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№35 Vsドラゴン④ ドラゴンvs『骸の剣』
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やるべきことが決まったエリスは、覇気のある声を上げる。
「ジーンやるぞっ我々二人であの竜の動きを止める!」
「おうっわかったぜ姉貴!」
エリスの覇気の声を受け、竜を倒せる道筋が見えたジーンも気合の声を上げた。
そしてジーンが、エリスと共にユウの一歩前に出ると、エリスに声をかける。
「あの竜の動きを止めるのはいいけどよ。あんな素早い奴、具体的にどうするんだよ姉貴?」
「それならば問題ない。ジーン。奴の行動範囲を狭めるために奴を城壁へ追い詰めろ」
「追い詰めた後は?」
「そこからは、私がやる。シルファリオンッ」
エリスは自分のドールである大鷹を呼ぶと、背中に乗って空高く舞い上がった。
「そういうことかよ」
エリスの行動を見たジーンは、それだけでこの後エリスが何をやるのかを察すると、全身に気迫のオーラを纏わせる。
そして、すでにエリスに負わされた手傷が回復したにもかかわらず、未だ警戒の色を解かない幼竜の前に出て、ネクロマンサーソードを前面に押し出しながら、一歩また一歩と足を前に踏み出し始めた。
正面から全身に気迫をまとったジーンに迫られた幼竜は、エリスに手傷を負わされる前ならば、躊躇なくジーンに飛び掛っていったはずだった。
しかし先ほどエリスに負わされた手傷による精神的ショックがよほど大きかったのか、相手が先ほどまで軽く手玉にとっていたジーンであるにもかかわらず、警戒の色を色濃くして、いつでも回避行動が取れるように頭を下げて腰を落とし、ジーンが一歩前に出るたびに一歩づつ後ろへと後退していった。
そしていつの間にか幼竜は、ジーンにじりじりと追い詰められる形となって、背中に城壁を背負っていた。
「今だ姉貴っ!」
幼竜を壁際に追い詰めたジーンが、空に舞い上がったエリスに聞こえる大声で叫んだ。
地上から遥か上空で、ジーンの合図の声をまだかまだかと待ちわびていたエリスは、ジーンの地上からの合図の声を聞いて、遥か上空から幼竜に狙いを定めると、背後を城壁に囲まれて行動範囲が狭まった幼竜の真上から、大鷹であるシルファリオンの両足の鉤爪をむき出しにして、一気に急降下を開始した。
そして人が瞬きをするほどの一瞬後には、遥か上空から急降下する勢いをつけて振るわれたエリスのドールである大鷹シルファリオンの鉤爪は、ネクロマンサーソードの一撃すら弾くはずの竜の表皮にある竜の鱗を引き裂いて、野生の鷹が蛇や野鼠などを捕らえるように、幼竜の背中に猛禽類の強靭な両足の鉤爪をめり込ませて、押さえつけていたのだった。
幼竜はあまりに一瞬の出来事に、いったい自分の身に何が起こったのかわからず、ただ拘束から逃れようと、がむしゃらに身体を暴れさせてパニックに陥っていた。
シルファリオンの鉤爪で、幼竜を押さえつけたエリスが、同時に幼竜が逃げ出さぬようドールの上から剣でけん制しながら、ユウに向かって合図の声を上げる。
「今だっやれぇっ!」
エリスの合図の声を聞いたユウが、呪詛の調べを口にする。
「死屍たるものよ、死なぬ死者を滅する死屍たる力持て、死を殺す刃とならん『骸の剣』」
ユウが剣にネクロの力を集約させて、自分の周囲にある累々たる屍たちを呼び起こし、剣にまとわせ絡み付かせて形を成す。
一瞬後ユウの手にした剣は、半刻ほど前にこの地を納める領主であるガマを討伐した巨大な剣、『骸の剣』と化していた。
「『骸の剣』」
ユウは『骸の剣』を作り出すと、エリスのドールである大鷹シルファリオンが押さえつけている幼竜に向かって、躊躇なく振り下ろした。
ユウによって振り下ろされた巨人の身の丈ほどもある巨大な『骸の剣』は、ゴゥンッという力強い轟音を響かせながら、重力のおもむくままに、幼竜と、それを押さえつけるエリスとシルファリオンを両断しようと襲い掛かった。
エリスとシルファリオンがこのまま幼竜を押さえつけ続けていれば、ユウの振り下ろした巨大な『骸の剣』は、幼竜ばかりか、ユウと共闘しているエリスとシルファリオンをも両断してしまったはずだ。
だからといって、エリスが己の保身を考えて、中途半端に幼竜の拘束を解いてしまった場合。幼竜の敏捷な動きからして、せっかく作り出したユウの『骸の剣』はかわされてしまったはずだ。
だが、そうはならなかった。なぜなら、ユウが振り下ろした『骸の剣』が、エリスとシルファリオンにあたる直前に、エリスはシルファリオンに幼竜の拘束を解くと同時に合図を出して、シルファリオンに幼竜の背中を思い切り踏み台にさせて跳躍すると、上空へと逃れたからだ。
エリスとシルファリオンが、幼竜の拘束を解き上空へと逃れたために、自由の身となった幼竜は、迫り来るユウの『骸の剣』から逃れようと、持ち前の敏捷性を生かして回避行動に移ろうとしたが、エリスとシルファリオンが拘束を解く直前に、幼竜の背中を思いっきり踏み台にして跳躍していたために、幼竜の回避行動はほんの一瞬遅れてしまう。
そしてそのほんの一瞬が、幼竜の命運を分けた。
幼竜は自分の敏捷性をもってしても、すでに回避不能な距離に到達していた『骸の剣』を視界に捕らえると共に、蛇がカエルに睨まれているかのごとく動きを停止させた。
そして、すでに己の死を悟り身動き一つしない幼竜に向かって、巨人の身の丈ほどもある巨大な『骸の剣』が振り下ろされる。
だが振り下ろされた『骸の剣』は、竜の表皮を破ったところで、竜の皮膚を破って突き出してきた浅黒い腕に受け止められると同時に、『骸の剣』は刀身に物凄い圧力でもかけられたのか、突然刀身に亀裂が走り、ユウのネクロマンサーソードの外壁を覆っていた屍たちが砕け散っていた。
突如として自分の竜皮を破り、体内から浅黒い腕が突き出してきた幼竜は、一体今自分の身に何が起こっているのか理解できていないのか「ギッ!?」と疑問符の混じった声を上げる。
そしてユウの『骸の剣』を受け止めるために、幼竜の皮膚を浅黒い腕が突き破った瞬間、体内から吹き上がる禍々しい力の余波を受けた幼竜の命は一瞬で事切れると共に、幼竜を中心として、この世のものとは思えないほどのおぞましい気配が膨れ上がり周囲に広がっていった。
「ジーンやるぞっ我々二人であの竜の動きを止める!」
「おうっわかったぜ姉貴!」
エリスの覇気の声を受け、竜を倒せる道筋が見えたジーンも気合の声を上げた。
そしてジーンが、エリスと共にユウの一歩前に出ると、エリスに声をかける。
「あの竜の動きを止めるのはいいけどよ。あんな素早い奴、具体的にどうするんだよ姉貴?」
「それならば問題ない。ジーン。奴の行動範囲を狭めるために奴を城壁へ追い詰めろ」
「追い詰めた後は?」
「そこからは、私がやる。シルファリオンッ」
エリスは自分のドールである大鷹を呼ぶと、背中に乗って空高く舞い上がった。
「そういうことかよ」
エリスの行動を見たジーンは、それだけでこの後エリスが何をやるのかを察すると、全身に気迫のオーラを纏わせる。
そして、すでにエリスに負わされた手傷が回復したにもかかわらず、未だ警戒の色を解かない幼竜の前に出て、ネクロマンサーソードを前面に押し出しながら、一歩また一歩と足を前に踏み出し始めた。
正面から全身に気迫をまとったジーンに迫られた幼竜は、エリスに手傷を負わされる前ならば、躊躇なくジーンに飛び掛っていったはずだった。
しかし先ほどエリスに負わされた手傷による精神的ショックがよほど大きかったのか、相手が先ほどまで軽く手玉にとっていたジーンであるにもかかわらず、警戒の色を色濃くして、いつでも回避行動が取れるように頭を下げて腰を落とし、ジーンが一歩前に出るたびに一歩づつ後ろへと後退していった。
そしていつの間にか幼竜は、ジーンにじりじりと追い詰められる形となって、背中に城壁を背負っていた。
「今だ姉貴っ!」
幼竜を壁際に追い詰めたジーンが、空に舞い上がったエリスに聞こえる大声で叫んだ。
地上から遥か上空で、ジーンの合図の声をまだかまだかと待ちわびていたエリスは、ジーンの地上からの合図の声を聞いて、遥か上空から幼竜に狙いを定めると、背後を城壁に囲まれて行動範囲が狭まった幼竜の真上から、大鷹であるシルファリオンの両足の鉤爪をむき出しにして、一気に急降下を開始した。
