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射手の統領013 再び冒険者ギルドへ
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射手の統領
Zu-Y
№13 再び冒険者ギルドへ
「う~ん。」目を開けると天井が見える。心地よい目覚めだ。
しかし、俺はベッドに大の字で、両方の二の腕を押さえられていた。
弓手側を見ると、サヤ姉が俺の腕枕で寝ている。
馬手側を見ると。サジ姉も俺の腕枕で寝ている。
ふたりとも、こっちを向いて寝ており、寝顔も美人だ。二の腕の重みはこれか。至福だ。
下を見ると、目覚めの生理現象でマイサンがマイドラゴンに変身している。
明け方まで何度も何度もホワイトブレスを吐きまくっていたのに、なんてタフな奴だ。
もうすぐ昼か。あ、そうだ、冒険者ギルドに行かなきゃ。ギルマスのタケクラから、明日も来いって言われてたんだ。
ふたりに軽いキスをして起こした。3人とも全裸だ。しかし、俺たちはもう互いに隠す必要はない。
「アタル…初陣…おめでとう…。」
「サヤ姉、サジ姉もな。」
「それにしても激しかったわね。あら、もう復活してるの?」
「いや、これは朝の生理現象。」
「ふふふ…もう…お昼…。」
「だな。そろそろギルドに行かなきゃ。シャワーを浴びて支度しよう。」
ギルドに着いたら、ホサキが先に来ていた。俺たち3人と合流する。
「アタルどの、今日は遅かったな。どうしたのだ?」
「すまん、いろいろあってな。寝るのが遅くなって俺が寝坊した。それより御父上の許可は取れたか?」
「あぁ、すべてアタルどのが申された通りだった。今度こそ感服致したぞ。」
「では改めてよろしく頼む。それと、昨日も言ったがアタルどのではなく、アタルと呼んでくれ。」
「いや、未来の旦那様を呼び捨てになどできぬ。」
「今なんて言った?」
「あ!いや、なんでもない。すまない、アタルどの、気にしないでくれ。」
「未来の…旦那様って…聞こえた…。」
「いや、サジどの、違うのだ。」
「何が違うのかしら?御父上からアタルを落とせと言われたわね?」
真っ赤になって頷くホサキ。
「ホサキがいいなら俺は構わんぞ。」
「え?」
「タテベと婚姻同盟が結べるなら、ユノベにとっては、願ってもないことだと俺は思う。もちろん俺の一存では決められないから、叔父貴たちに諮るがな。叔父貴たちは反対しないだろうし、もし反対しても俺が説き伏せる。
これは政略結婚だが、ホサキは素直だから俺は好ましいと思っている。昨日会ったばかりだから、まだ惚れていると言うほどではないが、一緒に武者修行の旅をして行けば情も湧いて来るだろう。
ひとつはっきりさせておきたいのだが、俺にはすでにサヤ姉とサジ姉がいる。ホサキは3番目だ。それでもいいのか?」
「もちろん構わない。アタルどのがよろしければだが…。」
「タテベのためか?」
「それもあるが、それだけではない。」
「他に何があるのだ?」
カーっと、真っ赤になって俯くホサキ。ん?どうしたんだ?
「アタル、あんた、相変わらず鈍いわね。」
「え?でも昨日会ったばかりだぞ。」
「アタル…もういい…黙って…。」
「分かったよ。」肩をすくめる俺。何が何だってんだ?
