上 下
15 / 22
受け視点~現在③【※登場人物に女性追加】

15話 慣れた習慣

しおりを挟む
「はあ………」

気が重い。会社での休憩時間すら彼に会えなくなったのもあるが、あのあと次から次と機材が運び込まれ、部屋がちょっとした動画配信できそうな環境になってしまったのだ。使った事がないパソコンも置かれ、カメラはハンディイカムが3台。三脚も三台ある。照明はリングライト、ソフトボックスと、実に物々しい様子になってしまった。パソコンは学校や会社では使うが、自前で持った事は無かった。もしかしたらこれらは彼から貰ったもので一番高額になってしまうのではないかと、血の気が引いたので流石に彼に「とても受け取れない」と青い顔で訴えたが、「君の可愛い姿がいつでも見れるなら安いもんさ!」と、とてもいい笑顔で返されてしまった。そんな眩しい笑顔を向けられてしまったら突き返すものも突き返せれない。

これらフルセットで彼と一緒に使うことはないまま、多忙時期に突入してしまった。もともと性的なことも、彼がいなければ目覚めなかった事が多く、こんな物々しい部屋でアレやコレやする気には中々なれない。

彼には「動画楽しみにしてるね」とは言われたが、それを成し遂げるには現状おそろしくハードルが高い。

「ん……身体はすごく……疼くけど」

いつも出勤前に解してプラグを仕込むくらいの習慣があるため、身体の奥が切なく疼く。しかし今の寝室は正直、寝るときにすら慣れず居心地悪いせいか緊張感がある。もう少しリラックスできる環境でコトをしたいだけに、今日は道具を持ち浴室へと向かった。

「そんなすぐに撮らなくてもいいよね……?」

いつかは撮らねばならないかもしれないが、今はあれやこれやと準備してまでやる余裕がない。一昨日したばかりだし、今日はいつもの習慣的な範囲で、手軽に済ませておきたかった。

「んっ……、はぅ」

シャワーのお湯を適温にして浴びながら、温めておいたローションをゆっくりと秘部の入り口に指を這わせ、なぞるようにマッサージしていく。彼に開発されきったそこは、少し触れるだけでひくひくと物欲しそうに吸い付いてくる。入口が柔らかくなってきたのを確認すると、つぷ、と慎重に指先を挿れ、まずは一本で様子を伺う。大丈夫そうなのを確認した後、二本で内壁をかき分け、気持ちいい所を探しながら更に肉壁を拡げ、物足りなく感じ始めた頃に三本でぐちぐりと掻きまわし始める。

「あ……っ♡んぅ……っ♡♡」

そこがいい感じにほぐれた頃、指を抜いて用意しておいたプラグにローションを塗り、ぐっと腹に力を入れながらそれを挿入していく。

「ん、ふぅぅ……あぁんっ……!♡♡」

張り型に近い形を模したそれは、ほどよくついたカーブが、丁度いい所をかすめてくれる。
腰の奥がきゅんと疼き、甘い刺激に思わず声が出てきてしまう。ぐちゅぐちゅと中を掻き回す度に水音が浴室内に響き渡り、一層厭らしさを増していた。気持ちがよくてつい何度も往復してしまう。彼に教え込まれた箇所を突き上げるように愛撫すると甘い快感に思考が蕩けてきた気がした。

「あっ……、すご……っ♡♡いぃ……!♡♡」

すっかり癖になったその刺激がたまらなくて、無意識にプラグを動かす手が早まる。どんどん昂る快楽にすっかり夢中になってしまい、気がつかないうちに何度も何度もそこを突き上げていた。それでも物足りなくて奥深くまで飲み込んでいくと前立腺に当たって身体が痺れるような感覚が走りぬけた。

