月影館の呪い

葉羽

文字の大きさ
上 下
12 / 14
12章

絆の力

しおりを挟む
葉羽と彩由美、そして他のゲストたちは、兄弟たちの影が消えた後、再び静まり返った月影館の中に立ち尽くしていた。彼らの胸には、兄弟たちの思いを受け止める決意が宿っていた。今こそ、彼らの絆の力を信じて行動する時だ。

「これからどうする?」一人の男性が尋ねる。

「私たちが兄弟たちの思いを理解し、彼らの絆を取り戻すための方法を考えなければならない。」葉羽は周囲を見渡しながら答えた。「まずは、兄弟たちが最後に交わした約束や思いについて、さらに深く掘り下げてみよう。」

「それなら、兄弟たちの思い出の場所を訪れてみるのがいいかもしれない。」彩由美が提案した。「彼らがどこでよく集まっていたのか、どんな思い出があるのかを知ることで、絆を取り戻す手助けになるはず。」

「いい考えだ!」葉羽は同意し、皆を鼓舞する。「それぞれの場所に行くことで、兄弟たちの思いを感じることができるかもしれない。」

ゲストたちは頷き、それぞれの思い出の場所を探すために館の中を散らばることにした。葉羽と彩由美は、まず兄弟たちが集まったという書斎へ向かうことにした。

書斎に入ると、薄暗い空間が二人を迎えた。古びた家具や本棚が並ぶ中、葉羽はその一つ一つを注意深く見つめた。「ここで、彼らはどんな会話を交わしていたのだろう……」

「もしかしたら、兄弟たちが大切にしていたものが隠されているかもしれない。」彩由美が言った。「何か手がかりが見つかるかも。」

二人は書斎を注意深く調べ始めた。本棚の本を一冊一冊めくり、引き出しを開け、古い家具の中を探った。しかし、特に目立ったものは見つからなかった。

「何も見つからないね……」彩由美が少し落胆した様子で言った。

「まだ諦めるのは早い。兄弟たちの思いは、きっとどこかに残っているはずだ。」葉羽は根気強く言った。

その時、彼は書斎の壁に掛けられた一枚の絵に目を留めた。兄弟たちの家族の絵で、その中には笑顔の兄弟たちが描かれていた。「この絵、兄弟たちが仲良かった頃のものだ。」

「確かに、楽しそうな表情をしているね。」彩由美も絵に近づいた。「この絵の裏に何か隠されているかもしれない。」

葉羽は絵を少し持ち上げ、裏側を調べてみる。すると、そこには小さな封筒が貼り付けられていた。「見て、何かある!」

彼は封筒を剥がし、中の紙を取り出した。そこには、兄弟たちの手書きのメモが書かれていた。「私たちは決して離れない。たとえどんな時でも、心は一つだ。」

「この言葉が、彼らの絆を象徴しているね。」彩由美が感動した声で言った。「このメモは、兄弟たちの思いを表している。」

「そうだ。彼らはどんな困難があっても、互いを思いやる気持ちを忘れなかったんだ。」葉羽はその言葉に強く共感した。「このメモは、私たちが兄弟たちの絆を取り戻すための大切な手がかりになる。」

二人はそのメモを大切に持ち、次の行動を考えることにした。「次は、兄弟たちがよく遊んでいた場所に行ってみよう。」葉羽が提案した。

「確か、庭に広がる大きな木の下で遊んでいたと聞いたことがある。」彩由美が思い出した。

二人は書斎を後にし、庭へ向かうことにした。庭に出ると、大きな木が静かに佇んでいた。葉羽はその木の下に近づき、周囲を見渡した。

「ここが、彼らが遊んでいた場所か……」葉羽は感慨深げに言った。

「きっと、ここでもたくさんの思い出があるんだろうね。」彩由美も木を見上げた。

葉羽はその場に座り、木の根元に手を置いた。「ここで、兄弟たちがどんな遊びをしていたのか想像してみよう。」

「きっと、楽しい時間を過ごしていたんだろうね。笑い声が聞こえてくるようだ。」彩由美も微笑んだ。

その瞬間、風が吹き抜け、木の葉がざわめいた。「私たちが共にいる限り、絆は決して消えない。」葉羽はその言葉を思い出し、心の中で兄弟たちの思いを感じた。

「この木の下で、兄弟たちの絆がどのように育まれていたのか、理解できる気がする。」葉羽は言った。

「私たちも、彼らの思いを大切にしながら、この絆を取り戻すために頑張ろう!」彩由美は力強く言った。

二人はその場で誓いを立て、兄弟たちの思いを受け止める決意を新たにした。そして、彼らの絆を取り戻すために、さらなる冒険を続けることを決めた。

「次は、兄弟たちがよく集まっていた場所を探そう。彼らの思い出をもっと深く知ることで、絆を強める手助けになるはずだ。」葉羽は前を向いて言った。

「一緒に行こう!」彩由美も力強く頷いた。

二人は、月影館の中で兄弟たちの思いを探し続けることにした。彼らの絆を取り戻すための旅は、まだ始まったばかりだった。過去の真実を解き明かすことで、呪いを解く力が宿ることを信じて、彼らは新たな道を歩み始めた。 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

仮題「難解な推理小説」

葉羽
ミステリー
主人公の神藤葉羽は、鋭い推理力を持つ高校2年生。日常の出来事に対して飽き飽きし、常に何か新しい刺激を求めています。特に推理小説が好きで、複雑な謎解きを楽しみながら、現実世界でも人々の行動を予測し、楽しむことを得意としています。 クラスメートの望月彩由美は、葉羽とは対照的に明るく、恋愛漫画が好きな女の子。葉羽の推理力に感心しつつも、彼の少し変わった一面を心配しています。 ある日、葉羽はいつものように推理を楽しんでいる最中、クラスメートの行動を正確に予測し、彩由美を驚かせます。しかし、葉羽は内心では、この退屈な日常に飽き飽きしており、何か刺激的な出来事が起こることを期待しています。

双極の鏡

葉羽
ミステリー
神藤葉羽は、高校2年生にして天才的な頭脳を持つ少年。彼は推理小説を読み漁る日々を送っていたが、ある日、幼馴染の望月彩由美からの突然の依頼を受ける。彼女の友人が密室で発見された死体となり、周囲は不可解な状況に包まれていた。葉羽は、彼女の優しさに惹かれつつも、事件の真相を解明することに心血を注ぐ。 事件の背後には、視覚的な錯覚を利用した巧妙なトリックが隠されており、密室の真実を解き明かすために葉羽は思考を巡らせる。彼と彩由美の絆が深まる中、恐怖と謎が交錯する不気味な空間で、彼は人間の心の闇にも触れることになる。果たして、葉羽は真実を見抜くことができるのか。

先生、それ、事件じゃありません

菱沼あゆ
ミステリー
女子高生の夏巳(なつみ)が道で出会ったイケメン探偵、蒲生桂(がもう かつら)。 探偵として実績を上げないとクビになるという桂は、なんでもかんでも事件にしようとするが……。 長閑な萩の町で、桂と夏巳が日常の謎(?)を解決する。 ご当地ミステリー。

リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴
ミステリー
 『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。  主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。  それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。  物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。  翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?  翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!

支配するなにか

結城時朗
ミステリー
ある日突然、乖離性同一性障害を併発した女性・麻衣 麻衣の性格の他に、凶悪な男がいた(カイ)と名乗る別人格。 アイドルグループに所属している麻衣は、仕事を休み始める。 不思議に思ったマネージャーの村尾宏太は気になり 麻衣の家に尋ねるが・・・ 麻衣:とあるアイドルグループの代表とも言える人物。 突然、別の人格が支配しようとしてくる。 病名「解離性同一性障害」 わかっている性格は、 凶悪な男のみ。 西野:元国民的アイドルグループのメンバー。 麻衣とは、プライベートでも親しい仲。 麻衣の別人格をたまたま目撃する 村尾宏太:麻衣のマネージャー 麻衣の別人格である、凶悪な男:カイに 殺されてしまう。 治療に行こうと麻衣を病院へ送る最中だった 西田〇〇:村尾宏太殺害事件の捜査に当たる捜一の刑事。 犯人は、麻衣という所まで突き止めるが 確定的なものに出会わなく、頭を抱えて いる。 カイ :麻衣の中にいる別人格の人 性別は男。一連の事件も全てカイによる犯行。 堀:麻衣の所属するアイドルグループの人気メンバー。 麻衣の様子に怪しさを感じ、事件へと首を突っ込んでいく・・・ ※刑事の西田〇〇は、読者のあなたが演じている気分で読んで頂ければ幸いです。 どうしても浮かばなければ、下記を参照してください。 物語の登場人物のイメージ的なのは 麻衣=白石麻衣さん 西野=西野七瀬さん 村尾宏太=石黒英雄さん 西田〇〇=安田顕さん 管理官=緋田康人さん(半沢直樹で机バンバン叩く人) 名前の後ろに来るアルファベットの意味は以下の通りです。 M=モノローグ (心の声など) N=ナレーション

virtual lover

空川億里
ミステリー
 人気アイドルグループの不人気メンバーのユメカのファンが集まるオフ会に今年30歳になる名願愛斗(みょうがん まなと)が参加する。  が、その会を通じて知り合った人物が殺され、警察はユメカを逮捕する。  主人公達はユメカの無実を信じ、真犯人を捕まえようとするのだが……。

お狐様の言うとおり

マヨちくわ
ミステリー
犯人を取り逃したお巡りさん、大河内翔斗がたどり着いたのは、小さな稲荷神社。そこに住み着く神の遣い"お狐様"は、訳あって神社の外には出られない引きこもり狐だけれど、推理力は抜群!本格的な事件から日常の不思議な出来事まで、お巡りさんがせっせと謎を持ち込んではお狐様が解く、ライトミステリー小説です。 1話完結型のオムニバス形式、1話あたり10000字前後のものを分割してアップ予定。不定期投稿になります。

警狼ゲーム

如月いさみ
ミステリー
東大路将はIT業界に憧れながらも警察官の道へ入ることになり、警察学校へいくことになった。しかし、現在の警察はある組織からの人間に密かに浸食されており、その歯止めとして警察学校でその組織からの人間を更迭するために人狼ゲームを通してその人物を炙り出す計画が持ち上がっており、その実行に巻き込まれる。 警察と組織からの狼とが繰り広げる人狼ゲーム。それに翻弄されながら東大路将は狼を見抜くが……。

処理中です...