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第18話(新婚編)
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「…………」
大勢の人に盛大にお祝いをしてもらった挙式、そして披露宴を終えた私たちはアーデルヘルムの屋敷へと帰ってきた。
一緒に着いてきてくれたソフィーや男爵家の侍女たちに湯浴みをしてもらい、ナイトドレスを身に纏って寝室へと向かう。
部屋へと続く続く廊下をソフィーと歩きながら心臓が体の中から爆発しそうなほど跳ねていて口から出そう。
「うぅ……」
「姫様、いいえ奥様。落ち着いてください」
「落ち着けないわよソフィー……」
胸元を抑えて涙目でソフィーに縋ると、ソフィーは困ったように笑う。同じ女として気持ちは分かってくれているのだろう。
しかしこれは妻として避けては通れない道だ。今日は初夜なのだから。
そうこうしている内に寝室のドアの前にたどり着いていた。
後ろのいるソフィーに目をやると彼女は力強く頷いてくれたので何度も深呼吸をして震える手でドアをノックする。
「はい」
「っ!!」
部屋の中から聞こえた声に、せっかく落ち着かせた心臓が悲鳴を上げている気がする。ソフィーに見送られながらゆっくりドアを開けて中へと進む。
ベッドのヘッドボードに背中を預けて本を読んでいた同じ寝間着姿のアーデルヘルムは、私を見て優しく微笑む。
本を閉じてポンポンと隣を叩くので、手と足が同時に出ながらなんとかベッドに辿り着いて隣に座る。
誰が見てもガチガチな私を見てアーデルヘルムは余裕そうに笑っているから悔しくなる。
そんなことを考えていると、アーデルヘルムは私の肩を優しく押した。
え、とバランスが崩れて背中が柔らかいシーツの上に触れる。目の前には天井と、アーデルヘルムの顔。
(つ、ついに……!)
ギュっと目を瞑って震える手を握ると、ふわりと優しく布団をかけられた。
「今日は疲れたでしょう。ゆっくりおやすみくださいヴェロニカ様」
「……え? え、あ、うん……おやすみ……」
おやすみなさい、と同じ布団に入ったアーデルヘルムは微笑み、目を瞑って暫くすると寝息を立て始めた。
…うん、今日は式もあって彼も疲れていたのだろう。うん。しょうがない。
そんなふうに自分の中で無理やり納得してその日は私も疲れもあってすぐに夢の世界に入った。
だけど結婚して一か月。
アーデルヘルムは私を抱いていない。毎日同じ布団に入ってもただ眠るだけ。キスをするのも額や頬だけ。
騎士団の仕事で忙しいのは分かってる。事務仕事も騎士の訓練もあるし忙しいことはちゃんと分かってる。
それでも、それでも……!
