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青の星 青の星戦域① 隕石の落下と終わる日常
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秋菜といつものように帰宅した翌朝。裕矢が学校に浮かうために一人いつもの青星ヶ丘学園への通学路を歩いていると、元気な声と共にバシンッといきなり背中を叩かれる。
「おっはよ~ゆうちゃん♪」
もう十年以上の付き合いになるので、名前を呼んで誰かを確認するまでもない。
こんなに朝からやたらテンションの高い知り合いは、裕矢には男女合わせても一人しかいないからだ。
だから当然振り返りもせずに答える。
「おうっにしてもあき、お前さ~相変わらず朝からテンション高いのな」
「うん♪ あきはいつも元気元気だよ♪」
いつものように裕矢の背中を叩きながら、裕矢の前に回り込んできた秋菜は、いつもの元気いっぱいの優しげな笑みを浮かべて答える。
それからいつものように二人は、肩を並べてたわいない会話を交わしていた。
たわいないといっても、いつもどおり秋菜が一人で勝手に星の話をして、また裕矢がいつものように相槌を打っているだけだ。
そうこうして二人が青星ヶ丘学園へと向かう通学路を歩いていると、いつものように満面の笑みを浮かべて、星の話に身振り手振りを交えて、小動物のようにチョコチョコ動き回りながら、裕矢の傍らで星の話に花を咲かせていた秋菜が不意に足を止める。
そのため裕矢も仕方なく秋菜同様に足を止めた。
それを知ってか知らずか、秋菜が朝の空を見上げながら感慨深げに呟いた。
「それにしても再来月の流星群楽しみだよね~♪ ゆうちゃん♪」
「ああ、そ~だな」
秋菜が感慨深げに呟いているにもかかわらず、裕矢は秋菜が星のことで感慨深げに話し始めるのはいつものことなので、いつも通りにお決まりの相槌をうつのみだ。
「少し前払いで見えないかな?」
秋菜は朝の空を見上げながら、遠くの景色を見るときのように手を目線の上に上げて呟いた。
「はぁ。お前なぁ。星がそう都合よく前払いなんてしてくれるはず……」
ないだろうが。という裕矢の声を遮ったのは、朝の空を見上げながら口にした秋菜の言葉だった。
「あっゆうちゃんっお星様だよ♪」
「あんっ星? こんな朝っぱらから?」
「うんっきっとうっかりさんなんだよっしかもたくさんあるっもしかしてっ獅子座流星群かな!」
秋菜は早朝の空を見上げながら、身を乗り出すようにして喜びの声を上げた。
笑顔を浮かべて一人はしゃぐ秋菜を見ていた裕矢が、一ヶ月以上先に来るはずの流星群が、今の時期に来るはずがない。そう思って、秋菜が見上げている方角の空を見上げる。
「んなバカなことあるわけ……な!?」
秋菜が見上げている方角の空を見上げた裕矢が目にしたのは、秋菜の言う通り幾つもの星々が空を流れている光景だった。
「本当に、朝に、星が降っていやがる……」
「ね? ゆうちゃん。あきの言ったとおりでしょ?」
「あっああ」
口をポカーンと開けて、少しばかり驚いたように答える裕矢。
「きっとお星様があきのお願いを聞いて、前払いしてくれたんだよ♪」
朝方降る星々に見入りながら、秋菜が無邪気に笑って嬉しそうに言った。
だが裕矢はそれには取り合わず、目の前で繰り広げられている一種異様な、いや異常な光景から目が離せずにいた。
そうしてしばらくの間二人で星たちを眺めていると、最初に裕矢がわずかな星の変化に気づき声を上げた。
「なぁあき、あの星。なんかでかくなってないか?」
「うん♪ きっとこっちに近づいてきてるんだね♪」
裕矢の問いかけにも、いつもと変わらず嬉しそうにはしゃぎながら答える秋菜。
「近づいて、来てる?」
秋菜の言葉をなんとはなしに聞いた裕矢の勘が警報を鳴らす。
まさか!? 隕石か!? いやっ落ち着け! いくらなんでもあの数、現実的に見て隕石の落下にしたら数が多すぎる。ってことは、人工衛星の落下か!? テレビとかのニュース番組でもよくあるって言ってたしっにしてもマジかよ!? どうするどうするどうする!? とにかくこの場から逃げないとだめだ! そう考えた裕矢の行動は迅速だった。
