量子幽霊の密室：五感操作トリックと魂の転写

16章

逆転の発想

「逮捕…？」

葉羽は、警察官の言葉に耳を疑った。自分が逮捕される？一体、何の罪で？

「…神藤葉羽、貴様を、五十嵐進太郎殺害の容疑で逮捕する」

刑事は、冷徹な声で告げた。葉羽は、愕然とした. 自分が、五十嵐殺害の犯人として疑われている？そんな馬鹿な…。

「…待ってください！葉羽くんは、犯人じゃない！」

彩由美は、必死に抗議した。しかし、刑事は聞く耳を持たなかった。

「…証拠は揃っている。貴様の指紋が、凶器から検出された。更に、貴様は、事件現場である幽霊屋敷にいた。状況証拠は揃っている」

刑事は、淡々と事実を突きつけた. 葉羽は、絶望感に襲われた. 状況証拠は、確かに自分を犯人だと示していた. しかし、彼は本当に無実だ。一体、誰がこんなことを仕組んだのだろうか？

「…信じてください…僕は、何もしていません…」

葉羽は、必死に訴えた。しかし、刑事は冷ややかな視線を向けた。

「…黙秘権を行使するなら、それでも構わない。だが、裁判で不利になるだけだぞ」

刑事は、葉羽に警告した。葉羽は、言葉を失った。彼は、どうすればいいのか分からなかった。

その時、葉羽の脳裏に、ある考えが閃いた. マジック。彼は、幼い頃からマジックを趣味としており、プロ並みの腕前を持っていた。彼は、マジックを使って、この窮地を脱することを思いついた。

「…待ってください。私は、マジックを使って、自分の無実を証明できます」

葉羽は、自信に満ちた声で言った. 刑事は、怪訝な表情を浮かべた。

「…マジック？何を馬鹿なことを言っている」

刑事は、鼻で笑った.

「…本当です。見てください」

葉羽は、ポケットからトランプを取り出した. 彼は、トランプを使って、鮮やかなマジックを披露した. トランプは、葉羽の手の中で自在に舞い、まるで生きているかのようだった.

刑事は、葉羽のマジックに目を奪われた. 彼は、葉羽の巧みな手際に、驚きを隠せないでいた.

葉羽は、マジックの最後に、一枚のカードを刑事に差し出した. カードには、「私は無実です」と書かれていた.

「…これは…！」

刑事は、驚愕した. 彼は、葉羽のマジックのトリックを見破ることができなかった。

「…私は、マジックを使って、自分の無実を証明しました. これで、私を逮捕する理由はありませんね？」

葉羽は、自信に満ちた声で言った. 刑事は、しばらく考え込んだ後、渋々頷いた。

「…分かった。今回は、見逃してやろう. だが、次に何かあれば、容赦はしないぞ」

刑事は、葉羽に警告した.

「…ありがとうございます」

葉羽は、安堵の息を漏らした. 彼は、マジックを使って、窮地を脱することができたのだ。

しかし、葉羽は、まだ安心することはできなかった。真犯人は、まだ捕まっていない。彼は、事件の真相を解明し、真犯人を逮捕するまで、諦めるつもりはなかった.

葉羽は、彩由美と共に、再び幽霊屋敷へと向かった。彼は、事件の真相を解き明かす鍵が、この屋敷に隠されていることを確信していた。