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「蛇女郎」
「蛇女郎」15☁️
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お風呂から出て部屋に戻り、蓋に絵と字の書かれた札の貼った箱の中に蛇(私)を入れ、蓋を閉める
髪をふきドライヤー、毎度毎度思う
面倒臭いって
ベッドに座り、両手を上に上げ伸びをし、ストレッチを始める
人間の体は、何もしないでいると固くなる
蛇の私には、よくわかる
かりんの体が、窮屈に感じる
手足を、首を伸ばしたり、背中を丸めたり、剃ったり、仰向けに寝転び足を上にあげ、つま先を伸ばしたり剃ったり、時には音楽をつけ、蛇のようにくねらしたりして動かしたり、逆さ倒立したり、体がほぐれたなと思うとやめる
30分の時もあれば、1時間の時もある
窓から、どこの家からの食事の匂いが入ってきて、窓を閉めるのを忘れていたと思い、窓の場所迄行く
窓が全開だったようで、カーテンを開けた
なんとなく
食事の匂いとは別に神社の方角から神社の匂いが、そこはかとなくしてきて、何かあるのだろうかと思う。風の流れにのってくる神社の山の木々の匂いは、私を安堵させ、眼が光り、口ともが笑み、ついずずっとかりんの体から身を乗り出し、離れそうになる
はたからみたら、かりんの胸元から蛇の頭が少しずつお巨大化しながら、出てくる様を蜃気楼のように見ていただろう
なんとか、押しとどめたが
あの神社の匂い...
たまに何を語りかけてると思う時がある
眼が爛々とし、口を開けシャーとしたくなるのを押しとどめるのは苦しいのだが、かりんを思うと...
夜の匂いに乗せられ、やってくる神社の気の匂いに、回りの家々の屋根を見渡せ遠くの景色迄見えるかりんの部屋の窓
私にここ一帯の主だと錯覚させ、守るのだと言う気持ちを沸かせる
風は、無数の龍の動きを見せ、ザザざぁとザザざぁーとする風の音に何事もない事と受け取り、杞憂と窓をモスグリーンのカーテンを閉める
部屋の中はライトで煌々と明るく、窓一つで、カーテン一つで、本当に違う物だなと思い、電気を消しベッドに入る
自分の体に戻るのは、夜寝る時
札の貼った箱から、自分を取り出し枕元に置く
意識の抜けてる蛇(私)に触っても、かりんの手の感触はわからない
朝、箱に自分を戻す時も、さみしくかなしい気持ちになる
かりんが、ベッドに横になった時、私は枕元の蛇に戻る。そうして、とぐろを巻いてかりんの横で眠る
かりんの体に入っている時、私の体は札を貼った箱の中に入ってる
札には「蛇」の文字と蛇の一筆?の絵がある
札を貼った箱は、私以外の他人には見えない
札の力だ
札の力は、まず両親で確かめた
部屋の勉強机に札の貼った箱をポンと置いといても何も言わない、全く気にも止めなかった両親
何、これと言ってもおかしくない箱なのに
蓋付きの、パステルピンクとブルーのストライプ模様のおもちゃのマジックのような箱に札が貼ってあって、変な感じなのに
(流石に、蛇の感性でも思う)
気になれば、何これって言うはずと思った
彼らには、何も見えないようだ
透明の箱になるようだ、札を貼ってあると
かりんの父のご両親(祖父母)が来た時も、中には蛇は入れずに札の箱だけを、ソファーの前のローテーブルに置いといても、彼らは箱を見えてないかのようにスルーをする
かりんのママ友が小さな子供を連れて家に来た時も、箱を無造作に床に置いてみたけど、誰も反応しない
小さな子供が箱に躓いたけれど、誰も箱に躓いたと思わなかった
「何もない所で転んだわね、どうしたの」と子供のママは言う。子供は、何か足にあたった気がしたと言うけど、何もない事に首を捻る
かりんのママが
「子供は、何もない所で転ぶから」と言って終わる
私は、やっぱり見えていないのだと、やっと安心した
わざとしてると思っていたから
私の疑り深い性格が出るようだ、仕方がないそれは
札は、私がかりんに入って数日後、神社に行き鳥居を潜った時、賽銭箱に続く石畳の道と白い地面は、光が反射して白く明るい境内を見せていて、清い気に変わらずキレイだなと思った
その時、かりんの中に入っていた私は、
自分(蛇の体)をかりんのポシェットに入れて、一緒にいた
自分がかりんに入っている間、自分の体はかりんの部屋がいいのか、この神社の何処かに隠しておくのがいいのか、考えあぐねていた
冬眠の時のように、神社の何処かにとも思ってはいたが、自分の体が見つかり、処分されたらと危惧もあって、思いつかないまま神社に行った
境内にくれば、何か考えが思いつくかもと思ってきた
山の神には、神社の神には感謝している
あの時は、あれが最善だった
私が、あの男を飲み込んだのも
神社の神が、助けてくれたと思っていても
今回はと...
こんな事は無理と途方にくれながら、賽銭箱に向かって歩いた
すると自分の前に、ふわりと紙が落ちると同時に、『使え』と声が響くように聞こえ、同時に札の意味を理解し、拾った。
(今も、あれは本当に聞こえたのかよくわからない)
少ないとはわかっていたが、賽銭箱に50円入れて、感謝して帰った
かりんのポーチには、茶色い銅貨位しか入ってなかった
人々が、ここに来て小石のように投げるお金を、自分が投げるとは思っていなかった、本当に
見てるだけの景色だと思っていた
あの白く反射する渡り石の上を歩き、投げるお金を、ただ見ているだけだった私が
かりんの事をお願いした
かりんの小さな手で握ったお金で
それは、今も続いている
度々、ジョギングに行った時に寄って、投げ入れて帰ってくる
今は、もうあの小さな花のような手ではない
私は、かりんの手をみる
あの頃より、大きくなった手を
もう子供の手ではない、かりんの手
手をみるたびに、あの頃のかりんを思う
かりんが目を覚まさないのは、私はかりんと遊んでいた時、かりんの彼女の名前を呼んだ事が、一度もない
あの頃、かりんの名前を呼んでいたらと思う
会うたびに、遊ぶたびに、私がかりんと名前を呼んでいたら、私がこうしてかりんの名前を彼女の近くで呼んでも反応がないのは、私(蛇)が、かりんを自分を呼んでいると分からないからと考える
私がかりんの名前を呼んだのは、かりんが神社の石畳の上で鼻血を出して倒れていた時だけ、かりんと叫んだ時だけだ
普段から、『かりん』の名前を呼んでいたら、反応があったと考える
また、『かりん』の名前は、漢字では『華燐』と書く
かりんが難しくて書けないと、言っていた
確かに難しいと思う
幼稚園の手帳にはひらがなで、かりんと書かれている。持ち物にも
小学校に入ってからの学校からの配布物には『華燐』と書かれていた
両親は持ち物には『かりん』と知るしていて、私は漢字の『華燐』を知るまで、ひらがなのかりんの名前の印象で呼んでいた
漢字の『華燐』ではない
それも原因ではとも、考えたりもする
正しく知らなかった『華燐』の名前
ひらがなと漢字では、印象も違うし
そう言う音がとも思った
まあ、コレは杞憂かなとも考えるが
漢字の『華燐』の名前が、本当の名前と知った時、結構ショックで...
かりんは言っていたと、まったく失念していたと...
一緒に遊んでいた時、かりんと名前を呼んでいたらと、しばしば幻想のように考える
かりんと呼んでいれば、かりんは反応していたのではと、目を覚ましたのではと...
