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「昼飯一緒に食べるって約束してただろ!」
「……は?」

 益々困惑の色を濃くした希輝に、ニコリと微笑みながら腕を引っ張った。

「ほら、行くぞ」
「紡……!」

 一瞬躊躇しかけた希輝だったけど、すぐに女子たちの熱視線に気づき、素直に俺の後を追ってくる。
 よく見れば、希輝の表情は青ざめているし、かなりの無理をしていたんだろう。

「今日の希輝、ずっとヘンだぞ。人嫌いなくせに、女子に好き勝手にさせてるし」
「それは紡久が……!」
「は? 俺がなに?」

 希輝の奇行に何故俺が関係しているのか。意味がわからず、腕をひきながらも首を傾げた。

「……っ、後で言う」

 付き纏う熱視線から早く逃げ切りたいのか、腕を引っ張る俺の手を逆に取った希輝と、空き教室に滑り込んだ。

「それで、さっきのはどういう意味だよ」
「さっきのって?」
「喧嘩の仕方がわからないってのもそうだけど。いつもなら爽やか風をふかしながら、のらりくらりと皆の誘いから逃げてるくせに、今日はみんなの誘いを受けてるらしいじゃん」

 希輝がしたくてしてるなら良いけど、明らかに無理しているのが伝わってくるから気に食わない。
 上目に睨みながら顔を寄せれば、怯んだ表情を見せながらも希輝が顎を引いた。
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