異世界転生しすぎたコイツと初めての俺のアルファレードぐだぐだ冒険記

最初の村

俺に身内に何かある。

「レーン？」
「あ、兄ちゃん」
「仕事は？」
「……あ！」
そうだ、異世界転生の話とかしている場合ではなかった。配達の途中だったんだ。
兄ちゃんは超笑顔。兄ちゃんはいつも笑顔だけれど、怒っているときほど笑顔がにこやかになる。
「兄ちゃんが代わりにやっといたぞ～。いやー大変だったな、二人分の仕事」
「ご、ごめんなさーい」
「今日の夕飯、作るのも片付けるのもお前な」
「はい……」
「まったく……あ、ユウキくん。こんにちは」
「ども」
「あんまりうちのレンの邪魔しないでね。うち貧乏で大変だからさ」
「……はぁ」
「じゃ、兄ちゃんは村長のところに行ってくるから、用事が済んだらまっすぐ帰るんだぞ」
「はーい」
兄ちゃんが荷馬車に乗って去っていく。
あー、今日めちゃくちゃ売り物ある。一人でやらせちゃった。ごめんよ兄ちゃん……！

「はぁ」
俺と一緒に、ユウキもため息をついた。
「ユウキって、兄ちゃん苦手だよね。他の人には全然そんなんじゃないのに」
「だってあの人の正体さぁ……あっ」
「……正体？」
「違う、今のなし。今のなしな」
「え、正体って何？」
「明日醤油作ろうぜ！　お前んちの大豆使ってさ！」
「正体って何？」
「じゃ、俺も帰る。また明日な！」
「ねえ、正体って！？　うちの兄ちゃんはいったい何者なの！？」