月明かりの儀式

6章

第二の殺人

葉羽と彩由美は、月明かりの間で儀式の準備を進めていた。時計台の周りには、古い書物や日記が散乱し、彼らの心には不安と期待が入り混じっていた。時間は迫っており、急がなければならなかった。

「これが儀式の言葉だ…」葉羽は、古びたページを指差しながら言った。「満月の夜に、過去の罪を償うために、私たちはこの言葉を唱えなければならない。エミリアたちを救うために！」

彩由美はその内容を真剣に読み、頷いた。「でも、本当にうまくいくのかな…？」

葉羽は彼女の目を見て、しっかりとした声で答えた。「うん、信じよう。私たちがこの儀式を成功させれば、エミリアたちを解放できるはずだ。」

二人は儀式の準備を整え、月明かりが差し込む中央へと向かった。時計台の前に立ち、葉羽は心を落ち着けるために深呼吸をした。彼の心の中には、過去の住人たちの悲劇を解き明かしたいという強い思いが渦巻いていた。

「準備はいい？」葉羽が尋ねると、彩由美は少し緊張した様子で頷いた。「うん、やってみよう！」

時計の針が満月の位置に達する。その瞬間、葉羽は儀式の言葉を声に出して唱え始めた。「月の光の下に、過去の罪を償うために、我が名を呼び、真実を求める…」

彼が言葉を唱えるたび、周囲の空気が変わっていくのを感じた。月の光が一層強くなり、部屋全体が神秘的な雰囲気に包まれていく。彩由美もその光景に魅了され、彼の横で静かに見守っていた。

「助けて…私たちを解放して…」その時、エミリアの声が再び響いた。葉羽はその声に引き寄せられるように、儀式を続けた。

「我が名を呼び、真実を求める…」

すると、突然、部屋の空気が一変した。冷たい風が吹き抜け、葉羽と彩由美は身を震わせた。その瞬間、時計が不気味な音を立て、針が逆回りに動き出した。

「葉羽くん、何が起こっているの？」彩由美が不安げに尋ねる。

「分からない！でも、止めなければならない！」葉羽は焦りながらも、儀式を続けた。「過去の罪を解き放ち、私たちを導いてください！」

その時、突然、部屋の奥から悲鳴が聞こえた。「助けて…！」それは、確かに誰かの声だった。二人はその声に驚き、顔を見合わせた。

「誰かがいるの…？」彩由美が怯えた声でつぶやく。

葉羽は心臓が高鳴るのを感じながら、その声の主を求めて動き出した。「行こう、何が起こっているのか確認しよう！」

二人はその声の方へと進んでいく。廊下を抜け、部屋の奥に入ると、目の前には不気味な光景が広がっていた。

そこには、もう一人の若者が倒れていた。彼は床に横たわり、顔は青白く、まるで息をしていないように見えた。葉羽は驚愕し、駆け寄った。

「大丈夫か？しっかりしてくれ！」葉羽はその若者を揺さぶるが、反応はなかった。彼はまるで意識を失っているかのようだった。

「これ、どうして…？」彩由美が震える声で尋ねる。葉羽は、その場の状況を理解しようと必死だった。

その時、再びあの不気味な声が響いた。「助けて…助けて…」

葉羽はその声の主を探し、周囲を見回した。すると、目の前の壁にかかっている古い鏡が、何かを映し出していることに気づいた。鏡の中には、悲しげな表情のエミリアが映っていた。

「私たちを解放して…」彼女の声が響く。葉羽はその言葉を聞き、何が起こっているのかを理解しようとした。

「エミリア、どうすればこの若者を助けられるの？」葉羽は必死に問いかけた。

「彼は、儀式の影響を受けた者。過去の呪いに囚われている。真実を知ることで、彼を救える。」エミリアの声は、悲しみと切なさを含んでいた。

「どうすればいいんだ！」葉羽は焦りながら叫んだ。

その時、鏡の中で映し出された影が動き出し、葉羽の目の前に現れた。彼はその影が、過去の住人たちの一人であることに気づいた。

「私たちの過去を知り、儀式を完成させなければならない。」影は力強く告げた。「過去の悲劇を解き放つことで、彼を救えるのだ。」

葉羽はその言葉を胸に刻み、再び儀式を行う決意を固めた。「彩由美、もう一度儀式を行う必要がある。彼を助けるために！」

彩由美は頷き、二人は再び月明かりの間に戻った。時計台の前に立ち、葉羽は心を落ち着け、儀式の言葉を再び唱え始めた。

「月の光の下に、過去の罪を償うために…」

彼の声が響く中、部屋の空気が再び変わり始める。光が強まり、影たちが集まってきた。過去の住人たちが、彼らの運命を解き放とうとしているのだ。

「過去の悲劇を知り、真実を求めよ！」葉羽は叫んだ。すると、影たちが一斉に動き出し、彼らの周囲に集まり始めた。

「私たちを解放して…」エミリアの声が再び響く。葉羽はその声に導かれ、儀式を続ける。

果たして、葉羽と彩由美はこの儀式を成功させ、彼を救うことができるのか。運命の歯車が今、再び動き出そうとしていた。