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かもめ7440

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 気障なRPGのゲームの始まりの画面だったら、
 、、、、、、、、、、、、、、、、、
 数多くの勇者が旅に出て帰らなかった、とでも。
 [勇者はブラ ン ド やシス テ ム である。]
 公共職業安定所からは行けないし、就業体験もできないけどね。
 おお、内臓や器官の漂流物・・パルメザン・チーズよ、
 ―――君はそれでも行くだろうか、
 君は『選ばれた』のではない、君が『選ぶ』のだ。
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 あたかもよく過ごした一日が安らかな眠りを与えるように、
 ―――でも[YES]と[NO]という選択肢は少し野暮だろうね、
 さて、今ここに宣言しよう。
 大変回りくどくなったが、君こそ“真の勇者”だ、
 さあ冒険に出掛けよう・・。

 といっても、ちょっと待ってくれる?
 もちろん、君はすぐに魔王の所へは行けない、
 だって君は弱いから。
 愛と勇気と勢いや根性は大切だけど、控え目さや慎み深さは大切だよ。
 諧謔と洒落の無尽蔵の源泉・・。
 、、、、、、、、、、 、、、、、、
 三秒でミンチにされる、残念だけどね。
 >>>勇者ハンバーガーよ!
 なんちゃってね、
 だから君はたくさんの見たことのない都市を駆けずり回り、経験値を上げ、
 レベルアップし、野宿し、たまに宿屋でチェックイン、海を渡り、山をのぼり、
 スロット遊びをし、浮名を流し、用心棒をし、砂漠を、
 そして火山まで降りてゆかねばならない。
 (道中の難儀がどんなに厳しくてもちょっと道草を食った、と思えばいい、)

 かならず着ける、
 そうさ、君は逞しく伸びる、ひねこびることなくね・・。
 青空と、鳥のさえずりと定着液のような陽光・・。

 「旅って何だろう・・・」と君はいつか呟いたかも知れない。
 わからないかい?
 わからないかい?

 君自身が、『旅』そのものなの―――さ・・。
 >>>知ろうが知るまいが、人は旅をする生き物・・。
 
 ミスリルやオリハルコン、ヒヒイロカネの・・。
               レミニセンス
 伝説の武器や防具を手に入れた回想・・。
 やわらかい輪郭をもった容貌は堅い鑿でえぐられたように鋭く逞しい・・。
 そして君は信頼できる仲間を集めて、
 必殺技を磨き上げ、大禁呪魔法の類を修得し、
          アタック
 いよいよ魔王の塒へ総攻撃・・!

 [魔王ハゼズヴィキア]
 (ついに来たか・・)

 『正しい』と思えたからやった―――、
 『魔王』とはすなわち『魔族の長』
 すべての魔族よ、心せよ、
 奴らが我々の『最大幸福』を奪うのだッ・・。
 今度こそ、『塵一つ残すな』・・
 それが『向かうべき正しい道』なのだッ・・・。

 //“魔王城最深奥の骸骨の玉座の肘掛けから立ち上がる魔王”
 【scene《獣の舌がねじれ、焔蛇の炎を覗かせる》】

 ―――積み木のように崩れた夢、魔族の敗北、
 それでも新たな魔王が復活し、世界征服を成し遂げ、恐怖で満たすと宣言、
 古代の石像を祀り、邪悪な力を魔神から授かった、あの日から・・。
 >>>こんな日が来ることを・・。

 雑魚を蹴散らす後方援護の博識な『賢者』
 先陣を切って道を拳一つで切り開く朴訥な『武闘家』
 そしてひそかに想いを寄せる美人の『白魔法使い』・・。
 レジェンド
 伝説の資格を持ったレター・オブ・クレジット・・。
 みんながいてくれたから、
 ここまで来れたよ、ありがとう、
 、、 、、、、、 、、、、、
 でも、油断するな、あと一歩だ。
 そう、何と言っても感動的なのは、これから―――。

 (応答せよ、君は自分たちは正しいと信じたい。)
 ポッカリト・・アナガアイタト・・ミトメルナ・・。
 (血と汗と泥にまみれたこの時間を真実にしたい。)
 その『identity』の環状彷徨、自問自答に、[接続]するな・・。

 ―――非常線を抜けろ!
 
