ってふたりはスケスケネグリジェに着替えた。堂々と俺の眼の前で。しかもブラ外してとか言って来るし。
「お前らなー、前も言ったが少しは恥じらいとか、ないのか?」
「今更やなー。」「せやなー。マッサージで散々弄られてるしな。」
「マッサージは治療みたいなもんだろが。」
結局その後、成長を促す頂マッサージをしてやった。大人嫁公認なのだが、何とも妙な気分だ。
宴会はだらだらと日没後まで続いた。和室6人部屋はトイレも付いているので部屋からから出る必要はない。俺がトイレに立った隙に、大人嫁たち5人もスケスケネグリジェになってた。おお、眼福眼福。
ご機嫌の俺は、そのまま潰れたんだか寝入ったんだか分からないまま眠ってしまったが、無事、何もされずに翌朝を迎えた。
朝餉に昨日の残りの鯖寿司と焼鯖寿司を皆できれいに平らげ、まったりしていると廻船は昼前にワジに入港した。ここでもまた昼過ぎの出航だそうだ。
せっかくだからワジの名物料理でも食いに行くかと言うことになって、ワジに上陸した。
港近くの昼前から営業している料理屋に入り、郷土料理のおすすめを聞いたら、香箱カニ丼、ブリ丼、いしるの貝焼、ゴリの佃煮を勧められた。取り敢えず全部頼む。
香箱カニ丼は、ズワイガニの外子、内子、ほぐし身、カニみそがでんと乗っかった丼で、トリトで食べた親ガニ丼に似ている。ブリも冬が旬だから旨い。いしるの貝焼は、ホタテの貝殻を器に、いしると言うこの地方独特の魚醤で、甘エビ、イカ、キノコ、野菜を煮て食べる。ゴリはこの地方で摂れる淡水魚でハゼに似た魚を甘辛く姿煮にしたものだ。
どれもこれも旨かった。行った先で地の物を食うのは遠征の醍醐味である。まず外れることはない。地方地方の多彩な郷土料理と出会うにつれ、和の国の広さを思い知る。それなのに、この和の国が、外つ国の大陸から見たら小さな島国だと言うのだから、世界は広い。
港の売店で夕餉用に炙りノドグロの棒寿司を買い込んで乗船した。間もなく出港だ。
出航した廻船はトノ半島をまわって東に進み、ドーサの島と和の島の間を抜けて、明日の昼前にはガタニへ入港する。
船旅はのんびりしていていい。陸路の馬車の旅もいいが、馬車の旅は獣や野盗の襲撃に備え、常に警戒していなくてはならない。大きな廻船での船旅では、海賊に襲われる心配はまずないし、近海での海の獣との遭遇はめったにない。ごろりと横になって嫁たちと談笑していると、体も休まるし心も和む。
もちろん海が荒れたらそんなことは言ってられなくなるがな。笑
徹夜明けの昨日は爆睡したキョウちゃんズも、今日は元気で廻船内部の探検に付き合えとせがまれたのだが、大人嫁5人は「「「「「いってらっしゃーい。」」」」」と仲良く手を振った。
結局、俺とキョウちゃんズの3人で廻船内部を巡っている。両手はそれぞれサキョウとウキョウに掴まれているが。苦笑
人懐こいキョウちゃんズは、船員に声を掛けてすぐ仲良くなる。気の荒い船乗りも、かわいいキョウちゃんズに親しげに声を掛けられると、ごっつい顔を緩ませていろいろ船の作業について教えてくれる。アタル兄、アタル兄とまとわりつくキョウちゃんズを見て、
「兄ちゃん、付き添いかいな?」と、たまに船員が俺にも声を掛けて来ると、すかさずキョウちゃんズが、
「「付き添いちゃうでー。うちらの旦那様やねん。」」と爆弾を投下する。
あっと言う間に船員の眼はきつくなり、心の声が聞こえて来るのだ。
『子供に手ぇ出しとんのか?』とか、
『けっ、両手に花かいな!』とか、
『リア充、爆発せいや!』とか…。
キョウちゃんズは無邪気に、
「船乗りの兄さん、おおきに。」「ほな、またなー。」
と言って、両方から俺の手を引いて次の場所へと向かう。
これを廻船中でやらかしたものだから、部屋に戻る頃には、俺は廻船中の船員を敵に回すことになってしまった。泣
部屋に戻ると、大人嫁5人はすでに宴会モードに入っていた。しかもスケスケネグリジェに着替えてるし。嫁たち曰く、ゆったりしててとても軽く、部屋着としては非常に楽ちんなのだそうだ。陸路では急な襲撃に備えて、装備を緩められないが、船旅ではその分、リラックスすると言う。
まあ、分からんでもない。しかしスケスケなのだぞ。船員とかが用があって来たらどうするのだ?と問うと、そのときはセプトの外套を羽織るからいいと言う返事だった。
俺とキョウちゃんズも宴会に加わり、港の売店で買い込んだ炙りノドグロの棒寿司をつまみに、俺と大人嫁は杯を重ねた。キョウちゃんズはいつも通りガッツリ食っている。
嫁7人のスケスケネグリジェを愛でつつ、昨日に続いて楽しい宴会は深更まで続いたのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/24
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
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