推理の迷宮

葉羽

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6章

推理小説作家の来訪

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第6章: 推理小説作家の来訪

影山誠二の突然の登場に、葉羽と彩由美は戸惑いを隠せなかった。

「提案とは?」葉羽が慎重に尋ねた。

影山は楽しそうに笑いながら答えた。「君たち二人に、私の新作のモデルになってほしいんだ。」

「モデル?」彩由美が首を傾げる。

「そう。君たちの関係性、そしてこの一連の出来事。これこそ最高の推理小説の題材だよ。」影山は興奮気味に説明を続けた。「天才高校生探偵と、彼を振り向かせるために謎を仕掛ける幼なじみのヒロイン。素晴らしいじゃないか!」

葉羽は眉をひそめた。「待ってください。どうしてこの場所を知っているんです?」

影山は少し困ったような表情を見せた。「実は...私は彩由美さんの協力者なんだ。」

「え?」葉羽は驚いて彩由美を見た。

彩由美は申し訳なさそうに説明を始めた。「ごめんね、葉羽。実は影山先生とは数ヶ月前に出会って...私の想いを聞いてくれたの。そして、あなたの注目を集める方法を考えてくれたの。」

葉羽は複雑な表情で聞いていた。「つまり、この全ての謎は...」

「ええ、私と影山先生が協力して作り上げたものよ。」彩由美は少し恥ずかしそうに答えた。

影山が続けた。「しかし、君の推理力は私の予想を遥かに超えていた。体育館のからくりを解くスピードには驚いたよ。」

葉羽は少し考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。「確かに、これは面白い展開だ。でも...」

彼は彩由美をまっすぐ見つめた。「こんな回りくどい方法を取らなくても良かったんだ。」

彩由美は驚いた表情を浮かべた。「え?」

「君の気持ち...実は気づいていたんだ。ただ、自分の気持ちに自信が持てなくて...」葉羽は少し照れくさそうに言った。

彩由美の目に涙が浮かんだ。「葉羽...」

影山は二人を見て満足そうに頷いた。「さて、これで物語の山場は終わったようだね。では、私の提案についてだが...」

その時、再び警報が鳴り響いた。

「また侵入者?」葉羽が驚いて叫んだ。

影山は困惑した表情を浮かべた。「いや、これは私たちの計画にはない...」

突然、地下室のドアが勢いよく開き、数人の黒服の男たちが飛び込んできた。

「動くな!」

葉羽と彩由美、そして影山は固まった。

黒服の男たちの中から、一人の年配の紳士が現れた。

「やあ、葉羽くん。久しぶりだね。」

葉羽は驚きのあまり声を失った。その人物は...

「お、おじいさん...?」

部屋の空気が一変する。葉羽の祖父、神藤誠一郎の登場により、状況は新たな展開を迎えようとしていた。

「さて、孫よ。君にはこれから、家族の真実を知ってもらう時が来たようだ。」

誠一郎の言葉に、葉羽は直感した。これまでの全ての謎は、まだ序章に過ぎなかったのだと。
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