93 / 183
射手の統領090 商都西本店でダメ出し
しおりを挟む
射手の統領
Zu-Y
№90 商都西本店でダメ出し
今朝も爽快に目覚めた。昨夜は遅くまでキョウちゃんズと楽しんだので、両横にはキョウちゃんズが全裸で寝ている。もちろん俺もだ。
ふたりを腕枕しながら、左手でサキョウの小丘を、右手でウキョウの小丘を堪能している。成長モードに入ったふたりは、胸のむにょん度が少しずつではあるが日に日に増している。以前は義務感で弄っていたが、最近は正直ちょっと楽しい。
ふたりも起きて両横から抱き付いて来た。さぁ、今日も朝から元気いっぱい、起きるか。
朝餉の席では、いつも通り今日の段取りを打ち合わせた。
ここんとこ連日で出掛けた俺は、今日は留守居で休養兼隠居の監視。サヤ姉とキョウちゃんズも一緒に留守居。
サジ姉はエノウへ、ホサキはナワテへ、タヅナはアベヤへ鍛錬に行くことになった。
アキナは商都西本店へ行って、山髙屋専務兼商都西本店店長の従叔母上と、例の避妊具の試作品チェックだ。言い塩梅に仕上がってるといいのだがな。
俺は久しぶりにガハマで弓の技の稽古に励んだ。ここのところ外出が続いて、ちょっと稽古から遠ざかっていたから、矢継ぎ早に100射して的心を2本も外してしまった。マジでやべぇ。親父譲りの精密狙いを得意とする俺としては、固定した的の近的ならば、的心に皆中でなければならぬ。やはり日々の鍛錬は不可欠である。
そろそろ昼餉にするかと言うときに、商都西本店に行ってたアキナが流邏石で帰って来た。
「アタル、申し訳ないのですが、試作品に難点が見付かって、行き詰ってるのです。従叔母様がアタルを呼んでくれないかって言うので、都合を聞きに来たんですが、どうですか?」
「サヤ姉、サキョウ、ウキョウ、午後は留守居を任せていいか?」
「いいわよ。」「「ええよ。」」
「じゃあ一緒に行くよ。でも昼餉は皆と一緒に食って行くが、アキナも一緒にどうだ?昼餉を食いながら試作品の難点とやらを聞かせてくれよ。」
アキナも昼餉を一緒に摂ることになった。
「で、試作品の難点って何なの?」
「ドラちゃんのサイズには個人差がありますから、避妊具が最中に脱げないように、様々なドラちゃんにフィットさせようと、いくつかのサイズを作ったのです。」
「うん、うん。そりゃそうなるな。」
「ところが、大きさがちょうどいいとすんなり装着できないんです。かといって、すんなり装着できる緩めのサイズを付けたら最中に脱げてしまいます。」
「なるほどな。すぐには思い浮かばんが、知恵を絞れば何らかの解決法が見付かるだろうよ。」
「そうだといいんですが、私も従叔母様もなかなかいいアイディアが浮かびません。」
昼餉を摂りながら、俺とサヤ姉とキョウちゃんズとアキナでいろいろ知恵を絞ったが、なかなかこれと言う解決策が見付からない。あとは商都西本店で実物を見ながら考えるとするか。
昼餉が終わって俺とアキナは商都西本店へ飛んだ。
今、俺は、商都西本店の店長室に来ている。アキナと一緒に通された店長室には、避妊具の試作品と男根の模型がある。
目の前にいるのは、山髙屋社長の従妹で、山髙屋専務兼商都西本店店長の、アキナの従叔母様だ。
「アタルくん、よく来てくれたわ。商隊の解散以来ね。」
「そうだな。一度挨拶には来ようと思ってたんだがいろいろ忙しくてな。」
「社長がこぼしてたわよ。アキナを掻っ攫われたってね。」
「しかし舅どのも得たものは大きかったはずだぜ。その筆頭はマスマと後妻。あの子は聡明だから鍛え甲斐があるし、外で囲ってた妾を後妻として正式に迎え入れて、自宅がそれまで以上に舅どのにとっての憩いの場所になった。
それから、ユノベ以下5武家との提携による販路の安全も得た。」
「あら、販路の安全が第1じゃないのかしら?」
「いや、世継ぎを鍛えると言う人生の目標ができたことと、後妻のおかげで私生活が充実して安息を得られたことは、どちらも舅どのの精神状態や健康そのものに関わるからな、こっちのが断然上だな。販路の安全は金を払って冒険者を雇えば確保できる。代わりがあるものが第1であはずがなかろう。」
「そうね。それに避妊具もあるわね。」
「それはまだだな。商品化されて儲けが出ねば価値など無きに等しい。だから商品化を頑張ってくれよ。」
うん、やっぱりこの子は侮れないわ。物事の本質を見抜いていて何に価値があるか、それにその価値の大小も含めてしっかり分かってる。大したものだわ。アキナが惚れるだけあるわね。
「あら、藪蛇だったわね。試作品はできたけど、ちょっと行き詰ってるのよ。」
「おおよそのところはアキナから聞いたよ。」
専務兼西本店店長の、アキナの従叔母上が切り出した。
「まいったわ。試作品はできたのだけれど、装着に手間取るのよ。ゴムを大きくすれば装着の手間は取らないけど、最中に抜けたら避妊具にならないわ。男目線で何かいいアイディアはないかしら。」
「え?ここで俺が付けるのか?」軽くボケてみた。
「アタル、誰もそんなことは言ってませんよ。」アキナ、ナイスツッコミ。
「漫才を見るために呼んだんじゃないわよ。」専務兼店長がムッとする。
「なんだよ、辛気臭ぇな。ボケとツッコミが信条の西の人なら、今のやり取りは笑うとこだろ?」
「それどころじゃないのよ。それに私は東の出身よ。」
「ふうん、随分思い詰めてるんだな。じゃあちょっとマジになるか。
おい、アキナ、マイサンをマイドラゴンにするからちょっと脱げ。」
「え?ここでですか?」
「そうだよ。別に俺とお前と専務だけだからいいだろ。」
「ええ?でも…。」アキナが動揺してる。珍しいな。笑
「専務、アキナが恥ずかしがってるからちょっと外してくれないか?」
「ちょっと、本気なの?模型を使えばいいでしょう。」
「模型じゃフィット感とか分からないだろ。お前ら商人なら商品開発にもっと真剣になれよ。ほら、専務、行った、行った。アキナ、早く脱げ。」
「ええ!ここでするんですか?」
「しねぇよ!マイサンをマイドラゴンにするだけだ。」
「分かりました。従叔母様、いて頂いても構いません。」
「いえ、外しますわ。一段落したら呼んでちょうだい。」
専務が席を外し、ふたりきりになると、アキナが潔くスパッと脱いだ。俺も下だけ脱ぐ。アキナに反応して変身したマイドラゴンに試作品を被せようとするがうまく入らない。
確かにこりゃ難問だな。大きくしたらブカブカだからピストン運動で脱げる。フィットする大きさだと、するっと入らない。
あ!何の気なしに試作品を弄っていて閃いた。
試作品への、ドラゴンの入れ口からクルクル巻いて行く。最後まで巻き終えたら、ゴムを張ったリングのようになった。マイドラゴンの口に当てクルクルと巻き戻す。はい、装着完了~。
しかし厚いな。これじゃぁ刺激が伝わって来ないよな。もっと薄くないとダメだろ。
横ではアキナが素っ裸で眼を瞠っている。
「そんな方法が…。気が付きませんでした。」
「アキナ、もう服着ていいぞ。」
俺も下だけ脱いでたのでパンツとズボンを穿いた。
アキナも服を着たので専務を呼び、男根模型で俺が閃いた装着方法をやってみせる。
「こんな方法が…。」
専務も眼を瞠っていたが、まぁ、正直な感想を伝えてやろう。
「この試供品な、残念だがボツだ。」
「え?」天国から地獄へ叩き落された専務。
「厚いんだよ。ゴム風船と大差ねぇじゃん。もっと薄くしないとダメだな。」