「ごめんなさいね。ホサキ。」
「ごめん…なさい…。でも…悪気は…ないの…。早く…慣れて…。」
「サヤどの、サジどの、かたじけない。」3人は仲いいな。
「とにかく、俺たちは仲間だ。どの、はやめよう。ホサキ、その固い口調を少しずつ直して行くための第一歩だと思え。」
「承知した。…アタル。」
俺たちはギルドの受付に行った。今日も受付はチナツだ。
「チナツさん、タケクラさんに繋いでくれないか?」
「あら?私の名前を憶えてくれたんですか?うふふ、ちょっと待ってて下さいね。」
チナツは嬉しそうに奥へと消えた。
「アタル、まさかチナツさんも迎えるとか、言わないわよね。」
「もちろんだ。チナツは一般人だろう?迎えるメリットがない。すでに3人もいるのだから、無駄に増やす必要はない。」
「美人だし…気立ても…いいし…胸もある…のに…?」
「まぁ美人だが、3人に比べると霞む。気立てがよさそうなのはいいが、俺は巨乳は好まん。バランス重視だからな。小振りな方がいい。」
3人とも嬉しそうだ。やっぱりホサキもそうなのか。
しばらくしてチナツが戻って来た。俺たちはタケクラがいるギルマスルームへ案内された。
部屋へ入ると昨日の接客用ソファーを勧められて、俺たちは腰掛けた。タケクラはデスクの引き出しから箱を持って来て、俺の向いに座り、箱を開けた。
「うちで預かっていた金剛鏑だ。」
俺は手に取って確認し、空の封龍矢に金剛鏑を装着した。これで、金剛鏑を装着した封龍矢が一手(2本)に戻った。
「ありがとう。確かに受け取った。」
「それからこれは俺から西都のギルマス、サンキへの紹介状だ。会ったらよろしく伝えてくれ。」
「すまん、ありがたく頂戴する。手間を掛けたな。」
タケクラはチナツの方を振り向いて、
「それからチナツ。アタルたちの冒険者カードを。」
「はい、こちらに。」
俺たちは冒険者カードを受け取った。
「Dランクではないか。いいのか?」
「アタルは、黄金龍を封印したんだ。実力的にはさらに上だろうが、Cランク以上は、クエストクリアの実績と審査が必要なんだ。飛び級できるスチールカードの最高位がDランクだ。
サヤとサジは、アタルの黄金龍の封印を援護したと言うのでFランクにしたが、ホサキは、黄金龍戦には参加してないから通常通りGランクからのスタートだ。よってセプトはFランクとなる。」
パーティランクはメンバーのランクの平均となる。メンバーが、D、F、F、GならパーティランクはFだ。
「タケクラさん。何から何まで世話になった。」
「すぐ西へ立つのか?」
「いや、今日は道具屋で流邏石を購う。それから装備屋にも寄ってみたい。明日は簡単なクエストもやってみようと思ってる。」
タケクラはメモ用紙にサラサラと書き付け、
「道具屋も装備屋もピンキリだが、これらの店はどれもお勧めだ。俺からの紹介だと言って、冒険者カードを出してみろ。多少は割り引いてくれるぞ。」
と言ってメモを渡して来た。
「助かる。ありがとう。タケクラさん、あんた面倒見がいいな。」
「そうか?アタル、期待してるぞ。もうひとつの約束も忘れるなよ。」
「ああ、しっかりギルドに貢献するよう頑張るさ。」
タケクラと握手して、ギルマスルームを後にした。
街へ出て、タケクラのメモを頼りに、まず道具屋を見付けて入った。
「いらっしゃい。」
店内を見まわす。こじんまりとした店だが、商品は整頓されてきれいに陳列されている。品揃えも豊富だ。
「流邏石を探している。流邏石はどれくらい離れると効かなくなるのかな?」
「100里(400㎞)ですね。それと1里(4㎞)以内でも作動しません。」
「流邏矢はどれくらいだ?」
「10里(40㎞)です。こちらは至近距離でも作動します。」
詳しく聞いたところ、流邏石も流邏矢も移動距離×重量の気力を消費し、どちらも最大気力は1万里kg。
流邏石は半減すると濁りだし、濁り具合で残りの気力のおおよそが分かる。道具屋で気力の充填が可能。
流邏矢は半減すると流邏羽根が痛み出し、傷み具合で残りの気力がおおよそ分かる。装備屋で新品の流邏羽根との交換が必要。と言うことだった。
「なるほどな。よく分かった。ところで流羅石はいくらかな?」
「1個につき金貨1枚です。」
「かなり高価だな。」
ユノベ本拠、東都ギルド、トノベ本拠、ヤクシ本拠、タテベ本拠、それからユノベ副拠に、西都ギルドで7個か。あ、そういえば、3人は流邏石を持ってるのかな?