すぐさま隣にいる秋菜の腕を掴むと声を上げる。
「あきっ逃げるぞっ」
「へ? ゆうちゃん?」
秋菜はいきなり裕矢に腕を掴まれて、戸惑いの表情を浮かべる。
秋菜の腕を掴んだ裕矢は、すぐさま走り出そうとしたのだが、不意に脳裏に昔見た危機対処番組の中で流れていた空からの落下物の場合、落下する軌道をギリギリまで見極めてから逃げた方がいい。と言っていたのを思い出した。
そのため裕矢は、秋菜の腕を握り締めながら、空からの落下物の軌道を見極めようと、注意深く空を見上げる。
もちろんその間。秋菜の腕を掴んでいる裕矢の手は自然と汗ばみ、必要以上に力が入ってしまっていた。
「ちょっ痛いっ痛いよゆうちゃん!」
そのため秋菜から抗議の声が上がったが、裕矢はそれには取り合わず、今だ! と思った瞬間。空からの落下物から逃れるために、強引に秋菜の腕を引っ張って走り出した。
「え!? ちょっ!? ゆうちゃん!?」
いまいち今自分の置かれている状況が理解できていない秋菜が声を上げる。
「走れっあき!」
「走れって、急にどうしたのゆうちゃん!?」
「いいから! 今は俺の言うことを聞いて全力で走れ!」
訳も分からず腕を掴まれて、引っ張られていた秋菜だったが、自分を引っ張る裕矢のあまりの剣幕に、自分の知らないところで何かただ事じゃないことが起きてるんだと思いおとなしく言うことを聞く。
「う、うん」
返事を返した秋菜が、裕矢に促されるまま走る速度を上げる。
だが、当然宇宙からの飛来物のスピードと、ただの人間である裕矢たちの走る速度は比べるべくもなく、落下物の軌道をギリギリまで見極めて、直撃は何とか避けることに成功したものの。次の瞬間には、あっさりと自分たちから少し離れたところに落ちた落下物が地表にぶつかったときに起きた衝撃破によって、吹き飛ばされてしまっていた。
だが裕矢は落下物による衝撃で吹き飛ばされながらも、とっさに握っている秋菜の腕を力いっぱい引っ張って、その体を自分の方に引き寄せる。
そして、秋菜の頭と背中に自分の腕を回して、衝撃破によって地面に叩きつけられる衝撃から秋菜を守ろうとしながら、裕矢は吹き飛ばされた勢いそのままに地面を転がされていったのだった。
「おっはよ~ゆうちゃん♪」
もう十年以上の付き合いになるので、名前を呼んで誰かを確認するまでもない。
こんなに朝からやたらテンションの高い知り合いは、裕矢には男女合わせても一人しかいないからだ。
だから当然振り返りもせずに答える。
「おうっにしてもあき、お前さ~相変わらず朝からテンション高いのな」
「うん♪ あきはいつも元気元気だよ♪」
いつものように裕矢の背中を叩きながら、裕矢の前に回り込んできた秋菜は、いつもの元気いっぱいの優しげな笑みを浮かべて答える。
それからいつものように二人は、肩を並べてたわいない会話を交わしていた。
たわいないといっても、いつもどおり秋菜が一人で勝手に星の話をして、また裕矢がいつものように相槌を打っているだけだ。
そうこうして二人が青星ヶ丘学園へと向かう通学路を歩いていると、いつものように満面の笑みを浮かべて、星の話に身振り手振りを交えて、小動物のようにチョコチョコ動き回りながら、裕矢の傍らで星の話に花を咲かせていた秋菜が不意に足を止める。
そのため裕矢も仕方なく秋菜同様に足を止めた。
それを知ってか知らずか、秋菜が朝の空を見上げながら感慨深げに呟いた。
「それにしても再来月の流星群楽しみだよね~♪ ゆうちゃん♪」
「ああ、そ~だな」
秋菜が感慨深げに呟いているにもかかわらず、裕矢は秋菜が星のことで感慨深げに話し始めるのはいつものことなので、いつも通りにお決まりの相槌をうつのみだ。
「少し前払いで見えないかな?」
秋菜は朝の空を見上げながら、遠くの景色を見るときのように手を目線の上に上げて呟いた。
「はぁ。お前なぁ。星がそう都合よく前払いなんてしてくれるはず……」
ないだろうが。という裕矢の声を遮ったのは、朝の空を見上げながら口にした秋菜の言葉だった。
「あっゆうちゃんっお星様だよ♪」
「あんっ星? こんな朝っぱらから?」
