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その後の話:未来の話をしよう
第13話 到着
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「……ここ、本当に魔界ですか?」
「……今の僕の言葉は、何だったのか」
レシオの疑い深い一言に、ガクッとハルは肩を落とした。
そんなハルを、ティンバーが慰める。
「ハル、そんな悲しそうにしないで下さい。私には、何となく分かるのです。プロトコルと……空気が違う気がするのです。チリチリする感じがするのです……」
「……寒いだけだろ。ほれ、上着を着ろよ」
「お兄様は、鈍感すぎるのですっ! 武術をしているなら、空気感の違いぐらいは感じ取って欲しいのですっ!」
彼女の言葉を全く無視して上着を差し出す兄に、ティンバーが突っ込みを入れた。が、上着は受け取り、羽織っている。やはり少し寒いのかもしれない。
ハルは慰めてくれたティンバーの頭に手を置いて庇ってくれた礼をすると、少し驚いた表情を見せた。
「レシオ、君の妹は凄いな。人間でありながら、この空間に満ちる魔力を感じることが出来るなんて」
「……魔力?」
「ああ。もしかすると、ティンバーが魔界に長くいれば、そのうち魔法が使えるようになったりしてな」
聞き慣れない単語に、レシオは眉根を寄せた。
反対に、ハルの発言にティンバーが瞳を輝かせている。兄の服を引っ張りながら、その場に飛び上がらんとしそうな勢いで捲し立てる。
「魔法が使えるなんて、凄いのですっ! ミディ様と同じなのですっ! お兄様、私、魔法が使えるようになりたいので、今日から魔界に住むのですっ!」
「妹が妙な事を言いだしたので、ちょっとプロトコルに置いてきますね」
「お兄様、嘘なのですっ! だから置いてきぼりは止めて欲しいのですっ!」
冷ややかな反応、そして彼女の首根っこを掴んで連れて行こうとする兄に、ティンバーは半泣きになりながら必死でレシオの服を引っ張り懇願した。このままだと、気持ちに任せて服を破られかねない。彼女を宥めると、レシオは妹の手から服を取り返した。
ティンバーは、兄の言葉にホッと胸を撫で下ろしている。ハルはハルで、自らの発言がこの事態を招いた事に対し、少し罰の悪そうな顔をしていた。
レシオは、自分が感じる事の出来ない魔力とやらについて、ハルに尋ねる。
「ハル、あなたもその魔力とやらを感じることが出来るのですか?」
「あっ……、ああ、そうだな。だが安心して欲しい。僕も魔力が感じられるが、特別何か変わった事はないし、感じられないと言っても何か困る事もない」
先ほどの『魔界にいれば魔法が使えるようになる』かも発言を気にしての事だろう。魔力が感じられる事に対して、何かが起こるわけではないという事を頑張って強調しているのが伝わって来る。
3人は馬を引きながら、森を抜けた。
木々の数が少しずつ少なくなり、やがて背の低い草の方が多くみられるようになってくる。そうなると遮るものがない為、遠くの方まで見渡せるようになった。
「見えるか? あの丘を超えた向こうに小さく見える建物、あれが魔界の城だ」
ハルが指をさす。その方向には、小さいが建物らしきものが見える。ここから距離があるのも関わらずその輪郭が見えるという事は、その建物がかなり大きなものだという事を示していた。
しばらく進むと、舗装された道へと突き当たった。ここからの道は、平坦だった。歩いてでも馬に乗ってでも移動しやすく整備されている。
3人は馬に乗ると、遠く見える魔界の城を目指して走り出した。
「……今の僕の言葉は、何だったのか」
レシオの疑い深い一言に、ガクッとハルは肩を落とした。
そんなハルを、ティンバーが慰める。
「ハル、そんな悲しそうにしないで下さい。私には、何となく分かるのです。プロトコルと……空気が違う気がするのです。チリチリする感じがするのです……」
「……寒いだけだろ。ほれ、上着を着ろよ」
「お兄様は、鈍感すぎるのですっ! 武術をしているなら、空気感の違いぐらいは感じ取って欲しいのですっ!」
彼女の言葉を全く無視して上着を差し出す兄に、ティンバーが突っ込みを入れた。が、上着は受け取り、羽織っている。やはり少し寒いのかもしれない。
ハルは慰めてくれたティンバーの頭に手を置いて庇ってくれた礼をすると、少し驚いた表情を見せた。
「レシオ、君の妹は凄いな。人間でありながら、この空間に満ちる魔力を感じることが出来るなんて」
「……魔力?」
「ああ。もしかすると、ティンバーが魔界に長くいれば、そのうち魔法が使えるようになったりしてな」
聞き慣れない単語に、レシオは眉根を寄せた。
反対に、ハルの発言にティンバーが瞳を輝かせている。兄の服を引っ張りながら、その場に飛び上がらんとしそうな勢いで捲し立てる。
「魔法が使えるなんて、凄いのですっ! ミディ様と同じなのですっ! お兄様、私、魔法が使えるようになりたいので、今日から魔界に住むのですっ!」
「妹が妙な事を言いだしたので、ちょっとプロトコルに置いてきますね」
「お兄様、嘘なのですっ! だから置いてきぼりは止めて欲しいのですっ!」
冷ややかな反応、そして彼女の首根っこを掴んで連れて行こうとする兄に、ティンバーは半泣きになりながら必死でレシオの服を引っ張り懇願した。このままだと、気持ちに任せて服を破られかねない。彼女を宥めると、レシオは妹の手から服を取り返した。
ティンバーは、兄の言葉にホッと胸を撫で下ろしている。ハルはハルで、自らの発言がこの事態を招いた事に対し、少し罰の悪そうな顔をしていた。
レシオは、自分が感じる事の出来ない魔力とやらについて、ハルに尋ねる。
「ハル、あなたもその魔力とやらを感じることが出来るのですか?」
「あっ……、ああ、そうだな。だが安心して欲しい。僕も魔力が感じられるが、特別何か変わった事はないし、感じられないと言っても何か困る事もない」
先ほどの『魔界にいれば魔法が使えるようになる』かも発言を気にしての事だろう。魔力が感じられる事に対して、何かが起こるわけではないという事を頑張って強調しているのが伝わって来る。
3人は馬を引きながら、森を抜けた。
木々の数が少しずつ少なくなり、やがて背の低い草の方が多くみられるようになってくる。そうなると遮るものがない為、遠くの方まで見渡せるようになった。
「見えるか? あの丘を超えた向こうに小さく見える建物、あれが魔界の城だ」
ハルが指をさす。その方向には、小さいが建物らしきものが見える。ここから距離があるのも関わらずその輪郭が見えるという事は、その建物がかなり大きなものだという事を示していた。
しばらく進むと、舗装された道へと突き当たった。ここからの道は、平坦だった。歩いてでも馬に乗ってでも移動しやすく整備されている。
3人は馬に乗ると、遠く見える魔界の城を目指して走り出した。
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