上 下
5 / 7

ずっと見てたんだ

しおりを挟む
 「・・・・・・ひっ、いぃっっ、いいいぃぃっっーーー!!!」
 必死に歯を食い縛っても、引っ切り無しに口から声が漏れでる。
 ぐちゅぐちゅという聞くに堪えない水音が辺りに響いてもう俺はどうにかなってしまいそうだった。そんな俺の心中を知ってか知らずか、渋谷は全くペースを落とさずに俺の肉孔に指を差し入れては抜き、差し入れては中でぐにゅぐにゅと回転させ、捏ね回して掘り進める。

 「悶えるねえ~、大前君」
 笑いながら渋谷は二本の指を俺の中でバラバラに動かす。その感覚に翻弄され、俺はベッドに投げ出した身体をビクつかせる。さほど時間をかけてもないのに、俺の肉孔はとろとろと柔らかくなり、渋谷の指を全く抵抗なく飲み込むほどになっていた。

 百戦錬磨なんて、と渋谷が自分で茶化していたのは一時間ほど前だったか。とんでもない。これまで彼がどんな相手とどんな風に致してきたのかは分からないが、なんだこの手腕は。そっちの世界の基準なんて分からないけど、これは上手いなんてもんじゃないのではなかろうか。少なくともただの小悪魔男子とか、そんなレベルではない。
 いいからいいから、と口車と笑顔に乗せられた俺はするすると全裸にされ、有無を言わさず(「じゃ、さっそく解すけど座っとく?寝る?どっち?え、嫌って、何言ってんの。まあいいやじゃあ寝て。はいどーん、へへへ~、大前君が丸見え~」)備え付けのローションを垂らされ、何から文句をつけていいのか分からないでいるうちに、ずぶりと尻穴に指を突っ込まれた。

 何の心の準備もさせてくれないその行為に、「うぐぅっ・・・・・・」と声を詰まらせるが渋谷はあくまで爽やかに、そして軽やかに前戯を開始する。ぬちゃぬちゃと俺の体内を弄ぶ指は、性急ではあったが丁寧で的確だった。余裕ぶっこいているだけある。そして、いとも簡単に腰を砕けさせられた。
 「そんなになってくれて嬉しいけど~、へーき?まだまだこの先があるんだけど。頭トんじゃわないかな?」
 ぐちゅりぐちゅりという音の度に、過剰分のローションが俺の肉孔から溢れ出る。
 初めての感触、初めての快感。淫猥極まりないそれらを、全てこの女子にも引けをとらないほど可愛らしい男が与えてくるのだ。俺の頭は訳のわからなさにパンクしかけていた。

 渋谷は上機嫌で前準備を終え、「大前君初めてだからバックがいいかなあ・・・・・・?うーん、・・・・・・いや、やっぱり前からがいいな。顔見たいし。ごめん大前君、ちょっと脚上げて」と無理矢理俺の両脚を大きく開かせその間に割り込む。
 なすすべもなく渋谷の手のままに身体を開かれる。自分でもしっかりと見たことのない場所が、渋谷の眼下に全て全て晒されるのを阻止することができない。
 「ん~、いいねえいいねえ。俺も実はちょっと大前君の裸とか想像しちゃっててさ、・・・・・・あんまり頭の中でハードル上げすぎると実際見たときがっかりしたりするかな~とか思ってたけど、全然そんなことないね!大前君かっこいい!ナイス!」
 楽しそうにしゃべりながら、俺の隠しておきたい場所をそんなにじっくりと見ないでほしい。
 「あれっ?また勃ってきちゃったよ?ふふふ~、さては俺の可愛さにムラムラが止まんなくなっちゃったな?」
 「・・・・・・うっ、うぅう、・・・・・・うううう~!」
 一言一句彼の言うとおりすぎて、俺は恥ずかしさに悶絶することしかできなかった。

 なのに、渋谷はゴソゴソとゴム製の避妊具を開封しはじめる。
 「・・・・・・っ、ひ、ま、待ってっ!しっ、しぶ、やぁっ・・・・・・」
 熱に浮かされたようになって口も満足に回らない。必死に静止を訴えても、渋谷は笑顔でかわすばかりだ。
 「ん~?・・・・・・待つわけないじゃ~ん。だ~いじょうぶだいじょうぶ!そんな心配そうな顔しなくても、怪我だけはしないように気をつけるから!」

 ああ・・・・・・。
 抱かれる、抱かれるっ・・・・・・!
 俺はよほど顔面蒼白になっていたのか。渋谷が少し真顔になった。
 「・・・・・・そーんなに緊張することなくない?」
 そこで張り詰めた糸がふっと緩んだ気がした。が、今度は込み上げた気持ちが涙となって流れないように必死にならなればいけなかった。しゃくりあげそうになる声を必死に抑える。
 「・・・・・・ひっ、お、お前がっ、・・・・・・ガツガツするからだぁっ!ば、ばかっ・・・・・・」
 漏らした抗議の気持ちを、渋谷は神妙な顔で聞いているようだった。やがてぽつりと呟く。
 「・・・・・・大前君」
 「な、なんだよ・・・・・・」
 「えい」

 ズルリと彼の股間から、渋谷自身が取り出された。それを片手に持ち、俺に向けてゆらゆらと見せ付けてくる。
 「ほ~れ、ちんぽちんぽ~」
 口調は完全にふざけて悪ノリするあほな男子だ。多分この状況を和らげようと思っての行動なのだろう。しかし。
 「・・・・・・!!!ひっ、いいい!?」 
 結果的にまずかった。
 亀頭がガッツリ露出した、見るものを一瞬たじろがせるフォルム。さらにそれは黒く光り、使い込まれてきたことがはっきりと見て取れる仕上がりとなっていた。
 そんなものがゆるふわを体現したような渋谷についているという衝撃・・・・・・。
頭を思い切りぶん殴られたみたいだ。俺はもう言葉が出ずに、はくはくと口元をわななかせた。
 
 「おっ?・・・・・・ぎゃ、逆効果だった?」
 そんな俺を、最初は戸惑い気味に見ていた渋谷だったが・・・・・・。
 「・・・・・・あ~。わり、大前君」
 ぎらりと目の色を変えた。
 「その顔、やば・・・・・・。ちょっと、・・・・・・一回だけ、一回だけヤらせて?ね?」
 「えっ?ええ!?」
 俺の両脚を無理矢理ぐいっと持ち上げ開かせて、自分の腰を密着させてくる。抵抗しなければと思うのだが、不思議なことに俺の太ももに触れるその手の熱が何とも馴染む。まるで思考が渋谷と溶け合ったみたいだ。欲情を昂ぶらせる渋谷と、意識が同調してしまったみたいに。
 向こうは抱く側、俺は抱かれる側。そう植えつけられ、頭がポーっとなる。

 とはいえ、入るのか。あんなもんが・・・・・・と一瞬逡巡したものの、答えが出る前にもう素早くゴムを装着した渋谷の先端が俺の入り口に宛がわれていた。されるがままの俺の、むき出しの部分に触れたものがとんでもなく熱くて、びくりと身体が震える。

 だ、大丈夫大丈夫・・・・・・。幸い大きさは俺と大して変わらない・・・・・・と、思う。俺についてるのと同じ大きさなんだから俺の中に入ってもさほど問題はない、ない、ない・・・・・・。
 自分を騙そうと必死の俺に、渋谷は笑う。
 「へへへ、こーんなおっきい人いただいちゃうの初めて。・・・・・・いくねっ、うりゃーっ!」

 そのまま、ずぶぶぶぶぶ、と、一気にめり込んでくる。
 「ぅ、うあああぁああ、・・・・・・あっ、あああー!!!」
 しっかりと解された後だったので痛みはほとんどなかったが、それでも自分の中を雄に犯されるという未知の感覚に、俺は背中を仰け反らせた。
広げられている。自分の身体の中が、・・・・・・押し広げられている・・・・・・!

 「・・・・・・ぁ、ぐ、・・・・・・は、はいっ、・・・・・・てえぇぇ」
 「大丈夫?大前君ちゃんと息してるっ?・・・・・・おー、でもすごいすごい、するする入ってくね!っ、ぅ、もーちょっと力抜いて・・・・・・、そうそう!・・・・・・すごいじゃーん大前君!初めてとは思えない!」
 渋谷は興奮した面持ちで、みちみちと俺の中に占める体積を増やしていく。内臓がせり上がってくるような感覚に視界がチカチカして、思考が吹っ飛びそうになっている俺に、渋谷の言葉が降ってきた。
 「でもさ、俺もなかなか上手いでしょ?上も下もまあそれなりにこなしてきたけど、全ては今日このときのためだったのかもー?・・・・・・なーんちゃってね、それじゃっ、動くねっ」
 「あ、ああう、あぁああ、・・・・・・しぶっ、しぶやぁ、ま、まっ、・・・・・・うぅがあぁっっ!!!!」
 言うやいなや、激しい抽迭が開始された。身体を溶かされそうなほど熱いものに内壁をずりずりと蹂躙され、もう何か言うどころではない。
 「・・・・・・っふ、ううっ、あっ、あっ、あっ、あんっ!あああぁぁん!!!」
 ぴっちりと密着しているそれが、俺の内部を彼の形に変えていく。二人の繋ぎ目はドクドクと脈打ち、火傷するのではないかと思うほどだ。押さえようと思っても勝手に出てくる喘ぎ声が、自分のものだとはとても受け入れられない。
 「・・・・・・へへっ、あっ、ああっ、ぅんっ大前っ、くんっ!!あああぁっ!」
 渋谷も俺には及ばないながらもかなりの喘ぎ声を上げる。薄暗い中でも分かるほどに、可憐な顔を歪ませていたが、それでもまだ足りないとばかりにあらん限りの欲を俺にぶつけてきていた。
 目を爛々と輝かせ、俺の全てを手に入れようとしているかのような顔。その顔を、今まで何人の人間に見せてきたのだろう。でも・・・・・・。

 俺より身体、一回りも小さいのに。ちょっと強引だったけど、その手つきは言葉通り優しい。こんな細い身体を全身使って、汗だくになりながら俺に奉仕してくれているのも伝わってくる。
 息を弾ませながら、渋谷が目を輝かせた。
 「へへ、・・・・・・大前君、どうですか~?処女喪失しちゃった今の気分は?ん~?」
 さっき一瞬いじましいと思った俺の気持ちを返せ、前言撤回してやるわ。
こいつやっぱ気にいらねーわ。

 「あれ?怒ったー?きゃーこわい大前くーん、・・・・・・きゃははっ」
 腰を振る渋谷の動きに合わせて、汗が弾け飛んだ。いつものこいつの軽口だ。いつも教室の真ん中で、友達に囲まれてワイワイやってる時と、全く同じ顔をしている。
 いつも俺が見ていることしかできなかった、あの顔。可愛くて可愛くて、守ってやりたくなってしまうような、あの顔。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者よ、わしの尻より魔王を倒せ………「魔王なんかより陛下の尻だ!」

ミクリ21
BL
変態勇者に陛下は困ります。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

ダンス練習中トイレを言い出せなかったアイドル

こじらせた処女
BL
 とある2人組アイドルグループの鮎(アユ)(16)には悩みがあった。それは、グループの中のリーダーである玖宮(クミヤ)(19)と2人きりになるとうまく話せないこと。 若干の尿意を抱えてレッスン室に入ってしまったアユは、開始20分で我慢が苦しくなってしまい…?

プロデューサーの勃起した乳首が気になって打ち合わせに集中できない件~試される俺らの理性~【LINE形式】

あぐたまんづめ
BL
4人の人気アイドル『JEWEL』はプロデューサーのケンちゃんに恋してる。だけどケンちゃんは童貞で鈍感なので4人のアプローチに全く気づかない。思春期の女子のように恋心を隠していた4人だったが、ある日そんな関係が崩れる事件が。それはメンバーの一人のLINEから始まった。 【登場人物】 ★研磨…29歳。通称ケンちゃん。JEWELのプロデューサー兼マネージャー。自分よりJEWELを最優先に考える。仕事一筋だったので恋愛にかなり疎い。童貞。 ★ハリー…20歳。JEWELの天然担当。容姿端麗で売れっ子モデル。外人で日本語を勉強中。思ったことは直球で言う。 ★柘榴(ざくろ)…19歳。JEWELのまとめ役。しっかり者で大人びているが、メンバーの最年少。文武両道な大学生。ケンちゃんとは義兄弟。けっこう甘えたがりで寂しがり屋。役者としての才能を開花させていく。 ★琥珀(こはく)…22歳。JEWELのチャラ男。ヤクザの息子。女たらしでホストをしていた。ダンスが一番得意。 ★紫水(しすい)…25歳。JEWELのお色気担当。歩く18禁。天才子役として名をはせていたが、色々とやらかして転落人生に。その後はゲイ向けAVのネコ役として活躍していた。爽やかだが腹黒い。

目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件

水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。 そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。 この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…? ※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)

保育士だっておしっこするもん!

こじらせた処女
BL
 男性保育士さんが漏らしている話。ただただ頭悪い小説です。 保育士の道に進み、とある保育園に勤めている尾北和樹は、新人で戸惑いながらも、やりがいを感じながら仕事をこなしていた。  しかし、男性保育士というものはまだまだ珍しく浸透していない。それでも和樹が通う園にはもう一人、男性保育士がいた。名前は多田木遼、2つ年上。  園児と一緒に用を足すな。ある日の朝礼で受けた注意は、尾北和樹に向けられたものだった。他の女性職員の前で言われて顔を真っ赤にする和樹に、気にしないように、と多田木はいうが、保護者からのクレームだ。信用問題に関わり、同性職員の多田木にも迷惑をかけてしまう、そう思い、その日から3階の隅にある職員トイレを使うようになった。  しかし、尾北は一日中トイレに行かなくても平気な多田木とは違い、3時間に一回行かないと限界を迎えてしまう体質。加えて激務だ。園児と一緒に済ませるから、今までなんとかやってこれたのだ。それからというものの、限界ギリギリで間に合う、なんて危ない状況が何度か見受けられた。    ある日の紅葉が色づく頃、事件は起こる。その日は何かとタイミングが掴めなくて、いつもよりさらに忙しかった。やっとトイレにいける、そう思ったところで、前を押さえた幼児に捕まってしまい…?

可愛い男の子が実はタチだった件について。

桜子あんこ
BL
イケメンで女にモテる男、裕也(ゆうや)と可愛くて男にモテる、凛(りん)が付き合い始め、裕也は自分が抱く側かと思っていた。 可愛いS攻め×快楽に弱い男前受け

風邪をひいてフラフラの大学生がトイレ行きたくなる話

こじらせた処女
BL
 風邪でフラフラの大学生がトイレに行きたくなるけど、体が思い通りに動かない話

処理中です...