「うんっきっとうっかりさんなんだよっしかもたくさんあるっもしかしてっ獅子座流星群かな!」
秋菜は早朝の空を見上げながら、身を乗り出すようにして喜びの声を上げた。
笑顔を浮かべて一人はしゃぐ秋菜を見ていた裕矢が、一ヶ月以上先に来るはずの流星群が、今の時期に来るはずがない。そう思って、秋菜が見上げている方角の空を見上げる。
「んなバカなことあるわけ……な!?」
秋菜が見上げている方角の空を見上げた裕矢が目にしたのは、秋菜の言う通り幾つもの星々が空を流れている光景だった。
「本当に、朝に、星が降っていやがる……」
「ね? ゆうちゃん。あきの言ったとおりでしょ?」
「あっああ」
口をポカーンと開けて、少しばかり驚いたように答える裕矢。
「きっとお星様があきのお願いを聞いて、前払いしてくれたんだよ♪」
朝方降る星々に見入りながら、秋菜が無邪気に笑って嬉しそうに言った。
だが裕矢はそれには取り合わず、目の前で繰り広げられている一種異様な、いや異常な光景から目が離せずにいた。
そうしてしばらくの間二人で星たちを眺めていると、最初に裕矢がわずかな星の変化に気づき声を上げた。
「なぁあき、あの星。なんかでかくなってないか?」
「うん♪ きっとこっちに近づいてきてるんだね♪」
裕矢の問いかけにも、いつもと変わらず嬉しそうにはしゃぎながら答える秋菜。
「近づいて、来てる?」
秋菜の言葉をなんとはなしに聞いた裕矢の勘が警報を鳴らす。
まさか!? 隕石か!? いやっ落ち着け! いくらなんでもあの数、現実的に見て隕石の落下にしたら数が多すぎる。ってことは、人工衛星の落下か!? テレビとかのニュース番組でもよくあるって言ってたしっにしてもマジかよ!? どうするどうするどうする!? とにかくこの場から逃げないとだめだ! そう考えた裕矢の行動は迅速だった。
すぐさま隣にいる秋菜の腕を掴むと声を上げる。
「あきっ逃げるぞっ」
「へ? ゆうちゃん?」
秋菜はいきなり裕矢に腕を掴まれて、戸惑いの表情を浮かべる。
秋菜の腕を掴んだ裕矢は、すぐさま走り出そうとしたのだが、不意に脳裏に昔見た危機対処番組の中で流れていた空からの落下物の場合、落下する軌道をギリギリまで見極めてから逃げた方がいい。と言っていたのを思い出した。
そのため裕矢は、秋菜の腕を握り締めながら、空からの落下物の軌道を見極めようと、注意深く空を見上げる。
もちろんその間。秋菜の腕を掴んでいる裕矢の手は自然と汗ばみ、必要以上に力が入ってしまっていた。
「ちょっ痛いっ痛いよゆうちゃん!」
そのため秋菜から抗議の声が上がったが、裕矢はそれには取り合わず、今だ! と思った瞬間。空からの落下物から逃れるために、強引に秋菜の腕を引っ張って走り出した。
「え!? ちょっ!? ゆうちゃん!?」
いまいち今自分の置かれている状況が理解できていない秋菜が声を上げる。
「走れっあき!」
「走れって、急にどうしたのゆうちゃん!?」
「いいから! 今は俺の言うことを聞いて全力で走れ!」
訳も分からず腕を掴まれて、引っ張られていた秋菜だったが、自分を引っ張る裕矢のあまりの剣幕に、自分の知らないところで何かただ事じゃないことが起きてるんだと思いおとなしく言うことを聞く。
「う、うん」
返事を返した秋菜が、裕矢に促されるまま走る速度を上げる。
だが、当然宇宙からの飛来物のスピードと、ただの人間である裕矢たちの走る速度は比べるべくもなく、落下物の軌道をギリギリまで見極めて、直撃は何とか避けることに成功したものの。次の瞬間には、あっさりと自分たちから少し離れたところに落ちた落下物が地表にぶつかったときに起きた衝撃破によって、吹き飛ばされてしまっていた。
だが裕矢は落下物による衝撃で吹き飛ばされながらも、とっさに握っている秋菜の腕を力いっぱい引っ張って、その体を自分の方に引き寄せる。
そして、秋菜の頭と背中に自分の腕を回して、衝撃破によって地面に叩きつけられる衝撃から秋菜を守ろうとしながら、裕矢は吹き飛ばされた勢いそのままに地面を転がされていったのだった。
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