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攻め視点~過去~

6話 もう戻れない

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ゴムを装着し終え「挿れるよ」という言葉と共に自分自身を充てがい、ゆっくりと押し進めていく。

「あっ……あ、入って……ッ、く……」

君は苦しそうにしているけれど、ゆっくり時間をかけて解した甲斐があってか痛みは無さそうだ。むしろやっと待ち望んでいたものが与えられる悦びの方が大きいようで、表情も少し緩んでいるように見える。
狭い穴を押し拡げながら挿っていく感覚は筆舌に尽くし難かった。絡み付いてくる肉壁が熱くて柔らかいのにキツくてとても気持ちが良い。俺の形に馴染むように締め付けつつ纏わりついてくる肉襞に全て持っていかれそうな感覚。

「っ……半分、挿入はいったよ」
「……ほん、と?」
「うん。大丈夫?痛くない?」
「んッ……うん。平気……」

少し苦しそうな声だったけど、それでも微笑んでくれる君が愛おしい。ずっとこうしたいと望んでいたけれど、まさかこんなに早く叶うなんて思ってもみなかった。その幸せを噛み締めると共に、すぐにでも動きたい衝動に駆られている自分に苦笑するしかない。
でもまだダメだ。いくら解してきたといっても、内壁を強く擦り上げる衝撃にはまだ対応できないだろう。
少しずつ、馴染むまで。ゆっくり動いては、様子を見て動きを止める。それを何回か繰り返すうちに、苦しげだった声の中にも甘い吐息が混ざり始めた。

「あ……んッ、んん……♡」

少し動きを大きくして、先程見つけた前立腺を優しく押すように動くと声が上がる。

「あぁッ!んっ♡はぁ……!あっ!♡」

そこばかりを刺激するのではなく、時折奥を突くように突くと嬉しそうにナカが締め付けてくるから意地悪をしたくなってわざとタイミングを外すと切なそうに眉を寄せていた。わざと外し続けていると、なんと自ら腰を動かし、前立腺に誘導するように悩まし気に揺らし始めた。自発的な貪欲さに興奮のあまり息を吞んでしまう。

「あっ、はぁ……あぁ……♡」

物欲しそうに見つめてくる瞳に応えるように一度ギリギリまで引き抜いてから奥まで一気に突き入れると、甲高い声を上げて身体をしならせていた。待ち望んでいた刺激に内壁が悦ぶようにうねって俺を離すまいと絡みついてくる。

「っん……そんなに、気持ちいいんだ?」
「ふ、あッ!……うんっ、気持ちいぃ……!♡」

素直に応えてくれるのが可愛くて仕方ない。普段はそんな素振りは出来る限り見せないのに。

「俺も……凄く、気持ちいい……」

そう言って軽く口付けると、嬉しそうに微笑んだ。その顔が可愛くて愛おしくて堪らない。もっと色んな君を見せてほしい。君の全てを知りたい。そんな思いが胸を占めていくようで。
そんな俺の思いを代弁するように再び動き始めると、君は嬉しそうな声を上げて腰を揺らし始めた。最初はゆっくりとした動きで徐々にストロークを長くしていき、慣れてきたらピストン運動を速める。その度に上がる君の嬌声と結合部から聞こえる淫らな水音に目眩すら覚える程興奮した。

「あっ♡あぁ!♡んぁ……ッ!♡」

段々と激しさを増していく抽挿に比例するように上がる声も高くなり、絶頂が近い事を知らせるように内壁が痙攣し始めたのでラストスパートをかけるように腰を打ちつける速度を上げた。すると君の口からは一際高い声が上がった。

「ああぁぁ!!♡ゃっ♡だめ、もぅ……イっちゃ……!♡♡♡」

その言葉に応えるように前立腺を抉りながら最奥を突き上げると同時に君は絶頂を迎えたようで、身体が大きく弓なりに反り返り痙攣していた。

「っ……く!」

それと同時にナカが強く締め付けられて堪えきれずに俺もゴム越しに君の奥で射精した。ドクンドクンと脈打つ感覚で君も俺が果てた事に気付いたんだろう。愛おしそうにお腹を撫でていた。その姿があまりにも綺麗で思わず見惚れてしまうほどだった。

「……んっ」

少し落ち着いたところで軽く口付けると君は応えるように舌を絡ませてきたのでそれに応えるように何度も何度も舌を擦り合わせた。

親友と呼ぶにはあまりにも深い所をお互い知りすぎた。もう普通には到底戻れない一線を越えてしまった事に対する罪悪感すら、甘美なエッセンスになり興奮に酔いしれた。

ああ、神様。俺は今までも、これからも決められた事をこなし模範的でい続ける事を誓います。
許嫁とは将来良い夫として。親へは良い後継として。

だからせめて、愛する人との時間をどうか見逃してください。これからもずっと、ずっと一緒にいれますように。

俺にとって、君はもはや酸素同然なのだから。
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