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2章:王国でのパーティー
13話:聖女様の当たり前
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王都の近くの小さな村。そこでその子は生まれた。
可愛らしい桃色の髪の毛にその瞳は誰もが見入るほどの綺麗な赤。可憐という言葉がふさわしい彼女はいつも村の中心だった。
彼女が食べたいと言えば親や周りの大人たちは彼女に物を与え、彼女がいらないと言えば何も言わずに処分する。
それがこの村にとっては当たり前で、当然の事だった。
誰も疑問に思わない。それよりも自分の子が彼女と親しくなったらとそればかりだった。
そんな彼女には双子の兄がいた。
見すぼらしい双子を兄を誰もが毛嫌いした。そう、親もだ。
誰もが双子の兄を物だと考え、人間とし扱わなかった。そんな兄の事をちっとも彼女は気にしなかった。
双子の兄がどれだけ弱ろうと、それが当たり前で自分が大切にされることが当然だと彼女は回りをみて理解したのだ。
そんな彼女には今世じゃない記憶があった。
薄ぼんやりした記憶の中で彼女は男をとっかえひっかえしていた。多分、親友みたいな友達みたいな子がいたのだろう。その子が階段から落ちる。その瞬間いつも夢から目が覚めるのだ。
この夢を見る彼女は神様からのお告げだと思った。
それを両親に伝えた所、聖女として彼女を王都にお連れするように命じられた。
小さな村には不釣り合いの馬車にのって彼女は両親と共に王都に行った。
聖女と認められた彼女を誰もが甘やかした。
彼女もそれを当然とし、選ばれた人間だと誇りに思っていた。
そんな彼女に朗報が入る。
彼女がどうしても会いたかった王子がお披露目パーティーを行うという話だ。
そこに聖女である彼女も参加するようにと招待状が届いたのだ。
王都で暮らし始めた彼女にとって久しぶりのビックイベントである。
彼女は早速神官たちに頼みドレスを用意することになった。
そんな彼女の心はウキウキとドキドキでいっぱいだった。今までこんな感情にはなったことがなかった彼女にとって、それほどまでに自分の心が動かされているのだと自覚する。
きっと素敵な王子様が私の好いてくれる。
そしていずれはお姫様になれる。
そう信じて疑わない彼女に妥協という文字はない。
宝石もドレスも最高のものを用意してもらう。だって彼女にとってはそれが当然で当たり前だからである。
「お父様、お母様、みて私可愛いでしょ?」
自信たっぷりに言う彼女を誰もが可憐だと、お美しいと賞賛の意を唱えた。
そんな彼女はもう双子の兄など覚えていなかった。
可愛らしい桃色の髪の毛にその瞳は誰もが見入るほどの綺麗な赤。可憐という言葉がふさわしい彼女はいつも村の中心だった。
彼女が食べたいと言えば親や周りの大人たちは彼女に物を与え、彼女がいらないと言えば何も言わずに処分する。
それがこの村にとっては当たり前で、当然の事だった。
誰も疑問に思わない。それよりも自分の子が彼女と親しくなったらとそればかりだった。
そんな彼女には双子の兄がいた。
見すぼらしい双子を兄を誰もが毛嫌いした。そう、親もだ。
誰もが双子の兄を物だと考え、人間とし扱わなかった。そんな兄の事をちっとも彼女は気にしなかった。
双子の兄がどれだけ弱ろうと、それが当たり前で自分が大切にされることが当然だと彼女は回りをみて理解したのだ。
そんな彼女には今世じゃない記憶があった。
薄ぼんやりした記憶の中で彼女は男をとっかえひっかえしていた。多分、親友みたいな友達みたいな子がいたのだろう。その子が階段から落ちる。その瞬間いつも夢から目が覚めるのだ。
この夢を見る彼女は神様からのお告げだと思った。
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彼女もそれを当然とし、選ばれた人間だと誇りに思っていた。
そんな彼女に朗報が入る。
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そんな彼女の心はウキウキとドキドキでいっぱいだった。今までこんな感情にはなったことがなかった彼女にとって、それほどまでに自分の心が動かされているのだと自覚する。
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そしていずれはお姫様になれる。
そう信じて疑わない彼女に妥協という文字はない。
宝石もドレスも最高のものを用意してもらう。だって彼女にとってはそれが当然で当たり前だからである。
「お父様、お母様、みて私可愛いでしょ?」
自信たっぷりに言う彼女を誰もが可憐だと、お美しいと賞賛の意を唱えた。
そんな彼女はもう双子の兄など覚えていなかった。
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