「そんな。」
「これじゃぁ売れねぇよ。はっきり言うぞ。厚くて刺激が伝わって来ねぇ。全然気持ちよくねぇんだよ。こんなの、男は誰も買わねぇな。
まぁでもよ、あとは薄くするだけだぜ。もう一歩なんじゃないか?需要は必ずあるから頑張れよ。」
「…。」
俺から試作品にダメ出しをされた専務はすっかり萎れていた。まぁでも事実だから仕方ない。
「凹んでもしょうがねぇだろ。商品開発は試行錯誤の繰り返しだろ?ほれ、商売、商売。」
「そうね。その通りね。」
まったくこの子には敵わないわね。
「そう言えば、社長は次ノ宮殿下のことでもアタルくんに大層感謝してたわよ。」
「ああ、披露目のことか。」それを聞いた途端に、横でアキナが笑い転げた。
「おい、アキナ。」
「あら、何かあるのかしら?」
「すまんな。トップシークレットなので言えん。
アキナ、話すなよ。舅どのに漏れたらシャレにならん。」
山髙屋社長=舅どのは、ユノベ、トノベ、ヤクシ、タテベ、キノベの5武家との提携にあたり、有力商家や東都の名士たちを呼んで、それはもう派手に披露目の会を催したのだが、己にさらに箔をつけるために、披露目の会になんと次ノ宮殿下まで招いていた。
次ノ宮殿下は、帝家御用商人の山髙屋社長の顔を立てて一旦は承諾したものの、帝家を宣伝に使おうとした社長を懲らしめるために、披露目の会の直前に帰ると言い出したのだ。
当然、社長は大慌てで、次ノ宮殿下と親交がある俺に、翻意するよう次ノ宮殿下を説得してくれと泣きついて来た。
次ノ宮殿下は、俺の取り成しを受ける形で、帰らずに披露目に出たのだが、俺は事前にこの悪戯の計画を次ノ宮殿下から打ち明けられていたのだ。しかし天地神明に誓って言うが、俺は次ノ宮殿下が本当に悪戯をやるとは思っていなかったのだ。
しかも次ノ宮殿下は、披露目が終わってからの帰り際に、「帰らないでやったのだから約束を忘れるなよ。」と、わざわざ社長に聞こえるようにして、俺に念を押して帰って行った。このせいで社長は、俺が次ノ宮殿下と何か重大な約束をして、次ノ宮殿下を引き留めたと思い込んでいる。
その約束とは七神龍を眷属にする度に、七神龍を封じた金剛鏑を次ノ宮殿下に見せに行って冒険談を語ると言うものなのだが、これはもともとそう言う約束だったから、俺は何も余計な負担を被っていない。
しかしそうとは知らない社長は、俺に大層感謝して、山髙屋移動店舗証明書を発行してくれた。これは各地の山髙屋店舗で優遇が得られる素晴らしいアイテムなのだ。
俺にその気はなかったし、あくまでも次ノ宮殿下の暴走なのだが、結果的には俺と次ノ宮殿下で山髙屋社長をはめて、山髙屋移動店舗証明書をせしめたような形になってしまった。
一部始終を知っているアキナは、普段は抜かりない社長が、次ノ宮殿下と俺にすっかりはめられて、手玉に取られたことを大層面白がっているのだ。
「そんな言い方したら、余計に気になるじゃないの。」
「首を突っ込まない方がいい。
それからアキナも迂闊だぞ。俺と舅どのの信頼関係を崩すようなことは言ってくれるなよな。」ピシリと言った。
「ごめんなさい。」アキナが笑いを収め、真顔で謝った。
あら、言うときは言うのね。じゃじゃ馬アキナの手綱をしっかりと握ってじゃないの。やっぱりこの子、大したものだわ。
「言いたくないなら仕方ないわね。そのうちほとぼりが冷めたら教えてちょうだい。」
俺は、行き詰ってた試作品の難題をサクっと解決してやったが、結局は試作品にダメ出しをしたので、避妊具の完成は先送りとなった。
アキナは商品開発アドバイザーとして、専務と一緒にこれから開発部門と、試作品の見直し会議を行うそうで、俺だけ先に帰ることになった。
