無限の迷路

葉羽

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12章

証言のパズル

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第12章: 証言のパズル

現場に戻った葉羽と彩由美は、伊藤博士から借りたゴーグルを使い、再度部屋を調査することにした。微細な証拠を見逃さないように、二人は念入りに部屋の隅々を確認した。

「ここだ、彩由美。微細な粒子が見える。」葉羽がゴーグルをかけながら指差した場所には、目には見えないがゴーグル越しに見える毒ガスの痕跡が残っていた。

「すごい、本当に見えるんだ…」彩由美もゴーグルを通して確認し、驚きを隠せなかった。

「これで、毒ガスがどのように部屋中に充満したかが分かる。この痕跡を辿れば、犯人がどのようにして密室を作り上げたかも見えてくる。」葉羽は確信を深めた。

次に、二人は招待客たちの証言を再度確認することにした。証言の矛盾点を探し出し、事件の真相に迫るための手がかりを見つけるのだ。

「皆さん、もう一度お話を伺わせてください。」葉羽は招待客たちに呼びかけた。「事件当日の行動について、もう一度詳細に話していただけますか?」

鈴木氏、佐藤さん、川村さん、それぞれが再度証言を行った。葉羽はそれをメモに取り、細かい点まで分析を進めた。

鈴木氏の証言: 「私は10時頃、バルコニーにいました。その後、書斎に立ち寄りましたが、それはほんの一瞬です。」

佐藤さんの証言: 「私は10時頃、書斎で本を読んでいました。高橋氏もその場にいました。」

川村さんの証言: 「私は事件の時間帯、一階のリビングで瞑想していました。」

葉羽は証言のパズルを組み立てる中で、一つの重要な点に気づいた。「この証言には、共通している時間帯がある。10時前後にそれぞれが別々の場所にいたと言っているが、その時間帯に高橋氏が見られていることが重要だ。」

「どういうこと?」彩由美が尋ねた。

「つまり、高橋氏が犯人のアリバイ作りに利用されていた可能性が高い。鈴木氏が高橋氏の動きを操作し、他の証言者たちに見せることで、自分のアリバイを証明しようとしたんだ。」葉羽は説明した。

葉羽は更に証拠を集め、鈴木氏のアリバイを完全に崩すための決定的な一手を探すことにした。ゴーグルを使いながら、部屋中を調査し続けた。

「ここだ、葉羽。もう一つのタイマー付き装置が見つかった。」彩由美が新たな証拠を発見した。

「これで全てが繋がった。鈴木氏が犯人である証拠は揃った。」葉羽は確信を持って言った。
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