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第1章
アリエッタは旅立ちました。
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来週のサマーパーティー用のドレスを見ながら、頭を抱えていた。
やっぱりモブじゃダメなのかしら?
ギレルに突撃しても、ローザの高笑いに阻まれ、
「アリエッタさん。ギレル様とセウスに何かご用かしら?
あらあら、廊下を走ってらしたの?
本当に貴族のご令嬢かしら?
確か、Cクラスでしたわね。ギレル様の隣に立ちたい方なら最低でもAクラスでなければ。
ねぇ……
そうそう、聞きましたわ!
アリエッタさん、ここに来る暇が有るなら、早く提出物をお出しにならないと、先生方が困っておいででしたよ。
まぁ!お顔の色が悪いのでは、なくって?
では、ごきげんよう。
さぁ、行きましょう。ギレル様」
オホホホホ~。
お父様には、怒られ。
「アリエッタ!!貴様、何をしてるんだ!
せっかく私が王へ進言したのに、ガードンと全く話していないじゃないか!
ギレルなんぞ、あの公爵家達が囲っておる、だからガードンを立てるのに、この役立たずが!!
金ばかり使いおって、勉強もまともにしてないではないか!
学園から連絡があったぞ、このままなら退学と言われ、貴様は私の顔に泥を塗るつもりか!!」
八方塞がり。でも、ガードンは無いわ~、アレと結婚?ムリムリ。
はぁ、どうせ帰っても、あのクソ親父が怒鳴り散らしてビクビクするのも嫌よね。
ん?そう言えば、私の前世ってポールダンスのインストラクターだったわ!
そうよ、昔から身体を動かす方が好きだったじゃない!
この世界にはポールダンス無いわね……
ん?この前、確か街にサーカス団みたいのが来てたわ、うん。今なら高価なドレスや宝石が手元にある。
クソ親父の癇癪で、度々母親と屋敷を抜け出していたから、庶民の暮らしも知ってるし、それに軍事ばかりお金を注ぎ込んで、ハリボテの貧乏生活をしてたんだから、大丈夫ね。
思い立ったが吉日!レッツゴー!
カバンに詰め込めるだけ、ドレスや宝石類。あとは着替えも入れて寮から逃げ出した。
夜、サーカス団のテントまで行くと、カッコいいお兄さんが柔軟体操をしていた。
「すみません。このサーカス団で雇って頂けませんか?」
「は?平民じゃないよな?帰りな」
一瞥して、バカにした様な態度。でも、引き下がらないわよ!
「何でもやります!面接だけでもお願いします!」
ガバッと頭を下げてお願いすると、テントの中から、恰幅の良い男性が現れた。
「誰かの紹介か?」
きっと偉い人だ!
「違います。しかし、私はここで働きたい。一度だけでも私の演技を見て頂けませんか?」
必死にお願いすると、偉い人は中へ入るように言ってくれた。
よし、気合い入れてやるわよ!
女性用の更衣室へ案内してもらい、私は持参したワンピースを、短くハサミで切って、ペチコートを履き準備完了。
偉い人が待つステージへ足を踏み入れた。
「何をするんだ?」
怪訝な表情の偉い人と、団員数名が立っている。
「この支柱を使っても良いですか?」
テントを支える支柱に手を掛ける、未だ怪訝な表情だが、大丈夫!私ならやれる!
「宜しい、では始めてくれ」
「はい!」
目を閉じて深呼吸。心の中で好きだった曲を流し支柱へ足を掛ける。
専用じゃない為、不恰好になったが顔だけは笑顔で演技を続ける。一心不乱に演技をしていたら、
パチパチパチパチ。
「初めて見たけど、何て踊り?」
「これは妖艶だね、でも曲と衣装で変わるか?」
「ほぅ、支柱を使うとは斬新」
偉い人と団員達から、あたたかい拍手が送られ、今世で初めて心の底から嬉しいと感じた。
「どうでしょうか?」
頭を下げてから、恐る恐る顔を上げた。
すると、皆が笑っている顔が見え、嬉しくなった。
「まだ、人前に出れないけど見習いなら良い。厳しいけど、やれるかい?」
「はい!宜しくお願いします!」
認められた事に涙が出た。ここはゲームじゃない、私は生きているんだ!
