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第4章 ケース3:みなみな私のもの
第28話 気になるあの子
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あと1日……あとたったの1日。それだけであの奇妙奇天烈なバイトとおさらばできることとなった。
1週間は続けることを馬場と約束して、それほど気負っていたわけでもないけれど……それなりにどうなることかと不安には思っていた。
終わりがすぐそこに見えればあっけない。どんな心配事も得てしてそういうものなのかもしれない。思っているよりは難しくないことだったりする。
実際この前のシフトの仕事内容は簡単だった。怖くも何ともなければ疲れもしない。たったあれだけで時給が高い優良バイトだ。
凛太は悪夢治療バイト最終日の夕方、余裕な顔でテレビを見ていた。昨日の朝方、バイト帰りに買ってきた甘い菓子パンをかじりながら。
冷蔵庫にはまだ昨日一緒に買った新発売の大盛り弁当や、ちょっとお高いコンビニスイーツも入っている。金を稼いだ分、多少は贅沢をしたくなるものだ。
正直なところ、夏休みの間くらいなら続けてみようかという気持ちもある。多少のやりがいや楽な部分も見えたからだ。1週間できたのなら2か月くらい可能かもしれない。
でも、ここでやめておく。どんな恐怖があるか分からない。ここまでの悪夢よりずっと怖い悪夢も充分に遭遇する可能性がある。
そして、何より……凛太も悪夢を見るようになった。
凛太はこの前見た病室の少女に成すすべなく殺される夢を三日連続で見ていた。見る度に驚いて目を覚ます。
悪夢に驚いて声を出しながら目を覚ますなんて、この前が初めてだったのに短い期間で連続して経験した。そもそもあんな物語の中みたいなリアクションをしたことを自分でも驚いている。
だけどきっとあんな悪夢も今日のバイトが終われば見なくなる。そんな気がする。気の持ちようによってだったり、日中の過ごし方によってみる夢は変わる。
このバイトをやめた後、今度やるバイトは昼に働くバイトにしようと思う。
凛太は少し慣れてきてしまった生活リズムをこなした。夕食を早めに済ませてお風呂に入る。お風呂から出たら、髪をセットして外に出られる格好に着替えた。
風呂の中で歯磨きも髭剃りもして、体が温まり過ぎないように出るときにはシャワーで水を浴びる。
本当はこんな時間から外出なんて体が重いけれど、最後ともなればその気は湧いてこなかった。
今日で終わりということを考えれば、全てがどうということはない。もったいないじゃないけれど……なんとなく他人事のように思いにふけってしまうというか……。
俺がやめたらあの病院には次に誰がバイトに入るんだろうとか……増川や桜田という同僚は俺にどんな感想を持って二度と会うことはないのだろうかとか……天井を見ながら考えてしまう。
凛太はそのまま夜空を見ながら考えた。考えながら出勤した。とまと睡眠治療クリニックに向かって。
まあ、やめるという結論が揺るぐことは全くなかったが……。そこは大前提で、やめた後のことに思いを巡らせた。
揺るぐことは無かった。無かったはずなのに……。
病院内に入りバイト準備室のドアを開けただけで、すぐにその決意はゆらいでしまったのだった。
全く思いもよらない人物がそこにいた。
春山さん。凛太がいつからかずっと片思いしている同級生のマドンナだった。
1週間は続けることを馬場と約束して、それほど気負っていたわけでもないけれど……それなりにどうなることかと不安には思っていた。
終わりがすぐそこに見えればあっけない。どんな心配事も得てしてそういうものなのかもしれない。思っているよりは難しくないことだったりする。
実際この前のシフトの仕事内容は簡単だった。怖くも何ともなければ疲れもしない。たったあれだけで時給が高い優良バイトだ。
凛太は悪夢治療バイト最終日の夕方、余裕な顔でテレビを見ていた。昨日の朝方、バイト帰りに買ってきた甘い菓子パンをかじりながら。
冷蔵庫にはまだ昨日一緒に買った新発売の大盛り弁当や、ちょっとお高いコンビニスイーツも入っている。金を稼いだ分、多少は贅沢をしたくなるものだ。
正直なところ、夏休みの間くらいなら続けてみようかという気持ちもある。多少のやりがいや楽な部分も見えたからだ。1週間できたのなら2か月くらい可能かもしれない。
でも、ここでやめておく。どんな恐怖があるか分からない。ここまでの悪夢よりずっと怖い悪夢も充分に遭遇する可能性がある。
そして、何より……凛太も悪夢を見るようになった。
凛太はこの前見た病室の少女に成すすべなく殺される夢を三日連続で見ていた。見る度に驚いて目を覚ます。
悪夢に驚いて声を出しながら目を覚ますなんて、この前が初めてだったのに短い期間で連続して経験した。そもそもあんな物語の中みたいなリアクションをしたことを自分でも驚いている。
だけどきっとあんな悪夢も今日のバイトが終われば見なくなる。そんな気がする。気の持ちようによってだったり、日中の過ごし方によってみる夢は変わる。
このバイトをやめた後、今度やるバイトは昼に働くバイトにしようと思う。
凛太は少し慣れてきてしまった生活リズムをこなした。夕食を早めに済ませてお風呂に入る。お風呂から出たら、髪をセットして外に出られる格好に着替えた。
風呂の中で歯磨きも髭剃りもして、体が温まり過ぎないように出るときにはシャワーで水を浴びる。
本当はこんな時間から外出なんて体が重いけれど、最後ともなればその気は湧いてこなかった。
今日で終わりということを考えれば、全てがどうということはない。もったいないじゃないけれど……なんとなく他人事のように思いにふけってしまうというか……。
俺がやめたらあの病院には次に誰がバイトに入るんだろうとか……増川や桜田という同僚は俺にどんな感想を持って二度と会うことはないのだろうかとか……天井を見ながら考えてしまう。
凛太はそのまま夜空を見ながら考えた。考えながら出勤した。とまと睡眠治療クリニックに向かって。
まあ、やめるという結論が揺るぐことは全くなかったが……。そこは大前提で、やめた後のことに思いを巡らせた。
揺るぐことは無かった。無かったはずなのに……。
病院内に入りバイト準備室のドアを開けただけで、すぐにその決意はゆらいでしまったのだった。
全く思いもよらない人物がそこにいた。
春山さん。凛太がいつからかずっと片思いしている同級生のマドンナだった。
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