1 / 1
榛side
しおりを挟むいつも見る夢がある
大好きな君が、優しく僕の頭を撫でてくれる。
すっ、と頬を撫でるから、僕はその手にキスをしながら「好きだよ」って言う。
すると君は、
「え、なにそれ。気持ち悪い」
って、おかしそうに笑う。
その顔を見ながら、僕はそうだね、って言う。
最初にこの夢をみたのは、中学生になってすぐのこと。
家が隣の 真樹 は、 産まれた時から一緒にいたから、自分の横にいつもいるのが当たり前だと思ってた。
でも、ある日真樹が告白されているのを偶然見てしまった。
それを見て、いつか自分の側から真樹が居なくなるのか、と思ったら、嫌で嫌で仕方なくて、お願いだから断って、と思った。それが通じたのか、真樹は「ごめん」と静かに言って、去っていった。
その次の日から、僕は真樹のことをとっても意識した。歩いてるときに、あ、肩があたった、とか、家で一緒に雑誌を読んでいた時に、顔が近い、とか。
いつも通りが出来なくなって、あぁ、僕は真樹が恋愛の意味で好きなんだ、と分かった日の夜、あの夢を見た。
最初は血を吐くかって思うぐらい苦しくて、悲しかった。朝、迎えに来た真樹の機嫌を見て、よかった、いつも通りだ。とほっとする日が続いた。それからすぐ、自分のこの気持ちは異常だと言うことを知った。その時、あぁ、だから夢の中の真樹は気持ち悪いって言ったんだ、と納得した。
真樹への気持ちをもて余してた僕は、これは隠し通せばいいんだ、とわかってスッキリした。それまで多少違和感があっただろう真樹との関係も、やっと普通に出来て安心した。真樹が好きでどうしようもなくなってしまっても、夢の中の真樹が僕に言い聞かせてくれる。だから、これからも大丈夫、と。
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
風邪ひいた社会人がおねしょする話
こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。
一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる