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空波遥の章
”あまりに周囲が目のやり場に困る服装と、後方の人の視界の妨げになるような被り物は禁止”って校則はあるそうです、一応
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朝の日差しに包まれた教室には、およそ30名ほどの生徒が着席していた。HR開始時刻ではあるが、少し離れた席とエアじゃれあいをしていたり、机の下で単語帳らしきものを捲っていたり、残り僅かのペットボトルを大急ぎで飲み干そうとしていたり。
きっとこの時間、日本中の学校と呼ばれる場所で似たような光景が繰り広げられているに違いない。
しかし、この養瑛学園2-Cの教室にはそれらと違う点が二つ。まず、担任教師について入ってきた、見知らぬ転校生であるオレに教室中がほぼ一斉に視線を向けてきたこと。
そしてもう一点は・・・・・・。
(・・・・・・何ここ)
オレは唖然としてしまう。目に飛び込んでくる、異様な服装の彼ら彼女ら。
多岐に渡りすぎていて一つ一つについて説明していたらキリがないが、とりあえず片っ端から挙げて行くと。
大きなフリルのついた、床まで届きそうなたっぷりとした丈のドレスを着用している者。ネコ耳がついたカチューシャをつけてる者。明らかに医療目的ではないと見て取れる眼帯を装着している者。あっちを見れば原色をこれでもかと用いたぴっちりした何らかのコスチューム。こっちを見ればパステルカラーがふんだんに使われた、どこのお花畑から来たんですかと問いたくなるようなヒラヒラの衣装。
そして頭に帽子だのでかくてゴツイ装飾品だの。そしてそして、各々の個性が爆発しているヘアスタイル―――例えばウィッグでないとありえないレベルのまっすぐツヤッツヤのストレートとか、左右ともに一糸乱れずにくるんっくるんに巻かれたツインテールとか。カラーバリエーションも実に豊か。―――とか。眼球をぐるりと回して一人一人見ているととても追いつかない。
小脇にぬいぐるみを抱えてるやつまでいる。自由ってレベルじゃねえぞ。
(・・・・・・オレ間違って服飾の学校に入っちゃった?)
情報量の洪水にクラクラしているオレに、永沢先生が「いやあうちのクラスねえ、なんか知らないけど、毎日がファッションショーかいっ!って感じの子が集まっちゃってるんだよね~」と朗らかに言う。
(個性派コーデ同士は引き合う性質でもあるのか?)
「おしっ!みんな今日も見目麗しいな~!じゃっ、転校生を紹介するぞー」
「いやいやいや待ってください、色々とおかしっ・・・・・・」
と、オレがうろたえたその時だった。
「っっっっっっああ~~~~~~~!!!聡ーーーー!!!!」
部屋中に響き渡る大声を上げて、セーラー服姿の生徒がジャンプしそうな勢いで立ち上がる。
そちらに目を向けたオレの顔が一気にこわばる。
「やっぱり同じクラスになったーーーー!!!なんかそんな気してたんだよねっ!!これって運命~?いやっほううぅぅ~~!!」
服装が他と比べると地味だからすぐに存在に気づかなかった。
今朝一悶着あった、空波遥。
そいつが教室の一番後ろの席から、満面の笑みを振りまいていた。
きっとこの時間、日本中の学校と呼ばれる場所で似たような光景が繰り広げられているに違いない。
しかし、この養瑛学園2-Cの教室にはそれらと違う点が二つ。まず、担任教師について入ってきた、見知らぬ転校生であるオレに教室中がほぼ一斉に視線を向けてきたこと。
そしてもう一点は・・・・・・。
(・・・・・・何ここ)
オレは唖然としてしまう。目に飛び込んでくる、異様な服装の彼ら彼女ら。
多岐に渡りすぎていて一つ一つについて説明していたらキリがないが、とりあえず片っ端から挙げて行くと。
大きなフリルのついた、床まで届きそうなたっぷりとした丈のドレスを着用している者。ネコ耳がついたカチューシャをつけてる者。明らかに医療目的ではないと見て取れる眼帯を装着している者。あっちを見れば原色をこれでもかと用いたぴっちりした何らかのコスチューム。こっちを見ればパステルカラーがふんだんに使われた、どこのお花畑から来たんですかと問いたくなるようなヒラヒラの衣装。
そして頭に帽子だのでかくてゴツイ装飾品だの。そしてそして、各々の個性が爆発しているヘアスタイル―――例えばウィッグでないとありえないレベルのまっすぐツヤッツヤのストレートとか、左右ともに一糸乱れずにくるんっくるんに巻かれたツインテールとか。カラーバリエーションも実に豊か。―――とか。眼球をぐるりと回して一人一人見ているととても追いつかない。
小脇にぬいぐるみを抱えてるやつまでいる。自由ってレベルじゃねえぞ。
(・・・・・・オレ間違って服飾の学校に入っちゃった?)
情報量の洪水にクラクラしているオレに、永沢先生が「いやあうちのクラスねえ、なんか知らないけど、毎日がファッションショーかいっ!って感じの子が集まっちゃってるんだよね~」と朗らかに言う。
(個性派コーデ同士は引き合う性質でもあるのか?)
「おしっ!みんな今日も見目麗しいな~!じゃっ、転校生を紹介するぞー」
「いやいやいや待ってください、色々とおかしっ・・・・・・」
と、オレがうろたえたその時だった。
「っっっっっっああ~~~~~~~!!!聡ーーーー!!!!」
部屋中に響き渡る大声を上げて、セーラー服姿の生徒がジャンプしそうな勢いで立ち上がる。
そちらに目を向けたオレの顔が一気にこわばる。
「やっぱり同じクラスになったーーーー!!!なんかそんな気してたんだよねっ!!これって運命~?いやっほううぅぅ~~!!」
服装が他と比べると地味だからすぐに存在に気づかなかった。
今朝一悶着あった、空波遥。
そいつが教室の一番後ろの席から、満面の笑みを振りまいていた。
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