 棺桶の板の反る音、揺り籠にのせてあやすような惰くて甘い響き。
 そう、勇者シード・リャシァットが魔王を倒す瞬間。

 彼が身に着けたる伝説級の剣、防具、
 その何もかもが彼に相応しい。 
   、、、、、
 その剣の切っ先が、
 絶えざる苦悩に駆り立てられた魔王の身体をぐさりと貫通した時、
 その手ごたえが電気のように痺れた時、
 均衡が崩れる―――。

 感極まる瞬間、長い旅、数多くの失ったものと引き換えに手に入れた勝利、
 、、、、、、、、、 、、、、、、、、、、、
 ようやく自由になる、ようやく未来が手に入る、
 世界平和の鐘の音、そして彼は愛していた白魔法使いに告白をするだろう、
 世界に浮かんでいる幻想のうちには、聖書の種々の幻影が交っているだろう。
 自由の不可侵性とともに生命の不可侵性が未来に対して確保されたものと思った。
 でも、次の瞬間。
     あらわれ
 これ程の顕現の満ち満ちている刹那を・・、

 「・・・・・・・!!!」

 階段を快調に駆け上がっている最中に、
 次の一歩を踏みしめるはずの段が突然消え、
 自分で極めた大詰へみやびやかな迷の路をさまよいながら運ばせる、そうそれは、
 どんよりした、鈍い、ほとんど眼に見えない、鉛色の、有毒で神秘的な水蒸気――
 が、一面に垂れこめているのだ・・、
 はたたがみ
 霹靂神おりてきたかのように・・。
 ある種の宿命を思わせる荘重さで前のめりに激しく転倒する彼がいた。
 閉めきった窓から通行人が倒れているのを眺めている人のような視点・・。
 、、、、、、、、、
 真っ逆さまの奈落へ、・・栄光からの敗北へ。
 彼の意識は魔王に乗っ取られた、勇猛果敢で百戦錬磨の勇者の何処に、
 そんな『心の隙』があったのだろう、
 (さ な が ら 、 炸 裂 し た 手 投 げ 弾 ! )
          フィラメント
 ―――電気が流れるfilament・・。

 勇者は最強の悪魔になった、魔王の力と勇者の力を併せ持った化け物―――。
 大魔王の誕生である・・。
 化石ターン・・。
 見る者の心持ち一つで景色に対する認識が変わるように、
 歓喜の叫びと金切り声の誘導ミサイル・・。
 その硝子の如き表面を、模型のヨットが辷る。
 産の褥、死の冢穴、常世の海原。
 、、、、、、、、、、、
 その影は蹌踉と近づいた。
 ―――理想の終焉、虚しい巨大な観覧車・・情念の出口・・。
 (君はいまこの、callをどんな風に聞くのだろう・・)
 チェックメイト・・。

 どんなに賢者がありとあらゆる魔法を知り尽くしてると言っても解除できない。
 [終わったものを―――どうすることも出来ない・・]
 ピルエット
 趾頭旋回―――。
 脳から神経に、言葉に発せられる電気信号の到達時間が、異様に遅い。
 気持ちはいまやもっとも奇妙な、混乱した、不可解なもの―――。
 北からは寒い風、東からは肺に悪い乾燥した風、
 南からは熱病をもたらす熱風、西からは豪雨を降らせる風。
 、、、、、、、、
 本当に欠けているものは何か?

 [シャッターを閉じる]
 (・・・扨て、このリクエストは後何秒続く・・)
 武闘家は、涙をこぼす、それが勇者シード・リャシァットのなれの果て、
             デスマスク
 ――沈みたる夕暮れを憶う死の仮面。―――鈍重な犀の大脳・・鎖を引きずる囚人・・
 白魔法使いは、最後の説得を試みる、いつかあなたにどうしても伝えたいことがあった、
 私は本当にあなたのことを愛していた、と。

 不徳、裏切り、絶望・・。
 (錯綜した情況に翻弄されて右往左往する、)
 [思いがけない災難][蜂の巣][アキレス腱][諸刃の剣]
 ―――五分すら持たなかった、
 『勇者』はそれだけ強く、
 『魔王』はそれだけおぞましかった。

 ―――モンスターと人間の戦いは、これまで何度もあった、
 だが、そのたびに、
 前述したように勇者が現れた。でも今回は本当に長かった、
 それから百年数余年続いた魔王占領の時代・・。

 ***さて、新しいトラックを始めよう。
 向けられたカメラにポーズを取る人物を見つめよう。

 百年かけて浄化された、勇者シード・リャシァットの魂は、
 全然別の物語を始めようとしている、
 人間の更生の物語、あるいは変貌の物語を・・。
 その新たな勇者として生まれ変わった。
 ―――高 遠 な 理 想 や 偉 大 さ と 結 び つ く 善 悪 の 彼 岸 ・・、
 その時代を巡るように、賢者が、武闘家が、
 そして白魔法使いの魂が新しい生を享けた。
 、、、、、、、、、、、
 百年前の謎を解き明かす、
 そこにどんな『意味』があるのだろう。
 特別な観察点に立って、自分がいまだかつて経験しなかったような記憶を新らしくする、
 確かにそれが百年もの月日が流れていなければ、である。
 もう一度繰り返される『生命の理由』
 そして、長い旅の始まり、
 人間が滅ぶかも知れない瀬戸際に大命を背負わされた理由。

 さながら盗掘者、過去の傷を暴く君・・。
 それで―――も・・・ま―――だ・・・・・・。
 <正義>を口にできるか・・?
        、、、、、、    、、、、
 たとえば、その彫刻のこなし、―――つり合い・・。

 勇者シード・リャシァット、
 ―――もう一度、我々はこう聞こう。

 誇り高い勇者の魂よ、世界平和を目前に、魔王を打ち倒したはずの魂よ、
 見ろ、君がいなくなった荒廃した世界を・・。
 終焉へ向かう世界、英雄のいない世界―――。
 君が、あの時、何を考えていたかは知らない、でも君は魔王に意識を乗っ取られ、
 その魔王勇者、すなわち大魔王ハゼズヴィキアは・・・。
 、、、、、、、、、、、、、、、、
 いまなお悪夢のように君臨している。
 
 悪夢・・・それは際限のない欲望にも似ているね―――。 
 、、、、、、、、
 いうまでもないが、
 キリスト教はヨーロッパにおける“人間の理想像”についての、
 『最大の思想』である。かくそうあらねばならぬ・・。
 だがその本質とは自然な肉体とエロス、現世の欲望、
 快楽、陶酔、愉悦、といった人間の本性を徹底的に否認し、
 (追及するという姿勢にこそ、滅びという鷹は爪で裂こうとするのだ。)
 それとまったく究極の反対物として『神』を樹ち立てた。
 これを『醜』とも『邪』ともいわず―――心清らかに、ああ安らかに・・。
 ・・・大魔王に支配された世界とは、つまりそういうものである。
 常識や義理や建前、大義名分、正義、真実・・そんなものは自然ではない、
 誰が何と言おうとだが、『勇者が世界を救う世界』というのは、
 、、、、、、、、、、、、、、、、
 根本どこかに矛盾を孕んでいるものなのだ。
 さて、余計な話をしすぎたね。

 前途は遠い、正直者が損をし、自らを省みない恥知らずだけが富者となる、
 その勝ち負けなんかどうだっていいのさ、死を急ぐな、勇気を口にするな、
 人が死のうが地獄の責め具で拷問されていようが、
 自分さえよけりゃそれでいいのさ―――。

 そうだろう、メフィストフェレス殿?

