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第9話 デュエル⑤ ドゥルグVS最弱のディルグ① ディルグの起こし方
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ルミナが拍手喝采を浴びているころ少し離れたところで、先ほど自己陶酔しそうになっていたフィフスを我に返した茶褐色の髪を後ろ手に結わえつけた男性教師が決闘を開始しようとしていた。
彼の名はイル・ミナ・クロイツ。温和な性格と雰囲気をもちながら、近接戦闘を得意とする魔闘科を受け持っている男性教師である。
「では次、魔王科一年ドゥルグ・ムド・クアーズ君。前へ」
「はっはい!」
今までの圧倒的な力を持つ在学中の上級生たちと、新入生たちの戦いを目にしていた長い金色の髪をしたドゥルグは、少しびくついた感じに返事をしながらも前に進み出る。
「同じく魔王科三年ディルグ・ド・ディストー君。前へ」
ドゥルグのほうは返事があったのだが、同じく三年の魔王科に所属するディルグのほうはというと、し~んと名前を呼ばれたのに何の音沙汰もなかった。
その様子を見てあ~またか。と観客の中にいる在校生の誰かが呟いていた。
ティーチャークロイツはそんな誰かの呟きを気にした風もなくいつものことといった感じに、手短にいた女子生徒へと声をかける。
「君。ディルグ・ド・ディストー君を前へ」
「はっはい」
クロイツに声をかけられて、少しばかり緊張した女子生徒は、クロイツに言われるままに、小走りにディルグ・ド・ディストーの元へと駆けつける。
そして彼女はいつも他の生徒がしているようにして、ディルグの胸に己の耳を当てる。
すると、し~んと、これまたいつもどおりの反応が返ってくる。
「クロイツ先生」
「どうかしましたか?」
「え~っと、ディルグさん。心音が聞こえないので、また、死んでます」
「はぁまた、ですか」
クロイツは疲れたようなため息を吐き出しながら、この場にいる生徒たちに指示する。
「多少乱暴にしてもかまいませんから、誰か彼を起こして、この場に連れてきてください」
「クロイツ先生っ私にお任せくださいっ!」
待ってましたとばかりに挙手して、元気よく返事をしたのは、自慢の赤い髪を後ろ手にまとめて、ピシッと制服を着込んでいる小柄な女子生徒だった。
彼女はディルグのいると思わしき場所に向かってすぐさま走り出していた。
「アヤネさん。くれぐれもお手柔らかにしてくださいね」
クロイツがその背中、赤髪のポニーテールに向かって声をかけたのだが、彼女には聞こえていなさそうだった。
先ほどの戦いを目にしていたドゥルグは、冷や汗を浮かべながら自分の相手がどんな猛者かと震えていたのだが、これで戦わなくて済みそうだと、内心ほっと胸をなでおろしていた。
そして先ほどクロイツにディルグを起こして来ると言い放った赤髪ポニーテールの女子生徒は、走りよってディルグに接近するやいなや腰に差している日本刀に酷似した自慢の愛刀を居合斬りの要領で抜き放っていた。
「さっさと起きんか! こ~の馬鹿チンがぁあああっっっ斬!」
そしてディルグを起こそうとしたアヤネの女性とは思えないほどの物凄い気合のこもった雄叫びがあたりに響き渡ったのだった。
ほぼ同時にドゥルグの足元へと、何か丸く緑色の毛がふさふさ生えているものが、飛び込んできて目の前に転がる。
「ん? なんだね? これは?」
上から見下ろす形ではよく見えなかったのか、ドゥルグはしゃがみこむと、その転がり出てきた緑色のマリモのような物体を手に取り立ち上がる。
周囲の生徒たちは、皆その光景にあっけにとられて、何も言葉をかけられないでいた。
ドゥルグはそんなことなどおかまいなしに、いやまったく気付かずに自分の手で持ち上げたマリモ? を見つめていると、そのマリモと思わしき存在の下が濡れていることがわかった。
「むぅ。このままこれをもっていると、僕の手が濡れてしまうじゃないかね」
ドゥルグはそう思いながらマリモ? を片手で持ち直すと、何か拭くものはないかと自分の服をまさぐるが何も出てこなかった。
そういえば、今日家を出るとき手を拭く布切れを入れ忘れたのを思い出したドゥルグは、仕方なしにあとで洗えば問題ないだろうと思って、自分の服でその手についていたベタベタしたものをぬぐうと、ドゥルグの服がみるみるうちに緑色に染まっていった。
「これはいくらなんでも染まりすぎじゃないのかね?」
自分の服がみるみる緑色に染まっていくのを見たドゥルグは、疑問の声を上げながら、服の染まる原因を確認しようと、緑色の物体にかかっている緑色の毛のようなものを手の平で払いのける。すると人間の顔のようなものが現れて、ドゥルグに挨拶を交わしてきた。
「やぁ」
「…………」
「…………」
しばし無言で見つめあうドゥルグと緑色マリモ? から出てきた人間の顔と思わしきもの。
「へ!?」
「君が僕の対戦相手のドゥルグ君かい?」
「な、な、な、なんじゃこりゃあああ――っ!」
さも平然と頭のみで話しかけてくる元マリモ? だったものをドゥルグは叫び声をあげながら思わず投げ捨ててしまう。
「あ~~少しひどくないかな君?」
「マ、マ、マ、マ、マリモがっしゃしゃしゃしゃべったああぁぁぁ――っ!?」
このときになってようやくドゥルグは自分が拾ったものがなんであったのかを知り、なおかつ自分を見る周囲の視線が冷たかった理由を知った。
そう彼が持っていたのは、アヤネの持つ鋭利な刃物で斬り飛ばされた自分の対戦相手ディルグの頭部だったのだ。
そしてマリモの緑色の部分と思われたものは彼の人毛であり、マリモの下側からドゥルグの手を濡らしていたのは、ディルグから流れ出した緑色の血液だったのだ。
サァ―とドゥルグは自分の頭から血の気が引いていくのを感じた。
そんなドゥルグの様子を知ってかしらずか、ドゥルグによって地面に放り投げられていたディルグの頭部はなんでもないことのように口を開き言葉をつむぐと、ドゥルグに頼みごとをしてくる。
「とりあえずドゥルグ君とかいったかな? 悪いんだが僕の頭を身体のところまでもって行ってはくれないかい?」
コクコクコクコクと、ドゥルグは無言で言われるがままに、先ほど地面に投げ捨てたディルグの頭部を拾うと、いつの間にか進み出てきた頭部のない彼の身体の来ているところにまで、ディルグの頭部を運ぶ。
「あっもうこのへんでいいよ。その……なんだ。僕の腕の中に僕の頭を落としてくれないか?」
コクコクコクコクと再度頷きながら、ドゥルグはディルグの腕の中に彼の頭部をゆっくりと置く。
「ふぅ助かったよ」
いいながらディルグは、両手で受け取った頭部を首から上のない身体の頭頂部に乗せる。
「ふむ。こんなものかな?」
言いながらディルグは首をコキコキ鳴らして、首の付け根などを確認する。
「まったくアヤネはいつも少々粗雑でね。困ったものだよ」
ディルグは首が据わったのを確認すると、自分の首を斬り飛ばした赤髪の少女に視線を投げかけながら呟いた。
人の首を斬り飛ばすのが、粗雑の一言で済む事態世間一般から見ればすごいことなのだが、この場にいる誰もがそのことについて一切何も語らず、ただ黙って事の成り行きを見守っていた。
どうやらこの様子からして、この学園ではこのような光景は日常茶飯事なのかも知れなった。
彼の名はイル・ミナ・クロイツ。温和な性格と雰囲気をもちながら、近接戦闘を得意とする魔闘科を受け持っている男性教師である。
「では次、魔王科一年ドゥルグ・ムド・クアーズ君。前へ」
「はっはい!」
今までの圧倒的な力を持つ在学中の上級生たちと、新入生たちの戦いを目にしていた長い金色の髪をしたドゥルグは、少しびくついた感じに返事をしながらも前に進み出る。
「同じく魔王科三年ディルグ・ド・ディストー君。前へ」
ドゥルグのほうは返事があったのだが、同じく三年の魔王科に所属するディルグのほうはというと、し~んと名前を呼ばれたのに何の音沙汰もなかった。
その様子を見てあ~またか。と観客の中にいる在校生の誰かが呟いていた。
ティーチャークロイツはそんな誰かの呟きを気にした風もなくいつものことといった感じに、手短にいた女子生徒へと声をかける。
「君。ディルグ・ド・ディストー君を前へ」
「はっはい」
クロイツに声をかけられて、少しばかり緊張した女子生徒は、クロイツに言われるままに、小走りにディルグ・ド・ディストーの元へと駆けつける。
そして彼女はいつも他の生徒がしているようにして、ディルグの胸に己の耳を当てる。
すると、し~んと、これまたいつもどおりの反応が返ってくる。
「クロイツ先生」
「どうかしましたか?」
「え~っと、ディルグさん。心音が聞こえないので、また、死んでます」
「はぁまた、ですか」
クロイツは疲れたようなため息を吐き出しながら、この場にいる生徒たちに指示する。
「多少乱暴にしてもかまいませんから、誰か彼を起こして、この場に連れてきてください」
「クロイツ先生っ私にお任せくださいっ!」
待ってましたとばかりに挙手して、元気よく返事をしたのは、自慢の赤い髪を後ろ手にまとめて、ピシッと制服を着込んでいる小柄な女子生徒だった。
彼女はディルグのいると思わしき場所に向かってすぐさま走り出していた。
「アヤネさん。くれぐれもお手柔らかにしてくださいね」
クロイツがその背中、赤髪のポニーテールに向かって声をかけたのだが、彼女には聞こえていなさそうだった。
