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14章

反撃の狼煙

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朽ち果てた洋館の内部は、まるで迷宮のようだった。崩れ落ちた壁、軋む床、そして、どこまでも続く暗闇。まるで、この世界の終末を象徴しているかのようだった。

懐中電灯の光を頼りに、俺は慎重に進んでいった。空気は重く、生暖かい風が吹き付ける。時折、どこからともなく、不気味な音が聞こえてくる。まるで、この洋館が生きているかのように。

冴紗は、情報特異点から俺をサポートしていた。

「…気を付けて、神藤葉羽くん…この洋館は、異次元エネルギーに満ちている…何か、強力な結界のようなものが張られている可能性もある…」

冴紗の警告に、俺は警戒を強めた。この洋館は、ただの廃墟ではない。眼球が次元超越の拠点として選んだ、特別な場所なのだ。

奥へ進むにつれて、異様な気配が濃くなっていく。壁には奇妙な模様が描かれ、床には得体の知れない液体が流れ出ている。まるで、異形の生物が棲みついているかのような、不気味な雰囲気だ。

その時、俺の目の前に、異形の人影が現れた。人間のようで人間ではない、グロテスクな姿をした怪物。まるで、悪夢から抜け出してきたかのように、おぞましい存在だった。

「…なんだ、あれは…!」

俺は、思わず息を呑んだ。怪物は、唸り声を上げながら、俺に襲いかかってきた。

俺は、咄嗟に身をかがめ、怪物の攻撃をかわした。そして、事前に用意していたスタンガンを構え、怪物に電撃を浴びせた。

怪物は、悲鳴を上げながら、床に倒れ込んだ。だが、すぐに起き上がり、再び俺に襲いかかってきた。

「…しつこい奴だ…」

俺は、舌打ちしながら、懐中電灯を振り回し、怪物を牽制した。そして、隙を見て、催涙スプレーを噴射した。

怪物は、苦しげに咳き込みながら、後退した。俺は、その隙に、奥へと逃げ込んだ。

怪物は、執拗に俺を追いかけてきた。まるで、獲物を逃がすまいとする獣のように。

俺は、迷宮のような洋館の中を逃げ惑いながら、反撃の機会を伺った。そして、ついに、チャンスが訪れた。

広いホールに出た瞬間、俺は床に仕掛けられた罠に気づいた。それは、眼球が仕掛けた罠だった。

俺は、罠を逆手に取り、怪物を誘い込んだ。怪物は、罠に気づかずに飛び込み、身動きが取れなくなった。

俺は、すかさずスタンガンでとどめを刺した。怪物は、消滅した。

だが、これで終わりではない。この洋館には、他にも多くの怪物が潜んでいるはずだ。

俺は、気を引き締め、奥へと進んだ。そして、ついに、洋館の最深部へと辿り着いた。

そこには、巨大な鏡が設置されていた。鏡の表面には、あの螺旋模様が浮かび上がっている。

「…これが…次元のゲート…か…」

俺は、呟いた。この鏡こそが、異次元とこの世界を繋ぐ扉なのだ。

その時、背後から声が聞こえた。

「…よくぞここまで辿り着いた…神藤葉羽…」

振り返ると、そこに立っていたのは、黒ずくめの男だった。男の顔は、深いフードに隠れて見えない。

「…お前は…誰だ…?」

俺は、男に問いかけた。

「…私は、この世界の管理者…そして、お前の案内人…」

男は、低い声で答えた。

「…これから、お前を…真のゲームへと…招待しよう…」

男の言葉に、俺は身構えた。真のゲーム? それは、何を意味するのか?

鏡の表面の螺旋模様が、輝きを増していく。まるで、異次元への扉が開かれようとしているかのように。

俺は、深呼吸をし、来るべき戦いに備えた。反撃の狼煙は、既に上がっていた。
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