 ―――それが“あなた達の真実”

 なのに、君はまた同じことを繰り返す・・繰り返す―――。
 君はこの旅の中で、原始的な荷車、幻想絵画のような前世の記憶を思い出す、 
 だってその予感が、君をその使命へと駆り立てたから。
 幼い頃から、生きている間一秒も忘れることのできない類の胸の痛み。
 記憶は失われたが、幼いながら、数多い日々が埋もれている。
 空白ではなく、深深とした闇の感じ―――人を裏切ったような、切なさ。
 、、、、、、、、、、、、
 罪の肌着のような夜の気配・・。
 そうしてその闇の中には、形は見えないが、さまざまなものが潜んでいる
 わくでき わくせい わくもん
 惑溺する惑星の或問。
 神が授けたいっさいの希望の残骸の上に、また新たな運命を築き上げる・・。
 一すじの休むことのない憂鬱の放射となって、
 精神界と物質界とのあらゆる事物の上に注ぎかかる。
 (莟の上の白い蜘蛛・・)
 でもそれが君の剣技に、魔法習得に磨きをかけた。
 そして君はどういう経緯だか、勇者と同じ名前をつけられた。
 それを隠す偽名を名乗りながら旅を続ける・・。

 [シード・リャシァット]
 (あそこにペラゲゴスが・・)

 それにしても・・ピグ―――不思議な気分だな・・・。
 『旅』を続けていると・・・。
 ・・・・・・『続ける』とは『あの世とこの世の境界』の中で、
 『罪の重さ』や『生きる意味』
 ―――を考えるということだ。

 //“馬に跨りながらしばし自由について考えるシード”
 【scene《妖精のピグが、ご主人様は哲学的で困ります、と言う。》】

 さて、君の眼の前で、とても美しい女がゴブリン六匹に襲われている。
 一定の距離を置いて彼女を完全に包囲している。 
 陰翳のある、瀬戸物のようにきめのこまかい、白い顔・・。
 身体全体が真ん中でふくれている―――紡錘虫・・。
 それを樹木は見つめている、鹿が、蜘蛛が、
 小川の水音が、清澄な空気が・・。

 「助けて・・!」
 絶体絶命、殺されるのを覚悟して深く眼を瞑ったところ。
 感光板上のわずかばかりのかすかな斑点・・。
 肉食猛禽の爪の牽縮性・・。
 勇者シード・リャシァット、心優しい臆病者、心得違いの未熟者の不倒翁、
 清新な純潔な分岐状態・・・・・・。
 ―――夢は呼び交す、そしてそれを誰も止めることは出来はしない。
 いまなら引き返せる、『君が旅を続ける理由』とは何だ、
 エマネーション
 流出・・・永遠的存在者に課せられた法則・・。
 勇者を選んだだけで汚名を背負い、魔王に意識まで乗っ取られたいまや、
 その名は極度の思案のヴェールが眼孔の周囲にたれこめた死神に等しい。
 ・・・でも、君は迷うことなく駆けだしただろう、疾風よ、
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 内に燃える発動を萼のかげに制御しながら榴散弾の破片のように薫る。
 耳のそばで親しく、絶間なく、綿々として、
 ささやいているように感じられたろう、
 その他一切の条件にかかわらず長い間そのために、
 一切を棄ててたずねあぐんだ冒険者のように、
 厄介ごとを背負い込む運命にある、シャイだがまっとうな義憤もある、
 名前は、きらめく無窮のロマンスの宝石に飾られている。
 (みんなが、君を待っている・・)
 長い――長い――長いあいだ――
 何分も、何時間も、幾日も、前から聞えていた・・。
 それは<自分の作った罪悪の中の陥穽>のようにも思っていたが、
 それは『一種名状し難い快感』と、
 そして何処かでそれを『反発しようとする情念』とが、
 同時に雜りあった心的状態―――。
 古い遺憾の感情の味を舌のさきに酸っぱくよみがえらせる・・。
 [かかる勇気がなければ到底大敵を滅して国難を救うことは出来ないが、]
 名誉でも地位でもお金でもあるまい、
 、、、、 、、、、、、、、、、、、、
 君はただ、眼の前の女性を助けたかった。
 止むことなく過去へと押し流されながらも、力をふりしぼり、漕いでゆく。
 [必要や有効性は確実に明らかに思われる]
 (そのひとつの連続性のなかで残酷な自己救済のように思える、)
 緑色のあかるい野原が敷物のようにひろがり真っ白な蝋にするような太陽の面・・。
 軸に平行な面上で次第に速度を増す等速回転運動・・。
 かこのできごとが―――
 じかんのさけめに・・おちこんで―――きえさる・・よ・・・、
 、、、、、、、、、、、、、、、、
 解剖で脳を出してみせるための切開・・。
 “ナルシシズムー自己保身”の壁を越えて『内側』に眼を投じる・・。
 脳は風船と化して形而上の宙に浮かぶ・・。
 瞼の裏の中の幻燈の人物―――。
 忘れられなかった、捨てることができなかった、
 少年の柔かい筋肉の感覚に染込んだ、最初の印象は到底忘れることも、
 また詐ることも出来ない。新鮮さ、熱情、烈しさ、懸命さの段階だね。
 その筋の通った意味を伴わない危険なアンバランスを導き入れながら、
 ようこそ、新しい世界へ勇者シード・リャシァット、
 その瞬間、世界に陽射しが射しこむ、大魔王が胸騒ぎを覚える神のせせらぎ、
 
 もう一度、旅を続けよう・・。
 柱時計がどもったさざ波のような音をたてながらシャッターが押される、
 そして今度こそ、君は君自身に終止符を打つ、この旅を始めよう―――。

   *


 すさまじい速度で断崖を覗き込む大蝙蝠・・。
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 空中に飛びあがった踊り子のようにも見えた―――飛行機の翼燈。
 まるで天上からはるか眼下の海面を見下ろしているような錯覚。
 その滞空時間の間に、targetし、markする・・。
 
 ―――剣禅一致の妙。五彩。脳内の触覚。
 
 //“草原に蹲りながら顔をあげるソリア”
 【scene《この場面で、君ならどう打つ、どう戦う?》】

 ふっと、兎を想像した。
 近付くと逃げてしまう兎を捕まえる方法は二つ。
 逃げるより速いスピードで捕まえるか、一切その気配を悟らせぬまま捕まえるか。
 その男はその両方をやすやすとしている。
 二度、三度、水のへ白い腹を出して、跳ね上がる魚――。

 
 「おおおおお!」
 
 咆哮をあげながら弾丸のように走り込んできた時にはわからなかった、
 ―――土煙も、斬撃も・・。
 体重や、重力をまったく感じさせない・・卓越した動きも―――。
 理論的考察やシミュレーションでは補足できない、
 不確定な条件を瞬時の内に見定める分析力。
 それに、武器の差を越える技量・・。
 『回転』と『腕伸ばし』―――。
 (上半身を左にひねっても崩れない体幹・・)
 骨格筋や耳の平衡器官の情報が姿勢を保持し、筋肉の動きを調整する。
 蒼い衣装の羽根をはぎとるような近接武器による連撃。
 トランスミューテーション
 変 化・・。
 、、、、、、、、、、
 腕を持つ者特有の鬼相――― 身に染み付いた死臭が冷ややかに流れる・・。

 抜刀しかけた脇差しの刃の部分で相手の攻撃を受けたあと、
 (「出発点は捨て身、到達点は相打ち」)
 ・・・あらかじめ斬っていたものを、
 任意のタイミングによって切り口を開放させる。
 
 [ギディオン=ソリア=チャリントン]
 (不思議な技・・)

 ―――誰かを守るためなら寿命の十年ぐらい縮めてもいい・・
 『隙』だけでは無い、あらゆる突発的出来事に面した時の刹那の『間』
 グラフ機能を強化し・・、
 回路設計に必要なシミュレーションデータの出力。
 スイングスピード向上のためにはウエイトトレーニング―――。
 その『画面』が光り・・【受信】の文字―――。
 、、
 照会・・後二十九匹。・・
 >>>組み格子/ラティス
 [周囲にはゴブリンのキャンプ地がある・・]
 [犬のような耳をしたゴブリン][魔王の力によって邪悪化した存在]
 (他にも、甲虫族や、蝙蝠族、アンデットなどの発見情報・・)
 いま、黒の透明の経糸と鮮やかな色合いの糸がlock-onされている。
 斬圧風力・・無防備に突進してきたゴブリンの足止めー躊躇をさせる。
 ・・・疾風―――透過・・反射―――それから飛翔・・旋回・・。
 感覚の単なる知覚の平面にすぎない無防備な背中に剣が吸い込まれる。
 無防備に突進してくるゴブリンを足止めさせた時点で動きを読み、
 最小限の力でそれを捌く・・
 インパクトバイオメカニクス視点による、頭部に迫る剣。
 剣を一閃、ゴブリンの緑色の体色の首を斬りおとした。
 、、、、     、、、、
 引き抜くというより押し込む―――。

 「ふっ」
 空気を吐き捨てながら、一瞬の脱力から湧き上がるエネルギイ。
 ゴウウウッツ、とこの世のものとは思えない音が聞こえる。
 (ゲル状の物体を合成樹脂製の骨格に纏わせたダミーのような、)
 その時、ソリアを見てシードが一言・・。
 細い金属の線を思わせる、繊弱な微かに震えを帯びた感じの声。
 
 「いまは動くな。」
 置いて行った言葉は、一秒後にはもはや彼方、前方後方・・・。
 ――夜の風が 窓を 叩いて・・・いた・・・・
    リフレクト・レーザー
 ―――鏡反射光撃。

 ショックウェイブ
 衝撃波・・。ゴブリンの首から下はピクピクと痙攣している。
 
 きられたことがわからないのだ、 
 全体的なネットワーク―――鳥瞰図、客観的な視点でぐるりと見回す、
 、、 、、、、 、 、、、、 、、、、、、
 雲は、けだもの、魚、鳥の姿態、万物の交換のrhythm..
 頭部の位置と傾きに即した眼球運動。
 [脳内速度のCrash、高速回転した脳は世界の動きを遅くする]
 長い予備動作や、技後の硬直といった隙が生まれないまま両足が地面を噛む。
 始まりも終わりもない意識の流れを区切る、青い輪郭、真っ白いノートの一頁目。
 そこに―――『位置関係』や、『どのような物体を斬るか』という【選択肢】
 ザシュツ、ザシュッ―――ッツ、ガシュッ・・。
 ビュン、ブオン―――・・。
 神速とはこのことだ。燧石から打ちだされる赤い印象・・。
 解かるべき問題は何の変化もこうむらず、
 何の改修も受けない正確な過程からの決定、
 ―――刀身が、話しかけた時以来、一度も見えない・・。
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 守ることに徹していた剣から攻めることに徹した剣へ・・。
 ―――たった一人ですべての剣を捌き、確実に敵を減らしてゆく・・。

 みな心中ひそかにこうやってモンスターに誰かが殺されることを仕方ないと、
 言い聞かせていたのかも知れない・・。
 >>>黒い魚卵の粒のような眼で・・
 
 強 すぎ る・・。

 草原に射している光のせいのようにも思える・・。
 (速さを優先させた戦い方、敵の攻撃より速く斬り倒す・・。)
 でも、旋風剣、突進突き、それから・・。
 アブレイション
 侵食・・。
 それは一挺のピストルに等しい。その剣技、とても白装束の世捨て人の格好を
しているとは思われなかった。システムアシストのような、魔法・・。
 エッシャーの騙し絵、明と暗、動と静の境界線で神経細胞が連接している。
 外側から薙ぎ倒すと同時に攻撃を仕掛けている。
  リップル・マーク     ライトモティーフ
 堆積層の波紋―――。示導動機―――。
(パ フ ォ ー マ ン ス 、 プ ロ セ ス の 再確 認 、 イ メ ー ジ 先 行 は 厳 禁 ・・)
 ***チャージ・・充電、流れゆく木の葉のような自然な成り行き。

 ドゥン―――地面が爆発したような後のフォロースルー、
 けれどもそれは瞬間の―――残像・・。
 猛禽類の嘴のような、ビュッ、という風の音が下した鉄槌。
 ・・・かの昔、『魔剣グラム』があった、『フラガラッハ』があった、
 『ティルウィング』があった、『ダーインスレイブ』があった、
 (名人説話の分布図をつくる目的の本も面白いが、)
 [ふるわれた剣あれば作られた剣あり、である]
 ―――だが、そういうものに見合った肉体というものについて一頻り思った、
 
 私はその時、『山をも砕く』と子供らしい馬鹿なことを考えた―――のだ・・。
 取るに足らない、閉じこもりを強いられる精神的な圧迫の中の喜びの真の実在。
 あるいは―――驕慢という鋭鋒をつつむまるみ・・
 >>>いまだってそんな誇張信じているわけじゃない・・。
 でも、人間が神に近付こうとするたびにそのような誇張が生まれる。
 それは―――日常の平板さに鳴りを静めてしまった・・楽器―――だ・・。
 
 フォロースルーは短いフラッシュバック、火花。
 ―――移動する不安茫漠の地帯、ゴブリン数十匹へ、・・へ、
 切り返す、ユニット・・左右から何かに押し潰されるように弾けた。
 おおくの機智に富んだ語り草が生じるに違いない・・。
 でも『衝動』や『直観』に基づいた意見は排斥されねばならな―――い・・。
 でもそういう小さなねじをまわすと世界はレンズの中で豊饒だ・・。
 いまはもうアンリミテッドワールドヘノログイン・・

 と、必殺技が入った。
 何の脈絡もなくゴブリン達が凍っていき、数匹が一気に―――。
 湿った厚ぼったい霧にも似た白痴・・。
 ときどき木の枝が音を立てたり、
 樹木が動いたりするが、鳥や獣の姿は見られない。
 私はそのせいか毛氈状でふさのついた地衣類にでもなったような気がする。
 「凍てつく氷よ―――彼の者を目指せ・・氷結―――零度・・
 ファーレンハイト!!!」
 
 剣は兵器ではない・・。
 でも、剥き出しの神経の動作の中で、
  モイスチャー
 “湿気”するかも知れない。
 
 重要なのは、切先から一〇~三〇センチ付近。

 それは―――のぞきからくりのような教科書が教えてくれた・・。
 心理学における実験研究と生態学的妥当性の関係―――。
 >>>流れ星が尾を引いて―――消え・・る・・・・・・。
 日本刀も、エクスカリバーも、蛇腹剣も、ミスティルテインも・・。
 牙も、鉤爪も、槍も、斧も、いわば刀剣と同じ物理的攻撃。
 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
 でも剣豪や勇者というノスタルジア発作のように、ソリアは思った。
 
 ―――これは剣の域を超えている・・。
 だから・・。
 だから―――。

 (苦悶の一瞬足掻いて硬直した肢体は一種の妖しいリズムを含みながら、)
 スロー・フォール
 軟着陸・・。
 はじめて飛空艇で空を飛んだ時みたいに、胸がドキドキした・・。

 //“初めて空を飛んだ日と同じ胸のときめき”
 【scene《ソリアの少女趣味的志向》】
 
 「初めて魔法が使えた日みたいだ・・」
 と、ソリアは惚っとりとする。

 (中世以降の西洋の剣は、振る際に生じる遠心力による負担と隙を軽減するため、
 その重心を持ち手の近くに収めることが念頭に置かれている。
 そのため刀身はできるだけ薄く細く、柄側には刃部全体と釣り合うだけの重量。)

 ソリアは急激な視界の明暗の変化に、一時的にその機能を停止する。
 指一本動かせず、また呻き声一つも出ない、圧倒。
 (透明な粘着力のシールでもつけたような、かろうじて身に着けた救命胴衣・・)
 瞬間、刹那、危機、契機―――。
 慌ただしく飛び翔ってゆく、幻獣を見た時のような印象・・。
      とき う ひびき
 ゆっくりと時を敲つ韵―――。
 人間の運動は、使用する道具を目的に運用するために最適化される。
 ―――必要なステップは最小限であるのだ。
 どんな動きもピラミッドのような静止状態のポーズやアングルになっている、
 それは『剣の舞』であり、いついかなる強さもそこへとPOINTが置かれる。

 マバタキヲスル・・アイダニ・・・イノチガイクツモキエテユク・・
 
 (・・・スピードとパワー、それに持久力と集中力―――、)
 [剣がまったく別の道具みたいに見える―――ストップモーション・・]
 すなわち、適合性、才能という分野・・。小さな動作にあわせて前髪がさらさら
と揺れた。冷や汗が頬を伝うのを感じた。回復――情報の取戻し・・検索。
 草むらの、花をまじえ、風になびいているのが見えた。
        まぼろし
 濁った水の底の幻影のように緑色の体液を爆発させる・・ゴブリン。
 ―――この人なら、伝説の千人斬りをもやり遂げられるかも知れない・・。
 飢ゑてさまよふ獸・・唇のいや堪ふまじき渇き・・・。
 さながらベルトコンベアで流れてくるものを的確にpickupするみたいに、
 千分の一秒単位の大脳の指令。
 (アクリルパネルの水族館の景色のように、)
 ―――敵の動きが、緩慢なゼンマイ仕掛けの、スローモーション映像。
 屈曲性に富みながら充分な抗張力を持つオッカムの剃刀。輪郭の急速のうすれ。
 一瞬でも動かないと死んでしまうような、ひたすらな動き。酸素の足らぬ金魚。
 遊星の中の冷静でない言葉は真空の中で窒息するかに見えて沈殿する・・。
 
 気が付くと私の周囲にいたゴブリンは絶命していた。殲滅。
 圧倒的な強さだった。
アイウェイクン
 覚醒・・・とつぜん に ふりおちた ひかり・・
 “淡い吸い取り紙”のように、男はそこに立っていた。
 [感情のメーターの針が「心電図」]のように上下を始めることはなかった。
 溶けた鉛のようにどんよりとしていた。
 生物進化の行き止まりに来たような劣等感を催す妄想をさせるいまこの瞬間、
 ―――だって人は真実の中に、苦悩の糧を、拡大を、更新を求めるのだから・・
 やり場のない苛立たしいほどの憧れ、嘘のように典型的な、強さ・・。
 未開の海岸で野蛮な民族に囲まれて為す術もない乗組員とは違う・・。
 美と豪奢は世の習い、愚かしい標準の中で多くの類似した過失が生まれる。
    、、、        、、、
 でも、鋸ひきはそこにあった、槌うちはそこにあったのだ。
 シュッと、一振りして剣についた血液を切って、鞘に戻す・・。
 手練れ・・帝国式ではない、我流だろうか。
 しかしどんなに立派な招待者である有名な吟遊詩人よりも、必要な腕前・・。
 名のある流派だろうか、いや、それとも暗殺剣の類だろうか・・。

 偏執的な精神毀損のある感光力的細胞の流動体・・。
 断片的な令状の執行者。
 
 (けれど顔を覆っている、街に出れば不気味な奴だと言われる―――)
 でもそもそも武器は『狩猟の道具』で、
 『剣』の原型はそもそもは、『鋭利な石器』―――。
 『戦う道具として確立される』までは、生活のための道具。
 銅から青銅―――鉄・・。
 (大正デモクラシーの市民的自由主義、共産主義とナチズムによる全体主義、
 戦時中の国家主義、そしてGHQの強権支配、戦後民主主義)
 モンスターがいてはじめて『棒きれ』ではなくなる、身を守るための武器・・。

 [ギディオン=ソリア=チャリントン]
 (彼は何を守るのだろう・・?)
 
 聞いてみたい気がした。
 聞いてみたい気がした―――。

 その男の洗練された一挙手一投足。
 樹脂が流れて固まったようなmotion..影像。ピーク時の電流の夢の翅。
 それは、ソリアに『熱狂的陶酔』と『多幸感』をもたらす。
 それは音楽の底で鳴るコントラバスであり、プロメテウスの火・・・。
 街頭のボール遊びや、闘牛や、自転車競走のよう・・。
 (スパルタクスの蜂起―――)
 忙しなく眼を動かし、全身から汗を噴出す以外の反応は一切出来ない。
 それでも、この凝視は止められない・・。


   *





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