「ひどいと思わない!?」
バンッ! とテーブルを叩くと、向かいに座る彼女が「ヒッ!」と悲鳴を出して怯える。
「お、落ち着いてくださいヴェロニカ様……」
「これが落ち着いていられますか!!」
「ひゃあ!」
ゴキュゴキュと淑女とは思えない飲み方で紅茶を一気に飲み干すと、こんな私は慣れているソフィーが追加でカップに紅茶を注いでくれる。
一緒にお茶会をしているのは、ユージオ兄様の婚約者で私の学生時代の友人のニコラだ。
大人しくまさに淑女といった彼女ではあるが、伯爵令嬢として芯はしっかりしている。マイペースなユージオ兄様にピッタリだ。
「ねぇ……ニコラは兄様とシた?」
「へあっ!? し、シたってその……えっと……!」
耳まで真っ赤にしているニコラの目が右へ左へ泳いでいる。この慌てよう……まさか……
「シてるんだぁ……!」
「うぅ……」
私は手で顔を覆い項垂れる。ニコラはテーブルに突っ伏してしまった。こんな異様なお茶会は誰も近づきたくないだろう。
この国では婚約でもお互い成人していればそういう行為をしていいことになっている。
王子のお手付きとなれば婚約破棄など出来なくなるが、兄とニコラは傍から見ても両想いなので破棄などするはずもないだろう。
未来の義姉であり人生の先輩として色々教えてもらわねば。
どんなふうに初めてを迎えたのか、兄のそういうことを聞くのはちょっと聞きたくはないが、アーデルヘルムとの未来のためだ。
泣きそうな顔をしているニコラに根掘り葉掘り聞いていると、私たちに近づいてくる人影が二つ。
「なんだか賑やかね」
「フローラ義姉様、ターニャ様」
現れたのは、王太子妃のフローラ義姉様に、レオドール兄様の婚約者のターニャ様。侍女が新たに用意した椅子に二人が座り、お茶会が再開される。
「で、何の話してたわけ?」
用意されたクッキーをポリポリ食べているターニャ様はレオ兄様の幼なじみだ。
活発で男勝りなターニャ様はよくレオ兄様と王宮の庭を駆け回ったり木を登ったりとドレスを泥だらけにして、ターニャ様のお母様がよく気を失いかけているのを見たことがある。
私はどちらかというとレオ兄様に性格が似ているからレオ兄様の後をよく追いかけていた。
小さい頃はターニャ様にも遊んでもらっていて、実の姉のように慕っていた。だからターニャ様が将来本当に姉になると聞いたときは腕を広げて喜んだものだ。
赤毛の髪を肩上で切り揃え、外に跳ねた髪型は彼女によく似合っている。フローラ義姉様とは違う意味で女学生の憧れの的だったのだ。
ちなみにレオ兄様とターニャ様の婚約にきっかけは兄の一目惚れだ。
「ニコラがユージオ兄様とシてるって話をしてたの」
「ゔぇ、ヴェロニカ様!?」
「まぁ」
勝手にバラされたことにニコラは顔を真っ赤にして狼狽えている。
フローラ義姉様は口に手を当てて驚いた顔し、ターニャ様は「あいつムッツリだから手出すの早そうだもんな」と揶揄う。
ニコラはもう可哀想なほどに涙を目に溜めいる。この表情をしている時の彼女が可愛くて何度も苛めてしまうのは許してほしい。
「ターニャ様はもう兄様とはシてるんでしょ?」
「ん? まーねー。でもあいつ見た目のくせになよっちくて手を出してこなかったの。焦ったくて私が襲っちゃった」
「おそ……!?」
「あらあら」
その行動力は彼女は本当に女にしてるのは勿体ない。フローラ義姉様は小さく笑いながら優雅にお茶を飲んでいる。
下世話な話をしているにも関わらず彼女からはそんな雰囲気を感じさせない、まさに聖母のような人だ。
しかしそんな彼女を同様させたくなるのが私。
「フローラ義姉様はもちろんシてるのよね? 初めてはどんなだった?」
直接的な質問にフローラ義姉様は驚いたように目を丸くするも、すぐにいつもの見惚れるような微笑みを浮かべる。
「どうかしら?」
この笑みはきっとこれ以上突っ込んでも話してくれないだろう。やはり一筋縄にはいかない。さすが未来の王妃だ。
だがつまらない。口を尖らせてむくれる私に義姉様は小さく笑う。
