溺愛 ※不定期掲載

zakura

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気づいたら何時間座り込んでいたんだろ。

汗がこぼれたのか道路の色が所々変わっていた。

やばい、やばい。

立たなきゃ。

よかったよ、人気のないところで。

とりあえず、立夏くんの顔はみたくないから今日は断ろう。

座り込んだままスマホを開いて立夏くんのトークを探していると上から声がした。

立夏「千歳?現地集合じゃなかったっけ?

こんなとこに座り込んでどーした」

え、。

スマホの時計は六時半。

やば、もうこんな時間。

どんだけ座ってんだよ。

しかもこんなところで立夏くんにあうなんて、今日は顔もみたくないのに。

ったく。、

私は立夏くんの方を見ることなく、「あはは」と頭をかいた。

千歳「あーっと、、、」

なんていえばいい。

今日はいけなくなった?

ここまできてるのに?

やばい。どーしよう。

今日一緒にごはんなんか食いにいったら恥ずかしさで死にそう。

そんな私の状況なんて知らない立夏くんは私に構わず話しかけてくる。

立夏「なんかあった?」

顔を除いてきやがった。

やばい、顔見られる。

もう泣きそうだ。

こんなかお見られたら死ぬ。

千歳「ちょまって、タンマ!」

私は手で顔を隠した。

むっとした立夏くんの声が聞こえる。

立夏「顔隠されたら見えないんですけどー」

手をどかそうとしてくる。

手が、ふれてる。

今までそんなこと考えたことも意識したこともなかったのに。

すき、って意識したとたんに気になってしょうがない。

顔を見られるのは非常に悪い。

今の顔は親友に見せる顔じゃない。

まずい、

手の攻防がつづく。

そして、私の手が顔からはなれた。

私の顔を見た立夏くん。

私の目には目を丸くした立夏くんが移っていた。

立夏「意外に強いんだよっ!!っと、、って







なにないてんの?」

顔の熱があがるのがわかる。

私は手で隠そうとするが手は立夏くんが握っていて隠せない。

もう、いやだ。

私は叫ぶしかできない。

千歳「みんな!!」

立夏くんは私の目の前に座り込んだ。

立夏「どーしたのさ、」

やめて。

千歳「なんでもないからっ」

立夏「なんでもないじゃないでしょーよ

飯食いいく?」

やめてよ。

千歳「無理!!早く帰って」

立夏「送ってくよ」

優しくしないで。

千歳「荷物、友達んちにあるからっ、いい」

立夏「じゃあ、友達んちよってこうか、」

今日だけ、今日だけはやめて。

千歳「ばか!帰って!」

立夏「えええーっ、俺なんかしたー?


親友にそんな言葉遣いひどー」

「親友」、その言葉に涙が出そうになった。

私と立夏くんは「親友」。

そう、「親友」なの。

こんな気持ち要らない。

今日のこの気持ちは、、「親友」に対するものじゃない。

私は突き放した。

千歳「っ!!、、、



私たちもう、親友じゃない」

お願い。

立夏「え」

千歳「もう無理なの」

早く帰って。

立夏「なに、最近会えなかったから?


LINEしなかったから?


いきなりどうしたの、


千歳ちょっとおかしいよ?」

おかしい。

今日が、おかしいの。

明日になれば。

元の「親友」に。

私はへらっと笑った。

千歳「そう、私ちょっとおかしいの


だから


ほっといて」

早く帰ってから

一人になって

頭冷やさなきゃ。

「親友」がすきなんて、

私は男子嫌いだし、

恋愛なんてしなくていいし、

べつに、立夏くんのラインがなくても会えなくても平気だし。

今日のこの気持ちを隠しきれるお面を、抹消できるお面を、、

つくって、、、、

そしてそして、、。

私のかたに手が触れたのがわかった。

目の前に意識を戻すと立夏くんが真剣な顔をしていた。

立夏「ほっとけないよ。


せめて送らせて?」

こわい。

千歳「いいってば!!やめて!」

手を振り払おうともがく、

あふれちゃうから、

立夏「なに」

この思いが溢れてしまうから。

私はさけんだ。

千歳「優しくするのやめて!



ていうか


もう近づくのやめて」

私の頬には大粒の涙がこぼれていた。

そう、これでいい。

こんな気持ち要らない。

こんな気持ちにさせる立夏くんも、いらない。

こんなつらいなら、

立夏くんなんていらない。


これで。



これで私は平凡な、、。

涙が道路におちて、色が変わったときに目の前の立夏くんが口角をあげた。

背筋がぞわわわっとする。

なに、いまの。

立夏くんはしたなめずりをして声をあげた。

立夏「ちょっと、距離とりすぎちゃったかな」

え、


いまなんていった、

顔をあげて、しっかり立夏くんをみると、

今まで見たことない顔で笑う。






立夏君がいた。

なに、この立夏くん。

私は座ったまま思わず後ずさる。

立夏くんはじりじりと私に近づいてきた。

顔はにこにこだ。

優しい声で私に不思議そうに聞いてくる。

立夏「千歳?どうしたの?」

千歳「なに、


距離って、」

「距離とり過ぎちゃった?」どういうこと。

私の頭はぐちゃぐちゃだ。

立夏「そのままだよ。


千歳と離れすぎちゃったかなって 





俺が千歳と一緒にいない間


千歳俺のことばっかり考えてた?


俺のライン早く来ないかなー?て思った?」

なにいってんの、、

立夏くん。

私は固まったままだ。

立夏「千歳頭ぐちゃぐちゃになっちゃったでしょ。


立夏くんて自分にとってなんなんだろー?って



俺とは親友やめる?


ごめんね、千歳。
考えさせ過ぎちゃったみたいだね。

辛い思いさせてごめんね。

ただ、俺は












千歳を、恋人にしたいだけなのに」

なに。


っ!!!


ぞわわわわわわわわ、

私の感情は言うなれば恐怖、混乱、

もうわからない。

違う意味で泣きそうだった。

「恋人」?私たちって「親友」なんじゃなかったの?

立夏くんだって私のこと「親友」でこれからも仲良くすると思ってたのに。

立夏くんは、、いつから、

いつから、「恋人」という関係を願っていたの。

ラインなしも作戦だったの?

気づいてないの私だけ?

頭がキャパオーバーだと叫んでいる。

そんな私を見て立夏くんは「はははっ」と笑った。

立夏「ほんっっとに、かわいい。


怯えてる姿も、泣いてる姿も






五年かけてじっくり距離縮めただけあった。







千歳、



もう俺なしじゃ生きられないでしょ」

最近、心のなかは立夏くんなしじゃ、、って考えてたためそんな言葉を言われて驚いた。

私、、。

考える間もなく私は立夏くんに抱き締められた。

千歳「っ!!なに、」

言葉を紡ぐ前に立夏くんがいった。

立夏「千歳、遅くなったけど






好き。




俺と付き合って」

何度目かわからない、涙がこぼれた。

うそだろ。

待って。

立夏くんも、私のこと、、好き?

これって、、両思い、、?

うれしい、、はずなのに。

千歳「立夏くん、怖い」

立夏くんを離したいはずなのに。

立夏「ふふ。怖くないよ」

体はびくともしない。

千歳「なんか雰囲気ちがう、」

立夏くんはいつでも優しくて、少しポンコツで、さわやかで、、。

こんな立夏くん、しらない。

立夏「千歳の都合のいい人間を演じてたからね。


でも




その必要ももうない、、、かな」

私の頬に唇が触れたのがわかった。

ちゅっ。

千歳「っ、、」

怖すぎ、、。

しばらくの沈黙のあと、

だっ、。

いきなり立ち上がった私に立夏くんは驚いたように声をあげた。

そのままあとずさる。

だっと、走り出した。

後ろから立夏くんの声がする。

立夏「どこいくの?千歳」

無視してどんどん走っていく。

梓っ、梓たちの家に、、。

どんっ。

夕方で少し暗かったため、誰かにぶつかってしまった。

道路にお尻を叩きつけられる。

後ろから気配がする。

立夏くんだ。

私はぶつかってきたやつをにらんだ。

千歳「いったい!ちょっとどい、、」

レオ「お前、まだこんなとこにいたのか」

ぶつかってきたのは私の知ってる人物だった。

千歳「レオ、、」

なんで、、。

立夏「千歳」

いつのまに、、。

立夏くんの声が今は恐ろしい。

びくっ、、

私のかたはふるえた。

そんな私の状況を見てレオは首をかしげる。

レオ「?」

私は立ち上がってレオに声をかけた。

千歳「レオ、逃げよう」

レオは立夏くんを指差す。

レオ「あいつ立夏くんじゃ」

千歳「逃げる!!」

後ろから立夏くんの声が聞こえる。

立夏「千歳、知り合い?」

そんなこと答えられる余裕はない。

千歳「無理!」

そのまま全速力で走った。






sideレオ

ちーが全速力で走っていった。

目の前には取り残された俺と「立夏くん」。

俺はちーの走っていった方を見て呟いた。

レオ「えええ、俺おいてくなよ」

立夏「千歳のなに?」

いきなりの質問。

ていうか、、。

こういうやつだったのか。

普通に怖い。

ちーがこんなやつにつかまったら、、考えるのはやめにしよう。

俺は正直にいった。

レオ「、、、、、こわ。


ちーがちびびりじゃん」

さらににらまれる俺。

立夏「千歳の名前を変なあだ名で呼ぶな」

こりゃ帰ってからちーに聞いたほうがはやいと確信した俺は立夏くんにある情報を伝えて、

レオ「こわ。千歳の友達。じゃーな」

そそくさと帰った。













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