「みんなは流羅石を持っているのか?」
「私は持ってないわ。」「私も…持って…ない…。」
「私は毎晩タテベ館に帰らなければならぬので、タテベ館と東都ギルドの2個だ。」
俺は前述の7ヶ所すべて、サヤ姉とサジ姉は、トノベ本拠またはヤクシ本拠、ユノベ本拠、東都ギルド、ユノベ副拠、西都ギルドでそれぞれ5個。ホサキはタテベ本拠と東都ギルドのを持ってるから、ユノベ本拠、ユノベ副拠、西都ギルドで3個。全部で20個だな。
「流羅石を20個欲しい。ギルマスのタケクラさんの紹介だ。」
俺はタケクラからもらったメモと、ギルドカードを見せた。
「これはこれは。タケクラ様のご紹介ですし、大量のお買い上げですから、思い切って1割引といたしましょう。」
「さすがにタケクラさんが勧めてくれただけのことはあるな。」
定価は大金貨2枚なので、金貨2枚分が割り引かれた。
俺はさらに、ホサキの流邏石の気力を満タンにして、金貨1枚の収納腕輪、野宿用に大銀貨8枚の5人用テントと、銀貨1枚の毛布を4枚、野外調理具など諸々小物など、金貨2枚とちょっとの買い物をした。収納腕輪は金貨1枚もしたが、荷物が嵩張らないから使い勝手はいい。
次に向かったのは装備屋だ。
俺たちの装備は、
俺が、操龍弓、金剛鏑付き封龍矢一手、流邏矢一手、通常矢多数、戻りの箙、射手の軽鎧、鎖鉢金、正射の弽、疾風の靴、収納腕輪。
サヤ姉が、雷神の太刀、風神の脇差、剣士の鎖帷子、鎖鉢金、連撃の籠手、疾風の靴。
サジ姉が、薬師の杖、典医の薬嚢、術士のローブ、鎖鉢金、オペの手袋、疾風の靴。
ホサキが、如意の槍、自在の盾、盾士の重鎧、フルフェイスメット、点突のアームガード、重心のグリーブ。
俺は通常矢の補充、サヤ姉は大小の刀の研ぎ、サジ姉は杖の効果アップ調整、ホサキは如意の槍と自在の盾のバランス調整、合計で金貨1枚だった。
「お?若いの、また来てくれたのか?」
「旨かったからな。穴子と小肌。あとはお任せでな。」
昨日の東都前寿司にまた来てしまった。今夜はホサキも連れて来た。
「あいよっ。ところで、また別嬪が増えてやがるな。若いの、やるじゃねぇか。」
「まぁな。」
タテベ本拠はコスカと言う港町に本拠を構えている。港町コスカの旨い寿司を食い慣れてるホサキが唸った。
「アタル、ここの寿司は絶品だ。コスカの寿司も新鮮さでは負けてないが、穴子の処理と小肌の酢〆の加減には負けを認めざるを得ないな。」
「おい、新顔の嬢ちゃん、昨日の若いのと同じことを言いやがった。分かってるじゃねぇか。嬉しいねぇ。」
今日は、小肌がサービスで出て来た。
「「「「いただきます。」」」」
今度、大将に何か土産を買って来ないとな。
店を出てホサキと別れた。ホサキは流邏石でタテベ本拠に戻って行った。
俺は今夜のことで頭がいっぱいだ。むふふだ。
ところがだ!デラックスダブルに行こうとすると、
「今夜から…アタルは…シングル…。」
「え?」
「昨日、初陣したからもういいわ。あとは婚儀までね。」
「え?えー?」
ふたりはデラックスダブルへと消えた。
♪シ・ン・グ・ルーベーエードで、ひーとりー…♪
そんなワンフレーズが頭の中を流れた。泣
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R04.1.16
