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第16話 勇者科の才女② イルとの再会②
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そして教室から離れて、巨城である学園の屋上に来たあたりで塞いでいたイルの口から手を離す。
「はむむむむっぷは~っひどいよル~ちゃんっいきなり口を塞ぐなんてっおかげで僕陸なのにおぼれそうになっちゃったよっ」
憤るイルに対して、ルミナは、「ごめんごめん」、と昔そうしていたように、イルの頭を優しく撫でながら落ち着かせる。
すると先ほどまでの怒りはどこへやら、根が単純なイルは優しく頭を撫でられただけで、まるでルミナが長年かっている愛猫のように「う~」と嬉しそうに唸っていた。
ちなみに、ルミナと再会を果たしたのは、彼女やカナタの幼馴染であり親友でもあるイル・クア・ラシェスという小柄な少女であった。
「にしてもイル。もしかして、少し縮んだ?」
イルの頭に手を当てながらルミナが少し冗談めかして尋ねる。
「あっひっど~いル~ちゃんっ」
イルが抗議の声を上げるが、ルミナはごめんごめんと愛想笑いをしただけで、それには取り合わず別の質問を投げかける。
「そういえば、イルも勇者科に入ったの?」
「違うよ、魔闘科だよ」
「なるほど」
イルの答えを聞きルミナは、そういえばイルの家系が格闘一家だったことを思い出す。
「それはそうとル~ちゃん」
「ん? どうしたのイル?」
「ん、とね。今思い出したんだけど、今度試験があるんだって」
「試験?」
試験という単語で何事か思い当たったのか、ルミナが口を開く。
「ああ、確か学年の各学期終わりにあるあれね?」
「うん。実はそのことも含めて僕、ル~ちゃんを探しに来たんだよね♪ 一緒にいこうよル~ちゃん♪」
イルの提案にルミナは二つ返事で応じる。
「いいわよ、私も一緒に試験を受けるメンバー探してたし、イルなら文句ないわ」
イルの実力と人柄を人一倍知っているルミナは満足げに呟いた。
「でも探してたって事は、私がここにいるのに気付いてたの?」
「うん。けど色々あって。会いにこれなかったんだ」
昔と違ってイルも色々と忙しいのだろう。例えばボーイフレンドが出来たとかで。まぁイルに限ってそれはないか、大方食いしん坊のイルは始めてきたこの学園内の目新しい食べ物を食べまくっていたというのが正解だろう。と思いルミナは内心ほくそ笑んでいた。
実際は歓迎会の折お腹が減ってぶっ倒れその後、数日間薬しか与えられなかったイルは、食べ物の匂いで目が覚めて、今の今まで学園中の食べ物を、しこたま食べまくっていたからだった。
つまりイルの行動は、ルミナのおおかたの予想通りだったのである。
「そうだ。それならカナタも呼ばないと」
思いついたようにルミナが声を発する。
「え、カナカナもここにいるの?」
「ええ」
「じゃカナカナも勇者科だね♪ あれ? でもさっきいなかったような? お手洗いだったのかな?」
「ん~と実はねイル」
といずれ一緒にパーティを組んで試験に挑めば、ばれてしまうだろうと、ルミナはかいつまんでイルに事の成り行きを説明した。
「じゃ、カナカナは将来立派な魔王になるために、魔王科にいるんだ」
「うん。みたいよ」
あさっての方を見ながらルミナが何食わぬ顔で言った。
「大丈夫かな?」
イルが心配げに呟いた。
「大丈夫って何が?」
ルミナがイルの顔を見ながら問いただす。
「カナカナだよ」
「大丈夫よ、カナタの実力なら」
「だといいんだけど」
イルがやはり少し心配げな顔をして言う。
「どうして?」
「うん。知ってる子がね。あそこ魔力がないと、落ちこぼれるって言ってたんだ」
「そう、でもきっとカナタなら大丈夫よ」
「だよね♪」
とルミナが口にした時、彼女の頬に一筋の汗が流れていたのを気付いたものは誰もいなかった。
