宇宙(そら)の魔王

鳴門蒼空

文字の大きさ
上 下
11 / 34

青の星 エリスティア小隊の到着と隕石群③ ナノエフェクトとニーナの降下

しおりを挟む
 惑星降下用の小型カプセルのある艦内の小型ドックへとたどり着いていたニーナは、そこに常備されている惑星降下用装備をいくつか身に着けながら、青の星への降下準備に入っていた。

 そこへ艦内通信で、エリスに声をかけられる。

「ニーナ」

「エリスか、何の用だ?」

 艦内通信でエリスに声をかけられたニーナは、腕のコンソールに備え付けられている小型の通信機から返答する。

「念のため、あれを持っていけ」

「あれ?」

「ああ、魔王の尖兵の潜んでいる隕石群の襲撃を受けたにもかかわらず、青の星の者たちが運よく生き残っていた場合。かの星の者たちの技術力では、隕石群の落ちた惑星内の環境には適応できず、生き残れないだろう。だから彼らがその環境に適応できるように、環境適応型のナノエフェクトを持っていけ。今ジーンがそれを取りに行っている」

「了解した」

「それからニーナ。念のために緊急時のランデブー地点を決めておこう。あの惑星内で電波を発している一番高い人工の塔だ」

「電波を発している塔?」

「ああ、そこが一番こちらから探知しやすいからな。青の星の惑星座標軸でいうところの122地点だ。そこで緊急用の信号を送れ、そうすればジーンに小型艇で迎えに行かせる」

「了解した」

 答えるなりニーナは、艦内ドックの入り口の壁を背にし佇んで、ジーンの到着を待っていた。

 しばらくすると、エリスのラボからナノエフェクトを持ってきたジーンが到着する。

「わりいっ待たせたなっニーナ」

「ジーン」

 ニーナは、艦内の小型ドックに訪れたジーンから、環境適応型ナノエフェクトが入った注入装置を数本手渡される。

「これか?」

 ニーナがジーンから手渡された数本のナノエフェクト注入装置を見て、ジーンに確認するかのように呟く。

「おう」

「なら、これで準備は整ったな。青の星への降下を開始する」

 準備を整えたニーナが、すぐさま小型ドックの中にある流線型の惑星降下カプセルに身を沈めると、ジーンがニーナに向かって声をかけてくる。

「ニーナ。死ぬなよ」

「ああ、わかっている。それよりジーン

「あん、なんだ?」

「相手はあの魔王の本体と思われるものだ。お前たちの方こそ気を付けていけ」

「おうっ任せとけってっ」

 ジーンがドンッと自らの胸板を叩いて、自信満々に言う姿を見たニーナは、自分もなすべきことをなすために、一人乗りの惑星降下用小型カプセルの蓋を閉めると、腕のコンソールに備え付けられている通信機を使いエリスに合図を送る。

「エリス」

「ああ、では射出する。くれぐれも死ぬなよ、ニーナ」

「エリス。お前たちこそな」

 エリスとニーナの二人は、それだけ言葉を交わしあうと、エリスの操作によってニーナの乗っている惑星降下用の小型カプセルは、小型戦艦ナノグリフより射出されて、青の星。地球へと向かって降下していったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ワイルド・ソルジャー

アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。 世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。 主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。 旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。 ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。 世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。 他の小説サイトにも投稿しています。

女子竹槍攻撃隊

みらいつりびと
SF
 えいえいおう、えいえいおうと声をあげながら、私たちは竹槍を突く訓練をつづけています。  約2メートルほどの長さの竹槍をひたすら前へ振り出していると、握力と腕力がなくなってきます。とてもつらい。  訓練後、私たちは山腹に掘ったトンネル内で休憩します。 「竹槍で米軍相手になにができるというのでしょうか」と私が弱音を吐くと、かぐやさんに叱られました。 「みきさん、大和撫子たる者、けっしてあきらめてはなりません。なにがなんでも日本を守り抜くという強い意志を持って戦い抜くのです。私はアメリカの兵士のひとりと相討ちしてみせる所存です」  かぐやさんの目は彼女のことばどおり強い意志であふれていました……。  日米戦争の偽史SF短編です。全4話。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?

俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。 この他、 「新訳 零戦戦記」 「総統戦記」もよろしくお願いします。

日本国転生

北乃大空
SF
 女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。  或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。  ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。  その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。  ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。  その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。

螺旋列車

ryokutya
SF
友人とある町に観光に来ていた帰り不思議な駅に迷い込む。 奇妙な体験と奇妙な出会いをして運命を変えようとするお話し。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...