俺は流邏石でガハマの副拠に帰館した。夕餉まではまだ時間があるからゆっくり湯に浸かるか。今日は久しぶりにトロ湯にしよう。
ガハマのユノベ副拠には、泉質の異なる源泉が3つある。敷地内からの自噴に加え、東の山の源泉と北の山の源泉からそれぞれ引いているのだ。碧湯、黒湯、トロ湯の3種類で、今日俺が選んだトロ湯は、炭酸水素泉でアルカリ性のため、湯がトロっとしている。美肌の湯として有名な泉質であるため、大人嫁たちは好んで入っている。
俺は、硫黄臭がプンプン匂うにごり湯が好みなので、トロ湯にはたまにしか入らない。
ゆっくり浸かっていると蓄積した疲労が湯に溶けだして抜けて行くような気がする。
体の芯まで十分に温まったのでトロ湯から出ると、入れ違いでホサキ、アキナ、タヅナの3人が入って来た。あ、もうちょっと粘ってればよかった。しかしここで引き返すのもなんかアレなので、素直に湯殿を後にした。
夕餉の席では今日の報告会。サヤ姉とキョウちゃんズによると、隠居は相変わらず。サヤ姉とタヅナはいい鍛錬をして来たそうだ。アキナからは、避妊具の試作品を一から作り直すことになったと報告があった。
夕餉の後、今夜の輪番のタヅナとともに部屋に入った。今夜はじっくり攻めたい気分だったので、じらしながらゆっくりねっとりじわじわと攻めた。もちろん本番は抜きで。
今夜の新発見だが、タヅナはこの攻め方の方が乱れる。普段はおとなし目のタヅナの、暴れ馬のような乱れ具合が何とも新鮮で、夜遅くまでタヅナを楽しんだのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/17
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№90 商都西本店でダメ出し
今朝も爽快に目覚めた。昨夜は遅くまでキョウちゃんズと楽しんだので、両横にはキョウちゃんズが全裸で寝ている。もちろん俺もだ。
ふたりを腕枕しながら、左手でサキョウの小丘を、右手でウキョウの小丘を堪能している。成長モードに入ったふたりは、胸のむにょん度が少しずつではあるが日に日に増している。以前は義務感で弄っていたが、最近は正直ちょっと楽しい。
ふたりも起きて両横から抱き付いて来た。さぁ、今日も朝から元気いっぱい、起きるか。
朝餉の席では、いつも通り今日の段取りを打ち合わせた。
ここんとこ連日で出掛けた俺は、今日は留守居で休養兼隠居の監視。サヤ姉とキョウちゃんズも一緒に留守居。
サジ姉はエノウへ、ホサキはナワテへ、タヅナはアベヤへ鍛錬に行くことになった。
アキナは商都西本店へ行って、山髙屋専務兼商都西本店店長の従叔母上と、例の避妊具の試作品チェックだ。言い塩梅に仕上がってるといいのだがな。
俺は久しぶりにガハマで弓の技の稽古に励んだ。ここのところ外出が続いて、ちょっと稽古から遠ざかっていたから、矢継ぎ早に100射して的心を2本も外してしまった。マジでやべぇ。親父譲りの精密狙いを得意とする俺としては、固定した的の近的ならば、的心に皆中でなければならぬ。やはり日々の鍛錬は不可欠である。
そろそろ昼餉にするかと言うときに、商都西本店に行ってたアキナが流邏石で帰って来た。
「アタル、申し訳ないのですが、試作品に難点が見付かって、行き詰ってるのです。従叔母様がアタルを呼んでくれないかって言うので、都合を聞きに来たんですが、どうですか?」
「サヤ姉、サキョウ、ウキョウ、午後は留守居を任せていいか?」
「いいわよ。」「「ええよ。」」
「じゃあ一緒に行くよ。でも昼餉は皆と一緒に食って行くが、アキナも一緒にどうだ?昼餉を食いながら試作品の難点とやらを聞かせてくれよ。」