そして先にも述べたが、イルが危惧していた通り、勇者科でまぁまぁうまくやっているルミナと違って、カナタは魔王科の中で落ちこぼれていたのであった。
「はむむむむっぷは~っひどいよル~ちゃんっいきなり口を塞ぐなんてっおかげで僕陸なのにおぼれそうになっちゃったよっ」
憤るイルに対して、ルミナは、「ごめんごめん」、と昔そうしていたように、イルの頭を優しく撫でながら落ち着かせる。
すると先ほどまでの怒りはどこへやら、根が単純なイルは優しく頭を撫でられただけで、まるでルミナが長年かっている愛猫のように「う~」と嬉しそうに唸っていた。
ちなみに、ルミナと再会を果たしたのは、彼女やカナタの幼馴染であり親友でもあるイル・クア・ラシェスという小柄な少女であった。
「にしてもイル。もしかして、少し縮んだ?」
イルの頭に手を当てながらルミナが少し冗談めかして尋ねる。
「あっひっど~いル~ちゃんっ」
イルが抗議の声を上げるが、ルミナはごめんごめんと愛想笑いをしただけで、それには取り合わず別の質問を投げかける。
「そういえば、イルも勇者科に入ったの?」
「違うよ、魔闘科だよ」
「なるほど」
イルの答えを聞きルミナは、そういえばイルの家系が格闘一家だったことを思い出す。
「それはそうとル~ちゃん」
「ん? どうしたのイル?」
「ん、とね。今思い出したんだけど、今度試験があるんだって」
「試験?」
試験という単語で何事か思い当たったのか、ルミナが口を開く。
「ああ、確か学年の各学期終わりにあるあれね?」
「うん。実はそのことも含めて僕、ル~ちゃんを探しに来たんだよね♪ 一緒にいこうよル~ちゃん♪」
イルの提案にルミナは二つ返事で応じる。
「いいわよ、私も一緒に試験を受けるメンバー探してたし、イルなら文句ないわ」
イルの実力と人柄を人一倍知っているルミナは満足げに呟いた。
「でも探してたって事は、私がここにいるのに気付いてたの?」
「うん。けど色々あって。会いにこれなかったんだ」
昔と違ってイルも色々と忙しいのだろう。例えばボーイフレンドが出来たとかで。まぁイルに限ってそれはないか、大方食いしん坊のイルは始めてきたこの学園内の目新しい食べ物を食べまくっていたというのが正解だろう。と思いルミナは内心ほくそ笑んでいた。
実際は歓迎会の折お腹が減ってぶっ倒れその後、数日間薬しか与えられなかったイルは、食べ物の匂いで目が覚めて、今の今まで学園中の食べ物を、しこたま食べまくっていたからだった。
つまりイルの行動は、ルミナのおおかたの予想通りだったのである。
「そうだ。それならカナタも呼ばないと」
思いついたようにルミナが声を発する。
「え、カナカナもここにいるの?」
「ええ」
「じゃカナカナも勇者科だね♪ あれ? でもさっきいなかったような? お手洗いだったのかな?」
「ん~と実はねイル」
といずれ一緒にパーティを組んで試験に挑めば、ばれてしまうだろうと、ルミナはかいつまんでイルに事の成り行きを説明した。
「じゃ、カナカナは将来立派な魔王になるために、魔王科にいるんだ」
「うん。みたいよ」
あさっての方を見ながらルミナが何食わぬ顔で言った。
「大丈夫かな?」
イルが心配げに呟いた。
「大丈夫って何が?」
ルミナがイルの顔を見ながら問いただす。
「カナカナだよ」
「大丈夫よ、カナタの実力なら」
「だといいんだけど」
イルがやはり少し心配げな顔をして言う。
「どうして?」
「うん。知ってる子がね。あそこ魔力がないと、落ちこぼれるって言ってたんだ」
「そう、でもきっとカナタなら大丈夫よ」
「だよね♪」
とルミナが口にした時、彼女の頬に一筋の汗が流れていたのを気付いたものは誰もいなかった。
そして先にも述べたが、イルが危惧していた通り、勇者科でまぁまぁうまくやっているルミナと違って、カナタは魔王科の中で落ちこぼれていたのであった。
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