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新婚生活は波乱万丈なの?
新婚生活は波乱万丈なの?5
しおりを挟む「そういう意味じゃないに決まってるでしょ! それに昨日の事だってまだ許したわけじゃないんですからね」
遠慮なく私に迫ってこようとする聖壱さんを両手で思い切り押し返す。もちろん力で彼に勝てるわけない事は分かってるけれど、簡単に彼の思う通りにはなりたくないの。
それに聖壱さんに昨日好き放題されたせいで、私の身体だってまだあちこち痛むくらいなのだから。
「昨夜の事まだ怒っているのか? さっきは俺に愛されて嬉しいってメッセージを送っていたくせに」
確かにそう送ったけれど! 愛するって抱き合う事ばかりじゃない、そう聖壱さんが時間をかけて私に教えてくれたんじゃない。
本当は貴方だって分かってるくせに、そうやって意地悪な事ばかり言うのはどうして?
「……聖壱さんだって、まだ私が料理教室の先生を褒めた事を根に持っているんでしょう? 私の夫はもっと心の広い人だと思っていたのだけど、間違いだったのかしら?」
彼の力に押し負けながらも、まだ諦めたりはしないつもりよ。
昨日の夜、私は彼に悪戯されながらもちゃんと謝ったの。いい加減に機嫌を直して私を変に揶揄うのはやめて欲しいわ。
それにこういう彼のプライドを擽るような言い方をすれば、聖壱さんだってこれ以上は何も出来ないはず。
「……狡くないか、それ?」
「狡くないわ、聖壱さんが私にどう思われてもいいのならばこのまま続ければいいのよ」
さあ、どうするの聖壱さん?「ふふん」と微笑んで見せれば、聖壱さんは大きくため息をついて頭を振った。この様子だと、どうやら諦めてくれたようね。
「悪かった。香津美からそう言われるのは困る、いい夫でありたいとは思ってるから……」
「知っているわ、だからこうして貴方の傍にいるのよ?」
真剣に私の素敵な夫であろうとするのも、こんな時だけ可愛くなる聖壱さんの私にしか見せない顔も。ちゃんと分かっているから、昨日みたいなことがあっても許しちゃう。
でもね……本気で嫌っても怒っても無いけれど、今日はゆっくりベッドで休みたいのよ!
「香津美……そう言われると余計に我慢するのが辛くなるんだが」
真面目な顔でそう言われると困る、でも私はさっさと布団をかぶって聞かなかったことにする。
明かりを消して隣にそっと入ってくる聖壱さん、そっと腕を伸ばして私の身体を引き寄せ抱きしめる。
「今日は、これだけだから」
私の軽くウエーブのかかった髪にそっと口付けられている事が分かる。そのくすぐったさに身を竦めると、小さな笑い声が聞こえそっと頭を撫でられる。
優しいその感触に昨日の疲れがまだとれてなかったのか、私はすぐに眠りの世界へと落ちて行った。
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