「そんなことを聞いてくるということは、ヴェロニカ様。シュタインベック卿に手を出されないことに悩んでおいでなのね」
「!?」
見透かしたフローラ義姉様に図星を突かれ、動揺に言葉が詰まる。「へえ!」とターニャ様は良いおもちゃを見つけたような意地な顔で笑う。
ニコラはさっきさんざん揶揄ったからか助け船を出してくれず呑気に紅茶を飲んでいる。
「なんだヴェロニカ様は手を出してほしくてムラムラしてるのか」
「た、ターニャ様! 下品ですわ……」
太陽が燦々と降り注ぐ時間のお茶会とは思えない発言だ。ここが王宮の庭でなければ大騒ぎになっていただろう。
ここまでバレたのなら恥を承知で先輩たちに聞くしかあるまい。
「……もう結婚して一か月経つのよ。なんで手を出してくれないのかしら」
私の声色から真剣に悩んでいるのが分かったのか、三人も真面目に考えてくれる。
「やはり歳の差を気にされてるんでしょうか」
「アーデルヘルムは私たちが小さい頃から面倒見てたからやっぱり抵抗があるんじゃない?」
「…………」
やはりそうなのだろうか。私が子供っぽいから? 小さい頃から知っている相手にはやっぱり手が出しにくいのだろうか。
でもどう頑張ったって年の差は埋まらないし、小さい頃に会ってなければ結婚していなかっただろうからどうしようもない。
フローラ義姉様ぐらい大人っぽくなったらアーデルヘルムも手を出したくなるのだろうか。胸が小さいのも問題なのかもしれない。
自分の不甲斐なさに落ち込んでいるとフローラ義姉様がカップをソーサーに置く。
「ヴェロニカ様。こういうのはちゃんとご本人に話すべきです」
「でも……」
その通りなのだろうけど、どうしても勇気がでない。自分の長所はどこに行ってしまったのだろうか。
さらに肩を落とすと自分の手に白く柔らかい手が重なり、顔を上げるとフローラ義姉様が優しく微笑んでいる。
「お二人はもうご夫婦なのです。小さなことでも蟠りは一緒に解決していくべきですわ」
「フローラ義姉様……」
もうフローラ義姉様には頭が上がらない。今度エミリオ兄様に好きなものを聞いてプレゼントを贈ろう。
義姉様の手を握り返してお礼を言う。ターニャ様も腕を組んで頷き、ニコラも「さすがフローラ様」と目を輝かせている。
それからは楽しく淑女の会話をしてお茶会は解散となった。
大勢の人に盛大にお祝いをしてもらった挙式、そして披露宴を終えた私たちはアーデルヘルムの屋敷へと帰ってきた。
一緒に着いてきてくれたソフィーや男爵家の侍女たちに湯浴みをしてもらい、ナイトドレスを身に纏って寝室へと向かう。
部屋へと続く続く廊下をソフィーと歩きながら心臓が体の中から爆発しそうなほど跳ねていて口から出そう。
「うぅ……」
「姫様、いいえ奥様。落ち着いてください」
「落ち着けないわよソフィー……」
胸元を抑えて涙目でソフィーに縋ると、ソフィーは困ったように笑う。同じ女として気持ちは分かってくれているのだろう。
しかしこれは妻として避けては通れない道だ。今日は初夜なのだから。
そうこうしている内に寝室のドアの前にたどり着いていた。
後ろのいるソフィーに目をやると彼女は力強く頷いてくれたので何度も深呼吸をして震える手でドアをノックする。
「はい」
「っ!!」
部屋の中から聞こえた声に、せっかく落ち着かせた心臓が悲鳴を上げている気がする。ソフィーに見送られながらゆっくりドアを開けて中へと進む。
ベッドのヘッドボードに背中を預けて本を読んでいた同じ寝間着姿のアーデルヘルムは、私を見て優しく微笑む。
本を閉じてポンポンと隣を叩くので、手と足が同時に出ながらなんとかベッドに辿り着いて隣に座る。
誰が見てもガチガチな私を見てアーデルヘルムは余裕そうに笑っているから悔しくなる。
そんなことを考えていると、アーデルヘルムは私の肩を優しく押した。
え、とバランスが崩れて背中が柔らかいシーツの上に触れる。目の前には天井と、アーデルヘルムの顔。
(つ、ついに……!)
