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拗らせ女の同期への秘めたる一途な想い

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どうにか一週間をやりすごし、金曜の朝。
いつものように出社し、今朝までに送られてきたメールの確認をした。
それが終わると、備品の発注連絡の準備をする。
すでに備品の在庫チェックを済ませていたので、それをもとに発注表を作成していたら電話が鳴った。

「はい、総務部の南川です」

隣の席の南川さんが受話器を取った。
南川さんは私より四歳年上の二十九歳。
見た目は綺麗系、本性は真っ黒だ。
一応、私の教育係だった人でいろいろとお世話をしてもらっていた。
でも、それは最初だけ。
私が仕事に慣れたころには、面倒ごとはすべて押し付けてくるようになった。
今では私が南川さんのお世話をしていると言っても過言ではない。
総務の仕事は多岐にわたる。
本人は受付とか秘書とか華やかなところを希望していたらしいけど、配属されたのは総務部。
南川さん的には地味な部署で、出会いの欠片もないといつもボヤいている。

「はい。かしこまりました。失礼します」

電話を終えた南川さんが私に声をかけてきた。

「天野さん、今日の交流会には来れるのよね?」

「はい」

「よかった。例の件、頼むわよ」

南川さんは席を立って私の肩をポンと叩いて給湯室へ消えていった。

あー、最悪だ。
今日は総務、経理、物流部の他部署交流会がある。
南川さんは常に出会いを求めている。
総務部の人には魅力を感じないとか言って、こういった他部署との飲み会に力を注いでいる。

肩までの髪の毛を綺麗に巻いていて、身体のラインが出るようなニットを着て、その上にカーディガンを羽織っている。
化粧はもちろんバッチリと気合が入っている。
どうせ、定時過ぎたらメイク直しに時間をかけるんだろう。

私は南川さんの下僕となり、狙った相手に南川さんのいいところをアピールしたりして彼女のフォローをしなければならない。
これが本当に苦痛で仕方ない。

だって、いいところなんてひとつも見つからない。
料理だってできないし、仕事だってすぐに人に押し付ける。
男漁りが趣味で合コンに行った回数は数えきれない。

毎回、『男のレベルが低かった』とか自分の行った合コンの話を聞かされている。
そして、今日の飲み会だ。

南川さんが狙っているのは、経理の小笠原課長、初田直人、物流の合田翼。
おいおい、三人かよと突っ込みたくなった。

小笠原課長は三十一歳、話したことがないのでよく分からないけど、余計なことは喋らない堅物という話だ。
塩顔のイケメンで隠れファンがいると噂で聞いたことがある。
初田直人さんは二十八歳、ブラウンの髪の毛はお洒落なツーブロックにしていて物腰の柔らかな人らしい。
合田翼くんは新卒で、今年二十三歳になるのかな。
緩いパーマをかけていて愛想がよく可愛らしいと言っていた。

年上から年下まで網羅している。
これ、どう私がフォローすればいいんだろう。
飲み会のことを考えただけで、今から憂鬱で仕方がなかった。
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