15 / 88
第14話 勇者科の才女と魔王科の落ちこぼれ
しおりを挟む
立派な石で造られた巨城の中の二階にルミナたち勇者科の通う教室はあった。
教室の広さは教師一人に生徒が三十人から四十人ほどが余裕で入れるほどはある。
そして、石造りで作られている教室の窓枠には、開け閉めの自由に出来る精巧なガラスがはめ込まれている。
しかも魔法を駆使した装置が設置されていて、夏は冷房。冬は暖房などが循環して、教室内を快適な温度で保つように作られている。
で、肝心の教室の中はというと、上等な木材で作られた長い机に、これまた上等な木材で作られた長椅子が何段にも分かれて設置されていて、大きな大学の教室のようなつくりをしていた。
そして、教室の中にいる何十人かの生徒たちは、白地のワイシャツのようなものの上から、入学時に学園で支給された薄めのブレザーといった感じの淡いブルーの制服を着込んでいた。ち
なみに新入生である各生徒たちの襟元には、一年生の証である二本の赤い式線が引かれている。
そして制服の下の部分は、男子は上着と同じ青のズボンで、女子は膝丈ほどの淡い青色のスカートである。
もちろんこの学園では当然のことながら戦闘訓練など日常的に行われるので、女子はスカートの下に黒色のスパッツのようなものを着用していた。
そして、皆足元はなめし皮で作られた上等な靴を身につけていた。
この教室にいる生徒たちは、右のような服装をして、皆で長椅子に並んで腰をかけ授業を聞いているのである。
そして、その大多数の生徒たちの中に、窓際の席でひときわ熱心に話を聞いているルミナの姿もあった。
そして、今は歴史の授業が行われていた。
歴史の授業はこの世界を知る上で欠かせないものだからだ。
「いいですかみなさん。つまり遥か昔おとぎ話として語られている伝説には、勇者が結界によって魔物を封じた建物なり、封印塚があるのです。ですからその場所はとても危険なのです。そのため決して不用意に封印が施されている場所などに近付いてはなりませんよ。わかりましたか?」
黒板に魔法で拡大させた絵物語を投射しながら、一人の教師が指揮棒のようなもので指差して、片手で歴史書を開いて、この世界での歴史書に乗っているおとぎ話を語りながら説明していた。
「はいっミルズ先生」
一人の女子生徒が挙手をした。
「はい。ミル・クラストさん。なにか質問ですか?」
ピンクのフリフリワンピースを着込んだ中肉中背の中年女教師ミルズは、挙手をした生徒の名を呼び質問を促す。
「でもそれってかなり古い伝説じゃないんですか? 今更守っても意味ないと思うんですけど?」
「確かにそうね。実際のところ、私自身あの話はおとぎ話だと思っているしね。あまり気にしなくてもいいと思っています」
ミルズは自分の失言に気付き口元に手を当てる。
「っと、このことは他の先生方には内緒よ」
指を口元に当てし―っと笑いながら促した。
「はい♪」
教室に笑いが漏れる。
「けどいいですか皆さん。おとぎ話の中のお話といえど、万が一ということがあるかもしれません。ですから、念には念を入れて力試しや遊び半分の気持ちで、かの伝説の勇者が封印を施した封印の地に赴いてはなりませんよ? わかりましたか?」
「は~い♪」
ミルズの言葉に従い生徒たちは返事を返すと、それと同時に授業終了の鐘の音が鳴った。
「っと本日の授業はここまで。では皆さんまた来週」
それだけ言うと、歴史担当の女性教師であるミルズは、授業終了の礼をしてそそくさと勇者科の教室を後にしていった。
それと同時に窓際の座席に座って、熱心に授業を聞いていたルミナの周りに人だかりが出来る。
カナタとは違い性格や容姿にも恵まれているルミナは、新入生歓迎会での活躍もあり、同学年では絶大な人気を誇っていたからだ。
そのため授業が終わるたびに、ルミナの周りには毎回のように人の輪が出来上がっていた。ルミナに興味津々の女子生徒たちである。
そのためルミナは授業が終わるたびに、毎回のように自分を取り囲んで談笑してくる女子生徒たちと、たわいない世間話や年頃の娘なら出るであろう色恋の話などで談笑していたのである。
それがここしばらくの間勇者科で、ルミナが受けていた扱いであった。
しかしその日は少し違っていた。
教室の広さは教師一人に生徒が三十人から四十人ほどが余裕で入れるほどはある。
そして、石造りで作られている教室の窓枠には、開け閉めの自由に出来る精巧なガラスがはめ込まれている。
しかも魔法を駆使した装置が設置されていて、夏は冷房。冬は暖房などが循環して、教室内を快適な温度で保つように作られている。
