没入劇場の悪夢：天才高校生が挑む最恐の密室殺人トリック

16章

悪夢の終幕

灰崎硝子の自白によって、事件の全貌が明らかになった。彼女が語った物語は、狂気と悲劇に満ちたものだった。

幼い頃から烏丸蔵人に精神的、そして時には肉体的な虐待を受けて育った灰崎硝子。彼女にとって、烏丸は恐怖の対象であり、同時に憎しみの象徴でもあった。烏丸の歪んだ愛情表現は、彼女の人格を歪め、心に深い傷跡を残した。

成長するにつれ、灰崎硝子の心の中には復讐の炎が燃え上がっていった。彼女は、烏丸に受けた仕打ちを、そのまま彼に返すことを誓ったのだ。

そして、烏丸が新たな演劇を上演することを知った灰崎硝子は、この機会を利用して復讐を果たすことを決意した。彼女は、烏丸の没入型演劇というコンセプトを逆手に取り、劇場全体を巨大な復讐劇の舞台へと変貌させたのだ。

灰崎硝子は、周到な計画を立てた。彼女は、劇場の構造を熟知していただけでなく、烏丸の心理状態も正確に把握していた。彼女は、烏丸の恐怖心と猜疑心を巧みに利用し、彼を精神的に追い詰めていった。

彼女は、まず烏丸に特殊な薬物を投与し、意識を朦朧とさせた。そして、彼を偽の密室へと誘い込み、恐怖心を煽り立てる幻覚を見せた。烏丸は、現実と虚構の区別がつかなくなり、錯乱状態に陥った。

そして、灰崎硝子は、烏丸を殺害した。彼女は、烏丸の胸に短剣を突き刺し、彼の命を奪った。

その後、灰崎硝子は、巧妙な偽装工作を行った。彼女は、凶器を特殊な薬品で溶かし、証拠を隠滅した。そして、アリバイ工作を行い、自分の犯行を隠蔽した。

灰崎硝子の計画は、完璧だった。彼女は、誰にも疑われることなく、復讐を果たすことに成功したのだ。

しかし、灰崎硝子の計画には、もう一つの罠が仕掛けられていた。

それは、劇場全体を破壊する最終装置だった。

この装置は、烏丸が密かに設置したものだった。彼は、自分の死後、劇場が灰崎硝子の手に渡ることを恐れ、劇場を破壊する装置を仕掛けていたのだ。

装置は、特定の条件下で自動的に作動するようになっていた。そして、その条件は、既に満たされていた。

葉羽は、装置の存在に気づいていた。彼は、灰崎硝子の自白を聞きながら、装置の起動を阻止しようと試みた。

しかし、既に遅かった。

装置は、作動を開始した。

劇場全体が、激しい振動に襲われた。壁や天井からは、瓦礫が崩れ落ち、床には亀裂が走った。

葉羽は、彩由美を助け出すために、最後の力を振り絞った。彼は、瓦礫の下敷きになりながらも、彩由美を安全な場所へと避難させた。

そして、葉羽は、装置の暴走を止めようとした。彼は、制御装置へと向かい、配線を操作しようとした。

しかし、その時、劇場全体が崩壊を始めた。