私の呼びかけでは目を覚さないのではと、本当に何度もぐるぐる思う
まったく、失敗だと思う
かりんは、スタイルもよいようだ
よく脚が長いねと、級友達に言われる
ショート・パンツが似合うね、ミニ似合うねと
手足が長いようだ
鏡に映った時、私はかりんをマジマジみる
(なんでも、似合うのかと思う)
スタイルが良いと、色んな物が似合うらしい
私の美観は、人間とは違う
今ひとつわからないが
かりんは、これから女性らしくなっていく
どんどん、綺麗になっていく
オシャレも楽しい年齢になっていく
私では、ダメなんだよ
かりん、キミの人生だ
キミが、生きろ
いつ、目が覚めるかりん
かりん、目を覚ませ
かりん
END
髪をふきドライヤー、毎度毎度思う
面倒臭いって
ベッドに座り、両手を上に上げ伸びをし、ストレッチを始める
人間の体は、何もしないでいると固くなる
蛇の私には、よくわかる
かりんの体が、窮屈に感じる
手足を、首を伸ばしたり、背中を丸めたり、剃ったり、仰向けに寝転び足を上にあげ、つま先を伸ばしたり剃ったり、時には音楽をつけ、蛇のようにくねらしたりして動かしたり、逆さ倒立したり、体がほぐれたなと思うとやめる
30分の時もあれば、1時間の時もある
窓から、どこの家からの食事の匂いが入ってきて、窓を閉めるのを忘れていたと思い、窓の場所迄行く
窓が全開だったようで、カーテンを開けた
なんとなく
食事の匂いとは別に神社の方角から神社の匂いが、そこはかとなくしてきて、何かあるのだろうかと思う。風の流れにのってくる神社の山の木々の匂いは、私を安堵させ、眼が光り、口ともが笑み、ついずずっとかりんの体から身を乗り出し、離れそうになる
はたからみたら、かりんの胸元から蛇の頭が少しずつお巨大化しながら、出てくる様を蜃気楼のように見ていただろう
なんとか、押しとどめたが
あの神社の匂い...
たまに何を語りかけてると思う時がある
眼が爛々とし、口を開けシャーとしたくなるのを押しとどめるのは苦しいのだが、かりんを思うと...
夜の匂いに乗せられ、やってくる神社の気の匂いに、回りの家々の屋根を見渡せ遠くの景色迄見えるかりんの部屋の窓
私にここ一帯の主だと錯覚させ、守るのだと言う気持ちを沸かせる
風は、無数の龍の動きを見せ、ザザざぁとザザざぁーとする風の音に何事もない事と受け取り、杞憂と窓をモスグリーンのカーテンを閉める
部屋の中はライトで煌々と明るく、窓一つで、カーテン一つで、本当に違う物だなと思い、電気を消しベッドに入る
自分の体に戻るのは、夜寝る時
札の貼った箱から、自分を取り出し枕元に置く
意識の抜けてる蛇(私)に触っても、かりんの手の感触はわからない
朝、箱に自分を戻す時も、さみしくかなしい気持ちになる
かりんが、ベッドに横になった時、私は枕元の蛇に戻る。そうして、とぐろを巻いてかりんの横で眠る
かりんの体に入っている時、私の体は札を貼った箱の中に入ってる
札には「蛇」の文字と蛇の一筆?の絵がある
札を貼った箱は、私以外の他人には見えない
札の力だ
札の力は、まず両親で確かめた
部屋の勉強机に札の貼った箱をポンと置いといても何も言わない、全く気にも止めなかった両親
何、これと言ってもおかしくない箱なのに
蓋付きの、パステルピンクとブルーのストライプ模様のおもちゃのマジックのような箱に札が貼ってあって、変な感じなのに
(流石に、蛇の感性でも思う)
気になれば、何これって言うはずと思った
彼らには、何も見えないようだ
透明の箱になるようだ、札を貼ってあると
かりんの父のご両親(祖父母)が来た時も、中には蛇は入れずに札の箱だけを、ソファーの前のローテーブルに置いといても、彼らは箱を見えてないかのようにスルーをする
かりんのママ友が小さな子供を連れて家に来た時も、箱を無造作に床に置いてみたけど、誰も反応しない
小さな子供が箱に躓いたけれど、誰も箱に躓いたと思わなかった
「何もない所で転んだわね、どうしたの」と子供のママは言う。子供は、何か足にあたった気がしたと言うけど、何もない事に首を捻る
かりんのママが
「子供は、何もない所で転ぶから」と言って終わる
私は、やっぱり見えていないのだと、やっと安心した
わざとしてると思っていたから
私の疑り深い性格が出るようだ、仕方がないそれは
札は、私がかりんに入って数日後、神社に行き鳥居を潜った時、賽銭箱に続く石畳の道と白い地面は、光が反射して白く明るい境内を見せていて、清い気に変わらずキレイだなと思った
その時、かりんの中に入っていた私は、
自分(蛇の体)をかりんのポシェットに入れて、一緒にいた
自分がかりんに入っている間、自分の体はかりんの部屋がいいのか、この神社の何処かに隠しておくのがいいのか、考えあぐねていた
冬眠の時のように、神社の何処かにとも思ってはいたが、自分の体が見つかり、処分されたらと危惧もあって、思いつかないまま神社に行った
境内にくれば、何か考えが思いつくかもと思ってきた
山の神には、神社の神には感謝している
あの時は、あれが最善だった
私が、あの男を飲み込んだのも
神社の神が、助けてくれたと思っていても
今回はと...
こんな事は無理と途方にくれながら、賽銭箱に向かって歩いた
すると自分の前に、ふわりと紙が落ちると同時に、『使え』と声が響くように聞こえ、同時に札の意味を理解し、拾った。
(今も、あれは本当に聞こえたのかよくわからない)
少ないとはわかっていたが、賽銭箱に50円入れて、感謝して帰った
かりんのポーチには、茶色い銅貨位しか入ってなかった
人々が、ここに来て小石のように投げるお金を、自分が投げるとは思っていなかった、本当に
見てるだけの景色だと思っていた
あの白く反射する渡り石の上を歩き、投げるお金を、ただ見ているだけだった私が
かりんの事をお願いした
かりんの小さな手で握ったお金で
それは、今も続いている
度々、ジョギングに行った時に寄って、投げ入れて帰ってくる
今は、もうあの小さな花のような手ではない
私は、かりんの手をみる
あの頃より、大きくなった手を
もう子供の手ではない、かりんの手
手をみるたびに、あの頃のかりんを思う
かりんが目を覚まさないのは、私はかりんと遊んでいた時、かりんの彼女の名前を呼んだ事が、一度もない
あの頃、かりんの名前を呼んでいたらと思う
会うたびに、遊ぶたびに、私がかりんと名前を呼んでいたら、私がこうしてかりんの名前を彼女の近くで呼んでも反応がないのは、私(蛇)が、かりんを自分を呼んでいると分からないからと考える
私がかりんの名前を呼んだのは、かりんが神社の石畳の上で鼻血を出して倒れていた時だけ、かりんと叫んだ時だけだ
普段から、『かりん』の名前を呼んでいたら、反応があったと考える
また、『かりん』の名前は、漢字では『華燐』と書く
かりんが難しくて書けないと、言っていた
確かに難しいと思う
幼稚園の手帳にはひらがなで、かりんと書かれている。持ち物にも
小学校に入ってからの学校からの配布物には『華燐』と書かれていた
両親は持ち物には『かりん』と知るしていて、私は漢字の『華燐』を知るまで、ひらがなのかりんの名前の印象で呼んでいた
漢字の『華燐』ではない
それも原因ではとも、考えたりもする
正しく知らなかった『華燐』の名前
ひらがなと漢字では、印象も違うし
そう言う音がとも思った
まあ、コレは杞憂かなとも考えるが
漢字の『華燐』の名前が、本当の名前と知った時、結構ショックで...
かりんは言っていたと、まったく失念していたと...
一緒に遊んでいた時、かりんと名前を呼んでいたらと、しばしば幻想のように考える
かりんと呼んでいれば、かりんは反応していたのではと、目を覚ましたのではと...
私の呼びかけでは目を覚さないのではと、本当に何度もぐるぐる思う
まったく、失敗だと思う
かりんは、スタイルもよいようだ
よく脚が長いねと、級友達に言われる
ショート・パンツが似合うね、ミニ似合うねと
手足が長いようだ
鏡に映った時、私はかりんをマジマジみる
(なんでも、似合うのかと思う)
スタイルが良いと、色んな物が似合うらしい
私の美観は、人間とは違う
今ひとつわからないが
かりんは、これから女性らしくなっていく
どんどん、綺麗になっていく
オシャレも楽しい年齢になっていく
私では、ダメなんだよ
かりん、キミの人生だ
キミが、生きろ
いつ、目が覚めるかりん
かりん、目を覚ませ
かりん
END
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