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 授業中も、希輝の最後の叫ぶような声が頭から離れず、ぼんやりとノートを見た。
 そこに授業内容は一切書かれておらず、ただただ希輝の気持ちを推察する内容がかいてある。

(喧嘩の仕方が分からないって言ってたけど、今がその状態だよなあ。どっちかと言うと、仲直りの仕方が分からないほうな気がする)

 深く溜息を吐いて、コッソリ携帯の画面を見たけど、相変わらず既読がつく様子はなかった。
「さっきのって、どういう意味?」という問いにも、当然答えが返ってくる気配はない。

(多分、希輝が喧嘩の仕方や仲直りの仕方が分からないのは、今まで誰とも深く付き合ってこなかったからだろうけど)

 誰かに感情をぶつけるようなことを、今まで一度もしたことがなかったのだろう。
 希輝のあの戸惑うような態度を見れば、それは希輝本人じゃない俺にでもすぐに分かった。
 なんだか、お前だけは特別だと言われているようで少し照れくさい、のだけど。

(無視はキツいんだけど!)

 俺の言動の何かが、希輝の地雷を踏みぬいたのだろう。
 それは分かるけど、原因が何か分からない限りは誠心誠意謝ることも出来ない。
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