アキナも昼餉を一緒に摂ることになった。
「で、試作品の難点って何なの?」
「ドラちゃんのサイズには個人差がありますから、避妊具が最中に脱げないように、様々なドラちゃんにフィットさせようと、いくつかのサイズを作ったのです。」
「うん、うん。そりゃそうなるな。」
「ところが、大きさがちょうどいいとすんなり装着できないんです。かといって、すんなり装着できる緩めのサイズを付けたら最中に脱げてしまいます。」
「なるほどな。すぐには思い浮かばんが、知恵を絞れば何らかの解決法が見付かるだろうよ。」
「そうだといいんですが、私も従叔母様もなかなかいいアイディアが浮かびません。」
昼餉を摂りながら、俺とサヤ姉とキョウちゃんズとアキナでいろいろ知恵を絞ったが、なかなかこれと言う解決策が見付からない。あとは商都西本店で実物を見ながら考えるとするか。
昼餉が終わって俺とアキナは商都西本店へ飛んだ。
今、俺は、商都西本店の店長室に来ている。アキナと一緒に通された店長室には、避妊具の試作品と男根の模型がある。
目の前にいるのは、山髙屋社長の従妹で、山髙屋専務兼商都西本店店長の、アキナの従叔母様だ。
「アタルくん、よく来てくれたわ。商隊の解散以来ね。」
「そうだな。一度挨拶には来ようと思ってたんだがいろいろ忙しくてな。」
「社長がこぼしてたわよ。アキナを掻っ攫われたってね。」
「しかし舅どのも得たものは大きかったはずだぜ。その筆頭はマスマと後妻。あの子は聡明だから鍛え甲斐があるし、外で囲ってた妾を後妻として正式に迎え入れて、自宅がそれまで以上に舅どのにとっての憩いの場所になった。
それから、ユノベ以下5武家との提携による販路の安全も得た。」
「あら、販路の安全が第1じゃないのかしら?」
「いや、世継ぎを鍛えると言う人生の目標ができたことと、後妻のおかげで私生活が充実して安息を得られたことは、どちらも舅どのの精神状態や健康そのものに関わるからな、こっちのが断然上だな。販路の安全は金を払って冒険者を雇えば確保できる。代わりがあるものが第1であはずがなかろう。」
「そうね。それに避妊具もあるわね。」
「それはまだだな。商品化されて儲けが出ねば価値など無きに等しい。だから商品化を頑張ってくれよ。」
うん、やっぱりこの子は侮れないわ。物事の本質を見抜いていて何に価値があるか、それにその価値の大小も含めてしっかり分かってる。大したものだわ。アキナが惚れるだけあるわね。
「あら、藪蛇だったわね。試作品はできたけど、ちょっと行き詰ってるのよ。」
「おおよそのところはアキナから聞いたよ。」
専務兼西本店店長の、アキナの従叔母上が切り出した。
「まいったわ。試作品はできたのだけれど、装着に手間取るのよ。ゴムを大きくすれば装着の手間は取らないけど、最中に抜けたら避妊具にならないわ。男目線で何かいいアイディアはないかしら。」
「え?ここで俺が付けるのか?」軽くボケてみた。
「アタル、誰もそんなことは言ってませんよ。」アキナ、ナイスツッコミ。
「漫才を見るために呼んだんじゃないわよ。」専務兼店長がムッとする。
「なんだよ、辛気臭ぇな。ボケとツッコミが信条の西の人なら、今のやり取りは笑うとこだろ?」
「それどころじゃないのよ。それに私は東の出身よ。」
「ふうん、随分思い詰めてるんだな。じゃあちょっとマジになるか。
おい、アキナ、マイサンをマイドラゴンにするからちょっと脱げ。」
「え?ここでですか?」
「そうだよ。別に俺とお前と専務だけだからいいだろ。」
「ええ?でも…。」アキナが動揺してる。珍しいな。笑
「専務、アキナが恥ずかしがってるからちょっと外してくれないか?」