大切な場所を見つけて、私は自分の人生を歩いて行く。
やっぱりモブじゃダメなのかしら?
ギレルに突撃しても、ローザの高笑いに阻まれ、
「アリエッタさん。ギレル様とセウスに何かご用かしら?
あらあら、廊下を走ってらしたの?
本当に貴族のご令嬢かしら?
確か、Cクラスでしたわね。ギレル様の隣に立ちたい方なら最低でもAクラスでなければ。
ねぇ……
そうそう、聞きましたわ!
アリエッタさん、ここに来る暇が有るなら、早く提出物をお出しにならないと、先生方が困っておいででしたよ。
まぁ!お顔の色が悪いのでは、なくって?
では、ごきげんよう。
さぁ、行きましょう。ギレル様」
オホホホホ~。
お父様には、怒られ。
「アリエッタ!!貴様、何をしてるんだ!
せっかく私が王へ進言したのに、ガードンと全く話していないじゃないか!
ギレルなんぞ、あの公爵家達が囲っておる、だからガードンを立てるのに、この役立たずが!!
金ばかり使いおって、勉強もまともにしてないではないか!
学園から連絡があったぞ、このままなら退学と言われ、貴様は私の顔に泥を塗るつもりか!!」
八方塞がり。でも、ガードンは無いわ~、アレと結婚?ムリムリ。
はぁ、どうせ帰っても、あのクソ親父が怒鳴り散らしてビクビクするのも嫌よね。
ん?そう言えば、私の前世ってポールダンスのインストラクターだったわ!
そうよ、昔から身体を動かす方が好きだったじゃない!
この世界にはポールダンス無いわね……
ん?この前、確か街にサーカス団みたいのが来てたわ、うん。今なら高価なドレスや宝石が手元にある。
クソ親父の癇癪で、度々母親と屋敷を抜け出していたから、庶民の暮らしも知ってるし、それに軍事ばかりお金を注ぎ込んで、ハリボテの貧乏生活をしてたんだから、大丈夫ね。
思い立ったが吉日!レッツゴー!
カバンに詰め込めるだけ、ドレスや宝石類。あとは着替えも入れて寮から逃げ出した。
夜、サーカス団のテントまで行くと、カッコいいお兄さんが柔軟体操をしていた。
「すみません。このサーカス団で雇って頂けませんか?」
「は?平民じゃないよな?帰りな」
一瞥して、バカにした様な態度。でも、引き下がらないわよ!
「何でもやります!面接だけでもお願いします!」
ガバッと頭を下げてお願いすると、テントの中から、恰幅の良い男性が現れた。
「誰かの紹介か?」
きっと偉い人だ!
「違います。しかし、私はここで働きたい。一度だけでも私の演技を見て頂けませんか?」
必死にお願いすると、偉い人は中へ入るように言ってくれた。
よし、気合い入れてやるわよ!
女性用の更衣室へ案内してもらい、私は持参したワンピースを、短くハサミで切って、ペチコートを履き準備完了。
偉い人が待つステージへ足を踏み入れた。
「何をするんだ?」
怪訝な表情の偉い人と、団員数名が立っている。
「この支柱を使っても良いですか?」
テントを支える支柱に手を掛ける、未だ怪訝な表情だが、大丈夫!私ならやれる!
「宜しい、では始めてくれ」
「はい!」
目を閉じて深呼吸。心の中で好きだった曲を流し支柱へ足を掛ける。
専用じゃない為、不恰好になったが顔だけは笑顔で演技を続ける。一心不乱に演技をしていたら、
パチパチパチパチ。
「初めて見たけど、何て踊り?」
「これは妖艶だね、でも曲と衣装で変わるか?」
「ほぅ、支柱を使うとは斬新」
偉い人と団員達から、あたたかい拍手が送られ、今世で初めて心の底から嬉しいと感じた。
「どうでしょうか?」
頭を下げてから、恐る恐る顔を上げた。
すると、皆が笑っている顔が見え、嬉しくなった。
「まだ、人前に出れないけど見習いなら良い。厳しいけど、やれるかい?」
「はい!宜しくお願いします!」
認められた事に涙が出た。ここはゲームじゃない、私は生きているんだ!
大切な場所を見つけて、私は自分の人生を歩いて行く。
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