そして人が瞬きをするほどの一瞬後には、遥か上空から急降下する勢いをつけて振るわれたエリスのドールである大鷹シルファリオンの鉤爪は、ネクロマンサーソードの一撃すら弾くはずの竜の表皮にある竜の鱗を引き裂いて、野生の鷹が蛇や野鼠などを捕らえるように、幼竜の背中に猛禽類の強靭な両足の鉤爪をめり込ませて、押さえつけていたのだった。
幼竜はあまりに一瞬の出来事に、いったい自分の身に何が起こったのかわからず、ただ拘束から逃れようと、がむしゃらに身体を暴れさせてパニックに陥っていた。
シルファリオンの鉤爪で、幼竜を押さえつけたエリスが、同時に幼竜が逃げ出さぬようドールの上から剣でけん制しながら、ユウに向かって合図の声を上げる。
「今だっやれぇっ!」
エリスの合図の声を聞いたユウが、呪詛の調べを口にする。
「死屍たるものよ、死なぬ死者を滅する死屍たる力持て、死を殺す刃とならん『骸の剣』」
ユウが剣にネクロの力を集約させて、自分の周囲にある累々たる屍たちを呼び起こし、剣にまとわせ絡み付かせて形を成す。
一瞬後ユウの手にした剣は、半刻ほど前にこの地を納める領主であるガマを討伐した巨大な剣、『骸の剣』と化していた。
「『骸の剣』」
ユウは『骸の剣』を作り出すと、エリスのドールである大鷹シルファリオンが押さえつけている幼竜に向かって、躊躇なく振り下ろした。
ユウによって振り下ろされた巨人の身の丈ほどもある巨大な『骸の剣』は、ゴゥンッという力強い轟音を響かせながら、重力のおもむくままに、幼竜と、それを押さえつけるエリスとシルファリオンを両断しようと襲い掛かった。
エリスとシルファリオンがこのまま幼竜を押さえつけ続けていれば、ユウの振り下ろした巨大な『骸の剣』は、幼竜ばかりか、ユウと共闘しているエリスとシルファリオンをも両断してしまったはずだ。
だからといって、エリスが己の保身を考えて、中途半端に幼竜の拘束を解いてしまった場合。幼竜の敏捷な動きからして、せっかく作り出したユウの『骸の剣』はかわされてしまったはずだ。
だが、そうはならなかった。なぜなら、ユウが振り下ろした『骸の剣』が、エリスとシルファリオンにあたる直前に、エリスはシルファリオンに幼竜の拘束を解くと同時に合図を出して、シルファリオンに幼竜の背中を思い切り踏み台にさせて跳躍すると、上空へと逃れたからだ。
エリスとシルファリオンが、幼竜の拘束を解き上空へと逃れたために、自由の身となった幼竜は、迫り来るユウの『骸の剣』から逃れようと、持ち前の敏捷性を生かして回避行動に移ろうとしたが、エリスとシルファリオンが拘束を解く直前に、幼竜の背中を思いっきり踏み台にして跳躍していたために、幼竜の回避行動はほんの一瞬遅れてしまう。
そしてそのほんの一瞬が、幼竜の命運を分けた。
幼竜は自分の敏捷性をもってしても、すでに回避不能な距離に到達していた『骸の剣』を視界に捕らえると共に、蛇がカエルに睨まれているかのごとく動きを停止させた。
そして、すでに己の死を悟り身動き一つしない幼竜に向かって、巨人の身の丈ほどもある巨大な『骸の剣』が振り下ろされる。
だが振り下ろされた『骸の剣』は、竜の表皮を破ったところで、竜の皮膚を破って突き出してきた浅黒い腕に受け止められると同時に、『骸の剣』は刀身に物凄い圧力でもかけられたのか、突然刀身に亀裂が走り、ユウのネクロマンサーソードの外壁を覆っていた屍たちが砕け散っていた。
突如として自分の竜皮を破り、体内から浅黒い腕が突き出してきた幼竜は、一体今自分の身に何が起こっているのか理解できていないのか「ギッ!?」と疑問符の混じった声を上げる。
そしてユウの『骸の剣』を受け止めるために、幼竜の皮膚を浅黒い腕が突き破った瞬間、体内から吹き上がる禍々しい力の余波を受けた幼竜の命は一瞬で事切れると共に、幼竜を中心として、この世のものとは思えないほどのおぞましい気配が膨れ上がり周囲に広がっていった。
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