先ほどの戦いを目にしていたドゥルグは、冷や汗を浮かべながら自分の相手がどんな猛者かと震えていたのだが、これで戦わなくて済みそうだと、内心ほっと胸をなでおろしていた。
そして先ほどクロイツにディルグを起こして来ると言い放った赤髪ポニーテールの女子生徒は、走りよってディルグに接近するやいなや腰に差している日本刀に酷似した自慢の愛刀を居合斬りの要領で抜き放っていた。
「さっさと起きんか! こ~の馬鹿チンがぁあああっっっ斬!」
そしてディルグを起こそうとしたアヤネの女性とは思えないほどの物凄い気合のこもった雄叫びがあたりに響き渡ったのだった。
ほぼ同時にドゥルグの足元へと、何か丸く緑色の毛がふさふさ生えているものが、飛び込んできて目の前に転がる。
「ん? なんだね? これは?」
上から見下ろす形ではよく見えなかったのか、ドゥルグはしゃがみこむと、その転がり出てきた緑色のマリモのような物体を手に取り立ち上がる。
周囲の生徒たちは、皆その光景にあっけにとられて、何も言葉をかけられないでいた。
ドゥルグはそんなことなどおかまいなしに、いやまったく気付かずに自分の手で持ち上げたマリモ? を見つめていると、そのマリモと思わしき存在の下が濡れていることがわかった。
「むぅ。このままこれをもっていると、僕の手が濡れてしまうじゃないかね」
ドゥルグはそう思いながらマリモ? を片手で持ち直すと、何か拭くものはないかと自分の服をまさぐるが何も出てこなかった。
そういえば、今日家を出るとき手を拭く布切れを入れ忘れたのを思い出したドゥルグは、仕方なしにあとで洗えば問題ないだろうと思って、自分の服でその手についていたベタベタしたものをぬぐうと、ドゥルグの服がみるみるうちに緑色に染まっていった。
「これはいくらなんでも染まりすぎじゃないのかね?」
自分の服がみるみる緑色に染まっていくのを見たドゥルグは、疑問の声を上げながら、服の染まる原因を確認しようと、緑色の物体にかかっている緑色の毛のようなものを手の平で払いのける。すると人間の顔のようなものが現れて、ドゥルグに挨拶を交わしてきた。
「やぁ」
「…………」
「…………」
しばし無言で見つめあうドゥルグと緑色マリモ? から出てきた人間の顔と思わしきもの。
「へ!?」
「君が僕の対戦相手のドゥルグ君かい?」
「な、な、な、なんじゃこりゃあああ――っ!」
さも平然と頭のみで話しかけてくる元マリモ? だったものをドゥルグは叫び声をあげながら思わず投げ捨ててしまう。
「あ~~少しひどくないかな君?」
「マ、マ、マ、マ、マリモがっしゃしゃしゃしゃべったああぁぁぁ――っ!?」
このときになってようやくドゥルグは自分が拾ったものがなんであったのかを知り、なおかつ自分を見る周囲の視線が冷たかった理由を知った。
そう彼が持っていたのは、アヤネの持つ鋭利な刃物で斬り飛ばされた自分の対戦相手ディルグの頭部だったのだ。
そしてマリモの緑色の部分と思われたものは彼の人毛であり、マリモの下側からドゥルグの手を濡らしていたのは、ディルグから流れ出した緑色の血液だったのだ。
サァ―とドゥルグは自分の頭から血の気が引いていくのを感じた。
そんなドゥルグの様子を知ってかしらずか、ドゥルグによって地面に放り投げられていたディルグの頭部はなんでもないことのように口を開き言葉をつむぐと、ドゥルグに頼みごとをしてくる。
「とりあえずドゥルグ君とかいったかな? 悪いんだが僕の頭を身体のところまでもって行ってはくれないかい?」
コクコクコクコクと、ドゥルグは無言で言われるがままに、先ほど地面に投げ捨てたディルグの頭部を拾うと、いつの間にか進み出てきた頭部のない彼の身体の来ているところにまで、ディルグの頭部を運ぶ。
「あっもうこのへんでいいよ。その……なんだ。僕の腕の中に僕の頭を落としてくれないか?」
コクコクコクコクと再度頷きながら、ドゥルグはディルグの腕の中に彼の頭部をゆっくりと置く。
「ふぅ助かったよ」
いいながらディルグは、両手で受け取った頭部を首から上のない身体の頭頂部に乗せる。
「ふむ。こんなものかな?」
言いながらディルグは首をコキコキ鳴らして、首の付け根などを確認する。
「まったくアヤネはいつも少々粗雑でね。困ったものだよ」
ディルグは首が据わったのを確認すると、自分の首を斬り飛ばした赤髪の少女に視線を投げかけながら呟いた。
人の首を斬り飛ばすのが、粗雑の一言で済む事態世間一般から見ればすごいことなのだが、この場にいる誰もがそのことについて一切何も語らず、ただ黙って事の成り行きを見守っていた。
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