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開幕
始まりはシリアスモード
しおりを挟む今日も頭の痛い事が立て続けに起きた。
痛くなった頭をマッサージするように揉んでみても、ただの気休めにしかならない。
今、土方の頭を悩ませている問題・・・人物は主に3人いる。
芹沢鴨。
近藤勇。
沖田総司。
この3人だ。
特に芹沢、沖田の両名が主な原因というのは周知の事実なので誰も口に出さないし出さない。
口にすれば問答無用で面倒事に巻き込まれる絡まれるという理不尽極まりないことになるので誰も何も言わなくなったという方が正しい・・・。
それはともかく、今土方を悩ませているものは芹沢の処断だ。
面倒臭い事に上からの命令・・・内密の指示ともいうものが来たのだ。
その指示とは簡単に言えば身内の不始末をさっさと片付けろ、それが出来ないなら解体もしくは芹沢共々自分たちも片付けられる覚悟をしろである・・・全く面倒くさい。
幹部を集めて断罪を与えるには・・・色々と纏めなくてはいけない問題もある。
どうすればいいか?
そんなのはもう決まっている。
だがソレをどうやってやってのけるかは各々の力量にかかる。
半端な力量な者は幹部にはいない。
が、念には念を入れておくのは悪い事ではない。
相手が芹沢鴨ならば・・・腐っても自分たちの上司である。その力量は推して知るべし・・・だが、自分たちだってそれ程の差があるわけではないと自負している。
ふと思い起こす・・・もともと理不尽で苛烈な人だったが、段々とその性質が浮き彫りになり人とし超えてはいけないモノを超えてしまって今では取り返しのつかないところまで行ってしまっている。
初めの信念は同じところにあったはずなのに・・・一体どこで取り違えたのか・・・言っても仕方ないのだけれど。
「・・・芹沢さんアンタはやりすぎたんだ・・・」
誰もいない自室で一人ポツリと呟く声は誰にも聞かれることなく消えた。
芹沢達が留守の時を狙って話し合いを始める。
彼の処罰について・・・を
彼を屠る為の話し合いを。
誰も望まない行動をとり、他の者を巻き込み、要らない争いと死を撒き散らすかの者を身内だけで片付ける。
今、自分達に課せられた事。
「綺麗事を並べても仕方ないじゃないですか。
芹沢さんを殺らなきゃ僕達の・・・近藤さんの望む道は開かれないし、終わっちゃう、だから殺らなきゃならない。これは変わらないでしょ?」
ニヤニヤ笑って言う総司の言い分は間違ってはいない。
間違ってはいないが、少しは言い方を考えろと言いたい。
言ったところで彼は聞かないだろうが・・・。だってコイツの一番は何時だって近藤勇だけだから・・・。
「総司、おめぇの言いてぇ事は分かるが、相手は腐っても今の局長だ。
周りの納得する形に持ってく必要がある。
暗殺にしても相手にバレる訳にはいかねぇしこんな事が公になれば外聞も悪いし何より近藤さんの夢も叶わなくなっちまう。だから秘密裏に事を進めなきゃならねえって事で今話し合いをしてるんだ」
こめかみを押さえて土方は溜息を吐く。
今抑えておかなければ、人の話も聞かず自分のやりたいように芹沢に斬りかかるであろう事が容易に想像できる。
場所も時間も関係なく突っ込んでいくことが容易に想像できる・・・悲しくなるほどに。
それはともかく・・・誰が、芹沢に向かうかの話し合い。
全員で行くには、あまりにも目立ちすぎる。
だが、少なすぎても彼を出し抜けるとも思えない。
勝てないまでも負けるはずはない。
だからやりようによっては芹沢に勝てる。
ただ、人選と場所を間違わなければだが・・・。
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