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約束と共に歩む道
15 いつか見た風景 に目が覚める
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目を開ければそこにはフサフサで茶色い茂みが前にある。何だろ。大きくて茶色いな。
ぼーっとする頭が働いて全体が見える。
「…… くま」
自分の横に寝ているのは大きな茶色のクマのぬいぐるみ。寝返りすると反対側には白クマが鎮座していて眉間にシワが寄る。眠る前まで無かった物だけど、なんか見た事ある。
むくりと起き上がるとベッドにいる理由を思い出す。
「……目眩、ない」
霞みがかった頭が冴えてくるのを待つ。視界に入るのは茶色と白の熊と、バルが勝手に買い替えたバラ模様の辛うじて色は水色の寝具類。そしてヒラフリのパジャマ。
・・・何でこんなに馴染んでんの。
執事になるのは自分で選んだけど、働いて働いてセクハラされて尚働いて。フィルにあんあん言わされて気が付けば、あはは、うふふのバカップルという現実。
ぼふっ
うああああぁ!!
ベッドの上で転がり回る。俺って超可愛くなってない?ねえ?なにこれっ!色々恥ずかしい数年間が頭の中で『やらかした過去』ってテロップ付きで走馬灯のように流れて見えるよ、見える!
しかも祭りでくるくる踊ってたよ俺!
あ、あぁ、悪魔だ、アイムだかアスモデウスだか憑いてたんだ。ハニートラップモードだったんだ。だって今もっの凄く頭がスッキリして全身が軽いんだよ?
お、恐ろしい。流されるって恐ろしい。
自己催眠か洗脳が解けた感じでガクブルするってこの事だよ。今日はもうこの掛け布団に包まれて俺は貝になるというかトルティーヤでいいや。
なんで振り返ったんだろ。自分を甘やかす?執事中心の生活を見直せっていわれたから?
いいよもう。この世で生きる分頑張ったんだ。後悔してないけど恥ずかしいんだよ!
トルティーヤ、クレープ、バジルフン・クエー !
巻き料理名を思いつつゴロゴロと転がって掛布に自分で巻かれていくレオ。セルフ簀巻きだ。うつ伏せになって何故か居心地がいい感じがして顔も突っ伏した。
「……レオ」
ビクッ
……この声は、
「何やってんだ」
「あはは、どうなってんだそれ」
フィルとルースきたぁぁっ。
「もう大丈夫かレオ」
フィルの声が近づいたのがわかる。ソファかチェストに腰掛けたようだ。
「目眩直った?診察しに来たんだけど起きて座れるかな」
「……少しお待ちください」
仕方なく逆回転でゴロゴロするレオ。なんか鼻で笑われてる音を拾ったけど、これが現実だから仕方ない。ベッドに腰掛けてルースの問診から診察を受ける。
「異常なさそうだけど今日は静かにね。せめて数日は仕事も休み休みがいい」
「数日仕事も?祭りも駄目ってこと?」
「レオ、駄目だ。今は良くてもまたなるかもしれないだろ。静かにってルースも言ってる。今日は静かに、だ」
フィルは後ろから釘を刺し、眼鏡をくいっと上げながらルースは追撃ちをかける。
「縫いぐるみ置いても一言も感想貰えないなんて、まだ本調子じゃないよレオ」
「言うタイミングが無かっただけだし。身体軽くなったし大丈夫」
すくっと起立してみると立ちくらみも無い。
どうだと言わんばかりの視線をフィルに向けると苦笑された。
「歩いてふらつかないか。こっち来てみろレオ」
「うん?」
大丈夫って見せたのに何で笑うんだろ。ほら、普通に歩けるしフラフラしない。ソファにいるフィルまで余裕で来れて横に座る。なーんにもどーってこと無いんだけど。
「祭り庭で楽しむのも駄目?」
「庭?」
「出歩かなくても庭園のとこで屋台の物食べたり、街路眺めて雰囲気楽しみたい」
「狩り無しのピクニックか」
「そんな感じ」
フィルはルースに目配せをすると頷いて了承を得た様だ。
「朝食を食べれたら善処しよう。夕食も食べずよく寝たな。曇天だし午後は雨かもなあ」
「えっ」
フィルはレオを見て微笑んだ。
ぼーっとする頭が働いて全体が見える。
「…… くま」
自分の横に寝ているのは大きな茶色のクマのぬいぐるみ。寝返りすると反対側には白クマが鎮座していて眉間にシワが寄る。眠る前まで無かった物だけど、なんか見た事ある。
むくりと起き上がるとベッドにいる理由を思い出す。
「……目眩、ない」
霞みがかった頭が冴えてくるのを待つ。視界に入るのは茶色と白の熊と、バルが勝手に買い替えたバラ模様の辛うじて色は水色の寝具類。そしてヒラフリのパジャマ。
・・・何でこんなに馴染んでんの。
執事になるのは自分で選んだけど、働いて働いてセクハラされて尚働いて。フィルにあんあん言わされて気が付けば、あはは、うふふのバカップルという現実。
ぼふっ
うああああぁ!!
