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騎士への道
聖凰騎士団4
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「ディルムッド様、ありがとうございます! この御恩は、一生忘れません!」
「いえ……そんな事より、足元にお気をつけて下さい。スカートの裾が汚れてしまいますよ」
ディルムッドと呼ばれた男性の騎士は、瓦礫の中を歩く女性のスカートを軽く持ち上げて汚れないようにする。
「さっ、早くあちらに。まだ野蛮な者共が付近にいます。我々が早急に退治します故、安全な場所で身を守っていて下さい」
ガラガラガラ……
「ディルムッド様、危ない!」
建物が破壊された瓦礫の中から、一つ目の巨人が現れる。
その動きは素早く、女性と話すディルムッドの背後から勢いよく金砕棒が振り下ろされた。
目を瞑り顔を背ける女性……ディルムッドは、その女性を見ながら一本の槍を自らの頭の上の空間に横から突き刺す。
その赤き槍の突き刺した場所……正にディルムッドの頭を叩き割ろうとした金砕棒を、横から貫いていた。
まるで背中に目がついているかの如く……
重量感たっぷりの一撃を、赤き槍の一閃で止めてしまった。
「貴様のような下賎な者に、高貴なお嬢様を襲わせる訳にはいかないな。いや、触らせる訳にもいかない。跡形もなく、灰になりな!」
金砕棒に突き刺さった赤き槍……ガ・ジャルグが更に赤く輝く。
金砕棒の中から溢れる光……その瞬間、ガ・ジャルグから炎の龍が産み出される。
粉々になる金砕棒……そして天高く昇った炎の龍は、一つ目の巨人を目掛けて降りて来た。
大きな口を開けて……
炎の龍に飲み込まれた一つ目の巨人は、渦巻く炎の柱に身を晒し……跡形もなく灰になった。
「お嬢様、大丈夫ですか? 早く安全な場所に」
「ディルムッド様……ありがとうございます」
ドレスに身を包む女性は、顔を赤らめて差し出されてディルムッドの手をとり瓦礫を越える。
「ディルムッド様、お気をつけて……どうか、ご無事で……」
「ありがとうございます。必ずや、野蛮な奴らから町を取り戻して見せましょう」
女性に一礼したディルムッドは、破壊され炎に包まれる町の奥に足を踏み入れた。
「何故、今になって巨人共が人間の町を襲い始めたんだ? 今まで、大人しくしていた奴らが……」
再び現れた一つ目の巨人を、今度は赤い槍を一回り小さくした槍……黄槍ガ・ホーから産み出されて電龍によって焼き尽くす。
歩みを止める事なく一つ目の巨人達を蹴散らしながら、ディルムッドは町の中心まで辿り着いた。
町の中央の広場……そこで、二人の男が対峙している姿がディルムッドの目に飛び込んでくる。
「団長、こんなトコで遊んでいたのかよ。町の方が結構ヤバイぜ。フィアナ騎士団が介入してんだ。これ以上好き勝手やられたら、最強の騎士団の名に傷が付く……」
そう呟いたディルムッドは、自分の目を疑った。
最強の騎士団、フィアナ騎士の中でも最強の男……フィン・マックールが一人の男に圧されている。
黄金の軌道を描く太刀筋に、フィンは愛剣マック・ア・ルインで身を護るだけで精一杯に見えた。
「ちっ、本当に遊ばれてんのかよ! 仕方ねぇ、団長の主義に反するかもしれねぇが、町もほっとけねぇ……加勢するぜ!」
赤槍ガ・ジャルグ、黄槍ガ・ホー……二本の神槍を構え、ディルムッドは戦闘に割って入る。
が……割って入ろうとした瞬間、黄金の閃光に襲われた。
「なんてスピードだ!」
間一髪で躱したディルムッドは、フィンの隣まで身を引く。
「ディルムッド……大丈夫か?」
「ああ……出鱈目な剣速だ。奴は一体?」
舞い上がった砂塵が地に落ち始め、ディルムッド達の前に立つ者の姿が鮮明になる。
白い鎧に黄金の刀身を持つ剣を携える男……その身体は小さいが、絶対的な威圧感を感じた。
空気がピリついている……ディルムッドの手の平から、自然と汗が溢れていく。
「おそらく、奴が聖凰騎士団の団長だ……私一人で何とかなると思ったが……少し甘かったかな……」
フィンの左の上腕から、赤い液体が流れ落ちている。
「団長が負傷してんのは、久しぶりに見るな……聖剣エクスカリバーを携える堕ちた聖獣、アーサー・ペンドラゴンか……噂通りの強さだったって訳だ」
「ディルムッド、町をマックミーナ族の奴らに好きにさせる訳にはいかない! 騎士道より、人の命を守る事を優先するぞ!」
頷いたディルムッドに、二本の神槍が応えた。
炎と雷を纏いし二匹の龍が螺旋を描くように重なり合い、アーサーに襲いかかる……
その龍に触れるだけで、どんな人間でも消し炭になる……広範囲、高破壊力の龍を見れば、普通の人間ならば後ろか横に避けるだろう。
しかし、アーサーは前に出た。
ディルムッドが技を出すモーションに入った瞬間、一回だけ羽ばたいた炎の翼は、アーサーの身体を凄まじい勢いで前に押し出す。
そのスピードは二匹の龍が重なり合い、螺旋を描く前に生じる前のスペース……龍とディルムッドの間に出来る僅かなスペースに、アーサーの身体を運んでいた。
それはつまり、アーサーの間合いにディルムッドが入った事になる。
二匹の龍が襲う対象を見失い、大地に襲いかかり爆発音が響き渡るとほぼ同じ時……
無表情の顔に、赤き瞳が光る……僅かな恐怖は、ディルムッドから反撃の考えを消すには充分であった。
咄嗟にガードを固めた二本の神槍に、黄金の軌道を描くエクスカリバーが重なり……ディルムッドの身体は後方へ弾け飛ぶ。
その隙をついて、フィンはマック・ア・ルインを振り下ろすが……その剣先をエクスカリバーの柄でガードされると、鞘で腹部を突き刺されていた。
「ぐふっ!」
下腹部から鋭い痛みが身体中を駆け巡り呼吸が止まるが、それでもフィンは地面を蹴って後方に転がり、アーサーの間合いの外へ出る。
「こりゃ……強いね。どうする団長?」
「どうするも何も、奴を倒さなければ町も救えない。出し惜しみ無しで、やるしかないな」
立ち上がるフィン……その後方では、一つ目の巨人が家を破壊し続けていた。
そして破壊された家の瓦礫の中から、フレイヤとティアが現れる。
ボロボロに傷ついた少女を抱えて……
「いえ……そんな事より、足元にお気をつけて下さい。スカートの裾が汚れてしまいますよ」
ディルムッドと呼ばれた男性の騎士は、瓦礫の中を歩く女性のスカートを軽く持ち上げて汚れないようにする。
「さっ、早くあちらに。まだ野蛮な者共が付近にいます。我々が早急に退治します故、安全な場所で身を守っていて下さい」
ガラガラガラ……
「ディルムッド様、危ない!」
建物が破壊された瓦礫の中から、一つ目の巨人が現れる。
その動きは素早く、女性と話すディルムッドの背後から勢いよく金砕棒が振り下ろされた。
目を瞑り顔を背ける女性……ディルムッドは、その女性を見ながら一本の槍を自らの頭の上の空間に横から突き刺す。
その赤き槍の突き刺した場所……正にディルムッドの頭を叩き割ろうとした金砕棒を、横から貫いていた。
まるで背中に目がついているかの如く……
重量感たっぷりの一撃を、赤き槍の一閃で止めてしまった。
「貴様のような下賎な者に、高貴なお嬢様を襲わせる訳にはいかないな。いや、触らせる訳にもいかない。跡形もなく、灰になりな!」
金砕棒に突き刺さった赤き槍……ガ・ジャルグが更に赤く輝く。
金砕棒の中から溢れる光……その瞬間、ガ・ジャルグから炎の龍が産み出される。
粉々になる金砕棒……そして天高く昇った炎の龍は、一つ目の巨人を目掛けて降りて来た。
大きな口を開けて……
炎の龍に飲み込まれた一つ目の巨人は、渦巻く炎の柱に身を晒し……跡形もなく灰になった。
「お嬢様、大丈夫ですか? 早く安全な場所に」
「ディルムッド様……ありがとうございます」
ドレスに身を包む女性は、顔を赤らめて差し出されてディルムッドの手をとり瓦礫を越える。
「ディルムッド様、お気をつけて……どうか、ご無事で……」
「ありがとうございます。必ずや、野蛮な奴らから町を取り戻して見せましょう」
女性に一礼したディルムッドは、破壊され炎に包まれる町の奥に足を踏み入れた。
「何故、今になって巨人共が人間の町を襲い始めたんだ? 今まで、大人しくしていた奴らが……」
再び現れた一つ目の巨人を、今度は赤い槍を一回り小さくした槍……黄槍ガ・ホーから産み出されて電龍によって焼き尽くす。
歩みを止める事なく一つ目の巨人達を蹴散らしながら、ディルムッドは町の中心まで辿り着いた。
町の中央の広場……そこで、二人の男が対峙している姿がディルムッドの目に飛び込んでくる。
「団長、こんなトコで遊んでいたのかよ。町の方が結構ヤバイぜ。フィアナ騎士団が介入してんだ。これ以上好き勝手やられたら、最強の騎士団の名に傷が付く……」
そう呟いたディルムッドは、自分の目を疑った。
最強の騎士団、フィアナ騎士の中でも最強の男……フィン・マックールが一人の男に圧されている。
黄金の軌道を描く太刀筋に、フィンは愛剣マック・ア・ルインで身を護るだけで精一杯に見えた。
「ちっ、本当に遊ばれてんのかよ! 仕方ねぇ、団長の主義に反するかもしれねぇが、町もほっとけねぇ……加勢するぜ!」
赤槍ガ・ジャルグ、黄槍ガ・ホー……二本の神槍を構え、ディルムッドは戦闘に割って入る。
が……割って入ろうとした瞬間、黄金の閃光に襲われた。
「なんてスピードだ!」
間一髪で躱したディルムッドは、フィンの隣まで身を引く。
「ディルムッド……大丈夫か?」
「ああ……出鱈目な剣速だ。奴は一体?」
舞い上がった砂塵が地に落ち始め、ディルムッド達の前に立つ者の姿が鮮明になる。
白い鎧に黄金の刀身を持つ剣を携える男……その身体は小さいが、絶対的な威圧感を感じた。
空気がピリついている……ディルムッドの手の平から、自然と汗が溢れていく。
「おそらく、奴が聖凰騎士団の団長だ……私一人で何とかなると思ったが……少し甘かったかな……」
フィンの左の上腕から、赤い液体が流れ落ちている。
「団長が負傷してんのは、久しぶりに見るな……聖剣エクスカリバーを携える堕ちた聖獣、アーサー・ペンドラゴンか……噂通りの強さだったって訳だ」
「ディルムッド、町をマックミーナ族の奴らに好きにさせる訳にはいかない! 騎士道より、人の命を守る事を優先するぞ!」
頷いたディルムッドに、二本の神槍が応えた。
炎と雷を纏いし二匹の龍が螺旋を描くように重なり合い、アーサーに襲いかかる……
その龍に触れるだけで、どんな人間でも消し炭になる……広範囲、高破壊力の龍を見れば、普通の人間ならば後ろか横に避けるだろう。
しかし、アーサーは前に出た。
ディルムッドが技を出すモーションに入った瞬間、一回だけ羽ばたいた炎の翼は、アーサーの身体を凄まじい勢いで前に押し出す。
そのスピードは二匹の龍が重なり合い、螺旋を描く前に生じる前のスペース……龍とディルムッドの間に出来る僅かなスペースに、アーサーの身体を運んでいた。
それはつまり、アーサーの間合いにディルムッドが入った事になる。
二匹の龍が襲う対象を見失い、大地に襲いかかり爆発音が響き渡るとほぼ同じ時……
無表情の顔に、赤き瞳が光る……僅かな恐怖は、ディルムッドから反撃の考えを消すには充分であった。
咄嗟にガードを固めた二本の神槍に、黄金の軌道を描くエクスカリバーが重なり……ディルムッドの身体は後方へ弾け飛ぶ。
その隙をついて、フィンはマック・ア・ルインを振り下ろすが……その剣先をエクスカリバーの柄でガードされると、鞘で腹部を突き刺されていた。
「ぐふっ!」
下腹部から鋭い痛みが身体中を駆け巡り呼吸が止まるが、それでもフィンは地面を蹴って後方に転がり、アーサーの間合いの外へ出る。
「こりゃ……強いね。どうする団長?」
「どうするも何も、奴を倒さなければ町も救えない。出し惜しみ無しで、やるしかないな」
立ち上がるフィン……その後方では、一つ目の巨人が家を破壊し続けていた。
そして破壊された家の瓦礫の中から、フレイヤとティアが現れる。
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