ギュっと目を瞑って震える手を握ると、ふわりと優しく布団をかけられた。
「今日は疲れたでしょう。ゆっくりおやすみくださいヴェロニカ様」
「……え? え、あ、うん……おやすみ……」
おやすみなさい、と同じ布団に入ったアーデルヘルムは微笑み、目を瞑って暫くすると寝息を立て始めた。
…うん、今日は式もあって彼も疲れていたのだろう。うん。しょうがない。
そんなふうに自分の中で無理やり納得してその日は私も疲れもあってすぐに夢の世界に入った。
だけど結婚して一か月。
アーデルヘルムは私を抱いていない。毎日同じ布団に入ってもただ眠るだけ。キスをするのも額や頬だけ。
騎士団の仕事で忙しいのは分かってる。事務仕事も騎士の訓練もあるし忙しいことはちゃんと分かってる。
それでも、それでも……!
「ひどいと思わない!?」
バンッ! とテーブルを叩くと、向かいに座る彼女が「ヒッ!」と悲鳴を出して怯える。
「お、落ち着いてくださいヴェロニカ様……」
「これが落ち着いていられますか!!」
「ひゃあ!」
ゴキュゴキュと淑女とは思えない飲み方で紅茶を一気に飲み干すと、こんな私は慣れているソフィーが追加でカップに紅茶を注いでくれる。
一緒にお茶会をしているのは、ユージオ兄様の婚約者で私の学生時代の友人のニコラだ。
大人しくまさに淑女といった彼女ではあるが、伯爵令嬢として芯はしっかりしている。マイペースなユージオ兄様にピッタリだ。
「ねぇ……ニコラは兄様とシた?」
「へあっ!? し、シたってその……えっと……!」
耳まで真っ赤にしているニコラの目が右へ左へ泳いでいる。この慌てよう……まさか……
「シてるんだぁ……!」
「うぅ……」
私は手で顔を覆い項垂れる。ニコラはテーブルに突っ伏してしまった。こんな異様なお茶会は誰も近づきたくないだろう。
この国では婚約でもお互い成人していればそういう行為をしていいことになっている。
王子のお手付きとなれば婚約破棄など出来なくなるが、兄とニコラは傍から見ても両想いなので破棄などするはずもないだろう。
未来の義姉であり人生の先輩として色々教えてもらわねば。
どんなふうに初めてを迎えたのか、兄のそういうことを聞くのはちょっと聞きたくはないが、アーデルヘルムとの未来のためだ。
泣きそうな顔をしているニコラに根掘り葉掘り聞いていると、私たちに近づいてくる人影が二つ。
「なんだか賑やかね」
「フローラ義姉様、ターニャ様」
現れたのは、王太子妃のフローラ義姉様に、レオドール兄様の婚約者のターニャ様。侍女が新たに用意した椅子に二人が座り、お茶会が再開される。
「で、何の話してたわけ?」
用意されたクッキーをポリポリ食べているターニャ様はレオ兄様の幼なじみだ。
活発で男勝りなターニャ様はよくレオ兄様と王宮の庭を駆け回ったり木を登ったりとドレスを泥だらけにして、ターニャ様のお母様がよく気を失いかけているのを見たことがある。
私はどちらかというとレオ兄様に性格が似ているからレオ兄様の後をよく追いかけていた。
小さい頃はターニャ様にも遊んでもらっていて、実の姉のように慕っていた。だからターニャ様が将来本当に姉になると聞いたときは腕を広げて喜んだものだ。
赤毛の髪を肩上で切り揃え、外に跳ねた髪型は彼女によく似合っている。フローラ義姉様とは違う意味で女学生の憧れの的だったのだ。
ちなみにレオ兄様とターニャ様の婚約にきっかけは兄の一目惚れだ。
「ニコラがユージオ兄様とシてるって話をしてたの」
「ゔぇ、ヴェロニカ様!?」
「まぁ」
勝手にバラされたことにニコラは顔を真っ赤にして狼狽えている。
フローラ義姉様は口に手を当てて驚いた顔し、ターニャ様は「あいつムッツリだから手出すの早そうだもんな」と揶揄う。
ニコラはもう可哀想なほどに涙を目に溜めいる。この表情をしている時の彼女が可愛くて何度も苛めてしまうのは許してほしい。
「ターニャ様はもう兄様とはシてるんでしょ?」
「ん? まーねー。でもあいつ見た目のくせになよっちくて手を出してこなかったの。焦ったくて私が襲っちゃった」
「おそ……!?」
「あらあら」
その行動力は彼女は本当に女にしてるのは勿体ない。フローラ義姉様は小さく笑いながら優雅にお茶を飲んでいる。
下世話な話をしているにも関わらず彼女からはそんな雰囲気を感じさせない、まさに聖母のような人だ。
しかしそんな彼女を同様させたくなるのが私。
「フローラ義姉様はもちろんシてるのよね? 初めてはどんなだった?」
直接的な質問にフローラ義姉様は驚いたように目を丸くするも、すぐにいつもの見惚れるような微笑みを浮かべる。
「どうかしら?」
この笑みはきっとこれ以上突っ込んでも話してくれないだろう。やはり一筋縄にはいかない。さすが未来の王妃だ。
だがつまらない。口を尖らせてむくれる私に義姉様は小さく笑う。
「そんなことを聞いてくるということは、ヴェロニカ様。シュタインベック卿に手を出されないことに悩んでおいでなのね」
「!?」
見透かしたフローラ義姉様に図星を突かれ、動揺に言葉が詰まる。「へえ!」とターニャ様は良いおもちゃを見つけたような意地な顔で笑う。
ニコラはさっきさんざん揶揄ったからか助け船を出してくれず呑気に紅茶を飲んでいる。
「なんだヴェロニカ様は手を出してほしくてムラムラしてるのか」
「た、ターニャ様! 下品ですわ……」
太陽が燦々と降り注ぐ時間のお茶会とは思えない発言だ。ここが王宮の庭でなければ大騒ぎになっていただろう。
ここまでバレたのなら恥を承知で先輩たちに聞くしかあるまい。
「……もう結婚して一か月経つのよ。なんで手を出してくれないのかしら」
私の声色から真剣に悩んでいるのが分かったのか、三人も真面目に考えてくれる。
「やはり歳の差を気にされてるんでしょうか」
「アーデルヘルムは私たちが小さい頃から面倒見てたからやっぱり抵抗があるんじゃない?」
「…………」
やはりそうなのだろうか。私が子供っぽいから? 小さい頃から知っている相手にはやっぱり手が出しにくいのだろうか。
でもどう頑張ったって年の差は埋まらないし、小さい頃に会ってなければ結婚していなかっただろうからどうしようもない。
フローラ義姉様ぐらい大人っぽくなったらアーデルヘルムも手を出したくなるのだろうか。胸が小さいのも問題なのかもしれない。
自分の不甲斐なさに落ち込んでいるとフローラ義姉様がカップをソーサーに置く。
「ヴェロニカ様。こういうのはちゃんとご本人に話すべきです」
「でも……」
その通りなのだろうけど、どうしても勇気がでない。自分の長所はどこに行ってしまったのだろうか。
さらに肩を落とすと自分の手に白く柔らかい手が重なり、顔を上げるとフローラ義姉様が優しく微笑んでいる。
「お二人はもうご夫婦なのです。小さなことでも蟠りは一緒に解決していくべきですわ」
「フローラ義姉様……」
もうフローラ義姉様には頭が上がらない。今度エミリオ兄様に好きなものを聞いてプレゼントを贈ろう。
義姉様の手を握り返してお礼を言う。ターニャ様も腕を組んで頷き、ニコラも「さすがフローラ様」と目を輝かせている。
それからは楽しく淑女の会話をしてお茶会は解散となった。
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