不思議な時計屋

simaenaga

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第2章・宝物

9話 夢?

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少年が店の奥に入ってからしばらくたった。

「お待たせー。はいっ!4億3千8百万ゴールドだよ。」

ドンッと音がして机に置かれたそれは、紛れもなく本物のお金だ。

「お、おお…。本当にあったんだ。」

正直、少年の話しは冗談だと思っていたので驚いた。

「本当に売って良いんだね?」

少年が問いかけてくる。

しかし、僕の心はもう決まっていた。

「ああ、勿論。」

「よし!じゃあ取引成立だね。」

「僕の寿命はどうやってあげたら良いんだい?」

寿命の売買なんて聞いたこともないから、勝手が分からない。

「それはもう貰ったから大丈夫だよ。」

「えっ?終わってたの!?」

てっきり、魔法とかいうやつをかけられたり、変な機械に入れられたりするのかと思っていた僕は、驚いてうわずった声を出してしまった。




「じゃあ僕はそろそろ行くよ。」

その後もいろいろと話して、そろそろ昼休みが終わる頃だろうと思い会社に帰ることにする。

「うん。じゃあね!会社、頑張って立て直してね!」

「ああ。ありがとう。助かったよ!またね。」

僕はそう言って店を後にした。




僕は店を出てから時計を確認すると、確かに時間は進んでいなかった。

そして、振り返ってみたら僕が歩いてきた道は無くなっていた。

「なんだったんだ…?夢…か?」

そう思ったが手元にはあの大金がしっかりある。

「だとしたら、あの子はお化け…とか?」

少し悪寒がしたが、ふと我に返って今が昼休み中だということを思い出した。

「早く昼食を摂って会社に戻らないとな。」
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