「ちょっと、本気なの?模型を使えばいいでしょう。」
「模型じゃフィット感とか分からないだろ。お前ら商人なら商品開発にもっと真剣になれよ。ほら、専務、行った、行った。アキナ、早く脱げ。」
「ええ!ここでするんですか?」
「しねぇよ!マイサンをマイドラゴンにするだけだ。」
「分かりました。従叔母様、いて頂いても構いません。」
「いえ、外しますわ。一段落したら呼んでちょうだい。」
専務が席を外し、ふたりきりになると、アキナが潔くスパッと脱いだ。俺も下だけ脱ぐ。アキナに反応して変身したマイドラゴンに試作品を被せようとするがうまく入らない。
確かにこりゃ難問だな。大きくしたらブカブカだからピストン運動で脱げる。フィットする大きさだと、するっと入らない。
あ!何の気なしに試作品を弄っていて閃いた。
試作品への、ドラゴンの入れ口からクルクル巻いて行く。最後まで巻き終えたら、ゴムを張ったリングのようになった。マイドラゴンの口に当てクルクルと巻き戻す。はい、装着完了~。
しかし厚いな。これじゃぁ刺激が伝わって来ないよな。もっと薄くないとダメだろ。
横ではアキナが素っ裸で眼を瞠っている。
「そんな方法が…。気が付きませんでした。」
「アキナ、もう服着ていいぞ。」
俺も下だけ脱いでたのでパンツとズボンを穿いた。
アキナも服を着たので専務を呼び、男根模型で俺が閃いた装着方法をやってみせる。
「こんな方法が…。」
専務も眼を瞠っていたが、まぁ、正直な感想を伝えてやろう。
「この試供品な、残念だがボツだ。」
「え?」天国から地獄へ叩き落された専務。
「厚いんだよ。ゴム風船と大差ねぇじゃん。もっと薄くしないとダメだな。」
「そんな。」
「これじゃぁ売れねぇよ。はっきり言うぞ。厚くて刺激が伝わって来ねぇ。全然気持ちよくねぇんだよ。こんなの、男は誰も買わねぇな。
まぁでもよ、あとは薄くするだけだぜ。もう一歩なんじゃないか?需要は必ずあるから頑張れよ。」
「…。」
俺から試作品にダメ出しをされた専務はすっかり萎れていた。まぁでも事実だから仕方ない。
「凹んでもしょうがねぇだろ。商品開発は試行錯誤の繰り返しだろ?ほれ、商売、商売。」
「そうね。その通りね。」
まったくこの子には敵わないわね。
「そう言えば、社長は次ノ宮殿下のことでもアタルくんに大層感謝してたわよ。」
「ああ、披露目のことか。」それを聞いた途端に、横でアキナが笑い転げた。
「おい、アキナ。」
「あら、何かあるのかしら?」
「すまんな。トップシークレットなので言えん。
アキナ、話すなよ。舅どのに漏れたらシャレにならん。」
山髙屋社長=舅どのは、ユノベ、トノベ、ヤクシ、タテベ、キノベの5武家との提携にあたり、有力商家や東都の名士たちを呼んで、それはもう派手に披露目の会を催したのだが、己にさらに箔をつけるために、披露目の会になんと次ノ宮殿下まで招いていた。
次ノ宮殿下は、帝家御用商人の山髙屋社長の顔を立てて一旦は承諾したものの、帝家を宣伝に使おうとした社長を懲らしめるために、披露目の会の直前に帰ると言い出したのだ。
当然、社長は大慌てで、次ノ宮殿下と親交がある俺に、翻意するよう次ノ宮殿下を説得してくれと泣きついて来た。
次ノ宮殿下は、俺の取り成しを受ける形で、帰らずに披露目に出たのだが、俺は事前にこの悪戯の計画を次ノ宮殿下から打ち明けられていたのだ。しかし天地神明に誓って言うが、俺は次ノ宮殿下が本当に悪戯をやるとは思っていなかったのだ。
しかも次ノ宮殿下は、披露目が終わってからの帰り際に、「帰らないでやったのだから約束を忘れるなよ。」と、わざわざ社長に聞こえるようにして、俺に念を押して帰って行った。このせいで社長は、俺が次ノ宮殿下と何か重大な約束をして、次ノ宮殿下を引き留めたと思い込んでいる。
その約束とは七神龍を眷属にする度に、七神龍を封じた金剛鏑を次ノ宮殿下に見せに行って冒険談を語ると言うものなのだが、これはもともとそう言う約束だったから、俺は何も余計な負担を被っていない。
しかしそうとは知らない社長は、俺に大層感謝して、山髙屋移動店舗証明書を発行してくれた。これは各地の山髙屋店舗で優遇が得られる素晴らしいアイテムなのだ。
俺にその気はなかったし、あくまでも次ノ宮殿下の暴走なのだが、結果的には俺と次ノ宮殿下で山髙屋社長をはめて、山髙屋移動店舗証明書をせしめたような形になってしまった。
一部始終を知っているアキナは、普段は抜かりない社長が、次ノ宮殿下と俺にすっかりはめられて、手玉に取られたことを大層面白がっているのだ。
「そんな言い方したら、余計に気になるじゃないの。」
「首を突っ込まない方がいい。
それからアキナも迂闊だぞ。俺と舅どのの信頼関係を崩すようなことは言ってくれるなよな。」ピシリと言った。
「ごめんなさい。」アキナが笑いを収め、真顔で謝った。
あら、言うときは言うのね。じゃじゃ馬アキナの手綱をしっかりと握ってじゃないの。やっぱりこの子、大したものだわ。
「言いたくないなら仕方ないわね。そのうちほとぼりが冷めたら教えてちょうだい。」
俺は、行き詰ってた試作品の難題をサクっと解決してやったが、結局は試作品にダメ出しをしたので、避妊具の完成は先送りとなった。
アキナは商品開発アドバイザーとして、専務と一緒にこれから開発部門と、試作品の見直し会議を行うそうで、俺だけ先に帰ることになった。
俺は流邏石でガハマの副拠に帰館した。夕餉まではまだ時間があるからゆっくり湯に浸かるか。今日は久しぶりにトロ湯にしよう。
ガハマのユノベ副拠には、泉質の異なる源泉が3つある。敷地内からの自噴に加え、東の山の源泉と北の山の源泉からそれぞれ引いているのだ。碧湯、黒湯、トロ湯の3種類で、今日俺が選んだトロ湯は、炭酸水素泉でアルカリ性のため、湯がトロっとしている。美肌の湯として有名な泉質であるため、大人嫁たちは好んで入っている。
俺は、硫黄臭がプンプン匂うにごり湯が好みなので、トロ湯にはたまにしか入らない。
ゆっくり浸かっていると蓄積した疲労が湯に溶けだして抜けて行くような気がする。
体の芯まで十分に温まったのでトロ湯から出ると、入れ違いでホサキ、アキナ、タヅナの3人が入って来た。あ、もうちょっと粘ってればよかった。しかしここで引き返すのもなんかアレなので、素直に湯殿を後にした。
夕餉の席では今日の報告会。サヤ姉とキョウちゃんズによると、隠居は相変わらず。サヤ姉とタヅナはいい鍛錬をして来たそうだ。アキナからは、避妊具の試作品を一から作り直すことになったと報告があった。
夕餉の後、今夜の輪番のタヅナとともに部屋に入った。今夜はじっくり攻めたい気分だったので、じらしながらゆっくりねっとりじわじわと攻めた。もちろん本番は抜きで。
今夜の新発見だが、タヅナはこの攻め方の方が乱れる。普段はおとなし目のタヅナの、暴れ馬のような乱れ具合が何とも新鮮で、夜遅くまでタヅナを楽しんだのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/17
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
強奪系触手おじさん
兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる