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その後の話:未来の話をしよう
第12話 道
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「そう、ここの道だ。少し細いから、馬は降りて引いた方がいいだろう」
馬から降りて先を行き、道を確認していたハルが2人に指示を出した。彼の言葉に従い兄妹は馬から降りると、ハルが先を行く細い道を馬を引いて入っていった。
彼が出発の際言った通り、センシングとベンドの町の丁度間に、森に繋がる細い道があった。だが道は、よく見なければ分からない程草木が覆い茂り、行く先を阻んでいる。ハルの指示がなければ、誰もが気づかずに通り過ぎてしまうだろう。
ハルの後姿を追いながら黙々と歩いていくと、やがて少し開けた空間に出た。木々が覆い茂る中、不自然に空いた空間を見ると、恐らく元々生えていた木々を切り倒し、人工的に場所を作ったのだろうと想像できた。
わざわざ木々を切り倒してまで作られた空間の理由は、
「こんなところに小屋があるなんて……」
レシオは、目の前に現れた小屋を見て呟いた。こんな不便な場所に小屋を建てる必要がどこにあったのか、と別の疑問が思い浮かぶ。
小屋と表現しているが、一般的な小屋よりも一回り位は大きい。ただどこにも窓はない、小屋から感じられる雰囲気は生活感ではなく、もっと無機的な何かだ。
住むために作られた場所ではない事が、説明されなくても伝わって来た。
ハルは小屋に近づくと、自分の荷物から鍵を取り出した。そして鍵穴に差し込みながら、小屋を見上げる兄妹に伝える。
「『道』はこの中にある。もう少しだ」
「この小屋の中に……、ですか?」
「ああ、見たら分かる」
ハルはそれだけを言うと、扉を開いた。長い間使われなかったのか、木の軋んだ音がうるさく響き渡る。レシオたちは、馬を小屋の柵に括り付けると、中に入った。
部屋の中には、何もなかった。部屋の中央に置かれている、巨大な鏡以外は。
それは大人の1.5倍程の高さがあり、周囲を金色の複雑な装飾が囲んでいる。これだけの大きな物なので、かなり重いのだろう。下の方には巨大な鏡を支える為の重そうな台座があり、その上に倒れぬように鏡がはめ込まれていた。
鏡面は磨き上げられ、曇り一つない。
「すっごく大きな鏡……。ピカピカでとても綺麗なのです」
ティンバーが、鏡と同じく瞳をキラキラさせながら見ている。やはり女の子だからか、こういうものは大好きなようだ。自分の姿を映し、自身が一番かわいく映る角度を試している。
レシオは鏡を見上げながら尋ねた。
「ハル、この鏡は?」
「この鏡が、魔界へ繋がる『道』だ」
「えっ、この鏡が!? でもどこに道が……」
「鏡に見えるが、こうやって中に入ることが出来る」
ハルはそう言って鏡に近づくと、磨き上げられた鏡面に触れた。普通は触れた手は鏡面に留まるはずなのだが、
「手がっ! 鏡の中に沈んでいくのですっ!!」
ティンバーは驚きの為、口元を手のひらで覆った。しかしその瞳は、沈んでいくハルの手に注視され、逸らせずにいる。
そうしているうちにハルの手が、鏡面を突き抜けどんどん入っていき、とうとう腕全体が鏡の中に入ってしまった。しかしティンバーが鏡の後ろを覗いても、ハルの手はどこにもない。
その現象が、再び兄妹を驚かせた。
「この鏡の向こうに魔界がある。今、鏡に入っている僕の腕は、魔界にある状態だ」
肩をすくめ、ハルは鏡面から一歩引くと、鏡に入った腕を引き抜いた。少しずつ、彼の細い腕が姿を現し、やがて全部がこの空間に戻って来た。
この鏡こそが、魔界とプロトコルを繋ぐ『道』。
「一体誰が、こんな物を……」
驚きとまだ信じられない表情を浮かべ、レシオが呟いた。触れたいがちょっと怖いと顔に書いている。彼の問いに、ハルは何気なく答えた。
「四大精霊の技だと聞いている」
「よんだい……精霊ですか……。あれってやっぱり、存在しているんですか?」
「この間、ティンバーと馬に乗らないという誓いを、四大精霊にしていたのは何だったんだ?」
この世界を司る大いなる存在にまで疑惑を抱く、罰当たりな王子にハルは呆れたような視線を向けている。どうやらセンシングの町でした、「レシオがティンバーに鳩尾に一発食らわれ落馬した」話について触れているようだ。その時彼は、二度と妹と馬に乗らないと四大精霊に誓っていると口にしたのだ。
「確かに、様々な場面で四大精霊に祈りを捧げますけど、実際見た事もない存在が作ったと言われると、ちょっとすぐに信じられないというか……」
もにょもにょしながら、レシオが答える。確かに、彼の言いたい事も分かる。ハルもそう思ったのか、苦笑いしつつも彼の言葉に同意した。
「まあそうだろうな。今は、この鏡の中を通って魔界に行けるという事だけ分かって貰えればいい」
そう言って、四大精霊の存在については判断を各自に任せた。
レシオとティンバーは、魔界に行く前にそれぞれの荷物の最終点検を始めた。ギャーギャー言いながら、どちらがどの荷物を持っていくのか、お互い押しつけ合っている。
そんな二人を後目に、ハルは2人の馬を部屋の中に連れて来た。鏡が馬が通る大きさであることと、魔界にも馬がいるということで、二人の馬も連れていく事になったのだ。
「では、そろそろ出発しよう。準備は大丈夫か?」
「準備完了です! ハル隊長!」
「こちらも準備完了なのですっ! ハル隊長っ!」
「……相変わらず、緊張感がないな、君たちは」
楽しそうに敬礼する兄妹を見て、ハルは前途多難そうだとため息をついた。
これから始まる魔界への旅。
兄妹に背中を向け、鏡の中に入っていくハル。2人も馬を引きながら、恐る恐る鏡の中に入っていく。鏡面を通る瞬間ですら、通常の空間を通っているのと変わらない。
不思議な体験は、一瞬にして終わった。
鏡に入った瞬間、その足は別の地を踏んでいたのだ。明るい光が、二人の目を刺激する。
鏡を通り抜けた先に広がっていたのは、広大な森だった。
先ほどの小屋と同じく、生えていたであろう木々が切り倒され、空間が作られている。その空間の中央には、それも同じく巨大な鏡の存在。
先ほどまでいたプロトコルの森だと言われても、気づかないだろう。それ程、魔界とプロトコルに違いが感じられない。
彼らの前には一足先に来ていたハルが、こちらを振り向いて小さく笑っていた。
「レシオアーク・エルザ、そしてティンバー・エルザ」
二人の名を呼ぶ。そしてどこか誇らしげに、口を開いた。
「魔界へようこそ」
馬から降りて先を行き、道を確認していたハルが2人に指示を出した。彼の言葉に従い兄妹は馬から降りると、ハルが先を行く細い道を馬を引いて入っていった。
彼が出発の際言った通り、センシングとベンドの町の丁度間に、森に繋がる細い道があった。だが道は、よく見なければ分からない程草木が覆い茂り、行く先を阻んでいる。ハルの指示がなければ、誰もが気づかずに通り過ぎてしまうだろう。
ハルの後姿を追いながら黙々と歩いていくと、やがて少し開けた空間に出た。木々が覆い茂る中、不自然に空いた空間を見ると、恐らく元々生えていた木々を切り倒し、人工的に場所を作ったのだろうと想像できた。
わざわざ木々を切り倒してまで作られた空間の理由は、
「こんなところに小屋があるなんて……」
レシオは、目の前に現れた小屋を見て呟いた。こんな不便な場所に小屋を建てる必要がどこにあったのか、と別の疑問が思い浮かぶ。
小屋と表現しているが、一般的な小屋よりも一回り位は大きい。ただどこにも窓はない、小屋から感じられる雰囲気は生活感ではなく、もっと無機的な何かだ。
住むために作られた場所ではない事が、説明されなくても伝わって来た。
ハルは小屋に近づくと、自分の荷物から鍵を取り出した。そして鍵穴に差し込みながら、小屋を見上げる兄妹に伝える。
「『道』はこの中にある。もう少しだ」
「この小屋の中に……、ですか?」
「ああ、見たら分かる」
ハルはそれだけを言うと、扉を開いた。長い間使われなかったのか、木の軋んだ音がうるさく響き渡る。レシオたちは、馬を小屋の柵に括り付けると、中に入った。
部屋の中には、何もなかった。部屋の中央に置かれている、巨大な鏡以外は。
それは大人の1.5倍程の高さがあり、周囲を金色の複雑な装飾が囲んでいる。これだけの大きな物なので、かなり重いのだろう。下の方には巨大な鏡を支える為の重そうな台座があり、その上に倒れぬように鏡がはめ込まれていた。
鏡面は磨き上げられ、曇り一つない。
「すっごく大きな鏡……。ピカピカでとても綺麗なのです」
ティンバーが、鏡と同じく瞳をキラキラさせながら見ている。やはり女の子だからか、こういうものは大好きなようだ。自分の姿を映し、自身が一番かわいく映る角度を試している。
レシオは鏡を見上げながら尋ねた。
「ハル、この鏡は?」
「この鏡が、魔界へ繋がる『道』だ」
「えっ、この鏡が!? でもどこに道が……」
「鏡に見えるが、こうやって中に入ることが出来る」
ハルはそう言って鏡に近づくと、磨き上げられた鏡面に触れた。普通は触れた手は鏡面に留まるはずなのだが、
「手がっ! 鏡の中に沈んでいくのですっ!!」
ティンバーは驚きの為、口元を手のひらで覆った。しかしその瞳は、沈んでいくハルの手に注視され、逸らせずにいる。
そうしているうちにハルの手が、鏡面を突き抜けどんどん入っていき、とうとう腕全体が鏡の中に入ってしまった。しかしティンバーが鏡の後ろを覗いても、ハルの手はどこにもない。
その現象が、再び兄妹を驚かせた。
「この鏡の向こうに魔界がある。今、鏡に入っている僕の腕は、魔界にある状態だ」
肩をすくめ、ハルは鏡面から一歩引くと、鏡に入った腕を引き抜いた。少しずつ、彼の細い腕が姿を現し、やがて全部がこの空間に戻って来た。
この鏡こそが、魔界とプロトコルを繋ぐ『道』。
「一体誰が、こんな物を……」
驚きとまだ信じられない表情を浮かべ、レシオが呟いた。触れたいがちょっと怖いと顔に書いている。彼の問いに、ハルは何気なく答えた。
「四大精霊の技だと聞いている」
「よんだい……精霊ですか……。あれってやっぱり、存在しているんですか?」
「この間、ティンバーと馬に乗らないという誓いを、四大精霊にしていたのは何だったんだ?」
この世界を司る大いなる存在にまで疑惑を抱く、罰当たりな王子にハルは呆れたような視線を向けている。どうやらセンシングの町でした、「レシオがティンバーに鳩尾に一発食らわれ落馬した」話について触れているようだ。その時彼は、二度と妹と馬に乗らないと四大精霊に誓っていると口にしたのだ。
「確かに、様々な場面で四大精霊に祈りを捧げますけど、実際見た事もない存在が作ったと言われると、ちょっとすぐに信じられないというか……」
もにょもにょしながら、レシオが答える。確かに、彼の言いたい事も分かる。ハルもそう思ったのか、苦笑いしつつも彼の言葉に同意した。
「まあそうだろうな。今は、この鏡の中を通って魔界に行けるという事だけ分かって貰えればいい」
そう言って、四大精霊の存在については判断を各自に任せた。
レシオとティンバーは、魔界に行く前にそれぞれの荷物の最終点検を始めた。ギャーギャー言いながら、どちらがどの荷物を持っていくのか、お互い押しつけ合っている。
そんな二人を後目に、ハルは2人の馬を部屋の中に連れて来た。鏡が馬が通る大きさであることと、魔界にも馬がいるということで、二人の馬も連れていく事になったのだ。
「では、そろそろ出発しよう。準備は大丈夫か?」
「準備完了です! ハル隊長!」
「こちらも準備完了なのですっ! ハル隊長っ!」
「……相変わらず、緊張感がないな、君たちは」
楽しそうに敬礼する兄妹を見て、ハルは前途多難そうだとため息をついた。
これから始まる魔界への旅。
兄妹に背中を向け、鏡の中に入っていくハル。2人も馬を引きながら、恐る恐る鏡の中に入っていく。鏡面を通る瞬間ですら、通常の空間を通っているのと変わらない。
不思議な体験は、一瞬にして終わった。
鏡に入った瞬間、その足は別の地を踏んでいたのだ。明るい光が、二人の目を刺激する。
鏡を通り抜けた先に広がっていたのは、広大な森だった。
先ほどの小屋と同じく、生えていたであろう木々が切り倒され、空間が作られている。その空間の中央には、それも同じく巨大な鏡の存在。
先ほどまでいたプロトコルの森だと言われても、気づかないだろう。それ程、魔界とプロトコルに違いが感じられない。
彼らの前には一足先に来ていたハルが、こちらを振り向いて小さく笑っていた。
「レシオアーク・エルザ、そしてティンバー・エルザ」
二人の名を呼ぶ。そしてどこか誇らしげに、口を開いた。
「魔界へようこそ」
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