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偽装恋愛、始めます
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立花さんとの偽装恋愛をすることになって一週間が経ったけど、これといって明確に何が変わったということはない。
しいて言えば、メールなどSNSを使って連絡を取り合うようになった。
でも、それも頻繁にじゃないし、私からはまだ送ったことはない。
立花さんから連絡が来たらそれに返信するだけで、私は常に受け身だ。
付き合うのが初めてなので、距離感というかどういう風にしたらいいのか分からず戸惑っている状態だ。
昼ご飯を食べた後、顧客アンケートの集計をしていた。
大変な作業だけど商品を企画する上で大事な仕事だ。
アンケート用紙に目を通していたら、「あっ」という声が耳に入った。
どうしたんだろうと思い、声のした方に視線を向けると泣きべその友田さんと目があった。
「梨音先輩、どうしよう。会議で使う資料を間違えてシュレッダーにかけちゃって……」
「えっ?」
どうしてそんなことになったのか、友田さんに理由を聞いた。
部長から処理するように頼まれた書類の束を渡された時、バタバタしていたらしい。
とりあえず、自分の仕事優先でやるために部長から渡された書類を机の上に置いていた。
そして、自分の仕事が片付いたので要らない書類をシュレッダーをかけ終わって席に戻ってきたら、机の上にあるべき会議資料がなくなっていたと。
友田さんの机は女性にしては汚い方で何度か注意したことがあった。
自分自身は綺麗にしてるけど、身の回りの整理整頓が苦手なタイプだ。
『ほら見てごらんなさい!だから机の整頓をしたらって言ってたでしょ』という言葉が喉まで出かかった。
でも、今はそれは後回しだ。
友田さんは顔面蒼白でパニックになっている。
ふと、友田さんの机の上のパソコンを見ると、USBが差し込まれたままになっていた。
ちょっと待って、落ち着いて考えてみよう。
友田さんは一度資料を作成している。
多分、会議で使う資料はUSBに保存してあるはずだから資料を作り直すことは出来る。
パニックになっているから、そのことには気付いていないのかも知れない。
「友田さん、会議に使うデータはUSBに保存してあるんだよね?」
私の問いかけに友田さんは自分のパソコンを見てハッと気付き、何度も頷く。
よかった、それなら大丈夫だ。
「だったらもう一度作り直せばいいじゃない」
「でも、間に合わないかも知れないし……」
「何言ってるの。間に合わないかも知れないじゃなくて間に合わすのよ。私も手伝うから。ほら、泣いている場合じゃないでしょ」
壁に掛けてある時計を見ながら逆算する。
今は十三時二十分、会議は十四時から。
早めに会議室に来て資料に目を通す人もいること考えて、十五分前までに資料を作って持っていけば間に合うはず。
「今すぐプリントアウトして、それをコピーして綴じればいいんだから。ほら、さっさと動く。めそめそしている時間がもったいないよ」
「は、はい!」
私の言葉に友田さんはやっと動き出した。
しいて言えば、メールなどSNSを使って連絡を取り合うようになった。
でも、それも頻繁にじゃないし、私からはまだ送ったことはない。
立花さんから連絡が来たらそれに返信するだけで、私は常に受け身だ。
付き合うのが初めてなので、距離感というかどういう風にしたらいいのか分からず戸惑っている状態だ。
昼ご飯を食べた後、顧客アンケートの集計をしていた。
大変な作業だけど商品を企画する上で大事な仕事だ。
アンケート用紙に目を通していたら、「あっ」という声が耳に入った。
どうしたんだろうと思い、声のした方に視線を向けると泣きべその友田さんと目があった。
「梨音先輩、どうしよう。会議で使う資料を間違えてシュレッダーにかけちゃって……」
「えっ?」
どうしてそんなことになったのか、友田さんに理由を聞いた。
部長から処理するように頼まれた書類の束を渡された時、バタバタしていたらしい。
とりあえず、自分の仕事優先でやるために部長から渡された書類を机の上に置いていた。
そして、自分の仕事が片付いたので要らない書類をシュレッダーをかけ終わって席に戻ってきたら、机の上にあるべき会議資料がなくなっていたと。
友田さんの机は女性にしては汚い方で何度か注意したことがあった。
自分自身は綺麗にしてるけど、身の回りの整理整頓が苦手なタイプだ。
『ほら見てごらんなさい!だから机の整頓をしたらって言ってたでしょ』という言葉が喉まで出かかった。
でも、今はそれは後回しだ。
友田さんは顔面蒼白でパニックになっている。
ふと、友田さんの机の上のパソコンを見ると、USBが差し込まれたままになっていた。
ちょっと待って、落ち着いて考えてみよう。
友田さんは一度資料を作成している。
多分、会議で使う資料はUSBに保存してあるはずだから資料を作り直すことは出来る。
パニックになっているから、そのことには気付いていないのかも知れない。
「友田さん、会議に使うデータはUSBに保存してあるんだよね?」
私の問いかけに友田さんは自分のパソコンを見てハッと気付き、何度も頷く。
よかった、それなら大丈夫だ。
「だったらもう一度作り直せばいいじゃない」
「でも、間に合わないかも知れないし……」
「何言ってるの。間に合わないかも知れないじゃなくて間に合わすのよ。私も手伝うから。ほら、泣いている場合じゃないでしょ」
壁に掛けてある時計を見ながら逆算する。
今は十三時二十分、会議は十四時から。
早めに会議室に来て資料に目を通す人もいること考えて、十五分前までに資料を作って持っていけば間に合うはず。
「今すぐプリントアウトして、それをコピーして綴じればいいんだから。ほら、さっさと動く。めそめそしている時間がもったいないよ」
「は、はい!」
私の言葉に友田さんはやっと動き出した。
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