「はぁあぁああぁあッ♡♡♡♡あ゛ァっぁああ!!♡♡♡♡」

前立腺にごりごり当てながら、ぐっと強くピストンを速めると、あっけなく瞬間背筋を反らし果ててしまった。

「はぁ……ぁ……♡……また朝ひゃら……イッったったぁ……♡♡♡」

朝するコトは、解しておけばいいだけなのに、最近はすっかり夢中になってしまう事が多くなっていた。

今日は社内で、隙を見て逢瀬をする事はないだろうけれど、いつもの習慣からプラグは挿入したまま、朝の支度をし始めるのだった。

    ◆

────以前であっても、準備して出社したとして必ずしも彼と逢瀬していた訳じゃない。少しでも隙があれば、彼と触れ合いたい。少しでも深く繋がっていたいタイミングを逃したくなかったからだ。けれど、今は確実に予定が決まっていて、恐らく休憩時間になっても、彼と逢瀬する余裕はない。それでも、つい、いつもの習慣で、プラグを付けたまま電車に乗って揺られていると、妙に意識してしまい、そわそわする事に気付いた。公衆の場で、自分は服の下はいけない事をしている。今までは彼のことしか考えていなくて気づかなかった事にハッとすると日常の中に非常識なことをして紛れ込んでいる自分に罪悪感と───少しの興奮を感じ始めていた。

(やばい……今日は妙に集中できない……)

会社に着いてからというもの、明らかに業務効率が落ちていて、なかなかタスクと書類の山を消化できていなかった。デスクに向かっているとはいえ、気付けば手が止まって下半身に埋め込まれたプラグに意識がいってしまう。

「ん………っ………♡」

無意識に腰を揺らしていたようで、座りながらでも体重移動で動かすと、緩やかではあるがイイところに刺激が伝わってくる。


(どうしよう……思いっきり動かしたい……っ……ごりゅごりゅナカ動かしたいよぉ……♡)


そんな衝動で頭がいっぱいになる裏腹に、手は動かない。少なくともお昼過ぎまでには終わらせなければならない案件もある。逸る気持ちがありながら、身体は衝動に支配されつつあった。

「大丈夫ですか……?」

「……え」

冷や汗が流れ始め、呼吸が乱れ始めた頃。同僚の女性が声をかけてきてくれた。

「顔色悪いし……呼吸も浅いですよね?仕事進んでないみたいだし………」

「す、すみませ……、ちょっと腹が……痛くて」

「代わりましょうか?」

「で、でも……」

「お辛そうだし……急ぎのやつだけなら、今ちょうど手が空いたから大丈夫」

地獄に仏とはこのことだろうか。実際は自分の性欲が抑えられなくて、習慣で付けてきてしまったプラグに気を取られているという実に情けない理由ではあるのだけど。

「ほんと……!これ、これだけやってもらっておけば、すごく……助かる……!」

「わかりました。これはやっておきますので、休んでてください」

「本当にすみません。ありがとうございます……!あとできっと埋め合わせしますから……!」

藁にもすがる思いの中、前かがみになりながら席を立つ。渡りに船をかって出てくれた彼女に大げさに何度も頭を下げながら、そそくさとトイレへと向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

年下との婚約が嫌で逃げたのに結局美味しく頂かれちゃった話

ネコフク
BL
当時10歳と婚約させられそうになり「8歳下のお子様と婚約なんて嫌すぎる」と家出して逃げた兎人のユキトは5年前から虎人のアヤから職場で求婚され続けている。断っても断ってもしつこいアヤが成人した途端、美味しくいただいいたゃう話。ストーリーなんてほぼないエロ話。一度致しちゃうと成長が早い虎人という独自設定を入れています。始めと後で体格差は逆転します。

番に囲われ逃げられない

ネコフク
BL
高校の入学と同時に入寮した部屋へ一歩踏み出したら目の前に笑顔の綺麗な同室人がいてあれよあれよという間にベッドへ押し倒され即挿入!俺Ωなのに同室人で学校の理事長の息子である颯人と一緒にα寮で生活する事に。「ヒートが来たら噛むから」と宣言され有言実行され番に。そんなヤベェ奴に捕まったΩとヤベェαのちょっとしたお話。 結局現状を受け入れている受けとどこまでも囲い込もうとする攻めです。オメガバース。

番を囲って逃さない

ネコフク
BL
高校入学前に見つけた番になるΩ。もうこれは囲うしかない!根回しをしはじめましてで理性?何ソレ?即襲ってINしても仕方ないよね?大丈夫、次のヒートで項噛むから。 『番に囲われ逃げられない』の攻めである颯人が受けである奏を見つけ番にするまでのお話。ヤベェα爆誕話。オメガバース。 この話だけでも読めるようになっていますが先に『番に囲われ逃げられない』を読んで頂いた方が楽しめるかな、と思います。

βを囲って逃さない

ネコフク
BL
10才の時に偶然出会った優一郎(α)と晶(β)。一目で運命を感じコネを使い囲い込む。大学の推薦が決まったのをきっかけに優一郎は晶にある提案をする。 「αに囲われ逃げられない」「Ωを囲って逃さない」の囲い込みオメガバース第三弾。話が全くリンクしないので前の作品を見なくても大丈夫です。 やっぱりαってヤバいよね、というお話。第一弾、二弾に出てきた颯人がちょこっと出てきます。 独自のオメガバースの設定が出てきますのでそこはご了承くださいください(・∀・) α×β、β→Ω。ピッチング有り。

告白してきたヤツを寝取られたらイケメンαが本気で囲ってきて逃げられない

ネコフク
BL
【本編完結・番外編更新中】ある昼過ぎの大学の食堂で「瀬名すまない、別れてくれ」って言われ浮気相手らしき奴にプギャーされたけど、俺達付き合ってないよな? それなのに接触してくるし、ある事で中学から寝取ってくる奴が虎視眈々と俺の周りのαを狙ってくるし・・・俺まだ誰とも付き合う気ないんですけど⁉ だからちょっと待って!付き合ってないから!「そんな噂も立たないくらい囲ってやる」って物理的に囲わないで! 父親の研究の被験者の為に誰とも付き合わないΩが7年待ち続けているαに囲われちゃう話。脇カプ有。 オメガバース。α×Ω ※この話の主人公は短編「番に囲われ逃げられない」と同じ高校出身で短編から2年後の話になりますが交わる事が無い話なのでこちらだけでお楽しみいただけます。 ※大体2日に一度更新しています。たまに毎日。閑話は文字数が少ないのでその時は本編と一緒に投稿します。 ※本編が完結したので11/6から番外編を2日に一度更新します。

【完結】なぜ、王子の僕は幽閉されてこの男に犯されているのだろう?

ひよこ麺
BL
「僕は、何故こんなに薄汚い場所にいるんだ??」 目が覚めた、僕は何故か全裸で拘束されていた。記憶を辿るが何故ここに居るのか、何が起きたのかが全く思い出せない。ただ、誰かに僕は幽閉されて犯されていたようだ。ショックを受ける僕の元に見知らぬ男が現れた。 なぜ、王子で最愛の婚約者が居たはずの僕はここに閉じ込められて、男に犯されたのだろう? そして、僕を犯そうとする男が、ある提案をする。 「そうだ、ルイス、ゲームをしよう。お前が俺にその体を1回許す度に、記憶のヒントを1つやろう」 拘束されて逃げられない僕にはそれを拒む術はない。行為を行う度に男が話す失われた記憶の断片。少しずつ記憶を取り戻していくが……。 ※いままでのギャクノリと違い、シリアスでエロ描写も割とハード系となります。タグにもありますが「どうあがいても絶望」、メリバ寄りの結末の予定ですので苦手な方はご注意ください。また、「※」付きがガッツリ性描写のある回ですが、物語の都合上大体性的な雰囲気があります。

同室のクールな不良に嫌われてると思っていたのに、毎晩抱きしめてくる

ななな
BL
「ルームメイト変更、する?」 「…………は?」 全寮制の男子校に通う高瀬の同室相手は、クールでイケメンな不良。 誰に対しても塩対応ではあるが、高瀬に対してはもっとひどかった。 挨拶だけは返してくれるものの、基本的に会話という会話はない。 おそらく嫌われている………。 ならいっそ、ルームメイトを変更してもらったほうがいいんじゃないか。 そう思った高瀬が不良に提案してみると…? 高瀬(受)微無自覚美人。読書と勉強が趣味。 津田(攻)素行不良。喧嘩するタイプではない。ギャップの塊。 ※途中でR-18シーンが入ります。「※」マークをつけます。 ※王道設定ではありません。普通の男子校が全寮制なだけです。

酔った勢いで幼馴染と寝たら、翌日何倍にもして返された話

辻河
BL
・酔っ払って片思いの相手を襲ってしまった受けが、翌朝記憶を失って素面の状態で攻めにどれだけ好かれているか分からされる話 ・散々煽られたのに翌朝何も覚えていないと言われご立腹の攻め(本谷瀬永/もとやせな)×攻めに大恋愛をしていたら酔って全部本人に露呈した挙句とろとろになるまで詰められる受け(藤野維月/ふじのいづき) ※♡喘ぎ、濁点喘ぎ、結腸責めなどの表現が含まれています。

処理中です...