更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「精霊の加護」も、合わせてよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
Zu-Y
№13 再び冒険者ギルドへ
「う~ん。」目を開けると天井が見える。心地よい目覚めだ。
しかし、俺はベッドに大の字で、両方の二の腕を押さえられていた。
弓手側を見ると、サヤ姉が俺の腕枕で寝ている。
馬手側を見ると。サジ姉も俺の腕枕で寝ている。
ふたりとも、こっちを向いて寝ており、寝顔も美人だ。二の腕の重みはこれか。至福だ。
下を見ると、目覚めの生理現象でマイサンがマイドラゴンに変身している。
明け方まで何度も何度もホワイトブレスを吐きまくっていたのに、なんてタフな奴だ。
もうすぐ昼か。あ、そうだ、冒険者ギルドに行かなきゃ。ギルマスのタケクラから、明日も来いって言われてたんだ。
ふたりに軽いキスをして起こした。3人とも全裸だ。しかし、俺たちはもう互いに隠す必要はない。
「アタル…初陣…おめでとう…。」
「サヤ姉、サジ姉もな。」
「それにしても激しかったわね。あら、もう復活してるの?」
「いや、これは朝の生理現象。」
「ふふふ…もう…お昼…。」
「だな。そろそろギルドに行かなきゃ。シャワーを浴びて支度しよう。」
ギルドに着いたら、ホサキが先に来ていた。俺たち3人と合流する。
「アタルどの、今日は遅かったな。どうしたのだ?」
「すまん、いろいろあってな。寝るのが遅くなって俺が寝坊した。それより御父上の許可は取れたか?」
「あぁ、すべてアタルどのが申された通りだった。今度こそ感服致したぞ。」
「では改めてよろしく頼む。それと、昨日も言ったがアタルどのではなく、アタルと呼んでくれ。」
「いや、未来の旦那様を呼び捨てになどできぬ。」
「今なんて言った?」
「あ!いや、なんでもない。すまない、アタルどの、気にしないでくれ。」
「未来の…旦那様って…聞こえた…。」
「いや、サジどの、違うのだ。」
「何が違うのかしら?御父上からアタルを落とせと言われたわね?」
真っ赤になって頷くホサキ。
「ホサキがいいなら俺は構わんぞ。」
「え?」
「タテベと婚姻同盟が結べるなら、ユノベにとっては、願ってもないことだと俺は思う。もちろん俺の一存では決められないから、叔父貴たちに諮るがな。叔父貴たちは反対しないだろうし、もし反対しても俺が説き伏せる。
これは政略結婚だが、ホサキは素直だから俺は好ましいと思っている。昨日会ったばかりだから、まだ惚れていると言うほどではないが、一緒に武者修行の旅をして行けば情も湧いて来るだろう。
ひとつはっきりさせておきたいのだが、俺にはすでにサヤ姉とサジ姉がいる。ホサキは3番目だ。それでもいいのか?」
「もちろん構わない。アタルどのがよろしければだが…。」
「タテベのためか?」
「それもあるが、それだけではない。」
「他に何があるのだ?」
カーっと、真っ赤になって俯くホサキ。ん?どうしたんだ?
「アタル、あんた、相変わらず鈍いわね。」
「え?でも昨日会ったばかりだぞ。」
「アタル…もういい…黙って…。」
「分かったよ。」肩をすくめる俺。何が何だってんだ?
「ごめんなさいね。ホサキ。」
「ごめん…なさい…。でも…悪気は…ないの…。早く…慣れて…。」
「サヤどの、サジどの、かたじけない。」3人は仲いいな。
「とにかく、俺たちは仲間だ。どの、はやめよう。ホサキ、その固い口調を少しずつ直して行くための第一歩だと思え。」
「承知した。…アタル。」
俺たちはギルドの受付に行った。今日も受付はチナツだ。
「チナツさん、タケクラさんに繋いでくれないか?」
「あら?私の名前を憶えてくれたんですか?うふふ、ちょっと待ってて下さいね。」
チナツは嬉しそうに奥へと消えた。
「アタル、まさかチナツさんも迎えるとか、言わないわよね。」
「もちろんだ。チナツは一般人だろう?迎えるメリットがない。すでに3人もいるのだから、無駄に増やす必要はない。」
「美人だし…気立ても…いいし…胸もある…のに…?」
「まぁ美人だが、3人に比べると霞む。気立てがよさそうなのはいいが、俺は巨乳は好まん。バランス重視だからな。小振りな方がいい。」
3人とも嬉しそうだ。やっぱりホサキもそうなのか。
しばらくしてチナツが戻って来た。俺たちはタケクラがいるギルマスルームへ案内された。
部屋へ入ると昨日の接客用ソファーを勧められて、俺たちは腰掛けた。タケクラはデスクの引き出しから箱を持って来て、俺の向いに座り、箱を開けた。
「うちで預かっていた金剛鏑だ。」
俺は手に取って確認し、空の封龍矢に金剛鏑を装着した。これで、金剛鏑を装着した封龍矢が一手(2本)に戻った。
「ありがとう。確かに受け取った。」
「それからこれは俺から西都のギルマス、サンキへの紹介状だ。会ったらよろしく伝えてくれ。」
「すまん、ありがたく頂戴する。手間を掛けたな。」
タケクラはチナツの方を振り向いて、
「それからチナツ。アタルたちの冒険者カードを。」
「はい、こちらに。」
俺たちは冒険者カードを受け取った。
「Dランクではないか。いいのか?」
「アタルは、黄金龍を封印したんだ。実力的にはさらに上だろうが、Cランク以上は、クエストクリアの実績と審査が必要なんだ。飛び級できるスチールカードの最高位がDランクだ。
サヤとサジは、アタルの黄金龍の封印を援護したと言うのでFランクにしたが、ホサキは、黄金龍戦には参加してないから通常通りGランクからのスタートだ。よってセプトはFランクとなる。」
パーティランクはメンバーのランクの平均となる。メンバーが、D、F、F、GならパーティランクはFだ。
「タケクラさん。何から何まで世話になった。」
「すぐ西へ立つのか?」
「いや、今日は道具屋で流邏石を購う。それから装備屋にも寄ってみたい。明日は簡単なクエストもやってみようと思ってる。」
タケクラはメモ用紙にサラサラと書き付け、
「道具屋も装備屋もピンキリだが、これらの店はどれもお勧めだ。俺からの紹介だと言って、冒険者カードを出してみろ。多少は割り引いてくれるぞ。」
と言ってメモを渡して来た。
「助かる。ありがとう。タケクラさん、あんた面倒見がいいな。」
「そうか?アタル、期待してるぞ。もうひとつの約束も忘れるなよ。」
「ああ、しっかりギルドに貢献するよう頑張るさ。」
タケクラと握手して、ギルマスルームを後にした。
街へ出て、タケクラのメモを頼りに、まず道具屋を見付けて入った。
「いらっしゃい。」
店内を見まわす。こじんまりとした店だが、商品は整頓されてきれいに陳列されている。品揃えも豊富だ。
「流邏石を探している。流邏石はどれくらい離れると効かなくなるのかな?」
「100里(400㎞)ですね。それと1里(4㎞)以内でも作動しません。」
「流邏矢はどれくらいだ?」
「10里(40㎞)です。こちらは至近距離でも作動します。」
詳しく聞いたところ、流邏石も流邏矢も移動距離×重量の気力を消費し、どちらも最大気力は1万里kg。
流邏石は半減すると濁りだし、濁り具合で残りの気力のおおよそが分かる。道具屋で気力の充填が可能。
流邏矢は半減すると流邏羽根が痛み出し、傷み具合で残りの気力がおおよそ分かる。装備屋で新品の流邏羽根との交換が必要。と言うことだった。
「なるほどな。よく分かった。ところで流羅石はいくらかな?」
「1個につき金貨1枚です。」
「かなり高価だな。」
ユノベ本拠、東都ギルド、トノベ本拠、ヤクシ本拠、タテベ本拠、それからユノベ副拠に、西都ギルドで7個か。あ、そういえば、3人は流邏石を持ってるのかな?
「みんなは流羅石を持っているのか?」
「私は持ってないわ。」「私も…持って…ない…。」
「私は毎晩タテベ館に帰らなければならぬので、タテベ館と東都ギルドの2個だ。」
俺は前述の7ヶ所すべて、サヤ姉とサジ姉は、トノベ本拠またはヤクシ本拠、ユノベ本拠、東都ギルド、ユノベ副拠、西都ギルドでそれぞれ5個。ホサキはタテベ本拠と東都ギルドのを持ってるから、ユノベ本拠、ユノベ副拠、西都ギルドで3個。全部で20個だな。
「流羅石を20個欲しい。ギルマスのタケクラさんの紹介だ。」
俺はタケクラからもらったメモと、ギルドカードを見せた。
「これはこれは。タケクラ様のご紹介ですし、大量のお買い上げですから、思い切って1割引といたしましょう。」
「さすがにタケクラさんが勧めてくれただけのことはあるな。」
定価は大金貨2枚なので、金貨2枚分が割り引かれた。
俺はさらに、ホサキの流邏石の気力を満タンにして、金貨1枚の収納腕輪、野宿用に大銀貨8枚の5人用テントと、銀貨1枚の毛布を4枚、野外調理具など諸々小物など、金貨2枚とちょっとの買い物をした。収納腕輪は金貨1枚もしたが、荷物が嵩張らないから使い勝手はいい。
次に向かったのは装備屋だ。
俺たちの装備は、
俺が、操龍弓、金剛鏑付き封龍矢一手、流邏矢一手、通常矢多数、戻りの箙、射手の軽鎧、鎖鉢金、正射の弽、疾風の靴、収納腕輪。
サヤ姉が、雷神の太刀、風神の脇差、剣士の鎖帷子、鎖鉢金、連撃の籠手、疾風の靴。
サジ姉が、薬師の杖、典医の薬嚢、術士のローブ、鎖鉢金、オペの手袋、疾風の靴。
ホサキが、如意の槍、自在の盾、盾士の重鎧、フルフェイスメット、点突のアームガード、重心のグリーブ。
俺は通常矢の補充、サヤ姉は大小の刀の研ぎ、サジ姉は杖の効果アップ調整、ホサキは如意の槍と自在の盾のバランス調整、合計で金貨1枚だった。
「お?若いの、また来てくれたのか?」
「旨かったからな。穴子と小肌。あとはお任せでな。」
昨日の東都前寿司にまた来てしまった。今夜はホサキも連れて来た。
「あいよっ。ところで、また別嬪が増えてやがるな。若いの、やるじゃねぇか。」
「まぁな。」
タテベ本拠はコスカと言う港町に本拠を構えている。港町コスカの旨い寿司を食い慣れてるホサキが唸った。
「アタル、ここの寿司は絶品だ。コスカの寿司も新鮮さでは負けてないが、穴子の処理と小肌の酢〆の加減には負けを認めざるを得ないな。」
「おい、新顔の嬢ちゃん、昨日の若いのと同じことを言いやがった。分かってるじゃねぇか。嬉しいねぇ。」
今日は、小肌がサービスで出て来た。
「「「「いただきます。」」」」
今度、大将に何か土産を買って来ないとな。
店を出てホサキと別れた。ホサキは流邏石でタテベ本拠に戻って行った。
俺は今夜のことで頭がいっぱいだ。むふふだ。
ところがだ!デラックスダブルに行こうとすると、
「今夜から…アタルは…シングル…。」
「え?」
「昨日、初陣したからもういいわ。あとは婚儀までね。」
「え?えー?」
ふたりはデラックスダブルへと消えた。
♪シ・ン・グ・ルーベーエードで、ひーとりー…♪
そんなワンフレーズが頭の中を流れた。泣
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更新は月水金の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
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