で、肝心の教室の中はというと、上等な木材で作られた長い机に、これまた上等な木材で作られた長椅子が何段にも分かれて設置されていて、大きな大学の教室のようなつくりをしていた。
そして、教室の中にいる何十人かの生徒たちは、白地のワイシャツのようなものの上から、入学時に学園で支給された薄めのブレザーといった感じの淡いブルーの制服を着込んでいた。ち
なみに新入生である各生徒たちの襟元には、一年生の証である二本の赤い式線が引かれている。
そして制服の下の部分は、男子は上着と同じ青のズボンで、女子は膝丈ほどの淡い青色のスカートである。
もちろんこの学園では当然のことながら戦闘訓練など日常的に行われるので、女子はスカートの下に黒色のスパッツのようなものを着用していた。
そして、皆足元はなめし皮で作られた上等な靴を身につけていた。
この教室にいる生徒たちは、右のような服装をして、皆で長椅子に並んで腰をかけ授業を聞いているのである。
そして、その大多数の生徒たちの中に、窓際の席でひときわ熱心に話を聞いているルミナの姿もあった。
そして、今は歴史の授業が行われていた。
歴史の授業はこの世界を知る上で欠かせないものだからだ。
「いいですかみなさん。つまり遥か昔おとぎ話として語られている伝説には、勇者が結界によって魔物を封じた建物なり、封印塚があるのです。ですからその場所はとても危険なのです。そのため決して不用意に封印が施されている場所などに近付いてはなりませんよ。わかりましたか?」
黒板に魔法で拡大させた絵物語を投射しながら、一人の教師が指揮棒のようなもので指差して、片手で歴史書を開いて、この世界での歴史書に乗っているおとぎ話を語りながら説明していた。
「はいっミルズ先生」
一人の女子生徒が挙手をした。
「はい。ミル・クラストさん。なにか質問ですか?」
ピンクのフリフリワンピースを着込んだ中肉中背の中年女教師ミルズは、挙手をした生徒の名を呼び質問を促す。
「でもそれってかなり古い伝説じゃないんですか? 今更守っても意味ないと思うんですけど?」
「確かにそうね。実際のところ、私自身あの話はおとぎ話だと思っているしね。あまり気にしなくてもいいと思っています」
ミルズは自分の失言に気付き口元に手を当てる。
「っと、このことは他の先生方には内緒よ」
指を口元に当てし―っと笑いながら促した。
「はい♪」
教室に笑いが漏れる。
「けどいいですか皆さん。おとぎ話の中のお話といえど、万が一ということがあるかもしれません。ですから、念には念を入れて力試しや遊び半分の気持ちで、かの伝説の勇者が封印を施した封印の地に赴いてはなりませんよ? わかりましたか?」
「は~い♪」
ミルズの言葉に従い生徒たちは返事を返すと、それと同時に授業終了の鐘の音が鳴った。
「っと本日の授業はここまで。では皆さんまた来週」
それだけ言うと、歴史担当の女性教師であるミルズは、授業終了の礼をしてそそくさと勇者科の教室を後にしていった。
それと同時に窓際の座席に座って、熱心に授業を聞いていたルミナの周りに人だかりが出来る。
カナタとは違い性格や容姿にも恵まれているルミナは、新入生歓迎会での活躍もあり、同学年では絶大な人気を誇っていたからだ。
そのため授業が終わるたびに、ルミナの周りには毎回のように人の輪が出来上がっていた。ルミナに興味津々の女子生徒たちである。
そのためルミナは授業が終わるたびに、毎回のように自分を取り囲んで談笑してくる女子生徒たちと、たわいない世間話や年頃の娘なら出るであろう色恋の話などで談笑していたのである。
それがここしばらくの間勇者科で、ルミナが受けていた扱いであった。
しかしその日は少し違っていた。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
別れてくれない夫は、私を愛していない
abang
恋愛
「私と別れて下さい」
「嫌だ、君と別れる気はない」
誕生パーティー、結婚記念日、大切な約束の日まで……
彼の大切な幼馴染の「セレン」はいつも彼を連れ去ってしまう。
「ごめん、セレンが怪我をしたらしい」
「セレンが熱が出たと……」
そんなに大切ならば、彼女を妻にすれば良かったのでは?
ふと過ぎったその考えに私の妻としての限界に気付いた。
その日から始まる、私を愛さない夫と愛してるからこそ限界な妻の離婚攻防戦。
「あなた、お願いだから別れて頂戴」
「絶対に、別れない」
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる