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17章

再生のレクイエム

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隠し通路は、長く暗いトンネルだった。葉羽は彩由美の手を握りしめ、懐中電灯の光を頼りに、出口を探して進んだ。背後からは、常盤邸の崩壊する音が響いてくる。まるで、深淵が彼らを追いかけてくるかのようだった。

「大丈夫、彩由美。もうすぐ出口だ」

葉羽は、彩由美を励ますように言った。彩由美は、恐怖に震えながらも、葉羽の手を強く握り返した。

しばらく進むと、前方に光が見えた。出口だ。二人は、光に向かって走り出した。

トンネルを抜けると、そこは常盤邸の裏庭だった。夜空には、満天の星が輝いている。葉羽と彩由美は、深呼吸をして、新鮮な夜風を胸いっぱいに吸い込んだ。

彼らは、生き延びた。そして、共生体の脅威は、完全に消滅した。

後日、久我山は警察に自首し、全ての罪を認めた。彼は、共生体の研究と、壮一郎の殺害について詳細に語り、事件の真相が明らかになった。葛城の遺体も発見され、彼の共生体との融合の事実も確認された。

事件は解決し、葉羽と彩由美は、再び平穏な日常へと戻った。しかし、この事件は、彼らの心に深い傷跡を残した。彼らは、人間の愚かさ、そして、科学の進歩の危険性を改めて認識した。

事件から数日後、葉羽は自宅の書斎で、再び推理小説を読み耽っていた。彼は、事件の記憶を振り払うように、ページをめくっていく。

その時、彼の目に、一冊の本が留まった。それは、壮一郎が書き残した研究日誌だった。葉羽は、日誌を手に取り、ページをめくった。

そこには、共生体に関する新たな情報が記されていた。共生体は、完全に消滅したわけではなく、今もどこかで生き続けている可能性があるというのだ。

葉羽は、息を呑んだ。事件は、まだ終わっていなかった。深淵は、今もなお、彼らを覗き込んでいる。

葉羽は、決意を新たにした。彼は、再び立ち上がり、書斎の窓を開けた。夜空には、満天の星が輝いている。

「俺は…真実を追い求め続ける…」

葉羽は、静かに呟いた。彼の瞳には、知的な光が宿っていた。そして、彼の心には、新たな謎への挑戦心が燃えていた。

エピローグ

事件から一年後、葉羽は高校を卒業し、大学に進学した。彼は、法学部で法律を学び、将来は弁護士になることを目指していた。彩由美も、同じ大学に進学し、心理学を専攻していた。

二人は、相変わらず仲が良く、休日は一緒に図書館で過ごしたり、映画を見に行ったりしていた。

ある日、葉羽は図書館で、一冊の古書を見つけた。それは、古代生物に関する書物だった。葉羽は、何かに導かれるように、その本を開いた。

そこには、共生体によく似た生物の記述があった。それは、太古の昔から存在し、様々な生物に寄生して進化を遂げてきた生物だという。

葉羽は、息を呑んだ。共生体の起源は、壮一郎の研究よりもはるかに古いものだったのだ。そして、共生体は、今もなお、世界のどこかで生き続けているかもしれない。

葉羽は、再び深淵を覗き込んでしまったことを悟った。そして、彼は、再び立ち上がり、図書館を後にした。

彼の心には、新たな謎への挑戦心が燃えていた。

(完)
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