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第81話 心配2
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「……ミディ、連絡するという約束自体……、忘れてた……とか?」
「………………てへっ☆」
「てへっ☆ じゃな――――――い!!!」
アクノリッジのまねをし、ぺろっと舌を出し、笑って誤魔化そうとするミディ。
しかしそれが通用するほど、今のジェネラルは激甘ではない。
「ミディ……、もう呆れて物も言えないよ……」
怒りに拳を震わせながら、先ほどとは違った小さな声でジェネラルが呟く。
怒りメーターほぼMAXな状態である。
が、ミディも負けてはいなかった。
「まあ、約束を破ったことは謝るわよ。でも、あなたがそんなにも心配するなんて、思ってもいなかったわ」
「心配するに決まってるじゃないか!!」
「そう? マージでの事件の時、あなたの言葉、
『ミディの心配なんて、するだけ損じゃないか』
これが、忘れられないんだけど?」
彼女の言葉に、ジェネラルはうっと声を詰まらせた。
マージでの事件――土地の権利証を巡り、ミディがオルタの屋敷に襲撃を掛けた事件の事である。
敵の本拠地でジェネラルは、1人乗り込んだミディの心配をせず、逆に敵の心配をしたのだ。その事に突っ込んだミディに対し、ジェネラルが返した言葉が、これであった。
ミディの恨みを込めた視線に、ジェネラルの怒りメーターが少し下がった。
先ほどのミディのように、視線をあさっての方向に向けると、
「あの時は……、あの時だよ……」
と歯切れ悪く呟いた。
しかし、あの時からのことを考えると、ミディに対する気持ちは大きく変わったように思える。
出会った当初は、無敵変人女という認識しかなかった。
強力な力を持っている為、本気で心配もすることはなかったし、何があっても彼女なら何とかできると楽観していた事は否めない。
だけど今回は違った。
ミディの身が心配で、守護すべきフィードを残して探しに行った事が、彼の気持ちの変化を証明している。
「過去の事は置いといて、とっ、とにかく!」
話が自分の不利な流れに行きそうになるのを止める為、無理やり元に引き戻すジェネラル。そして話の主導権を戻そうと、再びテーブルを叩いた。
「本当に心配したんだからね!! だって……」
少しの空白。
何かを言おうとしたのだが、その空白がジェネラルの記憶を奪った。
一瞬疑問に思ったが、その記憶の穴を埋めるかのように、別の言葉が入った。そのときにはもう、忘れた言葉に対する疑問は欠片もなく消えていた。
「だって、状況が状況だったじゃないか。氾濫しかけの荒れた川に入るとか……。フィードさんだって、かなり心配してたんだよ? 自分が村に戻って、自分が生贄になるって言ってたくらいなんだから!」
「あ……、そうだったの……」
そう言いながら両足を抱えて座ると、自分の視界からジェネラルを外すように、体の正面を横に向けるミディ。自分の立場が悪くなり、逃げているように見える。
ここで逃がしてたまるかと、ジェネラルは立ち上がると、しっかりとミディの視界に入る位置に立った。
そして、再びあさっての方向に視線を向けるミディの顔を覗き込む。
「……ちゃんと反省してる?」
「ん~~……」
少し考え込むように、ミディは首をかしげた。ここで即答しないあたり、この王女らしい。
そしてしばらく考えた後、発された言葉は。
「……少しはね」
“少し……ですか……”
やっぱりね…、とジェネラルはため息をついた。
だがあの女が、少しは反省していると言ったのだ。大きな進歩だと思ってもいいだろう。
「まあ……、たまには」
ミディは、そっと瞳を伏せた。
先ほどとは違って、静かな様子だった。
大きく息を吐き出すと、瞳を閉じたまま、言葉をつむぎ出す。
「誰かに心配されるのも……、悪くはないわね」
そう呟くミディの姿は、どこか嬉しそうだった。
「………………てへっ☆」
「てへっ☆ じゃな――――――い!!!」
アクノリッジのまねをし、ぺろっと舌を出し、笑って誤魔化そうとするミディ。
しかしそれが通用するほど、今のジェネラルは激甘ではない。
「ミディ……、もう呆れて物も言えないよ……」
怒りに拳を震わせながら、先ほどとは違った小さな声でジェネラルが呟く。
怒りメーターほぼMAXな状態である。
が、ミディも負けてはいなかった。
「まあ、約束を破ったことは謝るわよ。でも、あなたがそんなにも心配するなんて、思ってもいなかったわ」
「心配するに決まってるじゃないか!!」
「そう? マージでの事件の時、あなたの言葉、
『ミディの心配なんて、するだけ損じゃないか』
これが、忘れられないんだけど?」
彼女の言葉に、ジェネラルはうっと声を詰まらせた。
マージでの事件――土地の権利証を巡り、ミディがオルタの屋敷に襲撃を掛けた事件の事である。
敵の本拠地でジェネラルは、1人乗り込んだミディの心配をせず、逆に敵の心配をしたのだ。その事に突っ込んだミディに対し、ジェネラルが返した言葉が、これであった。
ミディの恨みを込めた視線に、ジェネラルの怒りメーターが少し下がった。
先ほどのミディのように、視線をあさっての方向に向けると、
「あの時は……、あの時だよ……」
と歯切れ悪く呟いた。
しかし、あの時からのことを考えると、ミディに対する気持ちは大きく変わったように思える。
出会った当初は、無敵変人女という認識しかなかった。
強力な力を持っている為、本気で心配もすることはなかったし、何があっても彼女なら何とかできると楽観していた事は否めない。
だけど今回は違った。
ミディの身が心配で、守護すべきフィードを残して探しに行った事が、彼の気持ちの変化を証明している。
「過去の事は置いといて、とっ、とにかく!」
話が自分の不利な流れに行きそうになるのを止める為、無理やり元に引き戻すジェネラル。そして話の主導権を戻そうと、再びテーブルを叩いた。
「本当に心配したんだからね!! だって……」
少しの空白。
何かを言おうとしたのだが、その空白がジェネラルの記憶を奪った。
一瞬疑問に思ったが、その記憶の穴を埋めるかのように、別の言葉が入った。そのときにはもう、忘れた言葉に対する疑問は欠片もなく消えていた。
「だって、状況が状況だったじゃないか。氾濫しかけの荒れた川に入るとか……。フィードさんだって、かなり心配してたんだよ? 自分が村に戻って、自分が生贄になるって言ってたくらいなんだから!」
「あ……、そうだったの……」
そう言いながら両足を抱えて座ると、自分の視界からジェネラルを外すように、体の正面を横に向けるミディ。自分の立場が悪くなり、逃げているように見える。
ここで逃がしてたまるかと、ジェネラルは立ち上がると、しっかりとミディの視界に入る位置に立った。
そして、再びあさっての方向に視線を向けるミディの顔を覗き込む。
「……ちゃんと反省してる?」
「ん~~……」
少し考え込むように、ミディは首をかしげた。ここで即答しないあたり、この王女らしい。
そしてしばらく考えた後、発された言葉は。
「……少しはね」
“少し……ですか……”
やっぱりね…、とジェネラルはため息をついた。
だがあの女が、少しは反省していると言ったのだ。大きな進歩だと思ってもいいだろう。
「まあ……、たまには」
ミディは、そっと瞳を伏せた。
先ほどとは違って、静かな様子だった。
大きく息を吐き出すと、瞳を閉じたまま、言葉をつむぎ出す。
「誰かに心配されるのも……、悪くはないわね」
そう呟くミディの姿は、どこか嬉しそうだった。
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