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忍び寄る不穏な影
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「別に送ってくれなくても一人で帰れるから大丈夫だよ」
「中村にお前の面倒をみてやれって頼まれてるからな。こっちも仕方なくだよ」
「へぇ、玲奈にねぇ」
「なんだよ!だからニヤニヤするなって」
宮沢は心底、嫌そうな顔をする。
あれ、私は玲奈に今日の打ち上げの話をしていないのにどうして知っているんだろう。
宮沢と玲奈は個人的にやり取りしていたってことなんだろうか。
「ねぇ、玲奈と連絡取り合ってるの?」
「まあそれは……」
「え、もしかして返事もらった?」
宮沢は照れくさそうに視線を逸らして頷いた。
表情からしていい返事のような気がして、一気にテンションが上がった。
「それって付き合うことになったの?やったじゃん!」
「やめろよ。マジで痛いって」
嬉しさのあまりバシバシと宮沢の腕を叩くと、痛そうにそこを擦った。
そうか、上手く行ったんだ!
というか、玲奈ったら私に報告がないのはどうしてよー。
そこは一番に教えてくれないと!
「まぁ、お前にも助けてもらったし、お礼がてら送ってやるよ」
「その気遣いは必要ないよ」
突然、立花さんの声が聞こえ鼓動が跳ねる。
「立花課長、二次会に行かれなかったんですか?」
「あぁ。ちょっと今日は疲れたからね。だから、俺が河野さんを送って行くから宮沢くんは帰っても大丈夫だよ」
「いえ、そういう訳には……」
「俺は河野さんとは同じ場所に帰るから」
立花さんは宮沢の言葉を遮った。
「えっ、同じ場所ってどういうことですか?」
「偶然にも河野さんとは階は違うけど同じマンションに住んでいるんだ。だから、気にしなくてもいい」
「そうなんですね。でも……」
宮沢は困惑した表情で私の方を見る。
私と立花さんの仲を知らないから、他部署の上司と一緒に帰るのは大丈夫なのか?と気遣ってくれているんだろう。
「住んでる場所が同じだから、お言葉に甘えて立花課長に送ってもらうことにするね。宮沢ありがとう」
「そう言うことならお願いします」
私の言葉を聞いた宮沢が納得したように、立花課長に頭を下げる。
「じゃ、帰ろうか」
「宮沢、またね」
「ああ」
宮沢と別れ、走っていたタクシーを止めて二人で乗り込んだ。
「宮沢くんと仲がいいのは知ってるけど、ちょっと距離が近すぎだと思う」
タクシーの車内でボソリと立花さんが呟いた。
「えっ」
「もしかして自覚ない?今日だって宮沢くんの腕を触っていただろ」
そういえば、宮沢の腕を叩いた気がする。
「でも、あれは触ったというか叩いたと言った方が正しいかと」
「逆に聞くけど、俺と他の女性が君たちと同じように触れ合ってたらどうする?」
立花さんが他の女の人と触れ合う……そんなの想像しただけでも無理だ。
「嫌です」
「よかった。これで別に構わないとか言われたらどうしようかと思ってた」
私が即答すれば立花さんはホッとした表情になる。
「そんなの言う訳ないです」
「梨音ちゃんと宮沢くんが触れ合うのが嫌だっていう俺の気持ちも分かってくれた?」
自分に置き換えたら理解できた。
間違いなく立花さんに触れた女性、例えそれが同期だとしてもヤキモチを焼いてしまう。
私にも独占欲というものがあるんだと初めて知った。
それと同時に、立花さんもヤキモチを焼いてくれていたことに嬉しさを噛み締める。
「はい。これからは気を付けます」
「いい返事だね。そうしてくれると俺も安心だよ」
お互いに顔を見合わせてクスリと笑う。
「ここがタクシーの中じゃなかったら抱きしめてキスをしていたかもね。だから今はこれで我慢する」
立花さんは指を絡めて手を繋ぐ。
私は言われた言葉に顔を赤くしながらも、幸せな気持ちになっていた。
「中村にお前の面倒をみてやれって頼まれてるからな。こっちも仕方なくだよ」
「へぇ、玲奈にねぇ」
「なんだよ!だからニヤニヤするなって」
宮沢は心底、嫌そうな顔をする。
あれ、私は玲奈に今日の打ち上げの話をしていないのにどうして知っているんだろう。
宮沢と玲奈は個人的にやり取りしていたってことなんだろうか。
「ねぇ、玲奈と連絡取り合ってるの?」
「まあそれは……」
「え、もしかして返事もらった?」
宮沢は照れくさそうに視線を逸らして頷いた。
表情からしていい返事のような気がして、一気にテンションが上がった。
「それって付き合うことになったの?やったじゃん!」
「やめろよ。マジで痛いって」
嬉しさのあまりバシバシと宮沢の腕を叩くと、痛そうにそこを擦った。
そうか、上手く行ったんだ!
というか、玲奈ったら私に報告がないのはどうしてよー。
そこは一番に教えてくれないと!
「まぁ、お前にも助けてもらったし、お礼がてら送ってやるよ」
「その気遣いは必要ないよ」
突然、立花さんの声が聞こえ鼓動が跳ねる。
「立花課長、二次会に行かれなかったんですか?」
「あぁ。ちょっと今日は疲れたからね。だから、俺が河野さんを送って行くから宮沢くんは帰っても大丈夫だよ」
「いえ、そういう訳には……」
「俺は河野さんとは同じ場所に帰るから」
立花さんは宮沢の言葉を遮った。
「えっ、同じ場所ってどういうことですか?」
「偶然にも河野さんとは階は違うけど同じマンションに住んでいるんだ。だから、気にしなくてもいい」
「そうなんですね。でも……」
宮沢は困惑した表情で私の方を見る。
私と立花さんの仲を知らないから、他部署の上司と一緒に帰るのは大丈夫なのか?と気遣ってくれているんだろう。
「住んでる場所が同じだから、お言葉に甘えて立花課長に送ってもらうことにするね。宮沢ありがとう」
「そう言うことならお願いします」
私の言葉を聞いた宮沢が納得したように、立花課長に頭を下げる。
「じゃ、帰ろうか」
「宮沢、またね」
「ああ」
宮沢と別れ、走っていたタクシーを止めて二人で乗り込んだ。
「宮沢くんと仲がいいのは知ってるけど、ちょっと距離が近すぎだと思う」
タクシーの車内でボソリと立花さんが呟いた。
「えっ」
「もしかして自覚ない?今日だって宮沢くんの腕を触っていただろ」
そういえば、宮沢の腕を叩いた気がする。
「でも、あれは触ったというか叩いたと言った方が正しいかと」
「逆に聞くけど、俺と他の女性が君たちと同じように触れ合ってたらどうする?」
立花さんが他の女の人と触れ合う……そんなの想像しただけでも無理だ。
「嫌です」
「よかった。これで別に構わないとか言われたらどうしようかと思ってた」
私が即答すれば立花さんはホッとした表情になる。
「そんなの言う訳ないです」
「梨音ちゃんと宮沢くんが触れ合うのが嫌だっていう俺の気持ちも分かってくれた?」
自分に置き換えたら理解できた。
間違いなく立花さんに触れた女性、例えそれが同期だとしてもヤキモチを焼いてしまう。
私にも独占欲というものがあるんだと初めて知った。
それと同時に、立花さんもヤキモチを焼いてくれていたことに嬉しさを噛み締める。
「はい。これからは気を付けます」
「いい返事だね。そうしてくれると俺も安心だよ」
お互いに顔を見合わせてクスリと笑う。
「ここがタクシーの中じゃなかったら抱きしめてキスをしていたかもね。だから今はこれで我慢する」
立花さんは指を絡めて手を繋ぐ。
私は言われた言葉に顔を赤くしながらも、幸せな気持ちになっていた。
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