ベッドの上で転がり回る。俺って超可愛くなってない?ねえ?なにこれっ!色々恥ずかしい数年間が頭の中で『やらかした過去』ってテロップ付きで走馬灯のように流れて見えるよ、見える!
しかも祭りでくるくる踊ってたよ俺!
あ、あぁ、悪魔だ、アイムだかアスモデウスだか憑いてたんだ。ハニートラップモードだったんだ。だって今もっの凄く頭がスッキリして全身が軽いんだよ?
お、恐ろしい。流されるって恐ろしい。
自己催眠か洗脳が解けた感じでガクブルするってこの事だよ。今日はもうこの掛け布団に包まれて俺は貝になるというかトルティーヤでいいや。
なんで振り返ったんだろ。自分を甘やかす?執事中心の生活を見直せっていわれたから?
いいよもう。この世で生きる分頑張ったんだ。後悔してないけど恥ずかしいんだよ!
トルティーヤ、クレープ、バジルフン・クエー !
巻き料理名を思いつつゴロゴロと転がって掛布に自分で巻かれていくレオ。セルフ簀巻きだ。うつ伏せになって何故か居心地がいい感じがして顔も突っ伏した。
「……レオ」
ビクッ
……この声は、
「何やってんだ」
「あはは、どうなってんだそれ」
フィルとルースきたぁぁっ。
「もう大丈夫かレオ」
フィルの声が近づいたのがわかる。ソファかチェストに腰掛けたようだ。
「目眩直った?診察しに来たんだけど起きて座れるかな」
「……少しお待ちください」
仕方なく逆回転でゴロゴロするレオ。なんか鼻で笑われてる音を拾ったけど、これが現実だから仕方ない。ベッドに腰掛けてルースの問診から診察を受ける。
「異常なさそうだけど今日は静かにね。せめて数日は仕事も休み休みがいい」
「数日仕事も?祭りも駄目ってこと?」
「レオ、駄目だ。今は良くてもまたなるかもしれないだろ。静かにってルースも言ってる。今日は静かに、だ」
フィルは後ろから釘を刺し、眼鏡をくいっと上げながらルースは追撃ちをかける。
「縫いぐるみ置いても一言も感想貰えないなんて、まだ本調子じゃないよレオ」
「言うタイミングが無かっただけだし。身体軽くなったし大丈夫」
すくっと起立してみると立ちくらみも無い。
どうだと言わんばかりの視線をフィルに向けると苦笑された。
「歩いてふらつかないか。こっち来てみろレオ」
「うん?」
大丈夫って見せたのに何で笑うんだろ。ほら、普通に歩けるしフラフラしない。ソファにいるフィルまで余裕で来れて横に座る。なーんにもどーってこと無いんだけど。
「祭り庭で楽しむのも駄目?」
「庭?」
「出歩かなくても庭園のとこで屋台の物食べたり、街路眺めて雰囲気楽しみたい」
「狩り無しのピクニックか」
「そんな感じ」
フィルはルースに目配せをすると頷いて了承を得た様だ。
「朝食を食べれたら善処しよう。夕食も食べずよく寝たな。曇天だし午後は雨かもなあ」
「えっ」
フィルはレオを見て微笑んだ。
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