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射手の統領034 サキョウとウキョウ
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射手の統領
Zu-Y
№34 サキョウとウキョウ
流邏矢で登録したのは西都の南端だったので、そのまま西都内を北上して西都の冒険者ギルドに着いた。東都ギルドに匹敵する規模だ。
さすがにもうひとつの首都である西都のギルドだけのことはある。便宜上、今は副都と呼んでいるが、次の帝の御代になれば、西都が首都で東都が副都になる。
西都ギルドに来た目的は、東都のギルマスのタケクラからの紹介状があるので、西都のギルマスのサンキに取り次いでもらい、西都ギルドで保管している金剛鏑を譲り受けることだ。
ギルドに入ると何やら揉めていた。
「なんでうちらの取り分がこれだけなんよ?」
「ふたりでひとり分と言う約束やったやないの?」
とてもかわいいショートの刈上げ少年がふたり、若い男に食って掛かっている。そっくりだ。双子か?しかしまだ声変わりもしてないのに、冒険者をやってるのか?しかも、相手は若いとは言え、大人の冒険者だ。それに食って掛かるとはなかなかの威勢だ。
「だからひとり分なんやないかい。お子様料金のな。」
「年齢は関係ないやろ?」
「それにお前ら、バフの陰士とデバフの陰士やないかい。半人前やろ?曲がりなりにも陰士を名乗るんやったら、両方使えるようにならんかい!」
「せやからふたりでひとり分でええって言うとるのや。子供料金と言うのは、話が違うでぇ。」
「ケッ、役立たずの陰士風情が何抜かす。」
「「なんやて。」」
「はいはい、そこまでね。ギルドで喧嘩をすると双方痛い目見るよ。」
双子の少年と若い男が俺の方を見る。
「アタルったら、割り込んじゃったわ。」
「そう…なると…思った…。」
「あのやり取りなら、アタルは双子に味方するだろうな。」
「お兄さん、パーティーリーダーかな?パーティ仲間に正当な分け前を払わないと、ギルドに訴えられたら、お兄さんが困ることになるんじゃないの?」
「おのれは関係ないやろが?」
「ギルド内であれだけ大騒ぎしといて、喧嘩になりそうだから仲裁したんじゃないか。善意の第三者って奴だぜ。」
「だったらわしの言い分も聞かんかい。」
「聞いてたよ。東都じゃ、子供料金半人前なんて報酬は聞いたことないぜ?それとも西都ギルドのローカルルールなのかい?」
「なんやと、何がローカルや!西都を田舎呼ばわりするつもりか?許さへんぞ、コラ。」
「ローカルって言ったのは、地域って意味で田舎って意味じゃねぇよ。分が悪くなったからって話をすり替えるなよな。」
「くっ。」
「俺はこれから西都のギルマスに会う。東都のギルマスからの紹介状があるんでな。ほんとにギルマスに聞いて構わないんだな。」
「なんやと?ギルマスに会うて、おのれは何もんや?」
「あ、俺はアタル。よろしくな。で、お兄さんは?」
「…。」
「名乗ると都合悪いことでもしてんの?てか、受付のお姉さんももう聞いちゃってるよ。」
「クソったれ。払うたるわい。これでええんやろ!」
「おいおい、この期に及んでまだ誤魔化す気かよ。おまえ、ホントにセコいな。そんなんじゃ女にもてねーぞ。」
「何やと?これが約束の報酬や。」
「ひとり分だろ、これ。ふたり分払えよ。」
「「え、兄さん、これで…。」」双子がそっと囁く。
「シーっ。」と双子に黙ってるよう合図する。
「おのれも聞いてたやろ?もともとこいつらとはひとり分っちゅー約束なんや。」
「書面で契約交わしてる?契約書見せてよ。口約束は無効だよ。マジでギルマスに言っちゃうよ。」
「せやから最初の約束が…。」
「そんなの契約書がないなら無効だって。ギルマスに告げてもいいんだな?冒険者ライセンスの剥奪は覚悟しとけよ。」
口調をきつくして、ひと睨みしてやるとシュンとなった。
「んなこと言うたかて、こいつらをひとり分で計算して、他の奴にはもう分け前を渡してもうたんや。」
「んじゃ、子供料金の差額の半人前は自分の懐に入れるつもりだった訳だ。」
「あ、いや…。」
「おい、選べ。お前の分け前を吐き出してふたり分払うか、ギルマスに報告されて冒険者ライセンス剥奪か。どっちがいい?」
ちょっと凄んで威圧したら完全にビビッてやんの。この小者が!
「これでええんやろ!もってけ、このドロボーがっ。」
「お兄さん、賢明な判断だよ。取り敢えずライセンスが残ったからな。
でさ、その今の悔しい気持ちを忘れるなよ。お前がやろうとしたピンハネはな、相手をそう言う気持ちにさせるんだよ。
今回自腹を切った分はな、お前の心掛け次第ではいつかお前に返って来るだろうよ。いい勉強代だと思うこった。」
パチパチパチ…。え?何?ギルドにいるみんなが拍手してる。みんなの拍手にセコいお兄さんは居心地が悪くなったのか、ギルドから出て行った。
「はい、報酬ふたり分。」
「「おおきに。」」目をキラキラさせてお礼を言うふたり。
かわいい。思わず頭を撫でてしまった。すると双子は目を細めて赤くなりモジモジし出した。威勢のいい少年とは言え、こう言うところはまだ子供だな。笑
「改めまして俺、アタル。射手なんだ。」
「うちはサキョウ、デバフの陰士。」
「うちはウキョウ、バフの陰士。」
「そうなんだ。効果はどれくらい?」
「「5割まであと少しってとこやね。」」
は?なんですと?絶句する俺。それって物凄い効果じゃないか!サンファミのジュピですら2割ちょいだったよな。
「でもなぁ。うちはデバフ、ウキョウはバフしか使えんさかい、さっきみたいなことになるんよ。」
「うちらフリーやから、その都度どっかのパーティに入るんやけど、ひとり分ずつくれるところはあまりないしなぁ。」
「いやいやいや、もうすぐ5割って、4割を余裕で越えてるんでしょ?そんな物凄い効果、聞いたことないって。ふたりは、それしかできないんじゃなくて、それだけに特化した、超優秀な陰士なんだよ。」
「兄さん、そんなん言うてくれて嬉しいわぁ。」
「ほんまやなぁ。おおきに。」
真っ赤っか×2、モジモジ×2。どうでもいいけどこのふたり、威勢のいい少年だと思ったのに、ちょっとナヨっちぃなぁ。まぁ、西都言葉は優雅、商都言葉はきついって言うからそのせいか。さっきまで商都にいたからな。
「念のために聞くけど、のこばすのミメングみたいに、一発撃って終了、とかじゃないよな?」
「当たり前や。それやと陰士として食うて行けへんよ。」
「うちら、こう見えて気力量は多いんよ。」
「失礼なことを聞いて悪かった。効果5割弱の陰士が、半値って何かあるのかと勘ぐってしまったよ。なんでもっと評価されないんだ?」
「「うちらがまだ子供やからやろうね。」」
「なぁ、ふたりともよかったら俺のパーティと組まないか?俺が直接雇うよ。
これからビワの聖湖の蒼碧龍を狩りに行くから、優秀な陰士が欲しかったんだ。蒼碧龍を見付けるまで日数が掛かるかもしれないから、その間はこちらの拠点に詰めて欲しい。拠点での宿と食事はこちらで用意する。ひとり当たり金貨1枚で1週間、伸びるようなら1週間を越えるごとに金貨1枚、成功報酬は金貨1枚と言う条件でどうかな?」
「「なんやて?」」
「え?少ない?」
「ちゃうちゃうちゃうちゃう、多過ぎや。」
「なんでそんなん出すの?」
「陰士が必要だし、5割の陰士って凄いからなんだけど?」
ふたりは離れて行って相談を始めた。
「どうする、サキョウ?」
「めっちゃええ話やけど、おいし過ぎるしなぁ。」
「うちらを騙してどっか連れてってエッチぃことでもする気やろか?」
「いやでもうちらまだぺったんこやし、流石にそれはないやろ。」
「でも、ロリコンってゆうのがいるらしいでぇ。」
「せやな。でもなぁ、あの兄さん、ええ人やと思うわぁ。」
コソコソと相談してる。まぁ、まだ子供だし、泊りは無理かなぁ。しかしこの陰士ふたりは雇いたいよなぁ。
「ごめん、ふたりがまだ子供だってことを忘れてたよ。家の人の許可とかもいるだろうし、もしこちらの拠点への泊りが無理なら、毎日ここに待機してもらって、呼びに来たときに加勢してもらうってのでどう?
迎えに来たときにいないこともあるかもしれないから、そのときは君ら抜きで討伐に行くことにするよ。そんな訳で待機の手当は朝から夕方までで1日銀貨5枚。」
「ごめんなぁ、もうちょっと相談させてぇ。」
「ウキョウ、一気に半額以下やね。」
「それは夜間の待機手当がのうなるからやろ。」
「せやな。どうしようかぁ?」
そこへ、サヤ姉、サジ姉、ホサキがやって来た。
「アタル、どうしたのよ?」
「あの少年たちを蒼碧龍攻略のために、短期契約でセプトに誘ってるんだよ。陰士なんだけど、効果が5割弱らしい。」
「「「!」」」
「ひとりはデバフだけ、もうひとりはバフだけなんだそうだ。いわゆる単一能力の超特化型だな。」
「効果はジュピの倍ね。それにデバフとバフがひとりずつなら問題ないわ。」
「ホント…なの…かな…?」
「うーん、さすがに凄い数値だな。アタル、あの子たちは自分を売り込むために話を盛った可能性もあるかもしれぬぞ。しかし話半分でもジュピ並みの効果があると言うことだな。」
サキョウとウキョウがこっちを見てる。話がまとまったかな?
「サキョウ、ウキョウ、紹介するよ。俺の仲間で、剣士のサヤ、医薬士のサジ、盾槍士のホサキ。」
「わぁ、えらい別嬪の姉さんたちやぁ。」
「うちらも、こんな別嬪さんになりたいなぁ。」
なんですと?君らまさか男の娘かい?確かに話し方もナヨっちいと思ったんだよ。俺は正直ドン引きした。この双子が仲間になっても、同室は絶対に避けよう。俺は心に決めた。
「なぁ、サキョウ、姉さんたちもおるんならええんやない?」
「せやな。それにあの兄さんなら、うち、そうなってもええかも。」
「いややわぁ、うちもそう思うとったんよ。」
「決まりやな。」
「せやね。」
「兄さん、最初のでお願いします。」
「え?家の人の許可とかいいの?」
「大丈夫です。うちらふたり暮らしなんで。」
「え?親御さん、いないの?」
「いてはるけど、いろいろあって勘当中なんですわ。」
「そりゃまた、すまんことを聞いたな。ごめんな。」
「「気にせんといて。」」
「じゃぁ、これからギルドを通して指名依頼を出すから、明朝には貼り出されると思うので依頼を受けてくれ。あと俺のことはアタルでいいから。」
「せやけど、雇い主やし、年上やし。なぁ、ウキョウ。」
「せやね。…そやわ、アタル兄でどうやろ。」
「ん、まぁ、それでいいかな。」
「あと姉さんたちは、サヤ姉、サジ姉に、ホサキ姉は言いづらいからサキ姉。」
「いいわよ。」
こくり。
「承知した。」
「これからよろしくな。」
俺たちはしっかり握手した。男の娘かと思うと、思わず顔が引きつったがバレなかった。と思う。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/3/6
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№34 サキョウとウキョウ
流邏矢で登録したのは西都の南端だったので、そのまま西都内を北上して西都の冒険者ギルドに着いた。東都ギルドに匹敵する規模だ。
さすがにもうひとつの首都である西都のギルドだけのことはある。便宜上、今は副都と呼んでいるが、次の帝の御代になれば、西都が首都で東都が副都になる。
西都ギルドに来た目的は、東都のギルマスのタケクラからの紹介状があるので、西都のギルマスのサンキに取り次いでもらい、西都ギルドで保管している金剛鏑を譲り受けることだ。
ギルドに入ると何やら揉めていた。
「なんでうちらの取り分がこれだけなんよ?」
「ふたりでひとり分と言う約束やったやないの?」
とてもかわいいショートの刈上げ少年がふたり、若い男に食って掛かっている。そっくりだ。双子か?しかしまだ声変わりもしてないのに、冒険者をやってるのか?しかも、相手は若いとは言え、大人の冒険者だ。それに食って掛かるとはなかなかの威勢だ。
「だからひとり分なんやないかい。お子様料金のな。」
「年齢は関係ないやろ?」
「それにお前ら、バフの陰士とデバフの陰士やないかい。半人前やろ?曲がりなりにも陰士を名乗るんやったら、両方使えるようにならんかい!」
「せやからふたりでひとり分でええって言うとるのや。子供料金と言うのは、話が違うでぇ。」
「ケッ、役立たずの陰士風情が何抜かす。」
「「なんやて。」」
「はいはい、そこまでね。ギルドで喧嘩をすると双方痛い目見るよ。」
双子の少年と若い男が俺の方を見る。
「アタルったら、割り込んじゃったわ。」
「そう…なると…思った…。」
「あのやり取りなら、アタルは双子に味方するだろうな。」
「お兄さん、パーティーリーダーかな?パーティ仲間に正当な分け前を払わないと、ギルドに訴えられたら、お兄さんが困ることになるんじゃないの?」
「おのれは関係ないやろが?」
「ギルド内であれだけ大騒ぎしといて、喧嘩になりそうだから仲裁したんじゃないか。善意の第三者って奴だぜ。」
「だったらわしの言い分も聞かんかい。」
「聞いてたよ。東都じゃ、子供料金半人前なんて報酬は聞いたことないぜ?それとも西都ギルドのローカルルールなのかい?」
「なんやと、何がローカルや!西都を田舎呼ばわりするつもりか?許さへんぞ、コラ。」
「ローカルって言ったのは、地域って意味で田舎って意味じゃねぇよ。分が悪くなったからって話をすり替えるなよな。」
「くっ。」
「俺はこれから西都のギルマスに会う。東都のギルマスからの紹介状があるんでな。ほんとにギルマスに聞いて構わないんだな。」
「なんやと?ギルマスに会うて、おのれは何もんや?」
「あ、俺はアタル。よろしくな。で、お兄さんは?」
「…。」
「名乗ると都合悪いことでもしてんの?てか、受付のお姉さんももう聞いちゃってるよ。」
「クソったれ。払うたるわい。これでええんやろ!」
「おいおい、この期に及んでまだ誤魔化す気かよ。おまえ、ホントにセコいな。そんなんじゃ女にもてねーぞ。」
「何やと?これが約束の報酬や。」
「ひとり分だろ、これ。ふたり分払えよ。」
「「え、兄さん、これで…。」」双子がそっと囁く。
「シーっ。」と双子に黙ってるよう合図する。
「おのれも聞いてたやろ?もともとこいつらとはひとり分っちゅー約束なんや。」
「書面で契約交わしてる?契約書見せてよ。口約束は無効だよ。マジでギルマスに言っちゃうよ。」
「せやから最初の約束が…。」
「そんなの契約書がないなら無効だって。ギルマスに告げてもいいんだな?冒険者ライセンスの剥奪は覚悟しとけよ。」
口調をきつくして、ひと睨みしてやるとシュンとなった。
「んなこと言うたかて、こいつらをひとり分で計算して、他の奴にはもう分け前を渡してもうたんや。」
「んじゃ、子供料金の差額の半人前は自分の懐に入れるつもりだった訳だ。」
「あ、いや…。」
「おい、選べ。お前の分け前を吐き出してふたり分払うか、ギルマスに報告されて冒険者ライセンス剥奪か。どっちがいい?」
ちょっと凄んで威圧したら完全にビビッてやんの。この小者が!
