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4章:ヒマワリとナツメの変化
37話:向日葵は口を滑らす
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あの頃を思い出してか涙が頬を伝う。
何で俺は忘れていたんだろう。こんなに大切な記憶を。どうして忘れてしまっていたんだろう?大切な友達との幸せな日々を。
俺が一生懸命絵を描くようになったのは、棗くんのおかげだ。確かに絵を描くことは好きだったけど、資料みるようになったり苦手な物でも努力して描けるようになったのはあの時の出来事がきっかけだったんだろう。今ではそう確信できる。今の俺を作り出したのは紛れもない…彼だ。
━コンコン。
「葵くん?料理出来たよ。起きてる?」
「…うん。起きてるよ」
棗くんの呼びかけに俺は急いで涙をぬぐい、リビングへ向かった。
「よく眠れた?」
「…あ~、うん。ちょっとだけ」
「そっか。今日はちゃんと寝るんだよ」
「うん。そうする。…凄い。こんなに作ったの?」
「つい張り切っちゃった。どれ食べたい?オムライスは日持ちしないから今日食べて欲しいけど」
「美味しそうだね」
タッパーに入れられた洋食の数々に俺の目が輝くのが分かる。俺の家は和食をメインにしていたし、俺も和食が好きだからあまり洋食を食べることはなかった。だけど洋食の憧れは凄かった。洋食は基本的に外食でしか食べない。だから俺にとって洋食は特別なんだ。
それがこんなに…!
棗くんが進めるオムライスだけは皿の上に盛り付けされていた。
「もしかしてオムライスは得意料理?」
「そう!僕の父さんの大好物なんだよ。だからいっぱい改良して出来たのが、このナツメスペシャルオムライス!美味しいと思うよ」
「あー、あの病気だった。おじさんもう大丈夫なの?」
「うん。もう大丈夫だよ。今では活き活きと仕事してるよって…」
棗くんは目を見開きながら俺を凝視してくる。
「ごめん。やっと全部思い出したよ」
「…びっくりした。全然思い出してなさそうだったから」
「気づいたんだ?」
「流石にね。ずっと葵くんのこと見てたから」
「え!?そーなの!?」
「そうだよ。葵くんは気づいてなかったけどね」
「全然気づかなかった…」
俺絵を描くことに集中してたから気づかなかったんだ。
「…でもどうして思い出したの?」
「それは棗くんのこと考えていたから」
「どうしてそんなに僕について考えてくれてたの?」
「それは…」
棗くんの告白の返事をしたくて…。
それが俺が聞こえてないと思っての告白だったとしても。
「僕の告白聞こえちゃってた?」
「え?」
何で俺は忘れていたんだろう。こんなに大切な記憶を。どうして忘れてしまっていたんだろう?大切な友達との幸せな日々を。
俺が一生懸命絵を描くようになったのは、棗くんのおかげだ。確かに絵を描くことは好きだったけど、資料みるようになったり苦手な物でも努力して描けるようになったのはあの時の出来事がきっかけだったんだろう。今ではそう確信できる。今の俺を作り出したのは紛れもない…彼だ。
━コンコン。
「葵くん?料理出来たよ。起きてる?」
「…うん。起きてるよ」
棗くんの呼びかけに俺は急いで涙をぬぐい、リビングへ向かった。
「よく眠れた?」
「…あ~、うん。ちょっとだけ」
「そっか。今日はちゃんと寝るんだよ」
「うん。そうする。…凄い。こんなに作ったの?」
「つい張り切っちゃった。どれ食べたい?オムライスは日持ちしないから今日食べて欲しいけど」
「美味しそうだね」
タッパーに入れられた洋食の数々に俺の目が輝くのが分かる。俺の家は和食をメインにしていたし、俺も和食が好きだからあまり洋食を食べることはなかった。だけど洋食の憧れは凄かった。洋食は基本的に外食でしか食べない。だから俺にとって洋食は特別なんだ。
それがこんなに…!
棗くんが進めるオムライスだけは皿の上に盛り付けされていた。
「もしかしてオムライスは得意料理?」
「そう!僕の父さんの大好物なんだよ。だからいっぱい改良して出来たのが、このナツメスペシャルオムライス!美味しいと思うよ」
「あー、あの病気だった。おじさんもう大丈夫なの?」
「うん。もう大丈夫だよ。今では活き活きと仕事してるよって…」
棗くんは目を見開きながら俺を凝視してくる。
「ごめん。やっと全部思い出したよ」
「…びっくりした。全然思い出してなさそうだったから」
「気づいたんだ?」
「流石にね。ずっと葵くんのこと見てたから」
「え!?そーなの!?」
「そうだよ。葵くんは気づいてなかったけどね」
「全然気づかなかった…」
俺絵を描くことに集中してたから気づかなかったんだ。
「…でもどうして思い出したの?」
「それは棗くんのこと考えていたから」
「どうしてそんなに僕について考えてくれてたの?」
「それは…」
棗くんの告白の返事をしたくて…。
それが俺が聞こえてないと思っての告白だったとしても。
「僕の告白聞こえちゃってた?」
「え?」
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