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青の星 青の星戦域⑯ ダークスター対小型戦艦ナノグリフ エリスティア小隊と裕矢の最後
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「レイラの奴やりやがった」
小型戦艦ナノグリフのブリッヂで、旗艦レヴァティーンがダークスターのコアに向かって突撃して、爆発したのを視認したジーンが声を上げると、それに答えるようにエリスも神妙な面持ちで頷きながら口を開いた。
「ああ、しかし爆発の規模が小さすぎる」
そうレイラの操船する旗艦レヴァティーンはエネルギーコアを自爆させる前に、すでに魔王のクリムゾンによる集中砲火によって撃墜されていたのだった。
そのため、予定していた爆発時の火力を得られずに、ダークスターのコアを破壊するに至らなかったのであった。
「どうするよ、エリス」
レイラの壮絶な死に際を目にしたジーンがエリスの目を真剣に見つめながら声をかける。
「言わずとも我々のとる行動は決まっている。彼女の遺志を継ぎ彼女の思いを遂げるのみだ。そして、我々がレイラたちの背後にいた意味を示すのみだ」
眼前でレイラの死を見届けたエリスが、レイラの散ったダークスターのコアを見つめながら、いつもの冷静な口調で答える。
「だよな」
エリスの言葉を聞き口の端を吊り上げ嬉しげな表情を浮かべながら、ジーンが喜々とした声を上げる。
そして、まるでそれを合図にしたように、爆発四散した旗艦レヴァティーンの背後から飛び出してくる影があった。
エリスたちの駆る小型戦艦ナノグリフだ。
エリスたちは、今の今まで旗艦レヴァティーンの背後で船体の回復をはかり、魔王のシールドが消え、攻撃できる機を窺っていたのだった。
そして、これはレイラの意図していた状況でもあった。
彼女は、自らが失敗したときのための保険として、当初戦闘宙域を後退しろといったにもかかわらず、旗艦レヴァティーンの背後にとどまり戦闘宙域内に身をおいていたエリスたちをあえて戦闘宙域から離脱させず、泳がせていたのだった。
エリスなら言わずともレイラは自分の意図を読み取ってくれると確信して。
そう、そのレイラの読みが的中し、エリスが自らの意思で彼女の後詰めを買って出た結果、現在の状況を作り出したのだった。
「一気に決めるぞジーンッ溜め込んだ力をダークスターのコア目掛けて一気に叩き込んでやれっ!」
「おうっ言わずもがなだぜっここしかねぇっ!」
レヴァティーンの爆発の余韻の冷めぬ中、障害物の一切ない空間から、照準を合わせフルチャージしたフルバーストをジーンが解き放とうとしたときだった。
『敵魔王中心角より超高エネルギー反応補足』
警報と共にAIであるナノグリフの音声がブリッヂに響き渡ったのは。
「ちぃまだ切り札を隠し持っていやがったか!?」
しかもあのエネルギーの集束の仕方。あれは……
「これは……この光はっレヴァティーンの惑星破壊砲か!? たった数度体験しただけで自らで復元したというのか!?」
さすがにエリスが予想外な展開に目を見張る。
そう、エリスの指摘したとおり、ダークスターのエネルギーの集束の仕方は、レヴァティーンの惑星破壊砲そのものだった。
「しかもあの超高エネルギーの集まり方は、レヴァティーンの惑星破壊砲よりもはるかに大量のエネルギーを集束させている。下手をしたら、青の星規模の惑星なら跡形も残らず消し飛ぶぞ!?」
エリスが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて声を上げる。
そして、もしそれを小型艦であるナノグリフが受けたらどうなるか? 言わずとも知れよう。もしほんの一部がかすっただけでたとえシールドを張っていようとも小型戦艦など一瞬で消し飛ぶ。眼前で集束されている超高エネルギーはそれほどの威力を有していた。
「これだけ近付いてさらにこの規模の攻撃。回避は不可能だ。こうなったら一か八かだっエネルギー集束が済む前に奴の超高エネルギー自体に攻撃を加え、超エネルギーゆう爆を起こさせるしかない! ジーンッ!」
さすがに予想外の展開に、焦りの表情を浮かべながら叱咤の声を飛ばす。
「ちぃっあれが数多の星の命を喰らってきた魔王の力だってのかよぉ!」
「ジーンッ今はそんな悠長なことを言っている場合ではないっ奴にあれを撃たせるなぁっ!」
「わかってるつってんだよ! んな凶悪なしろもん撃たせてたまっかよ! 喰らいやがれっフル・バーストォォォォォッッッ!!」
小型戦艦ナノグリフとフルリンクしたジーンが雄叫びを上げながら、主砲発射の引き金を引くと、小型戦艦ナノグリフからジーンのフルリンクによって強化された主砲が、ダークスター中心核手前で集束されている超高密度エネルギーへと向かって突き進む。
魔王の攻撃が繰り出されるよりも一瞬早く小型戦艦ナノグリフの主砲の方が早く発射された。
「うしっこれなら行ける!!」
ジーンが声を上げる。そして誰もがそう思った瞬間だった。
小型戦艦ナノグリフから繰り出されたジーンのフルバーストが、コアに到達するとほぼ同時に、ダークスター中心核に集束していた超高密度エネルギーが解放されたのは。
解き放たれた魔王の超惑星破壊砲ともいうべき超高密度エネルギー兵器。デス・クリムゾンは、向かってくるジーンのフルバーストと真正面からまともにぶつかり合った。
その結果、小型戦艦ナノグリフの放った渾身の一打は、高エネルギー同士のせめぎ合いをするでもなくあっさりと、本当にしごくあっさりと押し返されて飲み込まれてしまう。
そして、一瞬の後。小型戦艦ナノグリフは、魔王の放ったデス・クリムゾンに飲み込まれ、小型戦艦ナノグリフに搭乗しているエリス。ジーン。ニーナ。そして、裕矢が断末魔の悲鳴を上げることすら許されず、白光に包みこまれていったのだった。
小型戦艦ナノグリフのブリッヂで、旗艦レヴァティーンがダークスターのコアに向かって突撃して、爆発したのを視認したジーンが声を上げると、それに答えるようにエリスも神妙な面持ちで頷きながら口を開いた。
「ああ、しかし爆発の規模が小さすぎる」
そうレイラの操船する旗艦レヴァティーンはエネルギーコアを自爆させる前に、すでに魔王のクリムゾンによる集中砲火によって撃墜されていたのだった。
そのため、予定していた爆発時の火力を得られずに、ダークスターのコアを破壊するに至らなかったのであった。
「どうするよ、エリス」
レイラの壮絶な死に際を目にしたジーンがエリスの目を真剣に見つめながら声をかける。
「言わずとも我々のとる行動は決まっている。彼女の遺志を継ぎ彼女の思いを遂げるのみだ。そして、我々がレイラたちの背後にいた意味を示すのみだ」
眼前でレイラの死を見届けたエリスが、レイラの散ったダークスターのコアを見つめながら、いつもの冷静な口調で答える。
「だよな」
エリスの言葉を聞き口の端を吊り上げ嬉しげな表情を浮かべながら、ジーンが喜々とした声を上げる。
そして、まるでそれを合図にしたように、爆発四散した旗艦レヴァティーンの背後から飛び出してくる影があった。
エリスたちの駆る小型戦艦ナノグリフだ。
エリスたちは、今の今まで旗艦レヴァティーンの背後で船体の回復をはかり、魔王のシールドが消え、攻撃できる機を窺っていたのだった。
そして、これはレイラの意図していた状況でもあった。
彼女は、自らが失敗したときのための保険として、当初戦闘宙域を後退しろといったにもかかわらず、旗艦レヴァティーンの背後にとどまり戦闘宙域内に身をおいていたエリスたちをあえて戦闘宙域から離脱させず、泳がせていたのだった。
