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66.塩加減
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「警備棟の穴は雅楽代さんが最短距離で駆け付けるために開けたもので、グラウンドの葉っぱはその原因になった私の魔法の失敗で生まれたものなの・・・」
「一昨日はこの山一帯にだけ丸一日災害レベルのゲリラ豪雨が降ったと聞いたんだけど・・・」
「犯人は私です・・・」
「楓様、気に病むことはありません。本来産まれた時から少しづつ覚えるコントロールの仕方をこのお年まで身に付けられらなかった上、歴代の巫女様を超越した魔力を持っておられるのですから。」
「そこなんですが、何故歴代の巫女様は同じくらいの魔力量だったのに、楓様は増えているんでしょうか。詠川先生と椎崎先生の研究でも分かってないんですよね?」
「ああ。だが俺は、魔力の殻が原因だと考えている。あれは維持に相当な魔力を消費していた筈だ。並の人間では一瞬で死ぬレベルだったと思う。それを28年間維持し続けるのは理の巫女様でも常に修行をしている様な状態だった筈だ。」
「それで鍛えられたと。」
「全て憶測に過ぎないし、今となっては確かめようがないが。君の方でも意見があれば、詠川先生と椎崎先生に話してくれ。」
「わかりました。椎崎先生は本日はいらっしゃらないんですよね。」
「ああ。」
「娘さんとデートなんです!私の教師に選ばれた事で、奥さんから許可が出たらしくて!」
私が選んだプレゼントは喜んでもらえてるかな。
雅楽代さんの様子が一瞬変わった気がしたけど、私が目を向けると、何にも変わっていなかった。
「雅楽代さん、何で私の魔力が増えた原因を知る必要があるんですか?」
「無限に魔力が増幅していく可能性があるからです。」
「無限に・・・それはヤバいですね・・・」
「ええ。今の所そういった現象は見られませんが念の為。」
「じゃあ、その魔力のコントロールから見ようか。」
「ここ屋内ですけど・・・」
「シェルター並に頑丈に作られています。恐らく吹き飛ぶ事は無いかと。」
樹さんは壁際に置いてあったトランクからコインと片手サイズのゴムボールを持って来た。
「まずはこのボールを浮かせてみよう。楓さんは術の構成とか細かい事は理解しなくても使えるから、握って浮くイメージをしながら魔力を込めて、浮遊、と言って。」
樹さんのお手本を見て、私もそれを真似した。ほんの少し、お塩少々の感覚で魔力を込めた。
「浮遊。」
ゆっくり手を離すと、ボールは勢い良く上に飛び出し、天井にめり込んだ後、スポンと抜けてまるで外に出たがる様にあちこちをピンボールの如くぶつかりまくった。
「あ、ああ・・・ああ・・・」
小さなクレーターを作りまくったボールは、雅楽代さんの魔法で引き寄せられ、雅楽代さんの刀で真っ二つにされた。
「魔法を無効化する準備は必須だ。屋外でたまたま真上に飛行機が飛んでいたら墜落しているぞ。その後大気圏で燃えてやっと止まってただろう。」
「ひえっ・・・」
「・・・コインはやめておこうか。」
「はい・・・」
「雷と火の魔法は厳禁だ。楓様とそれだけは絶対に使わないと約束している。」
「わかりました。」
この状態で火や雷なんて恐ろし過ぎる。約束しなくても使わない。
「楓ちゃん、まず魔力の流れの意識から始めよう。俺と手を繋いで。」
「えっ!?」
「魔力の循環を体験するんだ。ほら。」
私は妙にドキドキしながら樹さんと両手を繋いだ。
「一昨日はこの山一帯にだけ丸一日災害レベルのゲリラ豪雨が降ったと聞いたんだけど・・・」
「犯人は私です・・・」
「楓様、気に病むことはありません。本来産まれた時から少しづつ覚えるコントロールの仕方をこのお年まで身に付けられらなかった上、歴代の巫女様を超越した魔力を持っておられるのですから。」
「そこなんですが、何故歴代の巫女様は同じくらいの魔力量だったのに、楓様は増えているんでしょうか。詠川先生と椎崎先生の研究でも分かってないんですよね?」
「ああ。だが俺は、魔力の殻が原因だと考えている。あれは維持に相当な魔力を消費していた筈だ。並の人間では一瞬で死ぬレベルだったと思う。それを28年間維持し続けるのは理の巫女様でも常に修行をしている様な状態だった筈だ。」
「それで鍛えられたと。」
「全て憶測に過ぎないし、今となっては確かめようがないが。君の方でも意見があれば、詠川先生と椎崎先生に話してくれ。」
「わかりました。椎崎先生は本日はいらっしゃらないんですよね。」
「ああ。」
「娘さんとデートなんです!私の教師に選ばれた事で、奥さんから許可が出たらしくて!」
私が選んだプレゼントは喜んでもらえてるかな。
雅楽代さんの様子が一瞬変わった気がしたけど、私が目を向けると、何にも変わっていなかった。
「雅楽代さん、何で私の魔力が増えた原因を知る必要があるんですか?」
「無限に魔力が増幅していく可能性があるからです。」
「無限に・・・それはヤバいですね・・・」
「ええ。今の所そういった現象は見られませんが念の為。」
「じゃあ、その魔力のコントロールから見ようか。」
「ここ屋内ですけど・・・」
「シェルター並に頑丈に作られています。恐らく吹き飛ぶ事は無いかと。」
樹さんは壁際に置いてあったトランクからコインと片手サイズのゴムボールを持って来た。
「まずはこのボールを浮かせてみよう。楓さんは術の構成とか細かい事は理解しなくても使えるから、握って浮くイメージをしながら魔力を込めて、浮遊、と言って。」
樹さんのお手本を見て、私もそれを真似した。ほんの少し、お塩少々の感覚で魔力を込めた。
「浮遊。」
ゆっくり手を離すと、ボールは勢い良く上に飛び出し、天井にめり込んだ後、スポンと抜けてまるで外に出たがる様にあちこちをピンボールの如くぶつかりまくった。
「あ、ああ・・・ああ・・・」
小さなクレーターを作りまくったボールは、雅楽代さんの魔法で引き寄せられ、雅楽代さんの刀で真っ二つにされた。
「魔法を無効化する準備は必須だ。屋外でたまたま真上に飛行機が飛んでいたら墜落しているぞ。その後大気圏で燃えてやっと止まってただろう。」
「ひえっ・・・」
「・・・コインはやめておこうか。」
「はい・・・」
「雷と火の魔法は厳禁だ。楓様とそれだけは絶対に使わないと約束している。」
「わかりました。」
この状態で火や雷なんて恐ろし過ぎる。約束しなくても使わない。
「楓ちゃん、まず魔力の流れの意識から始めよう。俺と手を繋いで。」
「えっ!?」
「魔力の循環を体験するんだ。ほら。」
私は妙にドキドキしながら樹さんと両手を繋いだ。
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