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【第一章】斯くして物語は巡り始める
ep.1
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「で、いい加減、わたくしに、吐いたら、いかがかしら!」
「ルミナスさま、そんなに声を荒げたら喉を痛めてしまいますわ。」
「そんなこと、どうでもよくってよ!ファルミーナ・マジカ、ルミナス・ロソィーノの名において、事のあらましを話すことを命じるわ。」
「手紙にてお伝えした通りですわ、ルミナスさま。」
「手紙ですって……?子を授かったからマジカを返上した、だけで何がわかると言うの!」
ただただ、ルミナスさまの声が部屋に木霊すのみ。人払いをしているせいで、彼女を止める人は誰ひとりとしていない。パチパチと、嫌な音まで聞こえてきた。後ろめたさもあり、彼女の顔を正面から見られない私からは窺い知れないが、たぶん魔力共振である火花が飛び散っていることは想像に難くない。
事の発端は、ルミナスさまに送った一通の手紙。近況を伝える文を彼女へと渡るように手配してから、実家というか郊外にある自宅へと帰宅した。が、家で待ち受けていたのは彼女の家の紋が印してあるお迎え。丁寧な、それでいて有無を言わさないで連れてこられたのは、彼女の部屋。しばらく待てば、人払いを命じて開口一番に言われたのが先ほどの言葉と言う訳である。
「何で相談してくれなかったの!こういう時のために、わたくしは権力を持っていてよ!」
「ルミナスさま、オブラートに包んでお話し下さいませ。」
「それに、わたくしの可愛いミーナを傷モノにしたのは誰なの!きちんとした男か見定めるのがわたくしの使命であるというのに!」
「その使命は初めて伺いましたわ。」
「当たり前よ!とにかくはっきりしているのは、種馬は処理しなければならないわね。」
「ルミナスさま、言葉を選んでくださいませ。」
そして、先ほどからこの会話を延々と繰り返しているのだが、いつまで続くのだろうか。現実逃避気味に窓から外を見ると、憎たらしいほどに美しい夕日が空を彩っていた。
ここは、この世界においても有数の大国であるゼリーヴァ王国。この国は豊かな自然や資源が豊富で、穏やかな王政国家である。また、精霊に力を借りる魔術が発展しており、人々の暮らしを支える魔術を操る魔術師は崇められることも少なくない。しかしながら精霊や魔術にはまだまだ謎が深く、研究が続いているのも事実である。つまり、魔術を使いこなせているとは言い難い現状。しかしながら、精霊信仰もあるこの国では有り難く精霊様のお力をお借りしているという訳である。
そしてこの国の中で、有数の魔術師というのが王国立魔術師団であるのだ。名の通り王国立魔術師団とは、王国のお抱えの魔術師の一団である。魔術師団長を頂点として、数多の師団で形成されており、王国立魔術師団に入っていると言えばたとえ平であろうとも尊敬のまなざしをうけることが出来るほどのエリート集団だ。そして、王国を守る者の証として、魔術師団の一員の証として、マジカの名を賜ることが出来る。
つまり、私はマジカの名を賜った王国立魔術師団の一員であったのだ。つい先日までのことであるけれど。
「誰か!じいや、ばあやを呼んできなさい!ミーナを傷モノにしたクソ野郎を抹殺するわ!」
「ルミナスさま!」
「かしこまりました、お嬢様。」
「どこにいたの!?というか、かしこまりましたじゃなくてルミナスさまを止めて!」
とにもかくにも、暴走している彼女を止めるすべが欲しい。
「ルミナスさま、そんなに声を荒げたら喉を痛めてしまいますわ。」
「そんなこと、どうでもよくってよ!ファルミーナ・マジカ、ルミナス・ロソィーノの名において、事のあらましを話すことを命じるわ。」
「手紙にてお伝えした通りですわ、ルミナスさま。」
「手紙ですって……?子を授かったからマジカを返上した、だけで何がわかると言うの!」
ただただ、ルミナスさまの声が部屋に木霊すのみ。人払いをしているせいで、彼女を止める人は誰ひとりとしていない。パチパチと、嫌な音まで聞こえてきた。後ろめたさもあり、彼女の顔を正面から見られない私からは窺い知れないが、たぶん魔力共振である火花が飛び散っていることは想像に難くない。
事の発端は、ルミナスさまに送った一通の手紙。近況を伝える文を彼女へと渡るように手配してから、実家というか郊外にある自宅へと帰宅した。が、家で待ち受けていたのは彼女の家の紋が印してあるお迎え。丁寧な、それでいて有無を言わさないで連れてこられたのは、彼女の部屋。しばらく待てば、人払いを命じて開口一番に言われたのが先ほどの言葉と言う訳である。
「何で相談してくれなかったの!こういう時のために、わたくしは権力を持っていてよ!」
「ルミナスさま、オブラートに包んでお話し下さいませ。」
「それに、わたくしの可愛いミーナを傷モノにしたのは誰なの!きちんとした男か見定めるのがわたくしの使命であるというのに!」
「その使命は初めて伺いましたわ。」
「当たり前よ!とにかくはっきりしているのは、種馬は処理しなければならないわね。」
「ルミナスさま、言葉を選んでくださいませ。」
そして、先ほどからこの会話を延々と繰り返しているのだが、いつまで続くのだろうか。現実逃避気味に窓から外を見ると、憎たらしいほどに美しい夕日が空を彩っていた。
ここは、この世界においても有数の大国であるゼリーヴァ王国。この国は豊かな自然や資源が豊富で、穏やかな王政国家である。また、精霊に力を借りる魔術が発展しており、人々の暮らしを支える魔術を操る魔術師は崇められることも少なくない。しかしながら精霊や魔術にはまだまだ謎が深く、研究が続いているのも事実である。つまり、魔術を使いこなせているとは言い難い現状。しかしながら、精霊信仰もあるこの国では有り難く精霊様のお力をお借りしているという訳である。
そしてこの国の中で、有数の魔術師というのが王国立魔術師団であるのだ。名の通り王国立魔術師団とは、王国のお抱えの魔術師の一団である。魔術師団長を頂点として、数多の師団で形成されており、王国立魔術師団に入っていると言えばたとえ平であろうとも尊敬のまなざしをうけることが出来るほどのエリート集団だ。そして、王国を守る者の証として、魔術師団の一員の証として、マジカの名を賜ることが出来る。
つまり、私はマジカの名を賜った王国立魔術師団の一員であったのだ。つい先日までのことであるけれど。
「誰か!じいや、ばあやを呼んできなさい!ミーナを傷モノにしたクソ野郎を抹殺するわ!」
「ルミナスさま!」
「かしこまりました、お嬢様。」
「どこにいたの!?というか、かしこまりましたじゃなくてルミナスさまを止めて!」
とにもかくにも、暴走している彼女を止めるすべが欲しい。
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