「これでええんやろ!もってけ、このドロボーがっ。」
「お兄さん、賢明な判断だよ。取り敢えずライセンスが残ったからな。
でさ、その今の悔しい気持ちを忘れるなよ。お前がやろうとしたピンハネはな、相手をそう言う気持ちにさせるんだよ。
今回自腹を切った分はな、お前の心掛け次第ではいつかお前に返って来るだろうよ。いい勉強代だと思うこった。」
パチパチパチ…。え?何?ギルドにいるみんなが拍手してる。みんなの拍手にセコいお兄さんは居心地が悪くなったのか、ギルドから出て行った。
「はい、報酬ふたり分。」
「「おおきに。」」目をキラキラさせてお礼を言うふたり。
かわいい。思わず頭を撫でてしまった。すると双子は目を細めて赤くなりモジモジし出した。威勢のいい少年とは言え、こう言うところはまだ子供だな。笑
「改めまして俺、アタル。射手なんだ。」
「うちはサキョウ、デバフの陰士。」
「うちはウキョウ、バフの陰士。」
「そうなんだ。効果はどれくらい?」
「「5割まであと少しってとこやね。」」
は?なんですと?絶句する俺。それって物凄い効果じゃないか!サンファミのジュピですら2割ちょいだったよな。
「でもなぁ。うちはデバフ、ウキョウはバフしか使えんさかい、さっきみたいなことになるんよ。」
「うちらフリーやから、その都度どっかのパーティに入るんやけど、ひとり分ずつくれるところはあまりないしなぁ。」
「いやいやいや、もうすぐ5割って、4割を余裕で越えてるんでしょ?そんな物凄い効果、聞いたことないって。ふたりは、それしかできないんじゃなくて、それだけに特化した、超優秀な陰士なんだよ。」
「兄さん、そんなん言うてくれて嬉しいわぁ。」
「ほんまやなぁ。おおきに。」
真っ赤っか×2、モジモジ×2。どうでもいいけどこのふたり、威勢のいい少年だと思ったのに、ちょっとナヨっちぃなぁ。まぁ、西都言葉は優雅、商都言葉はきついって言うからそのせいか。さっきまで商都にいたからな。
「念のために聞くけど、のこばすのミメングみたいに、一発撃って終了、とかじゃないよな?」
「当たり前や。それやと陰士として食うて行けへんよ。」
「うちら、こう見えて気力量は多いんよ。」
「失礼なことを聞いて悪かった。効果5割弱の陰士が、半値って何かあるのかと勘ぐってしまったよ。なんでもっと評価されないんだ?」
「「うちらがまだ子供やからやろうね。」」
「なぁ、ふたりともよかったら俺のパーティと組まないか?俺が直接雇うよ。
これからビワの聖湖の蒼碧龍を狩りに行くから、優秀な陰士が欲しかったんだ。蒼碧龍を見付けるまで日数が掛かるかもしれないから、その間はこちらの拠点に詰めて欲しい。拠点での宿と食事はこちらで用意する。ひとり当たり金貨1枚で1週間、伸びるようなら1週間を越えるごとに金貨1枚、成功報酬は金貨1枚と言う条件でどうかな?」
「「なんやて?」」
「え?少ない?」
「ちゃうちゃうちゃうちゃう、多過ぎや。」
「なんでそんなん出すの?」
「陰士が必要だし、5割の陰士って凄いからなんだけど?」
ふたりは離れて行って相談を始めた。
「どうする、サキョウ?」
「めっちゃええ話やけど、おいし過ぎるしなぁ。」
「うちらを騙してどっか連れてってエッチぃことでもする気やろか?」
「いやでもうちらまだぺったんこやし、流石にそれはないやろ。」
「でも、ロリコンってゆうのがいるらしいでぇ。」
「せやな。でもなぁ、あの兄さん、ええ人やと思うわぁ。」
コソコソと相談してる。まぁ、まだ子供だし、泊りは無理かなぁ。しかしこの陰士ふたりは雇いたいよなぁ。
「ごめん、ふたりがまだ子供だってことを忘れてたよ。家の人の許可とかもいるだろうし、もしこちらの拠点への泊りが無理なら、毎日ここに待機してもらって、呼びに来たときに加勢してもらうってのでどう?
迎えに来たときにいないこともあるかもしれないから、そのときは君ら抜きで討伐に行くことにするよ。そんな訳で待機の手当は朝から夕方までで1日銀貨5枚。」
「ごめんなぁ、もうちょっと相談させてぇ。」
「ウキョウ、一気に半額以下やね。」
「それは夜間の待機手当がのうなるからやろ。」
「せやな。どうしようかぁ?」
そこへ、サヤ姉、サジ姉、ホサキがやって来た。
「アタル、どうしたのよ?」
「あの少年たちを蒼碧龍攻略のために、短期契約でセプトに誘ってるんだよ。陰士なんだけど、効果が5割弱らしい。」
「「「!」」」
「ひとりはデバフだけ、もうひとりはバフだけなんだそうだ。いわゆる単一能力の超特化型だな。」
「効果はジュピの倍ね。それにデバフとバフがひとりずつなら問題ないわ。」
「ホント…なの…かな…?」
「うーん、さすがに凄い数値だな。アタル、あの子たちは自分を売り込むために話を盛った可能性もあるかもしれぬぞ。しかし話半分でもジュピ並みの効果があると言うことだな。」
サキョウとウキョウがこっちを見てる。話がまとまったかな?
「サキョウ、ウキョウ、紹介するよ。俺の仲間で、剣士のサヤ、医薬士のサジ、盾槍士のホサキ。」
「わぁ、えらい別嬪の姉さんたちやぁ。」
「うちらも、こんな別嬪さんになりたいなぁ。」
なんですと?君らまさか男の娘かい?確かに話し方もナヨっちいと思ったんだよ。俺は正直ドン引きした。この双子が仲間になっても、同室は絶対に避けよう。俺は心に決めた。
「なぁ、サキョウ、姉さんたちもおるんならええんやない?」
「せやな。それにあの兄さんなら、うち、そうなってもええかも。」
「いややわぁ、うちもそう思うとったんよ。」
「決まりやな。」
「せやね。」
「兄さん、最初のでお願いします。」
「え?家の人の許可とかいいの?」
「大丈夫です。うちらふたり暮らしなんで。」
「え?親御さん、いないの?」
「いてはるけど、いろいろあって勘当中なんですわ。」
「そりゃまた、すまんことを聞いたな。ごめんな。」
「「気にせんといて。」」
「じゃぁ、これからギルドを通して指名依頼を出すから、明朝には貼り出されると思うので依頼を受けてくれ。あと俺のことはアタルでいいから。」
「せやけど、雇い主やし、年上やし。なぁ、ウキョウ。」
「せやね。…そやわ、アタル兄でどうやろ。」
「ん、まぁ、それでいいかな。」
「あと姉さんたちは、サヤ姉、サジ姉に、ホサキ姉は言いづらいからサキ姉。」
「いいわよ。」
こくり。
「承知した。」
「これからよろしくな。」
俺たちはしっかり握手した。男の娘かと思うと、思わず顔が引きつったがバレなかった。と思う。
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設定を更新しました。R4/3/6
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
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カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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