エリスなら言わずともレイラは自分の意図を読み取ってくれると確信して。
そう、そのレイラの読みが的中し、エリスが自らの意思で彼女の後詰めを買って出た結果、現在の状況を作り出したのだった。
「一気に決めるぞジーンッ溜め込んだ力をダークスターのコア目掛けて一気に叩き込んでやれっ!」
「おうっ言わずもがなだぜっここしかねぇっ!」
レヴァティーンの爆発の余韻の冷めぬ中、障害物の一切ない空間から、照準を合わせフルチャージしたフルバーストをジーンが解き放とうとしたときだった。
『敵魔王中心角より超高エネルギー反応補足』
警報と共にAIであるナノグリフの音声がブリッヂに響き渡ったのは。
「ちぃまだ切り札を隠し持っていやがったか!?」
しかもあのエネルギーの集束の仕方。あれは……
「これは……この光はっレヴァティーンの惑星破壊砲か!? たった数度体験しただけで自らで復元したというのか!?」
さすがにエリスが予想外な展開に目を見張る。
そう、エリスの指摘したとおり、ダークスターのエネルギーの集束の仕方は、レヴァティーンの惑星破壊砲そのものだった。
「しかもあの超高エネルギーの集まり方は、レヴァティーンの惑星破壊砲よりもはるかに大量のエネルギーを集束させている。下手をしたら、青の星規模の惑星なら跡形も残らず消し飛ぶぞ!?」
エリスが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて声を上げる。
そして、もしそれを小型艦であるナノグリフが受けたらどうなるか? 言わずとも知れよう。もしほんの一部がかすっただけでたとえシールドを張っていようとも小型戦艦など一瞬で消し飛ぶ。眼前で集束されている超高エネルギーはそれほどの威力を有していた。
「これだけ近付いてさらにこの規模の攻撃。回避は不可能だ。こうなったら一か八かだっエネルギー集束が済む前に奴の超高エネルギー自体に攻撃を加え、超エネルギーゆう爆を起こさせるしかない! ジーンッ!」
さすがに予想外の展開に、焦りの表情を浮かべながら叱咤の声を飛ばす。
「ちぃっあれが数多の星の命を喰らってきた魔王の力だってのかよぉ!」
「ジーンッ今はそんな悠長なことを言っている場合ではないっ奴にあれを撃たせるなぁっ!」
「わかってるつってんだよ! んな凶悪なしろもん撃たせてたまっかよ! 喰らいやがれっフル・バーストォォォォォッッッ!!」
小型戦艦ナノグリフとフルリンクしたジーンが雄叫びを上げながら、主砲発射の引き金を引くと、小型戦艦ナノグリフからジーンのフルリンクによって強化された主砲が、ダークスター中心核手前で集束されている超高密度エネルギーへと向かって突き進む。
魔王の攻撃が繰り出されるよりも一瞬早く小型戦艦ナノグリフの主砲の方が早く発射された。
「うしっこれなら行ける!!」
ジーンが声を上げる。そして誰もがそう思った瞬間だった。
小型戦艦ナノグリフから繰り出されたジーンのフルバーストが、コアに到達するとほぼ同時に、ダークスター中心核に集束していた超高密度エネルギーが解放されたのは。
解き放たれた魔王の超惑星破壊砲ともいうべき超高密度エネルギー兵器。デス・クリムゾンは、向かってくるジーンのフルバーストと真正面からまともにぶつかり合った。
その結果、小型戦艦ナノグリフの放った渾身の一打は、高エネルギー同士のせめぎ合いをするでもなくあっさりと、本当にしごくあっさりと押し返されて飲み込まれてしまう。
そして、一瞬の後。小型戦艦ナノグリフは、魔王の放ったデス・クリムゾンに飲み込まれ、小型戦艦ナノグリフに搭乗しているエリス。ジーン。ニーナ。そして、裕矢が断末魔の悲鳴を上げることすら許されず、白光に包みこまれていったのだった。
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