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「なんでもなにも。あの爽やかクール君、今までは休み時間の度に姿を消したり、放課後に遊びに誘っても忙しそうに帰っていくだけだったらしいのに」
「……らしいのに?」
「突然、全ての誘いを引き受けたらしくて。女子が、今が誘うチャンスだって賑わってるっていうか」
話を聞きながら指の先へと視線を追えば、グラウンドでクラスメイトと楽しげにサッカーをしている希輝の姿があった。
見た目が爽やかなせいもあってか、日差しの良い日に外でサッカーをする姿が似合いすぎていて、何も言えなくなる。
「なんで……人嫌いの筈なのに」
「え? 何か言ったか?」
教室まで会いに来た彼女の元へ友樹が向かおうとしたけど、俺の独り言を聞き逃さなかったのか、不思議そうに振り返った。
その姿に「なんでもない」と作り笑いを浮かべて、友人の背中を見送る。
窓の外へと再び視線をやれば、ちょうどゴールを決めてクラスメイトと楽しげに笑いあう希輝の姿があった。
「俺には返事もくれないくせに」
何だか無性に腹が立ってきて、あと数分でチャイムが鳴るという時間に教室を出て、二つ隣のクラスに向かう。
こういう時、教室が近くにあって本当に良かった。
そろそろグラウンドから戻ってくる筈の希輝を、希輝のクラスの扉の前で仁王立ちになって待つ。
階段からガヤガヤと賑やかな声が聞こえてきて、般若のような表情を向ければ、クラスメイトに囲まれた汗だく姿の希輝がいた。
その表情は爽やか笑顔だったけど、よく見れば片頬しか上がっておらず、無理して笑っているのが伝わってくる。
「……らしいのに?」
「突然、全ての誘いを引き受けたらしくて。女子が、今が誘うチャンスだって賑わってるっていうか」
話を聞きながら指の先へと視線を追えば、グラウンドでクラスメイトと楽しげにサッカーをしている希輝の姿があった。
見た目が爽やかなせいもあってか、日差しの良い日に外でサッカーをする姿が似合いすぎていて、何も言えなくなる。
「なんで……人嫌いの筈なのに」
「え? 何か言ったか?」
教室まで会いに来た彼女の元へ友樹が向かおうとしたけど、俺の独り言を聞き逃さなかったのか、不思議そうに振り返った。
その姿に「なんでもない」と作り笑いを浮かべて、友人の背中を見送る。
窓の外へと再び視線をやれば、ちょうどゴールを決めてクラスメイトと楽しげに笑いあう希輝の姿があった。
「俺には返事もくれないくせに」
何だか無性に腹が立ってきて、あと数分でチャイムが鳴るという時間に教室を出て、二つ隣のクラスに向かう。
こういう時、教室が近くにあって本当に良かった。
そろそろグラウンドから戻ってくる筈の希輝を、希輝のクラスの扉の前で仁王立ちになって待つ。
階段からガヤガヤと賑やかな声が聞こえてきて、般若のような表情を向ければ、クラスメイトに囲まれた汗だく姿の希輝がいた。
その表情は爽やか笑顔だったけど、よく見れば片頬しか上がっておらず、無理して笑っているのが伝わってくる。
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